歌うたいの小鳥が、殺されたことによって。

――このお城は、もう融れちゃうから。

友達だったかもしれない少女は、そうなることを確信していた。

――もう今までのやり方じゃダメだ。

王子様だったらよかったと言われた少年は、武器を手にするようになった。

雨の中、小鳥の声が消えてしまったことで、全てが融けた。


◇◇◇◇◇◇


――もう変わってるんだと思うよ。


さとうが私にそう言ったのは、もうずいぶん以前のことだったと思う。
まだ私達が二人で男遊びをしていて、だけどそれで満たされたという事はなくて。
むしろコレって空回りなんじゃないだろうか、という私の疑問と焦りは。
それでも、さとうとは確かに友達になったんだという安心感に着地した。

私の人生は、その時よりもずっと大きく変わってしまった。

たった一人を探していたさとうに、運命の人ができた。
私にも、人生を変えてしまう出会いがさとうの他にできた。

さとうみたいに最愛の人だと言い切れるほど、確かな形をしてなかったけど。
その男の子との出会いは、『王子様』なんて言葉にそぐわない、素朴なもので。
決まった時間にパンを持って行く、お付き合いというより餌付けと言った方がいいような時間で。
危なっかしくて、小動物みたいで、放っておけない。
それだけの情で近づいた男の子は、だんだん色々な顔を見せてくれるようになった。
大切な人を想う顔。ひたむきな顔。勇気をふりしぼる時の顔。
その姿に勇気をもらったんだと、大げさじゃなく思ってる。

私の人生は変わったけれど、私は半端にしか変われなかった。

彼に正しく勇気をもらった私は、『さとうから眼を逸らす』という大きな間違いをした。
大好きな親友を傷つけて、肝心なところで拒んで、彼女をいっそう閉じ籠らせた。

それでも勇気を出したことまで否定しなくていいと、彼から励ましてもらった。
そこから、また親友にぶつかろうとしたことまで間違っていたとは思わない。
だけど、さとうのお城に踏み込んだあの日のことは、間違いだった、たぶん。

さとうの信頼を損なった私が、さとうから最愛の人を引き離した方がいいと乗り込んできた時点で。
さとうにとって私は『敵』になっていることを、きちんと分かっていなかった。

さとうは私に何も感じない。
それを結論に、私の人生はそこで終わった。
人生を変えるような出会いは、ちゃんと二回もあったけど。
私の物語は、苦い結末と後悔で終わった。

――だから、ごめんね。

さとうの声が、私を見下ろす瞳が、恐ろしく冷えているのが記憶に残っていて。
何も感じないと言ったのに、彼女がわざわざ謝ったことは印象に残っていて。
それは私が求めていた結果とはかけ離れたもので。

――間違えちゃったのかな。

間違えたのだとしたら。
どこでどうしていれば良かったのかな。
松坂さとうの世界から消されてしまうその時に。
私はたしかに、そんなことを気にしていた。


――なんか変わったね、しょーこちゃん


聖杯戦争によって、私の人生はまた劇的に掬い上げられて。
再会したさとうは、いつかと同じように私のことをそう言ってくれた。

それでも私は、間違えようとしている。
彼がいることは分かっていたのに、いざ彼が現れた時の心の備えがまるで無くて。
彼には彼の願いがあると分かっていたのに、さとうの敵として現れた彼を止めようとして。
さとうの味方をするということは彼を敵に回すことだと釘を刺されていたのに、彼に駆け寄って。 
聖杯を狙う同士なのに、彼――神戸あさひ君には死んでほしくないと思っていて。

そして、改めて私は思う。
私が聖杯を狙うのはどうしてだっけと、理由を顧みれば。
松坂さとうとの関係をやり直したくて、神戸あさひ君との関係に言葉を贈りたくて。
人生の未練だった二人は、今となっては二人とも近くにいて。
二人とも聖杯を欲しがっていて。

聖杯を手に入れたマスター以外は、ここで消えるというのなら。
私が聖杯を手にしたところで、その先の人生には松坂さとうも神戸あさひもいなくなってしまうことを。



◇◇◇◇◇◇



――人の愛なんて、誰かが語るようなことじゃないんだ



ボクが松坂さとうにそう言ったのは、この夜が始まるより以前のことだったと思う。
それはもう、昨日の夕景と共にある出来事だった。
松坂さとうには言い切った一方で、ボクは苦い追憶をしていた。
なぜなら、ボクの事情だって決して胸を張れるものではなかったから。

ボクの愛の始まりは。
蒼き雷霆ガンヴォルトと、電子の謡精を宿した少女シアンの、関係の始まりは。

(この子は、あの頃のボクと同じだ――)

情だった。

初対面で向けられたのは、『殺してください』という懇願。
これからも籠の中で飼われたまま、人に害を与える歌を強制されるぐらいなら、と。
その裏側に、自由への飢えと、普通の生活への羨望を読み取れたのは、ボクも似たような境遇だったから。
かつてボクがアシモフにしてもらったように、ボクもこの子に自由を与えたいのだと意気込んで、連れ出して。
これからは後ろ盾のない傭兵だと覚悟していたはずの暮らしは、一人ではなく二人だと満たされていて。
あの頃の日々には、いつもシアンとの心の繋がりを感じていた。

結果として、ボクは彼女を死なせた。
凶弾から守れなかった、というだけではない。
ボクと一つになって謡精そのもになった彼女がふたたび消えていくのを、何もできずに失った。
それどころか、記憶を失って真っ白になった『シアンを宿した少女』を、そのまま家族の元へと帰した。
そんな話を聞いたら、『お前の愛は愛じゃない』という人もいるかもしれない。

ボクは、あの選択を後悔はしていない。
むしろ、今になって後悔するわけにもいかない程には、大事で重い選択だった。
だけど、ボクとシアンの関係が、兄妹のような親愛だったのか、それとも別種の愛情だったのか。
そこに対する答えは出ないまま、ボクもシアンに何かを応えてあげられないまま、ボク達は別れの日を迎えた。

だから。



「おたくのマスター、あさひの事をどういう風に言ってた?」



ボクのマスターが、まさにそこのところを上手く言えないからといって、それを否とするつもりは無かった。
そして、座り込んだままの赤きサーヴァントが問うてきたことで、ボクも察する。
あるいは、神戸あさひの側もそうなのではないかと。
飛騨しょうこが神戸あさひに向ける感情』を、そのサーヴァントが気にせずにはいられないほどには。
神戸あさひもまた、飛騨しょうこに対して、不定形の感情を抱いているのではないか、と。

「詳しくは聴かない。でも、勇気をくれる男の子で、お礼が言いたい、そういう少年だったと言っていた」
「…………そりゃ男を視る眼があるね。困ったことに」

先刻までは道化のように多弁だったのに、覆面の下でひとしきり思いをめぐらすような間があった。
困ったというからには『仮に飛騨しょうこが神戸あさひに全く無関心だったなら、それはそれで対応の仕方があった』という事でもあるのだろう。
このサーヴァントは、本気で神戸あさひのことをマスターとサーヴァントとして心配し、その心情を慮った行動を心がけている。
そう察したから、こちらもなるべく正確なところを述べることにした。

「……それから、『怖い』とも、言っていたよ」
「怖い?」
「神戸あさひは、聖杯を手に入れようとするだろうとマスターは考えた。
 そして、マスターがいることを理解した上でその目的が変わらないなら、神戸あさひとの関係が壊れる事に対してだよ」

これだと神戸あさひの元に駆けつけなかったことに対して言い訳がましいかな、と思いながらも。
それでも、『飛騨しょうこは結局のところ情を捨てた女の子だ』などと受け取られるのは、どうにも嫌だった。

「ああ、そこんとこを責めるつもりは俺ちゃんには無いから安心しなよ。
 あさひのヤツ、しょうこちゃんがいることを知らないのが幸せには違いなかったからな」

松坂さとうに敵意はあるにせよ、マスターにまで敵視が及んでいないことにはひとまず安堵する。
だが、その言い回しには含みがあると気付いた。

「違いなかったってことは………過去形、だったのか?」
「ああ、あさひはもう、しょうこちゃんとあの女が連れ立ってることを知ってるよ。
 むしろ、あさひがおたくらの訪問を知らされたところに俺ちゃんもいたって方が正しい」
「なら、お前ひとりでこれ見よがしに待ち伏せしてたのは、やっぱり陽動だったのか」

彼の独断による行動ではなく、マスターの意を受けていたというならば。
サーヴァント二人がいるところに、自分のサーヴァント単騎で相手をさせるかというと怪しい。
つまり、このサーヴァントはあくまで囮で、本命の接触者がマスター達が逃げたところに待っている。
ボクらも待ち伏せが陽動である可能性は考えていたし、だからこそキャスターをマスターたちに付かせたのだけど。

「おや、案外冷静に受け止めるもんだね、ロックマン。」
「ロックマン? ボクも知らないサーヴァントの特殊クラスなのか?」
「あれ、若い子なのに通じない? 2Dアクションって昨今は下火だったりする?」
 まぁいいや、そこはうちのあさひとおたくのしょうこちゃんが接触したらまずいって、焦ったりとかしねぇの?」
「……まずいと思わないわけじゃないよ。でも、お前はさっき『社会の歯車だ』って言った。
 つまり、この作戦はお前たち主従の独断じゃないんだ。だったら、会話の放棄が何を意味するのかは分かってるさ」
「ジャパニーズってわけじゃ無さそうなのに、ずいぶん空気を読んでくれるんだな。助かるよ」

陽動作戦が、神戸あさひだけでなく他の主従との合意のもとに行われたものであるなら。
今こうやって彼がボクとの会話に付き合っている時間も、陽動の一環ということになる。
それを簡単に打ち切らせてしまうことは、彼が陽動を真面目にやらなかったこと、つまり同盟者への不義理にならないとは言えない。
そして、神戸あさひとマスターの繋がりを考えれば、キャスターがボクとの内通を冗談ごとでなく疑い始める可能性もあり。
キャスターの戦力としての信頼性と、松坂さとうへの初撃が失敗してからの彼にもう殺意がないことも併せて考えれば。
マスターは本当に危なくなったら令呪なり念話なりを使ってくれると信じて、ここは場を繋ごう、という事になる。

「さて、こいつは会話のキャッチボールだから、今度はこっちから質問させてもらおうか」

会話の流れだと、最後に質問をしたのは彼の方だったはずだが。
どうやら、『神戸あさひはもう知っているのか』という一連のやりとりで、ボクからの質問一つという扱いらしい。

「お前は、自分のマスターを殺した女が、マスターとつるんでる事を受け入れてんのか?」

切り込むような問いかけ。
そこに、おどけやふざけは完全に排除されていた。
前提についての共有は不要だった。
なぜなら、『神戸あさひが松坂さとうを恨んでいることをボクが知っていた』時点で。
マスター・飛騨しょうこと松坂さとうとの関係にボクが無知だとは考えにくいのだから。

「マスターは、松坂さとうに殺される結果に終わったことを悔いていた。
 関係をやり直したい、彼女に信じてもらえなかった自分を変えたいと言っていた」
「あー…………どういう子なのか分かった気がするわ。いや、あさひの話を聞いた時から、人柄はお察しだったけどさ」

彼は胡坐をかいたまま天を仰ぎ、いるかもわからない神様に毒吐くように「なんでそんな連中ばっかり巻き込んでる?」とぼやいた。
どうやら彼は、ボクのマスターがとてつもなく芯の強くて善良な少女だということを、さほど労せず受け入れたらしい。
もし髪があればそれをぼさぼさと乱すような手つきで覆面の頭部を掻き、重ねてボクに問う。

「けどな、お前は止めたりしなかったの? シビアな話、【都合の良いお友達】と思われてる可能性だってあるわけだろ」

それはマスターの想いとは別であり、サーヴァントとしては当然の疑問でもあった。
自分のマスターを殺した者のもとに再びマスターを寄り添わせようとするのは、思い切りが過ぎることだから。
そしてボクの答えは、買い物帰りの道中で松坂さとうに語った通りだ。
覆面の奥から向けられる視線が食い入るように鋭さを増したように感じられたが、臆するほどのことはないと同じ答えを返す。

「リスクは承知の上だ。そして彼女らが牙をむいた時の備えもある」
「話を聞く限り、そんな備えを持つにはイイ娘すぎる嬢ちゃんって感じだけど?」
「備えがあるのはボクだよ」
「ああ、そっか」

赤き覆面の男は、頷きとともに瞑目した――ように見えた。
赤と黒の布地に覆われているから、眼を瞑ったかどうかなど見分けがつかなかったけれど。
表情が変わったかのように覆面の布地がわずか動いたから、そう思えたのかもしれない。



「要するにお前は【そうせずにはいられなかった】んだな」


つぶやきには、納得の感情がともなっていた。


「彼女たちの仲を取り持たずにいられなかった、ということか?」
「いや、そこじゃない。ずいぶん前にいたんだよ。
 ガキの為に手を汚そうとするバカを、そんな好意的に言ってくれたカタブツがさ」

いざとなったら、松坂さとうを殺す役目を引き受ける覚悟はある。
たとえ、それが汚れ役に値する仕事であろうとも。
たとえ、マスターに嫌われることになったとしても。
そのように、直接的な言葉にはしなかったボクの意図は。
「備えがあるのはボクだ」というぼかしだけで十分に伝わったらしい。
「こんな風に見られてたんなら俺ちゃんも照れるね」と一人納得したように、男は茶を濁していた。

「気持ちとしての落としどころは分かったさ。
 あの女といる以上敵には違いないが、サーヴァントのスジとして文句をつける謂われも無い。
 そんで、おたくらの方から何か言っときたいことはあるか? ああ、俺ちゃんじゃなくてあさひにだけどさ」 
「神戸あさひに伝えてくれるのか? 彼のサーヴァントとして、お前はそれでいいのか?」

神戸あさひに思いを寄せる少女のサーヴァントとして、マスターの想いを伝えること。
今まさに行われているかもしれない神戸あさひとの接触が歯車のかけ違いに終わる危惧もある以上、保険としてはありがたい。
だが、聖杯を狙う神戸あさひのサーヴァントとしてはそれでいいいのか。
マスターの想いを感じることで、かえって神戸あさひの迷いや悩みを深めることは危惧しないのか。
そういったリスクは気にならないのかと尋ねれば、渋みのある大人の声を伴った男はこともなげに答えた。

「殺されちまったしょうこちゃんの人生が懸かってる以上、おたくらはおたくらで聖杯が要るんだろう?
 なら、どのみちしょうこちゃんとあさひは最後に手を取り合えねぇところにいる」

あさひが願いを叶えりゃあの子も取り戻せるかもしれないが、傍目に見て弱小主従の俺らにベットできねぇことも分かる、とも付け加えて。

「せめて言い残しは無いようにしといた方がいいだろ。あさひのヤツ、『飛騨さんは俺のせいで死んだ』って気にしてたからな」
「松坂さとうの敵だのといった事情に関わらず、私怨で殺し合おうとするわけでは無いと分かっていた方がマシってことか」

恨みっこ無しで殺し合いましょうと言うには、互いのマスターの良心の呵責という点において問題が大いにある。
だが、他でもないマスター自身が怖れていたように、関係が拒絶に終わったままで決戦を迎えるよりはマシだと言われたら違いなかった。

「そっちのマスターにとっても、あさひと話したいことが未練だったんだろ?
 ウチのあさひに礼が言いたいって話なら、それ自体は歓迎しないもんじゃねぇ」

それどころか、話題を向けられたのはまさにこちらのマスターの願いについてだった。

――さとうに信じて欲しいし、私に勇気をくれたあの子にお礼を言いたい。

出会って間もないころから、彼女はそれが望みだと伝え続けてきた。
彼女が松坂さとうを選んだ今でもそこを変えられないことは、分かっているつもりだった。
その願いのうち一つが、特殊な状況下であれ叶いそうになっている。
こちらとしても、拒むべくもない提案………………だと、見なしていいはずだった。

マスターの未練が、ひとつ消える。
しかし。

――地上に戻るまで振り向いてはいけないという誓いを破ったオルフェウスは、妻を永遠に失った。

直観めいたものが、言葉を詰まらせた。
それを別の意味で受け取ったのか、赤黒のサーヴァントは流暢に続ける。

「まぁ、向こうの状況が落ち着かないと、何て言うのかも決められることじゃねぇか。
 こっちだってあさひを死なせないだけの援護は念押ししてあるが、念話が切られてるのが引っ掛か――」
「いや……申し出はありがたいけど、考えさせてくれないか」

状況のゴタゴタを抜きにしたところから、生じている躊躇い。
それが思わず声に出てしまって、覆面の男にも怪訝そうな空気が伝染する。

「なんだ、もしかしてあの砂糖女に気兼ねしてるのか?
 自分のダチと恋人の兄貴がいい空気になるのさえ許されない感じだったりする?」
「いや、遣り取り自体は可能だと思う……ただ、終わらせていいものかどうかが分からない」
「終わらせる?」

無意識に『終わらせる』という言葉を使ってしまったことに気づき、違和感のもとが見えてきた。

――調子乗るんじゃないわよ、バカ。最後に笑うのは私だっての

マスターが松坂さとうにそう啖呵を切ったのは、本心であるように見えた。
ただ生き残りたいという、小さくとも否定されるべきでない願い。
もっと外の世界で飛び続けたい、歌い続けたいという、ボクにとっての戦う理由。
かつてシアンに抱いた動機であり、今もそれは戦うに足りると信じている。

――私ね。やり残したことと、やり直したいことがあるの

だけど、そもそも彼女が生き残りたいと願ったのは、誰と誰の為だったか。

「……ああ、お前が何に引っ掛かったのか、分かった気がするよ。
 いや、想像だけどな。俺ちゃんだって『あさひの身内がいるかも』って考えた時は、そっちに転んだらヤバイと思ったさ」

ボクはよほど、表情を凍りつかせたらしい。
覆面の向こうから向けられる声が、やれやれと共感を伴ったものに変わったからだ。

「マスターは、神戸あさひという少年は、悪い事ができる人じゃないと言っていた。炎上騒動の時だけど」
「いいヤツだよ。そんで、そっちの嬢ちゃんもとびっきり友達思いで、他人思いで、イイ娘だと聞いた。なら、俺の想像で当たってるのか?」
「たぶん。優しい人は、ときどき人のために命を投げ出してしまうから」

ボクも、かつては大切な少女の命を糧として命を繋いでもらった。
そして、その彼女は二度目の別れの時も、最後までボクが生きることを考えてくれていた。

――今のあなたなら、きっと一人で戦える…

ボクの愛の終わりは。
お互いがお互いに、手放し合うことだった。

シアンを手放した選択を、やり直すべきだったとは考えたくもない。
だけど、シアンに、別れを受け入れさせてしまったものが。
私がいなくてもいいのだという選択肢を向かせてしまったものが。
ボクとオウカとの、かつてはシアンとの暮らしにあったような家庭の団欒だったり。
シアンのことを認識できないシャオがいる時の会話に、上手く混ざれないことだったりと。
自分がいなくても大切な人達には影響がないという、諦めと孤独が募ったことに、よるものだったのなら。

それは、やり直したかった。

僕もオウカも君のことを大切に思っていると、否定したかった。
彼女が自分のことをいなくてもいい死者なのだと思うような事には、したくなかった。

それは、そのままマスターにも当てはまってしまうかもしれない。
松坂さとうとの間にあった信頼関係を築き直すという、生前に成し遂げたかった思い出作りを終えて。
松坂さとうも、神戸あさひも、自分がいなくても願いの為に突き進むから、影響はないという確信を得て。
神戸あさひにお礼が言えなかったという未練までも、清算してしまった時に。

「しょうこちゃんが、友達やあさひの為に聖杯を諦めるかもしれないって、お前さんは考えたのか」

飛騨しょうこが、彼女自身の命≪じゆう≫を、差し出してしまうこと。
彼女と共に飛びたいサーヴァントとして、ボクはそれを恐れているのだ。


◇◇◇◇◇◇


「ごめんね」
「どうして、謝るんですか?」
「半端なことしてるって、思ったから」

松坂さとうの味方をしていることは明らかでありながら、今もなお神戸あさひを死なせたくない情をかけていること。
元をたどれば、昨夕の炎上騒動によって神戸あさひの参戦を知ったことに端を発してから、先刻の殺し合いに至るまで。
少なくとも、飛騨しょうこには『神戸あさひを選ぶ』という選択肢はあった。
そうしなくてごめんなさいと謝罪することは、よけいに中途半端だとしょうこは自覚している。
それでも、今こうやって会話を望んでいることだって、彼にとっては辛いだけかもしれない。
飛騨しょうこの第一声は、そういった全てを包括したものだった。

「中途半端な勇気が、いちばん人を傷つけるって、私は分かってたのにね」

公園のベンチのようにちょうどいい場所は住宅街には無く。
裏路地に、じかに腰を下ろすようにして、二人は座っていた。
氷で作られた趣味の良いとはいえない人形に一定間隔で追従されながらも、場所は少しだけ移動した。
間もなくして夜が明ければ、神戸あさひ自身の血によってできた血だまりが眼前へと露わになってしまうから。
それは、先ほどまでの二人があまりにも情けなかったと、気まずい悔恨をもたらしてしまうから。

「それは、違います。俺の方があなたを拒絶して……中途半端だったのは、俺の方が先だ」

あの頃のままの、飛騨しょうこさんだ。
勇気を出したいと足掻いて、優しいから自分を責めてしまう、いつかのあの人だ。
そんな既視感で、あさひはとにかく言葉を次いだ。
憎悪に動かされていた時には思い至らなかった、彼女にとっての神戸あさひがどうだったかについて。


――来ないでくれ。あなたのことは、巻き込みたくないんだ


何て、ばかなことを言ったのだろう。
神戸あさひは、聖杯を目指していて。
飛騨しょうこは、聖杯のためには倒すことになるマスターの一人で。
それなのに『飛騨しょうこを巻き込みたくない』なんて白々しいことを、どの口が言った?
たとえ松坂さとうとの因縁に決着がついても、飛騨しょうこがマスターであることは変わりないのなら。
よくも彼女のことをを殺して利用したなと糾弾しながら、これから殺す人達の中に彼女も含めているお前だって、悪魔じゃないか?

「ねぇ」

重たい沈黙を回避しようとしたのか。
しょうこは距離を詰めるように、あさひの顔をしげしげと覗いてきた。

「ちゃんと、ごはん食べてる?」
「え…………どうして?」
「いや、ここでの生活、一か月もあったじゃない?
 その、パンも無かったし、お腹すいてないかなって……」
「晩御飯は食べたから、大丈夫です……」

そこを心配されるとは思ってなかったという、拍子抜け。
ある意味この人らしいのかなという安堵と、『パンも無かったし』で以前からそんなに栄養失調を危惧されていたのかという恥ずかしさと。
リッツパーティーをしたなんて言ったら、もっと栄養のあるものを食べなさいと逆に心配されるかなと、数時間前を思い出す。
今思えば、デッドプールはあの時。
少しでもこちらが暗くならないように、気遣いとして場を盛り上げてくれたのだろう。

「あの、先に、サーヴァントに念話しませんか?」
「え?」

会話を持たせるように切り出すのも、どうかと思ったけれど。
デッドプールに、戦闘終了の念話を送っていなかったと気付いた。

「下手すると、まだ戦ってるかもしれないし……」
「あ、そう、そうよね! だいぶ可愛そうなことしてたわ」

そして彼女にとっても、その放置は恥ずかしいことだったらしい。
当然ながら、彼女達とともにいた鬼は、はっきりと松坂さとうの指示を仰ぎ、指示に従っていた。
つまり、ヤツと契約してるのは松坂さとうで、デッドプールに足止めされた方のサーヴァントは飛騨しょうことの契約者だろうと想像はできる。
マスター同士が座り込んで話をしているのに、サーヴァント同士が下手すれば戦いっぱなしというのは申し訳ない。
松坂さとう絡みで、デッドプールに無碍な態度を取ってしまった後悔もあり、あさひは彼にこそ謝らなければと心を重くした。


◇◇◇◇◇◇


――すべて、亡くしてた。


◇◇◇◇◇◇



情けないところも含めて、なるべくありのままデッドプールに話した。
突き放すような態度を取ったからには、せめてそうすべきだと思ったから。

『まずはお前さんが無事で良かったよ。
 令呪も念話もノーサンキューだったのはいただけねぇが、反省はしてるだろうしな』

デッドプールは、あさひのことを責めなかった。
彼があさひの為に、松坂さとう殺しの汚れ役を被ろうとしてくれたことは、分かっていた。
その上で、デッドプールの方もまた『あさひが殺害失敗を期待していたこと』を察していただろうにも関わらず。

『俺から一つ、言えるとしたらさ』

それどころか。
松坂さとうに言ったこと、松坂さとうに言われたことを話したところ。
ひょい、とテレビ画面ごしや漫画、絵本の仕切り線の向こうから手を伸ばすように。
空間を無視して手をのばし少年の頭を撫でるような、それぐらいに事もなげに言った。

『お前は松坂さとうを言い負かす必要なんかなかったよ。
 だって、お前は『全部やり直す』って言ったんだろ?』

こいつは、黙ってそっちに邁進してろってことじゃないぜ、と注釈が入る。
そもそも、俺はお前が幸せになれるなら方法はなんだっていいんだ、とも但しをつけられて。

『お前と松坂さとうは、実のところ同じ娘をめぐって争ってるのとは、もう違うのさ。
 シュガー・キッドナッパーが言ってる『しおちゃん』は、自分が攫ってきた子どものこと。
 お前が暮らしたい妹は、やり直した先にいる『初めから幸せだった妹』なんだろ?』

あっけらかんと、まるで妹の乗り換えを肯定するかのような言い草。
だが、デッドプールは何も、本来の妹ではなく思い通りになる者を飼えばいいという主張に添うているわけではない

『あさひにとって、【今のしお】は敵なんだろ? んで、しおの方だって伝言を聞く限りそのつもりでいる』

そこは既に通過した問題なのだから、嵌るところじゃないと言っているのだった。
なぜならデッドプールは、神戸あさひがそう言ったことを、聞いているから。
それは神戸あさひが悪魔のような実父の血を引いたせいではなく、そうすると腹を括れる奴だと、言ってくれたから。

『あさひは、ちゃんと分かってるよ。しおは連れ戻せるモノじゃないってことも、妹の為じゃなくて自分の為だってことも。
 でも、死んだはずの女と、死んでほしくなかった【飛騨さん】が一緒にいたから焦っちまったのさ』

松坂さとうが、『神戸あさひの恩人』もあの場に引き連れていたこと。
麻薬の服用にとって人相さえも豹変したあさひが人を殺そうとする現場を、少女が見ていたこと。
少女の言葉を聞き入れて攻撃を止める訳にこそいかなかったけれど。
その動揺は、確かに迷いとして現れていた。
その人は、殺意を知る前の神戸あさひを理解しようとしてくれた人で。
暴力を使うようになる前の、あさひを知る数少ない人だったから。
妹への想いの丈を聞いて、そこまで大切な人を想えるなんてすごいと、肯定してくれた少女だったから。
そんな少女が聞いている前で、しおだって殺すと決めたんだと開き直ることをためらった。
だからさ、とデッドプールは続ける。

『せっかくおしゃべりする機会なんだから、もっと根っこのところを聞いてやりな。
 どうしてあの女と一緒にいるってことだけじゃなくて、その子が何を望んでいるのか。
 そこを分かってないと、たとえこの先【飛騨さん】があの女と別れたって、モヤモヤは残ったままだぞ?』

あさひの今の心境を先読みしていたかのように、ずばりという言葉まで添えた。

『お前さんのことだから、やり直しの為に、この人をもう一回死なせるんだ、とか。
 自分が死ぬか殺人者になるかの預言を聞いたハリー・ポッターみたいな顔してるんだろうけどさ。
 その子は、自分のことをお前さんに殺される被害者だなんて、思ってないかもしれないだろ』


◇◇◇◇◇◇


『そっか、あの子のサーヴァントは、ちゃんとあの子のことを想ってくれてるんだね』

互いの経緯を伝え合った後に、しょうこが発した感想はそれだった。
いきなり挑発的な感じで銃口向けられた時は焦ったから、しょーじきほっとした、とも。

『言動が道化のようであったのはたしかだけど、そういう外側の印象よりもずいぶん理性的だったよ。
 少なくとも、僕がマスターのことを想っているように、彼も自分のマスターを想っている、という様子だった』
『うん、さとうのキャスターみたいなサーヴァントもいるって分かった後だったから、そうじゃなくて良かった』

まぁ、良かったって言っても、そういう半端なところがダメなんだぞって言われたらその通りなんだけどね、とも続けて。

『マスターは…………伝えたかったことを、伝えられそうかい?』
『その話はしたいよ。でも、それだけじゃダメだなって、思い始めてるところ』

変わらず気を遣ってくれるGVに、そう返した。
飛騨しょうこの人生を変えてくれたことに、感謝を伝えたいのは変わらない。
しかし、いざ目の当たりにすると、想いを馳せてしまったことがある。

『アーチャー』

それは、飛騨しょうこ以外の人々の、人生についてだった。

『自分にできる事はないって、寂しくて、悔しいことなんだね』
『……ボクの知るマスターは、たくさんの事をしてくれたよ』
『ありがとう……でも、私の話だけでも無いかな』
『どういうこと?』
『んー、大切な人にはもう慰めてくれる人がいたり、むしろ自分が枷になってたかもしれなかったり。
 そう思っちゃうような子を見たことがあった、のかな』

けっこう前に、君が出てくる夢を見たんだけどね、とは言わない。
ガンヴォルトにとっての運命の人であるらしき『彼女』がそんな風に思っていたことは、彼を傷つけるかもしれないから。

夢を介して記憶を共有することは、本来であれば契約で繋がりを持ったマスターとサーヴァントの間にだけ起こることだ。
にも関わらず、飛騨しょうこの見た夢がGVではなく、彼とともにいた少女の見ていた世界だったこと。
それは、長らくその少女が生前のGVに取り憑いてその一部となっていたせいかもしれないし。
彼女の謡精としての特性が『精神感応』――他者との同調を本義としていたものだったことに依ったのかもしれない。

『とにかく、そういう子の気持ちが、ちょっとだけ分かったかもしれないって、さっき思ったの。
 私は何もできないし、半端者でしかいられないんだって、本当に悔しかったから。
 さとうも、あの子も、目指している幸せの中に、私がいないように話してたから』

松坂さとうは、心の弱いところを見せてくれるようになった。
神戸あさひは、優しさからしょうこを突き放そうとしてくれた。
彼女や彼が、なにがしかの感情を持ってくれた手ごたえは皆無ではなかったし、そのことは受け止めた上で。
それでも二人にとって優先順位の一番は、飛騨しょうこではなく、神戸しおなのだろう。

『私だけ生きてても……って、思わなかったわけじゃないよ』

松坂さとうも神戸あさひもいない日々に、飛騨しょうこは耐えられるかどうか自信がない。
だけど二人の方は違う。
しょうこがいなくなっても、神戸しおという少女がいれば幸いを得られるのだろう。
それなら、二人の方がよほど『可能性』と言うものを持っているのでは、と。

『マスター、ボクはマスターが生きてても仕方ないとは思わないよ』
『ありがとう……私もね、それだけじゃないって、アンタたちのおかげで気付けたんだ』
『ボク、たち……?』

きっぱりとした否定、そして複数形で表現されたことに、アーチャーが困惑した。

『聖杯戦争のおかげで、知ることができた人達、かな』

ガンヴォルトが、身も心も飛騨しょうこに捧げることはできないと言った理由。
その根源たる少女の夢を見たことで、しょうこは触れていた。
アーチャー・ガンヴォルトと、少女・シアンの【愛】だったかもしれない関係の、始まりと終わり。

シアンの視点からでは、『彼と一つになったところで、以前と同じ関係ではいられなかった』と悲観していたそれは。
しかしガンヴォルトにとっては、しょうこからのキスに応えることはできないと誓いを立てるほど、大切でもあったこと。
彼女が彼に対して無力だったと思っていても。
彼は彼女のことを要らないなんて思ってなかったんだ、と。
双方の想いを目の当たりにしたから、気づけた。

『私がいなくなった後に…………壊れちゃった幸せも、あったんだな、って』

蒼い雷霆の愛した蝶々が、己のことをどう思っていたところで。
比翼の少女がいなくなった痛みで、しょうこの知っている彼が構成されている。

そして、再会した少年もまた。
妹を失ったのだという喪失の痛みが、顔に声にと刻まれていて。
松坂さとうはいなくなったが妹は戻って来なかったと、しょうこが知らないことを叫んでいた。

『私はさ、あの子に楽しい事を教えてあげるつもりだったんだよね。
 でも、さっきの彼はとても切羽詰まってて、あの時よりずっと幸せじゃなさそうだった』

聖杯戦争をやってるのだから当たり前だと言えばそうかもしれない。
けれど、『もっと楽しい事をしよう、遊ぼう』と、彼に向かって声をかけて以来。
彼がそれを実践するような生き方をしてこれた事は、無かったのだろうなと。
ちゃんと食べてるか聞いた時のぼんやりした様子で、『やっぱり』と思ってしまった。

『私がいたらそんなことにはさせなかったのにー、なんて偉そうなことは言えないけど。
 それでも、休みの日に一緒に遊んだりとか、できることはいっぱいあったと思う』

松坂さとうに喉を裂かれたところで、しょうこの人生は途切れている。
その結末は、間違えてしまったという後悔として、体と心に刻まれている。
けれど、間違いの余波は飛騨しょうこ以外の人達にも及んでしまっていた。

松坂さとうは、神戸しおの元からいなくなったのだという。
もちろんそれは、常識としては誘拐犯の元から子どもが帰ってきたという話でしかないのかもしれないが。
松坂さとうと神戸しおの輪郭をここ一日でなぞったしょうこにとって、それは『破滅』に匹敵する出来事だと察せた。

神戸あさひも、『しおを取り戻して幸せになるんだ』と言っていたことが、できなかったのだという。
それは、さとうとしては身勝手なしおのモノ扱いだと評せるものだったのかもしれないが。
神戸あさひの『俺みたいになるな』という叫びを目の当たりにしたしょうこは、彼が妹の為を気取るような少年でないと知っていた。

自分がいなくなった後、世界は決して良い方に向かわなかった。
しょうこには、それが悲しい。
それがさとうにとっての『苦い』なのかは分からなかったけれど、とても痛くて悲しい。

『私、今まで未来のこと、あんまり考えたことがなかった。
 私が死んだ後に、みんながどうなったかってことも』

さとうの刃によって喉元をざっくりと裂かれた時は、本音を言えばとても恐ろしく、苦しかった。
それでも、そんな痛みの比にならないぐらい、神戸あさひと、キャスターの間に振るわれる暴力は痛々しくて。
あれほど超人的でなくとも、かつての二人が同じぐらいの憎悪で殺し合いなり奪い合いなりしていたことを再認識して。
自分が死んだことで始まった崩壊が、二人を追い込んだことが、悲しくて、いたたまれなかった。

『私を殺した後で、少しでもさとうの心は重くなったのかな、とか。
 私の遺体が発見されたって聞いたあの子は、何を思ったのかな、とか。
 そういうことを、はじめて考えるようになったんだ』

しょうこが、さとうに殺されたことで。
しょうこが、あさひに最後のメールを送ったことで。
松坂さとうの居城は融れてしまったらしいこと。
神戸あさひが、松坂さとうを憎悪するようになったこと。

どちらも、飛騨しょうこはずっと知らなかった。
さとうから彼は敵だと聞いていたけど、『しおちゃんを探しているならそうなるだろうな』という想像で察していただけだ。
神戸あさひが、さとうに怨嗟の声を吐きつけるところに立ち会って、ようやく実感として追いついた。

『ちゃんと知りたいのよ。私が死んだ後に、何がどうなったのか。
 私が聖杯を目指すとして、それでどうしたいのかは、その後に決める』

だから、神戸あさひが何を想っているかを知るためには。
だから、松坂さとうがこのままではどうなるのかを知るためには。

自分が死んだ後に何がどうなったのかを、きちんと知らなければいけない。
そうでなければ、次こそは間違えないために、何をすればいいのかが分からない。

『そうか……大切な人の知らない側面を知るのは、とても勇気がいる事だと思う。
 そこに踏み込めるマスターは、やはりいい方に変わったんだと思うよ』

GVのほっとしたような声が、しょうこの羽ばたきを肯定する。
言い回しに不思議なデジャブがあったのが、なんだか嬉しかった。

――もう変わってるんだと思うよ?
――いい方? わるい方?
――知らないけど~~

いい方だったみたいだよ、さとう。
……と、ここにいない大切なもう一人に、心の中で報告する。
さとうの方はもう覚えてないかもしれないけどね、と寂しく付け加えながらも。
それこそしおちゃんの言った事だったら、彼女はさっき語ったように一言一句を覚えているのだろうけど。

『あーあ。あさひ君にキスした時も思ったけど…………やっぱり羨ましいな。神戸しおちゃん』

なぜって、飛騨しょうこが好きになる人は、いつも月(かのじょ)の周りをまわっているから。
GVにしか聞こえない声で、しょうこは本音をそう表現した。


◇◇◇◇◇◇


全部、やり直すんだ


◇◇◇◇◇◇


「今までのことを、聞いてもいいかな?」

改めて向き合い、そう尋ねた。
その角度から問われるとは思っていなかったのか、あさひは驚いたネコのように眼を見開く。

「ああ、もちろん同盟相手のこととか色々聞き出してやるぞーってコトじゃなくてね」

自分でも言葉をまとめきれていないのか、否定するようにわたわたと手を振って。

「たぶんそっちの方が、質問をたくさんするより分かると思うから。その、お互いの気持ちとか、願いとか。
 私も、ぜんぶ話すから。サーヴァントの事とか、話せないことはあるけど」

要は、問い詰め合いになるぐらいなら、打ち明け合いにしましょうと。
そういうことならと、あさひも頷く。
あさひとしても、『どうして自分を殺した奴なんかと一緒にいるんだ』なんて、問い質すような事はしたくない。
しょうことしても、『今まできっと大変だったでしょう?』なんて、傷口を切開するような直球を投げたくはない。
その上で、二人とも『いったい何があったの』という互いの物語のことを知りたかった。
何を思って、動いていたのか。
何を想いながら、聖杯を目指すのか。

神戸あさひとしては、『飛騨しょうこが望んでくれたこと』が何一つ叶わなかった人生を明かすことに、口の重さはあったけれど。
しょうこのこれまでを知りたいという想いがないはずもなく、頷いた。

飛騨しょうこは、話した。
松坂さとうがどんな友達で、どんな思いを抱いているのかということ。
神戸あさひと最後にあった夜から先の、1208号室を訪れた日のこと。
神戸あさひにメールを送ってから訪れた修羅場と、説得に失敗した時のこと。
未練だらけの人生を繋ぐために、聖杯を望んだこと。
昨日の昼間に、ばったり松坂さとうと再会したこと。
自宅がサーヴァントの襲撃に巻き込まれて、彼女を頼ろうと決めたこと。
その後に炎上騒動によって神戸あさひの存在は知っていたこと。
松坂さとうと共にいること、神戸あさひと共に戦わないことを、自ら選んだこと。
一晩じゅう行動を共にしているうちに、さる筋から神戸しおが来ているとも、知った事。
神戸あさひにとっては気の知れないことも多かったはずだけれど、最後まで言い返されることはなかった。

神戸あさひは、話した。
飛騨しょうこからメールを貰ったあと、1208号室をつきとめたということ。
忍び込んだ1208号室で、『ガソリンをかけられた飛騨しょうこの遺体』を見たこと。
松坂さとうと戦ったが、妹はその女と共にいることを選んで逃げたこと。
逃げ切れずに、松坂さとうは死んで、神戸しおは帰ってきたこと。
飛騨しょうこは、そこで一度だけ問いを挟まずにはいられなかった。

「どうして、さとうが死んだの?」
「逃げきれなくて、マンションから落ちて……一か八かだったのか、無理心中のつもりだったのかは分かりません」

そこから先は、松坂さとうの前で叫んだとおりの有り様で。

罪を犯した母親と、変わってしまった妹との断裂を受け入れ、一人でやり直す選択肢はあったこと。
それでも、どうしても、だめだったこと。それだけは耐えられなかったこと。
『神戸家にはじめから不幸がなかった世界』をやり直すことでしか、幸いを望めなかったこと。
神戸しおが別陣営にいると分かった上で、そうしようとしていること。

松坂さとうのサーヴァントが監視を残して行った以上、それらの話はおそらく彼女にも伝わる。
そのことに躊躇いはあったけれど、打ち明けた。
どのみちガムテが『神戸しおとはやり合っている』と明言している。
ならば、神戸しおに対する殺意を隠すことに意味はなかった。

話し終えれてしまえば、まるでやましいことを打ち明ける懺悔みたいだな、と思った。
相手は神様ではなくただの女の子で、だからこそ彼女はとてもとても、悲しそうにしていたけれど。

「だから、あなたが『大切な人のために頑張ってる』って言ってくれた俺は、もういません。
 ここにいるのは、幸せになるために妹を敵に回した悪党だから」
「まだいるよ」

泣きそうな顔のままで、即答された。

「あさひ君はやっぱり人を想ってるよ。
 マンションでも、さっきも、私が殺されたことに怒ってくれた。
 それに、自分みたいな奴になるもんじゃないって言うところも、震えながら歩いてるのも変わってない」

言ってから、はっとしたように言い直す

「ううん、強くなろうとしてる人に、変わらないって言うのも失礼だった」

なんだか最後に会った夜みたいだねと、続けた。

「私はアンタの気も知らずに、アンタの過去をほじくり返して。酷いこと言って」
「酷くは、なかったですよ。あの時は俺が勝手に泣いただけで、あなたは俺を心配してくれてた」
「酷いよ。私は、あさひ君が見てきた世界が想像つかなかった。
 今だってそうだよ。笑えなくなることがあったんだな、と思ってたけど。
 …………想像していたより、ずっとずっと辛い結末になってた。誰にとっても」

それを感想として、しょうこの口はしばらく閉ざされた。
新たに知った事実を、一通り噛み締めるように。
あさひもまた、想いを馳せながら何も言えなかった。
しょうこが今に至るまでに、どれほどの勇気を出したのかを考えていた。
そんな良い人にそこまで優しくされながら、やはりあの女は彼女を利用している、という怒りがあり。
それでも、しょうこが今まで生き延びるために、自分よりよほどあの女は仕事をしたのだろうという事が情けなかった。

「……やっぱり、後悔するのはいやだな」

実際の時間にして、どのぐらいを経た後だったのか。
とても静かに、しょうこはそう言った。
大きな瞳からにじんでいた涙は、もう止まっていた。
悲しそうな顔のまま、しかし口元には控えめなほほえみがあった。
生前の最後に出会ったときに、あさひの涙を拭いてくれた顔と、よく似ていた。
それは松坂さとうのところに向かう決意の顔だったと、あの時のあさひは知らなかったけれど。

全ての物語を飲み込んだしょうこは、そういう顔のまま口にした。



「私、やっぱり聖杯がほしい」



此処まで来たら、もう戻れない。
分かっていたと、只頷いて。

隣に座り合ったまま、凍えた手は重ならず。
あさひとは敵同士になるという意味を、自覚して言った。

「そう、なんだ……」

神戸あさひも予想して、覚悟していたその言葉は。
しかし、神戸あさひが予想しなかった言葉として続いた。

「でも、もう自分が生き延びるためだけに、聖杯は使わない」

聖杯の使い道。
飛騨しょうこが生き延びたいと願うのは当然、と受け入れていたあさひは「え?」と驚きの声を漏らす。

「私だって、たくさん間違えたよ。結局、さとうにもあさひ君にも、何もできなかった。
 私にもできることがあったらいいのになって、ずっと思ってた」

こんな殊勝なこと言ったって、さとうに腹が立たなかったわけじゃないけどね、と。
流石に『死体隠蔽の為に焼かれるところだった』という話は堪えたし、それは微笑ではなく苦笑としてごまかして。

「さとうのマンションに突撃した時の私は、とにかくしおちゃんは返さなきゃいけないって話をしてた。
 誘拐とか後ろ暗いことじゃなくて、さとうは私が光の下に連れ戻さなきゃいけないんだって決めつけてた」

さとうの事を想いながらも、二人を引き離そうとした。
でもだめだったと、しんみりとしたまま呟いてから。

「あさひ君にとっては酷いことだけど、さとうといるしおちゃんは不自由なさそうだった」

『さとうを好いているようだった』と口にすることは、追い打ちをかけるようで躊躇われたけれど。
神戸あさひが幸せになる手段を、間接的に肯定していない言葉でもあったけど。
それでもしょうこは、さとうを選んだ。そこはもう譲れず、変えられないから。

「たとえ人から奪ったものであっても、さとうがしおちゃんを幸せにしたことは本当だと思う」

思い出す。
さとうと再会して、『さとうの愛は愛なのか』で口論になったこと。
しおに会いに行かないと選んだことを、『愛だと思うよ』と励ましたこと。
叔母さんがいなければしおには会えなかったのかと迷うさとうを、迷わなくていいと肯定したこと。

さとうとしおが結ばれることは、既に、しょうこにとって否定されるべきものではなかった。

「さとうの愛は、甘くて痛いよ。しおちゃん以外の人は、いくらでも奪われる。
 でも、それが二人の幸せだってこと、愛があったことは、私には否定できない」

光の下で生きることだけが、幸せじゃない。
さとうと一緒だった一晩は、しょうこに常識外の想いを体感させていた。
あさひはただ、意外性と諦めをもってその言葉を聞く。
彼女に選ばれないことは理不尽だと思わず、しかし、しょうこが離れていくという実感によって震える。

でもね、と。
もう涙のない瞳は、あさひを見据えた。



「でも、やっぱり間違ってる」



――さとうの愛は、間違ってる



池袋のカフェ。
まだまだ暑かった八月一日。
再会して喧嘩別れになった時と、結論は同じ。
そもそも、人の愛なんて第三者があれこれ語ることじゃない、と傲慢さを知った上で。

でもそれは、さとうのしたことが誘拐だからという理由では、もうない。
まして、反社会的だからとか、光の当たらない道に進んでいるからという理由でさえもない。
そこにしか咲かない幸せがあるのだと肯定した上で、認めた上で。
それでもなお、違うと思ったのは。
違わないと、愛の為なら殺してもいいんだと、言い切ってしまうには。



「だって私は、さとうに殺されたまま終わらなくて、本当に良かった」



飛騨しょうこの、たった一日の苦くもない時間は、かけがえのないものだったから。

「今日一日で、私は会いたかった二人に会えた。
 やっぱりどっちのことも傷つけたけど。間違えてばっかりだけど。
 それでも、私の知らなかったさとうをたくさん見て、あさひ君とも話ができた。
 あの時に私が殺されたまま終わらなくて、本当に良かったと思ってる」

だから、さとうの愛を守るためにしょうこは命を奪われておくべきだった、と。
さとうの愛がしょうこの物語を終わらせたことが間違ってなかったとは、絶対に言えない。
一番の愛のためなら奪ってもいいと言われて頷くには、生きて果たしたいことが多すぎた。

「それは、全部あなた達が教えてくれたこと。
 人生を変えちゃうような出会いが私にもあるって、分かったから決められたこと」

そして、これは。
あなたのおかげで決断できたから、あなたの元から離れますという話――でさえない。
松坂さとうを選んだ。神戸あさひを選ばなかった。
その選択は下されたと自覚はして、その上で。

「でも、さとうが間違ってるなら、さとうの味方をする私だってやっぱり間違ってる」
「それは……聖杯戦争で生き残るためにやってることだから」

生き延びるための生存策として、マスター同士で同盟することまで罪とは言えない。
その同盟相手が、神戸あさひにとって気の知れない相手だという事はまだしも。
マスター同士で同盟しているからと言って、その同盟者と同じ過ちを犯している事はイコールではない。
けれど、しょうこはその建前を否定する。

「自分が生きるために、さとうに生きてほしかったなんて、もう言えない。
 だって私は、さとうがマンションから落ちて死んじゃうって聞いて、怒ったから」

神戸あさひの話を聞いて、ああやはり後悔は嫌だと前を向かせたもの。
悲しみだけでない怒りをもたらしたのは、『親友の死』だった。

聖杯戦争なんてものをやっているのだから、最後に雌雄を決することは分かっている。
だけど、しょうこの知らないところで、しょうこの死が引き金になって、さとうが死んでしまうなら話は別だ。

しょうこのいない未来ではさとうが死んでしまうと聞いて。
私が神様ってやつに怒らないとでも思っているのか。

「私は、さとうを死なせないために生きて帰りたい」

それは、生存欲求ではなく、友情のために戦って生きるという誓い。
そして、生存競争ではなく、大切な人と共に生きる為に人から奪うという、松坂さとうと同じ間違いの証明。

「だけど、それで悲しみが増えることも分かってる」

この愛が正しい事だと、さとうと違ってしょうこは割り切れない。
だから、願いを叶えた結果として悲しみが増えることはなるべく望まない。
まして、しょうこが死んでほしくない人は、さとうの他にもう一人いる。
たとえ聖杯戦争という枠の中では敵だとしても、聖杯によって救いたい人は一人ではない。

「それに、私はあさひ君にも不幸になってほしくない。
 あさひ君に思いっきり笑ってほしいって約束したのは、ほんとうに本音だから」

聖杯戦争を終えた、その暁には。
聖杯戦争の終末を、さとうと共に迎えるにせよ。
さとうも既にいなくなっていて、他の誰かとの一騎打ちで迎えるにせよ。
その時まで生き延びたとして、飛騨しょうこは誰のために願うのかというのなら。







「私は、さとうから眼を逸らさなくて、さとうに殺されなかったところからやり直したいの。
 死ななかった私が、さとうとあさひ君の間に立って、みんな幸せになれるハッピーエンドにする」








「やり直し……」

それは、神戸あさひも述べたこと。
だからこそあさひは、己がしょうこにその発想を与えたのだと気付く。
そして、しょうこにとってのハッピーエンドの形を聞かされて、ひたすら驚く。

「これが一番いい、なんて言わないよ。きっと私、アンタに酷いことを言ってるから」

そう、これは、神戸あさひにとっても願ったりかなったりという話ではない。
少なくとも、『神戸あさひの望むやり直し』では生まれなかった被害者は、確実にできる。

しょうこには、『さとうとしおの関係そのものを否定すること』は、もうできない。
もちろん、1208号室の営みが不法行為によって維持されている以上、しょうこに全てを何とかすることはできないが。
少なくとも、『さとうとしおが出会わなかった世界』を望むことだけは、できそうにないのだ。
さとうが叔母を失って己の愛を疑った時も、『二人の間には運命がある』と、はっきり認めたのだから。

その上で、それまでのように生き延びるため聖杯を取るだけでは、生まれない被害者もいる。
例えば、この世界にもいるという神戸しおだ。
さとうの話によれば、以前のしおはマスターとして自発的に歩くことなど、できなかった子だという。
もしも、さとうが『歩くのをやめないでほしい』と思ったその営みが、さとうの不在によって生じたものだとすれば。
しょうこが未来を変えることは、しおの成長をリセットする事も意味する。

「でも、傲慢になった私でも、まだあさひ君を笑顔にできるなら」

この世に、傲慢じゃない愛はないらしい。
なるほど『どっちも幸せになれるハッピーエンドはこうだ』と押し付けるのは、絶対に傲慢だ。

間違っているのは百も承知で。
それでも、間違っているのは分かっているから、埋め合わせはしないといけない。

神戸しおがいないとあさひ君が幸せじゃないなら。
やり直した世界では、私があさひ君にたくさんの幸せを教える。

「――その時は、会いに行くから。」

王子様を待つんじゃなくて、自分の足で会いに行く。
だからしょうこは身を乗り出した。
少年に顔を近づけた。

口ではなく、頬に。
ここにいる彼を選ばなかった以上、そこには一線を引くところだった。
歳のわりには頬骨も出ていなくて柔らかいそこに、唇をあてる。
いつか交わした『またね』のキスではなく、お別れのキス。

「だから、ごめんね」

これは、改めて伝えるつもりになったこと。

「ありがとう」

これは、前から伝えたかったこと。

ごめんね。ありがとう。
その人の為なら生きて死ねるという人に対して。
その人の為に生きて死ぬことを告げるとき、人は泣き笑いになるらしい。


◇◇◇◇◇◇


それは、八月二日の朝。
暦の上では夏なので、夜明けは早い時間にやって来る。
かつて、しょうこがあさひに望んだ、『笑うべき太陽の光の下』はもうすぐそこにある場所で。
神戸あさひは、頬にのこった体温へと指先で触れながら。
どんな言葉を返すべきなのか、思考を彷徨わせていた。


【二日目・早朝/中央区・高級住宅街(裏路地)】

【飛騨しょうこ@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:健康
[令呪]:残り2画
[装備]:なし
[道具]:最低限の荷物
[所持金]:1万円程度
[思考・状況]
基本方針:私達の物語を幸せな結末に。そのためにも、諦められない。
0:ごめんね、ありがとう
1:さとうと一緒に戦う。あさひ君とは、きっといつか戦う。
2:それはきっと"愛"だよ、さとう。
[備考]
※松坂さとうと連絡先を交換しました。

【神戸あさひ@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:疲労(大)、自己嫌悪(大)、松坂さとうへの殺意と憎しみ、そして飛騨しょうこへの困惑と悲しみ
[令呪]:残り3画
[装備]:デッドプールの拳銃(懐に隠している)、着替えの衣服(帽子やマスクを着用)
[道具]:リュックサック(保存食などの物資を収納)
[所持金]:数千円程度(日雇いによる臨時収入)
[思考・状況]
基本方針:絶対に勝ち残って、しおを取り戻す。そのために、全部“やり直す”。
0:飛騨さん、あなたは――
1:折れないこと、曲がらないこと。それだけは絶対に貫きたい。
2:ガムテと協力する。後戻りはもう出来ない
3:さよなら――しお。
4:星野アイと殺島は、いつか必ず潰す。
5:櫻木さん達のことは、次に会ったら絶対に戦う……?
6:あの悪魔を殺す。殺したい、けど、あの人は――
[備考]
※真乃達から着替え以外にも保存食などの物資を受け取っています。
※廃屋におでん達に向けた書き置きを残しました。内容についてはおまかせします。

【二日目・早朝/中央区・高級住宅街】

【アヴェンジャー(デッドプール)@DEADPOOL(実写版)】
[状態]:気道から肺までが冷気によりほぼ完全に壊死(だいぶ回復)
[装備]:二本の刀、拳銃、ナイフ
[道具]:予選マスターからパクったスマートフォン、あさひのパーカー&金属バット
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:俺ちゃん、ガキの味方になるぜ。
0:お前がそう望むなら、やってやるよ。
1:あさひと共に聖杯戦争に勝ち残る。
2:星野アイ達には必ず落とし前を付けさせるが、今は機を伺う。
3:真乃達や何処かにいるかもしれない神戸しおを始末するときは自分が引き受ける。だが、今は様子見をしておきたい。
4:黄金時代(北条沙都子)には警戒する。あのガキは厄(ヤバ)い
[備考]
櫻木真乃、ガムテと連絡先を交換しました。
※ネットで流されたあさひに関する炎上は、ライダー(殺島飛露鬼)またはその協力者が関与していると考えています。

【アーチャー(ガンヴォルト(オルタ))@蒼き雷霆ガンヴォルト爪】
[状態]:健康、クードス蓄積(現在3騎分)
[装備]:ダートリーダー
[道具]:なし
[所持金]:札束
[思考・状況]
基本方針:彼女“シアン”の声を、もう一度聞きたい。
0:マスター。君が選んだのはそれなんだね。
1:マスターを支え続ける。彼女が、何を選んだとしても。
2:ライダー(カイドウ)への非常に強い危機感。
3:松坂さとうがマスターに牙を剥いた時はこの手で殺す。……なるべくやりたくない。
[備考]
※予選期間中にキャスター(童磨)と交戦しています。また予選期間中に童磨を含む2騎との交戦(OP『SWEET HURT』参照)を経験したことでクードスが蓄積されています。
※神戸しおと神戸あさひが、現在交戦関係にあるかもしれないと思っています

時系列順


投下順


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122:ねぇねぇねぇ。(前編) 神戸あさひ 130:ラブ&ピース
アヴェンジャー(デッドプール)
122:ねぇねぇねぇ。(前編) 飛騨しょうこ 130:ラブ&ピース
アーチャー(ガンヴォルト[オルタ])

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最終更新:2022年11月18日 23:58