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守護者―ガロ ◆FTrPA9Zlak




鹿目まどか。最強の魔法少女になる素質を持つ少女。
確かに彼女が魔法少女となることがあれば、おそらく世界の法則を塗り替えることすら可能だろう。
そして、世界を終わらせることすらもできうる魔女の誕生と同義であることも意味するものであるが。
だが、仮にそうだとしても今の彼女はただの一般人でしかない。

どうしてこうなってしまったのだろう。
私はほむらちゃんを助けるために変な結界を走っていた。さやかちゃんと仁美ちゃんと一緒に。
変なおばけの化け物がたくさんいる空間の中、戦っているほむらちゃんの助けになりたいと。
私じゃ何もできないかもしれないけど、それでもほっとけないと、守られるだけは嫌だと。
そう思っていたらこんなところに紛れ込んでしまっていた。

そしてさやかちゃんを、仁美ちゃんを、ほむらちゃんを探して歩き回っていたとき、それと遭遇してしまった。

走り回るまどか。追いかけるそれ。だが一向に距離は縮まらない。
敢えて追う事に時間を掛けているのは、まるで恐怖心を煽るごとくのようだ。
それを見た時、鹿目まどかはそれのことを何と形容しただろうか。
一見法師に見える外見。だがその顔は人間とは思えぬ容姿。
白い肌、鋭い眼、裂けた口の前面から覗く鋭い牙。
その姿はあの空間にいたお化けの怪物にも増して異形だった。恐らく初めて見た人は、彼女でなくてもそれのことをこう形容しただろう。
悪魔、と。

「きゃっ…」

地面に触手が突き刺さる。
それは脚を掠める。だが掠めただけでもふくらはぎの皮を剥ぎ、痛みが脚の動きを妨げる。
その結果起こってしまうこと。すなわち転倒である。

まどかの背後を追う異形の悪魔。
それこそが白夜の魔獣、ホラー・レギュレイス。
かつて“白面の魔獣” と呼ばれ恐れられた最強の魔獣である。
今の触手の一撃。それはまどか程度なら一撃で貫くことも可能であったものだ。
では、何故彼はそうしなかったのか。遊んでいた?恐怖に溢れた顔を楽しんでいた?
違う。

『生きたいか?』

まどかの首を掴んだレギュレイスはそう問いかける。
未知の言語にも関わらず何といっているのか、頭で理解することができた。

『我の目となりしもべとなるならば生かしてやろう』

そう、レギュレイスがまどかを殺さなかった理由。それはまどかを駒とするためだ。
レギュレイスは死体やホラー、人間を己の僕として使役することができる。

まどかはその言葉を理解したとき、まどかは首を縦に――振らなかった。

『そうか』

そう頷いたレギュレイスは懐から白い仮面を取り出した。
まどかにはそれが何なのか分からない。だがそれが何を意味するものなのか、直感的に理解した。

(さやか、ちゃ、ん…、仁美…ちゃん、……ほ…むらちゃ――)

そして仮面がまどかの顔に填められるように近づく。


レギュレイスが仮面を被せようとした、その瞬間であった。
瞬時にレギュレイスの腕が地面に落ちた。突如現れた何者かによって切り落とされたのだ。

『魔戒騎士、またしても我の邪魔をするか』
「なぜ貴様が生きている?」
『我らが一族の悲願を達するまで、何度であろうと蘇ってみせよう』

白いロングコートを纏った鋭い眼光の青年。
その手に握られていたのは一本の剣。

「なら、俺は何度だろうと貴様らを滅ぼしてやろう!」

冴島鋼牙
黄金騎士、牙狼の称号を持つ魔戒騎士。
その鋭い眼光は、目の前の凶悪な面をした怪人を前にしても決して怯むことなく滅ぼすべき敵を睨み続けた。
このホラーが少女に何をしようとしたのか、今更そんなことを聞こうとは思わない。
ただ、己の使命として目の前の敵を倒すのみだ。

鋼牙は手にした剣でレギュレイスに斬りかかる。
だがレギュレイスは残った左腕のみで鋼牙の剣を払っていく。
左、右、上段からの振り下ろし。その全てを、左腕のみで。
しかし鋼牙はここで剣の構えの体勢を変え、レギュレイスの体に突きを放つ。
そして、刺した剣を支点に蹴り上げ、剣を抜くと同時に空中で回転。
まどかの傍に着地した鋼牙は未だ少女の首を弱い力でこそあれ掴み続けるその腕を掴み、投げる。

(この黄金騎士、以前戦ったときよりも腕を上げておる、か)

太刀筋はあの時戦った際以上の鋭さを備えている。
このまま魔戒騎士の鎧を纏われたらさすがに苦戦を免れないだろう。
と、レギュレイスは気付く。

『魔戒騎士よ、鎧はどうした?』
「……」

かつては鎧を纏った魔戒騎士三人すらもあしらったこの身。
鎧無しで勝てる相手だとはいくらこの男でも思っていないはず。
時間制限があるとはいえ、なぜこの男は生身で向かってくるのか。

先の沈黙がある程度の事情をレギュレイスに悟らせた。

「早く逃げろ」
「う…あ…」

どうやら腰を抜かしてしまった様子のまどか。
つまり、鋼牙はこの少女を守りながら戦わなければならない。
だが鋼牙は見捨てることなどしない。ホラーから人々を守るという使命は、彼の行動原理として深く焼きついているのだから。
たとえ鎧が召喚できず、目の前にいるのが最悪に近いホラーであっても、決して諦めたりはしない。

それを悟ったレギュレイスはまどかに向けて、背から生えた禍々しい触手を飛ばしてきた。
まどかの前に飛び出し、受け止める鋼牙。だがその先についた回転鋸状の刃が剣を切り裂こうと押し迫る。
力押しに負け、剣が少しずつ後ろに下がる。
が、鋼牙はまどかを抱えて地面を滑る。迫る刃を受け流したのだ。
そのままレギュレイスの足に迫り、力いっぱい斬りかかる。

『ぐ…っ』

バランスを崩すレギュレイス。さらに前に進み、レギュレイスから距離をつける鋼牙。
だが、今度はその背から4本の触手が襲い掛かる。その全ては鋼牙に向けられたもの。

離れた場所にまどかを置いた鋼牙は、その一つ一つを確実に避けていく。
一撃目。地面に刺さる。
二撃目。空を切った。
三撃目。コートの端を掠める。
四撃目―――射線上にはまどかの姿。

それに気付いた瞬間、鋼牙はその一撃を敢えてかわさず受け止める。

「きゃあ!!」

まどかは鋼牙の背にぶつかり吹き飛ばされる。が、刃が届くのは避けられた。
しかし受け止めた衝撃で鋼牙はそのまま地面に倒れこんでしまう。

追撃で降り注いだ刃を避けることには成功したが、刃はコートの端に刺さり、立ち上がることができなくなってしまった。

『鎧も纏えぬ魔戒騎士など、恐るるに足らぬわ』

刃をそのままに、まどかに近づきその首を再び掴む。
そしてその命を奪わんと、残った触手の刃をまどかに向けた。その時だった。

『ぬ?!』

何かがその触手を弾き、レギュレイスの体に巻きついた。

レギュレイスの失敗。それは鋼牙の持っていた剣をただの剣と判断してしまったことだろう。
確かにそれは魔戒剣ではない。ソウルメタルによって作られた武器ではないその剣では牙狼の鎧を召喚することができない。
では、その剣は何なのか。レギュレイスの刃に耐え、彼の体に曲りなりにも傷を作るその剣。
その名はレヴァンティン。北欧神話における巨人スルトの魔剣の名を冠したアームドデバイス。
烈火の将と呼ばれた騎士が、自らの守るべきもののために振るってきた剣。

シュランゲフォルムを展開したレヴァンティンはレギュレイスの全身に巻きつき、首を、口を、目をその小さな刃で傷つけた。
予想外の反撃に思わず鋼牙を拘束した触手を離してしまうレギュレイス。
すかさず鋼牙はレギュレイスに迫り、その顔に鋭い一撃を入れる。

目を潰されて後ずさるレギュレイス。
鋼牙はすかさず懐から一本のライターを取り出す。
そこから発した炎は緑。これはただの炎ではない。魔界の炎、魔導火。
レヴァンティンにその炎をかざすと、剣は緑の炎に包まれる。
消えることなく緑の炎で燃えるその剣を構え、態勢を立て直したレギュレイスに向かって振るう。
炎を操るレヴァンティンの特性に魔導火が合わさり、その一撃は炎の波となってレギュレイスに襲い掛かる。

無論鋼牙はそれで倒せるとは思っていない。
牙狼、絶狼、打無の三人の烈火炎装を耐えた相手なのだから。
しかし鋼牙にも予想外なことに、その一撃はレギュレイスの残ったもう片腕を切り落としていた。

『魔戒騎士よ、これで終わると思うなよ』

そう言って、レギュレイスは背を向けて立ち去った。



レギュレイスの目的は一つ。かつてあの黄金騎士に敗れたあの世界に再び帰還すること。
鷹麟の矢を手にし、再び一族復活の機会を待つのだ。
そのためにはこの場はなんとしても生き残らなければならない。
あの魔戒騎士は非常に邪魔で憎い存在ではあるが、そこまで執着して本来の目的を見失うわけにはいかないのだ。

切り落とされた両腕はすぐに宙を飛んで追いついてきた。
一つずつ腕に取り付ける。が、治りが遅い。
先の失敗を思い出す。
いくら強くなっていようと、所詮は鎧無しの魔戒騎士と、そう侮る部分があったのは事実だ。
もし、全力で戦っていればこのような失態は起こらなかっただろう。
あの騎士は、殺すのであれば鎧を纏わぬうちに全力で殺す。今は腕がこのような状態である以上、こちらから引くしかない。
なにしろ最初に見せられたあれのように、この場には魔戒騎士に匹敵しうるものもいる様子。奴だけに執着してこれ以上手傷を増やしては後々に響く。
やはり最初の慢心が痛かったようだ。

殺すのであれば、鎧を纏えぬ時を狙ってだ。今の状態で鎧を纏われてはレギュレイスとて苦戦は免れないだろう。
奴の魔戒剣、できる限り己の手元においておくべきだろう。
僕としてアオムシやカラクリを作れればなおよし。
だが何故か今手元にあるのは2枚の仮面のみ。体から作り出すこともできない。
だからあのような少女にも最初アオムシになるかどうか問うたのだ。こちらのほうが制限が無い分勝手がいいだろう。
使うときは慎重にやらねば。壊されでもしては今後に支障が出る。

少しずつ繋がりつつある腕をぶら下げ、レギュレイスは歩き始めた。
世を己が一族で満たすという悲願を叶えるための生存に向けて。

【1日目・深夜/E-2 森林】

【レギュレイス@牙狼-GARO- 白夜の魔獣】
【状態】ダメージ(中)、両腕切断(回復中)、顔面に傷(回復中)
【装備】無し
【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3、カラクリの仮面×2
【思考】
基本:生還して一族の復活を果たす
1:他の参加者は基本殺害。素材次第でアオムシやカラクリにする
2:魔戒騎士(鋼牙)はいずれ殺す。魔戒剣は可能ならこちらの手に収めたい
【備考】
※死亡後からの参戦です
※制限について
  • 仮面の制限
所持している枚数は2枚。新たに3枚目以上を作ることは不可能だが、ランダム支給品にはカウントしない
  • 再生能力の制限
首を切られる以外にも、とにかく致命傷級のダメージを受けたら死ぬ
  • また、アオムシにするには本人の同意が必要なようです。こちらも制限が掛かっているかもしれませんが本人は気付いていないようです。


無論、鋼牙にはホラーを追うという選択肢も存在した。
だが、あのホラー相手に鎧無しでここまでやれたのは奇跡に近い、と鋼牙自身思っていた。
本来なら追わねばならぬ相手だが、今深追いすることはできなかった。
それに、今はやらねばならぬこともある。

「大丈夫か?」
「あ…あ…」

目の前の少女の保護だ。
ホラーに突如襲われた少女。彼女を放っての追撃など、鋼牙にはできなかった。

焦点の定まらぬ目を彷徨わせる少女。
鋼牙はその目前に魔導火をかざす。
少女の目には少しずつ焦点が戻る。

「あ、うあ、あああああああ……」

それと同時に襲われた恐怖が蘇ってきたのだろう。涙を流して泣き始めた。
鋼牙は少女にハンカチを渡し、声をかける。

「怖かっただろうな。だが、君はあいつの言葉に頷いてホラーになることをよしとしなかった。
 その勇気は誇っていい」
「あ、うう…、ちが…、わた、私、…も、もし頷いたら、みんなのこ、と傷付けるん、だっておも…て…。
 でも、そんなの、…嫌で、そんなに、なるくらいな…ら、死んだ方が、いいって、おもって…、でも、死ぬのは、怖くて…」

泣きながら鋼牙の励ましの言葉を否定する少女。それを見て、鋼牙はこの少女のことが少し分かった気がした。

「君は優しい子だ。だけど、もっと自分のことも大事にするんだ。君が死んだら、悲しむ人もいるだろう?」
「うあ…、は…はい」

顔の涙を拭きながら頷く少女。
その脳裏に浮かんだのは、親か、それとも友か。鋼牙には分からない。

「もう大丈夫か?」
「は、はい、大丈夫です」

声はまだ上ずっているが、少しは落ち着いたようだ。

「君の名前は?俺は冴島鋼牙だ」
「わ、私、まどか、鹿目まどかって、言います」

こうして、黄金騎士は一人の少女と出会ったのだった。

【1日目・深夜/E-2 森林】

【冴島鋼牙@牙狼-GARO-】
【状態】ダメージ(大)、疲労(中)
【装備】レヴァンティン@魔法戦記リリカルなのはForce
【道具】支給品一式、魔導火のライター@牙狼-GARO-、ランダム支給品0~1
【思考】
基本:この殺し合いを阻止し、一人でも多くの人間を救う
1:鹿目まどかを保護する
2:レギュレイスは必ず倒滅する
3:魔戒剣を探したい
【備考】
※牙狼-GARO- RED REQUIEM終了後から牙狼<GARO>~MAKAISENKI~開始までの間からの参戦です

【鹿目まどか@魔法少女おりこ☆マギカ】
【状態】疲労(大)、足に擦り傷
【装備】無し
【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考】
基本:見滝原市に帰りたいけど、殺し合いなんて嫌だ
1:鋼牙さんと一緒に行動する
2:あの怪物(レギュレイス)が怖い
3:さやかちゃん…、ほむらちゃん…
【備考】
※魔女結界の中でほむらと別れてからの参戦です

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最終更新:2013年05月11日 18:50