ひょんなことから女の子
I'm my sister 7
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hyon
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158 :愛のVIP戦士:2007/03/11(日) 02:10:38.12 ID:YbKtYV4w0
夏休みがやってきた。
といっても恵のやることはひとつしかない。
「もうちょっと高校生活エンジョイしたかったな。」
元の成績は中の下、にもかかわらず実質飛び級なので、どうやら死ぬ気で頑張らないといけないようだ。
そんなわけで勉強漬けの日々。
「それにしても、ヒデ大丈夫なのかな。」
英雄の方はと言えば、朝からサッカー部の練習、それが終わったかと思えば恵の家庭教師で、
帰ったらまた自分の勉強もしているのだろう。体力、精神力共に半端ではない。
そして、七月も終わりに差し掛かったある日の夕食。
「全国大会、一回戦だけ出してもらえるって!」
マッキーの声が食卓に響いた。
「…よかったね。」
本当は俺が出るはずだったのに…いや、それもちょっと違うか。ああ、一人が二人になるってのはどうもややこしい。
「恵、もっと喜んであげたらどうなの?」
「はいはい、おめでとさん。」
「恵っ!」
「…こっちは勉強で疲れてんだから。」
「そうそう、あんた成績下がったってね。」
当たり前だろ、中身が違うんだから。
「正樹も頑張ってるんだから、あんたも頑張りなさいよ。」
一人っ子のときは兄弟姉妹に憧れたりしたものだけど、こうなってくると一人っ子の方が気楽で良かったかも。
なんで親はそう兄弟同士で比べたがるんだろうか。
「ごちそうさま。」
今日はもうやる気が出ない。早く寝よう。
といっても恵のやることはひとつしかない。
「もうちょっと高校生活エンジョイしたかったな。」
元の成績は中の下、にもかかわらず実質飛び級なので、どうやら死ぬ気で頑張らないといけないようだ。
そんなわけで勉強漬けの日々。
「それにしても、ヒデ大丈夫なのかな。」
英雄の方はと言えば、朝からサッカー部の練習、それが終わったかと思えば恵の家庭教師で、
帰ったらまた自分の勉強もしているのだろう。体力、精神力共に半端ではない。
そして、七月も終わりに差し掛かったある日の夕食。
「全国大会、一回戦だけ出してもらえるって!」
マッキーの声が食卓に響いた。
「…よかったね。」
本当は俺が出るはずだったのに…いや、それもちょっと違うか。ああ、一人が二人になるってのはどうもややこしい。
「恵、もっと喜んであげたらどうなの?」
「はいはい、おめでとさん。」
「恵っ!」
「…こっちは勉強で疲れてんだから。」
「そうそう、あんた成績下がったってね。」
当たり前だろ、中身が違うんだから。
「正樹も頑張ってるんだから、あんたも頑張りなさいよ。」
一人っ子のときは兄弟姉妹に憧れたりしたものだけど、こうなってくると一人っ子の方が気楽で良かったかも。
なんで親はそう兄弟同士で比べたがるんだろうか。
「ごちそうさま。」
今日はもうやる気が出ない。早く寝よう。
159 :また忘れた ◆iIl1lB4oT2 :2007/03/11(日) 02:11:49.64 ID:YbKtYV4w0
一日は長く、でも一週間は短い。時間の感覚とは不思議なものだ。
英雄、マッキーらサッカー部が発っていき、今日は一回戦の日である。
恵もこの日は母とともに父母会でテレビ観戦した。
後半も後半、残り二十分ぐらいとなったところでようやく画面に「立花正樹」の文字。
まあ、現実はこんなものか。それでも出場できるだけ…。
「こら、そこオフサイド!」
「あら恵、詳しいのね。」
「…オフサイドくらい一般常識だよ。」
そういうことにしておこう。実際はどうだか知らないが。
「んー、なかなか点入らないのねえ。」
母さん、あなたにはどうやらバスケ観戦のほうが向いているようです。
「もうあと一分しかないじゃない!」
「でもまだロスタイムがあるから…。」
「詳しいのね。」
「…ロスタイムなんて知らない方が恥ずかしいレベルだから。」
今度は多分胸を張って宣言できます。
「あ!」
マッキーがボールを持って左サイドに大きく飛び出してきた。
「いけー、正樹ー!」
だめだ、あのままじゃ塞がれるだけ。
「ちょっと、何敵にパス出してるのよ!」
なるほど、そこが空いていたか。…母さん、ちょっと黙っていてください、恥ずかしいです。
ボールは走りこんできた英雄の手に渡り、そのままゴールへ…。
会場と、恵たちのいる部屋は、大歓声に包まれた。
そしてそのまま試合終了。
英雄、マッキーらサッカー部が発っていき、今日は一回戦の日である。
恵もこの日は母とともに父母会でテレビ観戦した。
後半も後半、残り二十分ぐらいとなったところでようやく画面に「立花正樹」の文字。
まあ、現実はこんなものか。それでも出場できるだけ…。
「こら、そこオフサイド!」
「あら恵、詳しいのね。」
「…オフサイドくらい一般常識だよ。」
そういうことにしておこう。実際はどうだか知らないが。
「んー、なかなか点入らないのねえ。」
母さん、あなたにはどうやらバスケ観戦のほうが向いているようです。
「もうあと一分しかないじゃない!」
「でもまだロスタイムがあるから…。」
「詳しいのね。」
「…ロスタイムなんて知らない方が恥ずかしいレベルだから。」
今度は多分胸を張って宣言できます。
「あ!」
マッキーがボールを持って左サイドに大きく飛び出してきた。
「いけー、正樹ー!」
だめだ、あのままじゃ塞がれるだけ。
「ちょっと、何敵にパス出してるのよ!」
なるほど、そこが空いていたか。…母さん、ちょっと黙っていてください、恥ずかしいです。
ボールは走りこんできた英雄の手に渡り、そのままゴールへ…。
会場と、恵たちのいる部屋は、大歓声に包まれた。
そしてそのまま試合終了。
160 :1レスに入らなかった ◆iIl1lB4oT2 :2007/03/11(日) 02:12:37.03 ID:YbKtYV4w0
再びの歓声の嵐が去ったあと、誰かがどこからかビールとコップを出してきた。
「恵ちゃんはジュースでいいかな。」
「はい。…弟がでしゃばってすいません。」
「いやいや、ナイスアシストだったよ。」
うん、本心では自分でもそう思っている。あの場にいるのが俺だったら、あそこにパスは出せなかった。
一か月もしないうちにずいぶん上達したんだなと思うと、泣きそうになった。
自分だと思ってた人が違う人生を歩み始めている…。
「それでは息子達の一回戦勝利を祝って、カンパーイ!」
…今は涙はお預けだ。それにしても一回戦でこれなら、優勝なんてしてしまった日にはどんな騒ぎになるのだろうか。
「恵ちゃんはジュースでいいかな。」
「はい。…弟がでしゃばってすいません。」
「いやいや、ナイスアシストだったよ。」
うん、本心では自分でもそう思っている。あの場にいるのが俺だったら、あそこにパスは出せなかった。
一か月もしないうちにずいぶん上達したんだなと思うと、泣きそうになった。
自分だと思ってた人が違う人生を歩み始めている…。
「それでは息子達の一回戦勝利を祝って、カンパーイ!」
…今は涙はお預けだ。それにしても一回戦でこれなら、優勝なんてしてしまった日にはどんな騒ぎになるのだろうか。
161 :I'm my sister ◆iIl1lB4oT2 :2007/03/11(日) 02:13:11.49 ID:YbKtYV4w0
夜、携帯電話が鳴った。
「姉ちゃん、勝ったよ。」
「うん、見てた。」
「まあそんなことはどうでもいいんだけど。」
おい、今なんて言った。どうでもいい? お前それはないだろう。
俺がその大会に出るためにどれだけ苦労したか分かってるだろ。
ましてや憧れだった先輩のアシストまで出来て…「どうでもいい」だと?
お前、末代まで恨み殺してやろうか?
「あのさ…今日、あの後、マネージャーの松代さんに告白したんだ。そしたら…オーケーって。」
え…。
「そ…そう…。」
確か入学式の日に一目惚れして…、サッカー部のマネージャーになったと知った日には大喜びして…、
サッカー部の友人数人巻き込んで遊びに行ったりして…、でも好きだってなかなか言い出せないで…。
「良かったじゃん…。」
「姉ちゃん? 泣いてるの?」
「え?」
言われて気づいた、確かに泣いていた。
「ああ、あんたにもついに彼女が出来たかと思うと嬉しくて。」
「何言ってんだよ、中学のときにもいたじゃんか。」
知ってるよ、それくらい。
「三日で終わったけどな。」
「うるせー!」
笑ってる声を聞くと余計哀しくなる。
「じゃあ、またね。」
これ以上話していられない、そう思って強引に電話を切った。
「姉ちゃん、勝ったよ。」
「うん、見てた。」
「まあそんなことはどうでもいいんだけど。」
おい、今なんて言った。どうでもいい? お前それはないだろう。
俺がその大会に出るためにどれだけ苦労したか分かってるだろ。
ましてや憧れだった先輩のアシストまで出来て…「どうでもいい」だと?
お前、末代まで恨み殺してやろうか?
「あのさ…今日、あの後、マネージャーの松代さんに告白したんだ。そしたら…オーケーって。」
え…。
「そ…そう…。」
確か入学式の日に一目惚れして…、サッカー部のマネージャーになったと知った日には大喜びして…、
サッカー部の友人数人巻き込んで遊びに行ったりして…、でも好きだってなかなか言い出せないで…。
「良かったじゃん…。」
「姉ちゃん? 泣いてるの?」
「え?」
言われて気づいた、確かに泣いていた。
「ああ、あんたにもついに彼女が出来たかと思うと嬉しくて。」
「何言ってんだよ、中学のときにもいたじゃんか。」
知ってるよ、それくらい。
「三日で終わったけどな。」
「うるせー!」
笑ってる声を聞くと余計哀しくなる。
「じゃあ、またね。」
これ以上話していられない、そう思って強引に電話を切った。
162 :I'm my sister ◆iIl1lB4oT2 :2007/03/11(日) 02:13:43.95 ID:YbKtYV4w0
立て続けにもう一度電話が来た。
「恵、一回戦突破したよ。」
「そんなこと、どうでもいい!」
まさか自分まで言うことになるとは、五分前の自分は知らないんだろうな。
「…正樹君のこと?」
「…知ってたの。」
「うん、まあ、みんなが盛り上がってる中で告白したからね。」
「そう。」
間。
「本当は先に電話しようと思ってたんだけど…。」
「慰めてくれなくても、いいよ。」
今の自分は、彼女にとっては立花君のお姉さんでしかない。
恵は今、やっと自分の立場を本当に理解したのかもしれない。
どちらが本物か分からないけど、少なくとも自分にとっては「偽者」である正樹に、
二年間の高校生活も、全国大会出場も、好きな人も…何もかも奪われた。
お互いに何もしゃべらずに、十分位経った。
先に口を開いたのは英雄の方であった。
「もう一度、立花恵に同じことを言うとはな。」
「え?」
「…僕は、君のことが好きです。付き合ってください!」
「へ…?」
「ダメ…かな?」
「いや…もうそうなってるものかと…。」
「だってそれは、前の恵とだから。君の意見も聞かずに、勝手に恋人だなんて思ったりしないよ。」
誠実な人だな。改めてそう思った。
「でも、なんでいきなり?」
「恋を忘れるには新しい恋って言うでしょ。」
「…少し、考えさせてください。」
いろいろあって頭が働かない。今日はもう寝よう。
恵は英雄におやすみとだけ告げ、電話を切って布団に入った。
「恵、一回戦突破したよ。」
「そんなこと、どうでもいい!」
まさか自分まで言うことになるとは、五分前の自分は知らないんだろうな。
「…正樹君のこと?」
「…知ってたの。」
「うん、まあ、みんなが盛り上がってる中で告白したからね。」
「そう。」
間。
「本当は先に電話しようと思ってたんだけど…。」
「慰めてくれなくても、いいよ。」
今の自分は、彼女にとっては立花君のお姉さんでしかない。
恵は今、やっと自分の立場を本当に理解したのかもしれない。
どちらが本物か分からないけど、少なくとも自分にとっては「偽者」である正樹に、
二年間の高校生活も、全国大会出場も、好きな人も…何もかも奪われた。
お互いに何もしゃべらずに、十分位経った。
先に口を開いたのは英雄の方であった。
「もう一度、立花恵に同じことを言うとはな。」
「え?」
「…僕は、君のことが好きです。付き合ってください!」
「へ…?」
「ダメ…かな?」
「いや…もうそうなってるものかと…。」
「だってそれは、前の恵とだから。君の意見も聞かずに、勝手に恋人だなんて思ったりしないよ。」
誠実な人だな。改めてそう思った。
「でも、なんでいきなり?」
「恋を忘れるには新しい恋って言うでしょ。」
「…少し、考えさせてください。」
いろいろあって頭が働かない。今日はもう寝よう。
恵は英雄におやすみとだけ告げ、電話を切って布団に入った。