ひょんなことから女の子
ブランクライフ 10
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hyon
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93 名前: 講師(アラバマ州) :2007/03/12(月) 22:46:04.28 ID:J2oSDtVD0
その後、呼ばれてきた女子への質問がはじまる
そんなもの、もはやどうでもいい
あの男の顔を見るだけで、吐き気がした
私があの女の言葉など何一つ覚えてやるものか
いろいろと語る女
私をどういう風に見ていたかを延々と喋り続ける
男のくせに女々しくてムカつく、いなくなって清々した
そんな言葉が口から次から次へと出てくる
そういう風に見られていたのか
あまりに自分の境遇が酷かったのだと呆れてしまう
そう、だんだんと忘れたかったことを思い出す
実際に私は記憶喪失だったのかもしれないとも思ったほどだ
今の私は顔面は蒼白としているだろうけど、会話の間、一度も笑顔は絶やしていない
そう、一秒たりとも
「……なにか思い出したみたいだね、とても大切なこととか」
真剣に私を見ている彼の目、少しも笑っていない口
彼は一体どこまで分かっているのか
前々から賢い人だとは思っていた
でも、こんな風になるのなら、ばかで良かったのに
優しくて、頭がいいコトがこんなに苦しいとは考えたこともなかった
「それじゃあ、帰ろう」
彼の手に押されて、ようやっと歩きはじめた
そんなもの、もはやどうでもいい
あの男の顔を見るだけで、吐き気がした
私があの女の言葉など何一つ覚えてやるものか
いろいろと語る女
私をどういう風に見ていたかを延々と喋り続ける
男のくせに女々しくてムカつく、いなくなって清々した
そんな言葉が口から次から次へと出てくる
そういう風に見られていたのか
あまりに自分の境遇が酷かったのだと呆れてしまう
そう、だんだんと忘れたかったことを思い出す
実際に私は記憶喪失だったのかもしれないとも思ったほどだ
今の私は顔面は蒼白としているだろうけど、会話の間、一度も笑顔は絶やしていない
そう、一秒たりとも
「……なにか思い出したみたいだね、とても大切なこととか」
真剣に私を見ている彼の目、少しも笑っていない口
彼は一体どこまで分かっているのか
前々から賢い人だとは思っていた
でも、こんな風になるのなら、ばかで良かったのに
優しくて、頭がいいコトがこんなに苦しいとは考えたこともなかった
「それじゃあ、帰ろう」
彼の手に押されて、ようやっと歩きはじめた
94 名前: 講師(アラバマ州) :2007/03/12(月) 22:47:40.90 ID:J2oSDtVD0
「随分と体調が悪そうだけど、何か思い出した?」
家についてから、彼は言った
思い出すも何も、私は何一つ忘れてなどいない
ただそれも、いまとなっては少しの自信しかないけれど
……こういう場合、私はなんといえばいいのだろう
ただただ、青ざめる私
彼の口が動く
もし、一生のお願いが仕えるのであれば、そのまま音として出て来ないで欲しい
本当の現実は非常で、ifはないのだけれど
「率直に聞こう。君は失踪した男の子、なんだろう?」
一体、どういう思考をしたら、そう結論づけられるのか、今考えてみるとどこかおかしいと思う
それでも、私の心を打ち砕くには十分だった
言葉が喉に張り付いて声にならない
台詞だけじゃなく、呼吸もきつかったんじゃないだろうか
ぱくぱくと口を動かす私に、再度、もっと簡単に質問が投げかけられた
「YESorNO?」
一体、なんと答えればいいのか、まったく分からなかった
ただ、無意識に、あくまで無意識に
私の返答は
家についてから、彼は言った
思い出すも何も、私は何一つ忘れてなどいない
ただそれも、いまとなっては少しの自信しかないけれど
……こういう場合、私はなんといえばいいのだろう
ただただ、青ざめる私
彼の口が動く
もし、一生のお願いが仕えるのであれば、そのまま音として出て来ないで欲しい
本当の現実は非常で、ifはないのだけれど
「率直に聞こう。君は失踪した男の子、なんだろう?」
一体、どういう思考をしたら、そう結論づけられるのか、今考えてみるとどこかおかしいと思う
それでも、私の心を打ち砕くには十分だった
言葉が喉に張り付いて声にならない
台詞だけじゃなく、呼吸もきつかったんじゃないだろうか
ぱくぱくと口を動かす私に、再度、もっと簡単に質問が投げかけられた
「YESorNO?」
一体、なんと答えればいいのか、まったく分からなかった
ただ、無意識に、あくまで無意識に
私の返答は
『NO』
だった
48 : 通訳(アラバマ州):2007/03/14(水) 14:23:03.19 ID:mRYVpg800
「ふぅん」
彼の目が私を縛り付ける
今まで見たことのない、完璧に人を疑った目
私がNOと答え、彼がそうと言ったきり、会話が無くなった
時計の針が一秒を刻む音、窓の外で吹き荒れる風、少しずつ速くなっていく心音
そういった音だけが、私の世界に存在している
私が本当のことを認めたら、彼は私を追い出すだろう
認めなかったとしても、私はこの家にいられなくなる
考えが嫌な方、嫌な方へ流れていく
どうすればいい、どうしたらいい、なにをすればいい
何一つ分からない
こんなに嫌われるのが辛いことだと思わなかった
誰から、どんな目に遭わされてもいい
それでも彼だけは笑っていてほしい
そばにいて、一緒にいて
時々でいいから、褒めてもらって、遊んで、何かを喋り合って
彼の目が私を縛り付ける
今まで見たことのない、完璧に人を疑った目
私がNOと答え、彼がそうと言ったきり、会話が無くなった
時計の針が一秒を刻む音、窓の外で吹き荒れる風、少しずつ速くなっていく心音
そういった音だけが、私の世界に存在している
私が本当のことを認めたら、彼は私を追い出すだろう
認めなかったとしても、私はこの家にいられなくなる
考えが嫌な方、嫌な方へ流れていく
どうすればいい、どうしたらいい、なにをすればいい
何一つ分からない
こんなに嫌われるのが辛いことだと思わなかった
誰から、どんな目に遭わされてもいい
それでも彼だけは笑っていてほしい
そばにいて、一緒にいて
時々でいいから、褒めてもらって、遊んで、何かを喋り合って
もう私には何が正しくて、何が間違っているのか分からない
彼にだけは見捨てられたくない、ただそれだけだった
彼にだけは見捨てられたくない、ただそれだけだった
49 : 通訳(アラバマ州):2007/03/14(水) 14:25:38.89 ID:mRYVpg800
私は何を思ったんだろう
彼の前に立って、抱きついて、そのまま上着の、その一番上のボタンに手をかけた
首筋に唇を当てて、やさしく耳の方へと舌を滑らせる
一つずつボタンを外して、だんだんと手は彼の下半身へ近づいていく
今にも吐きそうなくらい、気持ち悪かった
何か、思い出したくなかったものも鮮明に浮かんでくる
でも、でも、
こうでもしないと彼は私を追い出す。追い出して、私は……
「なぁ、本当にそれでいいのか?」
耳元で、なにか声が聞こえた
彼の前に立って、抱きついて、そのまま上着の、その一番上のボタンに手をかけた
首筋に唇を当てて、やさしく耳の方へと舌を滑らせる
一つずつボタンを外して、だんだんと手は彼の下半身へ近づいていく
今にも吐きそうなくらい、気持ち悪かった
何か、思い出したくなかったものも鮮明に浮かんでくる
でも、でも、
こうでもしないと彼は私を追い出す。追い出して、私は……
「なぁ、本当にそれでいいのか?」
耳元で、なにか声が聞こえた
50 : 通訳(アラバマ州):2007/03/14(水) 14:30:48.09 ID:mRYVpg800
「だって、こうするしかないから……」
「本当にそれでいいのか?」
「だって、私に他に出来ることはないし」
「本当にそれでいいのか?」
「だって……」
「本当にそれでいいのか?」
「……じゃあ、私は!私はどうすればいいの!」
叫んだ
本当に私は後悔ばかりする
今度も、なんでこんなことを叫んだんだろう、と直後に後悔した
「いい加減にしろ!」
彼に頬を叩かれたのは初めてだ
パァンと綺麗に響いた音がして、目は彼でなく、横を写していた
彼の方を向いた頬がジンジンと痛くなってきて、だんだんと理性が戻ってくる
顔を彼の方へ向けると、鬼みたいに怒った顔
「本当にそれでいいのか?」
「だって、私に他に出来ることはないし」
「本当にそれでいいのか?」
「だって……」
「本当にそれでいいのか?」
「……じゃあ、私は!私はどうすればいいの!」
叫んだ
本当に私は後悔ばかりする
今度も、なんでこんなことを叫んだんだろう、と直後に後悔した
「いい加減にしろ!」
彼に頬を叩かれたのは初めてだ
パァンと綺麗に響いた音がして、目は彼でなく、横を写していた
彼の方を向いた頬がジンジンと痛くなってきて、だんだんと理性が戻ってくる
顔を彼の方へ向けると、鬼みたいに怒った顔
あぁやっぱり、ね
彼にすら私は愛想をつかされた
それならもう、どうだっていいや。全部喋って、楽になろう
どうせ死ぬつもりだったんだから
彼は私を叩いてから何も言わなかった、なにも聞いてこなかった
別に聞いてなくってもいい
私が勝手に喋るだけだから
それならもう、どうだっていいや。全部喋って、楽になろう
どうせ死ぬつもりだったんだから
彼は私を叩いてから何も言わなかった、なにも聞いてこなかった
別に聞いてなくってもいい
私が勝手に喋るだけだから