崩壊学園wiki
間章・末
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寒鉄
オエッ……オエオエッ……!
オエッ……オエオエッ……!
ポポ
何しているの?ごはん時にいきなり吐き始めるなんて。
何しているの?ごはん時にいきなり吐き始めるなんて。
旅の18日目
夜。
夜。
寒鉄
ふ~。渡したいものがあるって言ったでしょう?
ふ~。渡したいものがあるって言ったでしょう?
ポポ
渡したいものって吐瀉物?
渡したいものって吐瀉物?
寒鉄
私、そんなひどい性格してないし。これよ。
私、そんなひどい性格してないし。これよ。
ポポ
USBメモリ?
USBメモリ?
寒鉄
この3つのUSBメモリがそれぞれなんなのか話したと思うけど、覚えてる?
この3つのUSBメモリがそれぞれなんなのか話したと思うけど、覚えてる?
ポポ
虚空プリンターのシステム書き換え用と、軍事設備の各種図面。もうひとつについては言ってなかったと思うけど。
虚空プリンターのシステム書き換え用と、軍事設備の各種図面。もうひとつについては言ってなかったと思うけど。
寒鉄
うん、3つめが何か教えてあげる。
このメモリの中には私が30年以上かけて集めた色々な資料が入ってるの。
うん、3つめが何か教えてあげる。
このメモリの中には私が30年以上かけて集めた色々な資料が入ってるの。
ポポ
資料?なんの資料?
資料?なんの資料?
寒鉄
放逐された......英雄たちについての資料よ。
フフ、南方軍の奴ら、ぼやけてるけど、衛星写真に映ってるのに気づいてないみたいね。
彼女たち、戻ってきたわ。
放逐された......英雄たちについての資料よ。
フフ、南方軍の奴ら、ぼやけてるけど、衛星写真に映ってるのに気づいてないみたいね。
彼女たち、戻ってきたわ。
ポポ
どういう事?私には何を言ってるのかわからないんだけど。
どういう事?私には何を言ってるのかわからないんだけど。
寒鉄
とにかく、この資料を私の代わりにある人に渡してもらいたいの。その人、聖碑の前に現れるはずだから。
とにかく、この資料を私の代わりにある人に渡してもらいたいの。その人、聖碑の前に現れるはずだから。
ポポ
ちょっと待って寒鉄。あなたは?あなたは長空市に行かないの?
ちょっと待って寒鉄。あなたは?あなたは長空市に行かないの?
寒鉄
誰も行かないだなんて言ってないわよ。私はただあんたが途中でくたばっちゃわないかと心配なだけ。
いい?人ってさ、目標があるからこそ生き抜くぞっていうモチベーションを持つことができるものなのよ。
私は自分の目標がなんなのか明確に分かってるけど、あんたはどう?
自分が何をするのか、ちゃんと心構えできてる?
誰も行かないだなんて言ってないわよ。私はただあんたが途中でくたばっちゃわないかと心配なだけ。
いい?人ってさ、目標があるからこそ生き抜くぞっていうモチベーションを持つことができるものなのよ。
私は自分の目標がなんなのか明確に分かってるけど、あんたはどう?
自分が何をするのか、ちゃんと心構えできてる?
ポポ
私.....私は寒鉄みたいにしっかりと考えられてない。
私.....私は寒鉄みたいにしっかりと考えられてない。
寒鉄
そんなんじゃあんた、簡単にくたばっちゃうわよ。
よく聞いて。私に絶対に生き抜くぞって思わせてくれているのは、まさにこのUSBメモリなわけ。
そんなんじゃあんた、簡単にくたばっちゃうわよ。
よく聞いて。私に絶対に生き抜くぞって思わせてくれているのは、まさにこのUSBメモリなわけ。
ポポ
えっ......そんなものを預かるなんて......。
えっ......そんなものを預かるなんて......。
寒鉄
あんたも、私が最後に迎えるであろう結末を見届けたいでしょう?
いつの日か、あんたもこの世で自分が存在する価値を見つけることになると思う。
その前に、あんたに私の夢と信念を預けるわ。失くさないでよ。そして.....勝手に死なないでよ。そうしたら私の計画が全部パアになっちゃうんだから。
わかった?わかったらそれしまって。
あんたも、私が最後に迎えるであろう結末を見届けたいでしょう?
いつの日か、あんたもこの世で自分が存在する価値を見つけることになると思う。
その前に、あんたに私の夢と信念を預けるわ。失くさないでよ。そして.....勝手に死なないでよ。そうしたら私の計画が全部パアになっちゃうんだから。
わかった?わかったらそれしまって。
ポポ
……………………
わかった。私、頑張る。でもこれを直接手で触ると思うと......ちょっと気持ち悪い。
……………………
わかった。私、頑張る。でもこれを直接手で触ると思うと......ちょっと気持ち悪い。
寒鉄
それさ、私の信念なんだからそんな風に言わないでよ。中身、すっごいんだからね!
それさ、私の信念なんだからそんな風に言わないでよ。中身、すっごいんだからね!
ポポ
はいはい。じゃあ布で包んでおくね。
こうしてたらなんだか一気に食欲がなくなっちゃった。
はいはい。じゃあ布で包んでおくね。
こうしてたらなんだか一気に食欲がなくなっちゃった。
寒鉄
確かに….....私も吐いたらなんか食欲がなくなったわ。
確かに….....私も吐いたらなんか食欲がなくなったわ。
ポポ
なんだかステーキ食べたい。
なんだかステーキ食べたい。
寒鉄
そういう事言わない。
そういう事言わない。
ポポ
ハンバーグ食べたいなぁ。
ハンバーグ食べたいなぁ。
寒鉄
うう......よだれが出てきた。
うう......よだれが出てきた。
ポポ
牛丼食べたいなぁ。
牛丼食べたいなぁ。
寒鉄
そんな事言ってたら缶詰が喉通らなくなっちゃうじゃない!
そんな事言ってたら缶詰が喉通らなくなっちゃうじゃない!
———も——
ポポ
!?
!?
寒鉄
!?
しっ、ポポ。姿を隠す力を使って。さっきの音、何かの戦略兵器の推進装置の音みたいだった。
!?
しっ、ポポ。姿を隠す力を使って。さっきの音、何かの戦略兵器の推進装置の音みたいだった。
ポポ
うん。
うん。
———
寒鉄
何か見えた?
何か見えた?
ポポ
まだ……見えない。あっ——
まだ……見えない。あっ——
寒鉄
何?
何?
遠くにまるで星のようにキラキラと輝くものが見えた。
ポポ
あれってスナイパーの照準器?
あれってスナイパーの照準器?
寒鉄
ここからじゃ判別出来ないわ......待ち伏せして逆に奇襲してやろう。
ここからじゃ判別出来ないわ......待ち伏せして逆に奇襲してやろう。
ポポ
うん。
うん。
光が眺ねるようにして近づいてきた。そしてそれがなんなのか、ようやく確認することができた。
モウ———〜
ポポ
………………ふぅ、まったくなんなの。
………………ふぅ、まったくなんなの。
寒鉄
何かと思ったらただの牛じゃない。角にレーザーを出して反射をするものが巻き付けてあるわね。
何かと思ったらただの牛じゃない。角にレーザーを出して反射をするものが巻き付けてあるわね。
ポポ
何が戦路兵器の推進装置よ。それくらいちゃんと聞き分けてよね.....ププッ。
何が戦路兵器の推進装置よ。それくらいちゃんと聞き分けてよね.....ププッ。
寒鉄
そういうあんたもわからなかったじゃない。死にそうなくらいビビっちゃってさ。まったく、都会育ちの子は。
それにしても、都会の周辺にまさか野生の牛が出現するだなんて.....ホント珍しいわね。それともそれが今や当たり前になっているのかしら?
そういうあんたもわからなかったじゃない。死にそうなくらいビビっちゃってさ。まったく、都会育ちの子は。
それにしても、都会の周辺にまさか野生の牛が出現するだなんて.....ホント珍しいわね。それともそれが今や当たり前になっているのかしら?
ポポ
そういえば私、Site-16でステーキを食べてから......。
なんだかちょっとだけ.....死にたくなくなっちゃった。
そういえば私、Site-16でステーキを食べてから......。
なんだかちょっとだけ.....死にたくなくなっちゃった。
寒鉄
でもあんた、命をかなぐり捨てるかのような様子見せてたじゃない。
でもあんた、命をかなぐり捨てるかのような様子見せてたじゃない。
ポポ
あなたの夢の実現を見届ける方がいいなと思って、それで思いとどまったんだ。
あなたの夢の実現を見届ける方がいいなと思って、それで思いとどまったんだ。
寒鉄
……あんたっていう子はホント、命というものを大切に考えてないわね。
そしたらまあ、あのステーキの味をよく覚えておくのね。楽しい記憶よりも悲しい記憶の方が深く残っちゃうからさ。楽しい事があったらその記憶、大切にした方がいいわよ。そしてもうダメだと思った時とかに、それを思い返すようにするといいわ。これは私の経験談だけどね。
……あんたっていう子はホント、命というものを大切に考えてないわね。
そしたらまあ、あのステーキの味をよく覚えておくのね。楽しい記憶よりも悲しい記憶の方が深く残っちゃうからさ。楽しい事があったらその記憶、大切にした方がいいわよ。そしてもうダメだと思った時とかに、それを思い返すようにするといいわ。これは私の経験談だけどね。
ポポ
いざという時のためにポケットに入れておく飴みたいなものね?
いざという時のためにポケットに入れておく飴みたいなものね?
寒鉄
そうよ、ポケットの中の飴みたいなもの。
そうよ、ポケットの中の飴みたいなもの。
モ〜
ポポ
寒鉄寒鉄、この状況、私たちどうしたらいいかな?いっその事……。
寒鉄寒鉄、この状況、私たちどうしたらいいかな?いっその事……。
寒鉄
私、牛の解体はできないわよ!
私、牛の解体はできないわよ!
ポポ
あなた伝説の存在なんじゃなかったの!?ウソつき!
あなた伝説の存在なんじゃなかったの!?ウソつき!
寒鉄
伝説って言っても伝説のコックとかじゃないし。私だって昔は食べ物は商品棚から湧いてくると信じてた都会っ子だったんだから。
伝説って言っても伝説のコックとかじゃないし。私だって昔は食べ物は商品棚から湧いてくると信じてた都会っ子だったんだから。
ポポ
じゃあ.....どうするの?この牛、ひとりだけみたい.....いや、一匹か。
じゃあ.....どうするの?この牛、ひとりだけみたい.....いや、一匹か。
モウ……………〜
寒鉄
いいえ、見て。
いいえ、見て。
ポポ
あれ?
あれ?
黒い雲が月明りに追いやられ、やさしく冷たい光が大地を照らした。
町の外れの草むらの中に、生き物の筋肉と角が動くのがかすかに見えた。
町の外れの草むらの中に、生き物の筋肉と角が動くのがかすかに見えた。
ポポ
野生の牛の群れね。
野生の牛の群れね。
先に現れた牛が私たちを見てびっくりしたのか、後ろを向いて牛の群れの方へとゆっくりと歩いていった。
そして角から発せられる光と共に、腰の高さほどある草の中へと消えていった。
そして角から発せられる光と共に、腰の高さほどある草の中へと消えていった。
ポポ
寒鉄。
寒鉄。
寒鉄
うん?
うん?
ポポ
これまでずっとなんの動物にも遭遇しなかったのに、ここにきていきなり出会ったけど、これって何か特別な意味があるのかな?
これまでずっとなんの動物にも遭遇しなかったのに、ここにきていきなり出会ったけど、これって何か特別な意味があるのかな?
寒鉄
慌てない慌てない。またチャンスあるって。今後、絶対においしいものを沢山食べるチャンスがあるからさ。その時は私も付き合わせてもらうから。
慌てない慌てない。またチャンスあるって。今後、絶対においしいものを沢山食べるチャンスがあるからさ。その時は私も付き合わせてもらうから。
ポポ
そういうのじゃなくて。もしかして何かいい兆候なのかなと思って。
そういうのじゃなくて。もしかして何かいい兆候なのかなと思って。
寒鉄
いい兆候?
確かに…… これになんの意味があるのかまだわからないけど、私もなんだかいい兆候のような気がしてきたわ。
いい兆候?
確かに…… これになんの意味があるのかまだわからないけど、私もなんだかいい兆候のような気がしてきたわ。
月の明かりがやさしく大地を照らし、私と寒鉄は草むらに寝そべり、止め処もない話をしたのだった。
こうして星は私のもとを離れていった。
こうして星は私のもとを離れていった。
……
西暦2015年、「意志の統括者」という世界共通の敵が人類によって倒され、人類は崩壊によって左右される運命をようやく脱することができた。
西暦2017年、全域連結がなんらかの原因によって中断してしまい、人契連の内部で幾度も反乱が起きる。
西暦2022年、余波戦争と呼ばれる人契連の内戦が勃発し、1億4000万人が命を落とし、2億6000万人がケガをする事態となった。そして第一軍団によって人契連の統治に終止符が打たれた。
西暦2027年、軍団歴10年、世界建設兵団が誕生した。地球の歴史上、人類が初めて一致回結することになった。
西暦2055年、軍団歴38年、第一軍団元団長のカリスマ・サンダーランドの動乱をきっかけとして、軍の内戦が始まる。
そして軍備競争が起き、聖痕騎士、崩壊の猟兵、移動要塞、より強力な崩壊炉と戦艦、「対惑星決戦兵器」が歴史の舞台に登場する。
西暦2057年、軍団歴40年。第一軍団が「対惑星決戦兵器」を使いユカタン大死域、ならびに小規模な大量の死域を作り出す。しかし第一軍団は最終的に敗れ去り、上層部の者は全員、反人道罪により処刑される。
一部で人類の内戦とも呼ばれる軍団の内戦は死者3億人、行方不明者8000万人、負傷者1億1000万人出し一時的に終わりを迎えるものの、その後も紛争は続いた。
同じ年に旧世界の英雄である「蓬菜寺九霄」が紛争を仲裁し、新たな秩序を打ち立て、崩壊学園という教育団体を開設する。
これらは既に過去のこと。
今は軍団歴45年。私、パリス・パラドが学園を出て既に3年が経った。
世界にとっての完全な敵など存在せず、世を救う絶対に正しい人もいない。
存在するのは無数の絆によって構成された現実だけであり、その中で人々は互いに敬愛し、互いに戦い殺しあう。
時は今も続いており、過ぎ去った過去はすべて序章に過ぎない。私が一番初めに言ったように、この後続く物語の主人公は私ではない。
パリス・パラドは見守る存在。鐘の音が鳴るのを待ち、次の生徒たちが入学するのを見つめている。
存在するのは無数の絆によって構成された現実だけであり、その中で人々は互いに敬愛し、互いに戦い殺しあう。
時は今も続いており、過ぎ去った過去はすべて序章に過ぎない。私が一番初めに言ったように、この後続く物語の主人公は私ではない。
パリス・パラドは見守る存在。鐘の音が鳴るのを待ち、次の生徒たちが入学するのを見つめている。
そして、今度はあなたの番。
戦術六期生の生徒がどういう物語を展開していくのか、あなたは知りたい?