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諦めない先にだけ未来がある! ◆OmtW54r7Tc




「あれはバラのタトゥの女……B群第1号」

長野県警警備課所属の刑事、一条薫は先ほど殺し合いの開始を宣言した女を思い出す。
見間違えるはずもない。あれは未確認生命体B群第1号、「バラのタトゥの女」とも呼ばれる存在だった。
奴がいるということは、この殺し合いには未確認生命体が関わっている可能性が十分に高いだろう。

「だが、奴らは…何のためにこの殺し合いを?」

一番に思いつくのが、これが彼ら未確認生命体の内の誰かによるゲームであるという可能性。
彼らは、ただ無差別に人を殺すわけではなく、ある一定のルールに従って人を殺す。
そしてそれは、個々でそれぞれ違いがある。
この殺し合いもその一つで、この隔離空間の中にいる人物を皆殺しにするというルールで…

「いや、これだと少し妙だな」

しかし一条は、すぐにその考えを否定した。
未確認生命体に自分たちを皆殺しにさせるなら、我々に「殺し合いをしてもらう」という理由が分からない。
それでは、獲物が減ってしまい、彼らのゲームを果たせないのではないか。

「まあ、今はこれ以上考えても分からないか…とにかく、まずは五代と合流しないとな」

最初の場所で、共に未確認と戦ってきた親友、五代雄介の存在は確認していた。
彼も、今ごろ笑顔を守るため、クウガとして戦っているに違いない。
自分も戦う力のない者を保護し、何としてもこの殺し合いを止めなければ。


「あ、あの!」


そんな決意を固めた一条の下に、誰かが声をかけてきた。
一条は声がした方へと振り向く。

「君は……」

その人物は、歳は大体中学生か高校生くらいだろうか。
しかし、その格好はいかにも悪人のような黒い衣装をまとっていた。
そして、身体には派手なタトゥが刻まれている。
未確認生命体の人間体、B群と呼ばれている者たちにはみなタトゥがある。
一見子供に見えるが、もしや……

「未確認か!?」

一条はすかさず支給されていたコルト・パイソンを構える。
仮に未確認生命体なら、一人で拳銃一丁で倒せる相手ではないが――

「わわっ!ちょっと待った!俺は……」
『警戒レベル上昇。戦闘態勢への移行を確認。敵性存在を排…』
「お前は黙ってろって銀十字!…リアクト・オフ!」

少年がそういうと、黒い衣装は姿を消し、歳相応のものへと変わる。
身体に刻まれたタトゥも消える。


「俺は殺し合いには乗ってません!話を聞いてください!」


「すまなかったな、いきなり銃を向けて」
「いやまあ、知り合いにも悪そうな格好ってよく言われますし…」

誤解を解き、話をするトーマと一条。

「しかし、あの恰好はいったい…それにその本は……?」
「あー、えーと…まあ色々ありまして……」
「そうか……おっと、名前を名乗っていなかったな。私は一条薫、警察だ」
「あ…俺は、時空管理局特務六課見習いのトーマ・アヴェニールです!」

ひとまず、お互いに名前と所属を教え合った二人。
しかし、一条は聞きなれない言葉に眉をしかめた。

「時空…管理局?特務六課?」
「あ、一条さんは名前からして地球の日本人みたいですから、知らないですよね」

トーマはミッドチルダや時空管理局について簡単に説明する。
一条は未知の世界の話に戸惑いを隠せない様子ではあったが、熱心に話に耳を傾けていた。

「なるほど…つまり時空管理局はミッドチルダやその他の世界を管理する治安維持組織で、我々が住む地球もその管理下のもとにあるというわけか」
「はい、大体そんな感じです」

ふーむ、と一条は腕を組む。
夢物語のようにも聞こえるが、しかしこの少年が嘘を言っているようにも思えない。
そもそも、最初の場所で見せられた光景も、相当に現実離れしたものだった。
そういうものがあったとしても、不思議ではないかもしれない。

「分かった、君の話を信じよう」
「ありがとうございます……あ、そういえば」
「どうした?」
「さっき一条さん、俺をみて『未確認』って言ってましたよね?あれっていったいどういう…いや、確かにあんな格好した人に遭遇することはそうそうないだろうけど!」
「そうだな…今度はこちらが説明をしなければな」

そして、続いて一条がトーマに未確認生命体について説明した。
東京を中心に、各地で暴れる怪人たちの事を…

「地球の、それも日本でそんなことが…?」
「ああ、そうだ」
「変だな、管理局でそんな話聞いた事がない…」

今度は、トーマが腕を組む番となった。
そもそもトーマの職場には日本人が二人もいて、彼女たち以外にも同じ町で住んでいたもの達が多くいる。
そして詳しく知らないが、その街…海鳴市には元管理局所属のフェイト執務官の家族である人物も在住しているらしい。
エクリプス事件で手いっぱいでそちらに手を回せないとしても、話すら聞かないというのは妙ではないか?

「とにかく、奴らは危険だ…一刻も早く倒さなければならない」
「え?」

一条の話に、トーマは思考を打ち切って反応した。

「倒すって…もしかして殺すって意味じゃないですよね?」
「ああ、その通りだ。殺さなければ…こちらが殺されるだけだからな」
「な……!そんなの…絶対にダメだ!」

一条の肯定の言葉に、反対をするトーマ。

「しかし、奴らを放っておけば、多くの人々が犠牲になる…そうなる前に奴らを……殺すしかない」
「それでも…それでも殺すのはダメだ!」

なおも殺しを否定するトーマに、一条は困惑する。
だが、それに気圧されることなく、言葉を続ける。

「頑なにダメだと言い張っているが…それならどうするというんだ?」
「そ、それは…」
「私たちの世界では、既に何百人もの犠牲者が出ている…子供の君には受け入れがたいことかもしれないが…そうする他ないんだ」

一条の言葉に、トーマは俯いてしまった。
時空管理局という治安組織に所属しているとはいえ、子供に対して言いすぎだっただろうか。
やがて、トーマが顔を上げた。
その表情には、なにか強い決意のようなものが見て取れる。

「分かりました…それなら、見つけてみます」
「…何?」
「その未確認生命体を殺さずに止める方法を…見つけてみます!」
「な……!」

トーマのその言葉に、一条は絶句した。
あの未確認生命体を止める…この少年は本気でそんなことをしようとしているのだろうか?

「何を言っているんだ!そんなこと…出来るはずがない!」
「ええ、分かってます。これは俺のわがままです。だからあなたを巻き込む気はありません」
「君は奴らを…未確認生命体を知らないからそんなことが言えるんだ!」

一条の言葉に答えず、トーマは彼に背を向けると、一人で歩きだした。

「ま、待て!どうして君はそこまで殺しを拒む!?」

一条のその言葉に、トーマは足を止めた。
そして、振り向いて言った。


「俺も…怪物だからかな」


【1日目・深夜/D-4 平原】

【一条薫@仮面ライダークウガ】
【状態】健康
【装備】コルト・パイソン(6/6)
【道具】支給品一式、ランダム支給品0~2
【思考]】
基本:この殺し合いを止める
1:トーマを追うべきかどうか…
2:戦う力のない者を保護する
3:五代雄介を探す
【備考】
参戦時期は不明。少なくともバラのタトゥの女には出会っています
最初の場で五代雄介の存在を確認しています
ミッドチルダや時空管理局について簡単に話を聞きました


一条から未確認生命体の話を聞いたとき、トーマは人々を平気で殺す存在への憤りと共に、妙な親近感を覚えた。
そう、似ていると感じたのだ。本能と衝動に任せて人を殺さずにはいられない…自分たちEC感染者と。
ECに感染したトーマも、その衝動に一度は呑まれた。

傷つけようとする意志が、破壊しようとする意志が、どうしようもなく頭の中に突き刺さり、痛かった。
戦いたくなんてなかった。
誰も傷つけたくなかった。
それでもどうしようもなかった。
そうしてトーマは暴走し、敵味方問わず人を襲った。
殺したくないから、誰にも近づいてほしくなかった。
死んでほしくないから、自分のことなど放っておいてほしかった。
だけど―――


『諦めないで…わたしやスゥちゃんが絶対に助けてあげるから!』
『トーマ!今助けるから―――!!』


それでも諦めない者たちが、そこにいた。
どれだけ傷つけようと、どれだけボロボロになろうと、救おうとしてくれた優しい人たちがいた。


『逃げちゃだめ銀十字!シュトロゼックがいま、そこに行くから!』

そして彼は、大切な友達によって救われた――


一条が言うように、トーマは未確認生命体がどういう存在か知らない。
もしかしたら、全く話の通じない根っからの悪人なのかもしれない。
止める方法があるのかどうかも…分からない。

(それでも俺は…諦めたくない)

3年前スゥちゃんに拾われて、自分は穏やかな日常を取り戻すことができた。
その日常が壊され、絶望的な状況に陥った時も、どれだけ困難な状況にあろうと諦めず、救おうとしてくれた人たちの存在があったからこそ彼は正気を取り戻すことができた。
今の自分があるのは、そうした優しい人たちの存在があったからこそだ。
だからこそ、彼もまた諦めたくなかった。
彼女たちの頑張りに報いるためにも。
今度は自分が誰かを救いたかった。

(最初の場所で、少なくともリリィとアイシスの存在は確認できた…)

他にも、なのはさんやスゥちゃん達特務六課の面々も連れてこられているかもしれない
まずは彼らと合流しよう。

「よし!行くぞ銀十字!」


仲間に出会えるのか。
この殺し合いを止められるのか。
未確認生命体という存在を止めることは可能なのか。
トーマには分からないことだらけだ。
それでも彼は、諦めるということを決してするつもりはなかった。
どれだけ絶望的な状況であろうと、諦めなければ未来は開けると信じて。


【D-4 平原】

【トーマ・アヴェニール@魔法少女リリカルなのはForce】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、銀十字の書、ランダム支給品0~2
【思考]】
基本:この殺し合いを止める、殺しは絶対にしない
1:仲間と合流する
2:可能なら未確認生命体を殺さずに止めたい
【備考】
参戦時期は【Record17:Bayonet】以降。服は私服です
最初の場でリリィ・シュトロゼックアイシス・イーグレットの存在を確認しています
未確認生命体について話を聞きました

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最終更新:2013年02月16日 01:22