オオヘビヌシノミコト

登録日:2025/08/09 Sat 00:00:15
更新日:2025/08/09 Sat 19:12:58NEW!
所要時間:約7分で読めます






『可愛い子には旅をさせろ』って言葉、ありますよね~

旅先での出会いが、最高の思い出になる事もあると思いますよ?

でも、慣れない土地では、時刻表をちゃんと確認しておきましょうね?


ということで、次回の『ウルトラマンオメガ』は、


ミコとミコト


私も旅した~い!









オオヘビヌシノミコトとは、円谷プロダクション制作の特撮テレビドラマ『ウルトラマンオメガ』に登場する怪獣である。


【データ】

別名:伝説蛇獣(でんせつじゃじゅう)
身長:2〜100m
体重:100kg〜1万t
操演士:新井宏幸、高橋舜


【概要】

第5話「ミコとミコト」に登場。
別名の通り蛇のような手足のない長い体を持つ怪獣で、体は金色がかった白の鱗に覆われており、後頭部からは後ろ向きに生えた黒い小さな角を2本生やしており、耳のようなヒダも相俟って東洋の龍にも見える外見が特徴。
両目は茶色の瞳と白目を持った大きなものだが、感情が高ぶるとそれらが真っ赤に染まる。

とある集落の近くにある山に生息しており、名前の由来はその集落に伝わる「人間と恋に落ちた蛇の神様」に由来する。
集落に引っ越してきたばかりのニシキ・ミコに偶然発見されて以降、「オオヘビヌシノミコト」の名前とそこから縮めた「ミコト」の愛称で呼ばれ、密かに世話をされてきた。

好物は鉄で、ミコからガラクタを与えられ続けた結果、当初は手のひらサイズだったが、既に人間と同じぐらいの大きさにまで成長している。
そうして自分を世話してくれるミコのことも気に入っているのかよく懐いているようだが、そのミコから何かを吸い上げているような様子もあり……?


【関連人物】

  • ニシキ・ミコ
演:土屋希乃

本エピソードの実質的な主人公。
2か月前に母親を病気で亡くし、父親も海外赴任中で孤立していたところをササコに引き取られ、彼女が暮らす集落に引っ越してきた。
母親を喪ったショックと慣れない田舎暮らしに馴染めないせいでふさぎ込んでおり、ササコともろくに会話しないなど、その関係はお世辞にもいいものとは言えず、偶然見つけたミコトに同じ独りぼっちとしてシンパシーを感じてからというもの、唯一心を開ける相手として依存しつつある。
本来は相応に明るい性格らしく、ミコトと触れ合っている時だけは年相応と言える姿を見せるが、そのミコトと触れ合う度に大きな疲労感を感じている他、突然倒れてしまうなど体調にも異変をきたしている。
本人は心配をかけさせまいとそれをミコトには隠しているのだが、その黒い髪の中には年の割には早すぎる白髪もあり……?

  • ササコ
演:氏家恵

ミコの叔母で現在の同居人。訛りの強い口調で話す。
朗らかでお喋り好きな性格で、ミコの親代わりを引き受けた他、初対面のオオキダ・ソラトにも野菜を分けたり、帰りのバスを逃してしまった彼を一晩泊めたりと世話好きで面倒見も良い。
彼女自身は独身のようで「子育てのことは分からない」と言いつつも、ミコのことを大切に思っており、彼女なりに寄り添おうとしているものの、年頃の彼女の誕生日プレゼントに農作業用の長靴を用意してしまうなど、微妙にズレた行動もあって上手くいかず思い悩んでいる。
農業を生業にしており、ミコも誘っているのだが全く応えられてはいない。

本作の主人公。
ホシミ・コウセイが送り忘れてしまったミコへの届け物を直接渡すべく彼女らが住む集落を訪れ、同時にミコとミコトの秘密を共有する事とになる。
浮世離れしつつも嫌味のない性格のためか、年上にすっかり気に入られ、行きのバスを逃して歩いて向かおうとしていたところを軽トラ乗りの「ヤマさん」に集落まで送ってもらったり、
その縁でミコトの餌になるガラクタも引き取ってくるなど、ミコとは対照的に速攻で集落やそこの人々に馴染んでいった。
ミコにも当初は警戒されていたものの、屈託のない言動から徐々に打ち解けていった。


【結末】

以下、ネタバレ注意

































先述の通り、ミコトの好物は鉄……なのだが、より厳密にはその鉄を構成する「鉄分」である。
そしてそれは、鉄を直接食べる以外にも周囲の生き物の血液の中にある鉄分を吸い取る形でも摂取されている。


ここまで読んでいただけた方はお分かりだろう。
ミコトはミコと触れ合う度に彼女から鉄分を奪っており、当のミコは鉄分を失って深刻な貧血状態に陥っていたのである。


彼女の若白髪もそれが原因であり、この症状は昨日今日始まったものではなく、ミコは引っ越してきてからというもの体調が悪化の一途を辿っており、医師からも「命に関わる」と診断されたほど。

ソラトが泊まった翌日に全てを知ってしまったミコだが、それでもミコトを放っておけず山に繰り出すも、肝心のミコトは過剰に鉄分を摂り続けた事で今までとは比べ物にならないレベルの巨体に成長。
森に身を隠す事もできなくなり、ミコやソラト以外の人々にもその存在がバレてしまった。
そんなミコを助けようと駆け付けたササコを敵と勘違いし、怒りのままに鉄分を吸い上げるが、今度は大好きなミコまでもがどんどん弱っていく姿や、そのササコがミコに心配そうに駆け寄る様子を見たミコトは突然怒りだし、制止しようとするミコの言葉も無視して集落に姿を現し、暴れ始めてしまう。
まるで自分の存在を──「倒すべき怪獣はここにいるぞ」と周りに知らしめるように……

これにはさすがのソラトもウルトラマンオメガに変身するが、「何か」を察したのかいつものような調子が出ない彼を鞭のようにしならせた尻尾や噛み付き攻撃で攻め立てるが、
そこへソラトからの連絡が途絶えたことを不審に思い、駆け付けたコウセイが召喚したレキネスが乱入し、そのまま怪獣同士の力比べを展開する。

そして、その戦いの中でオメガは確かに目にした。
真っ赤に染まったミコトの目から、小さな涙が零れ落ちる瞬間を。
その直後、意を決したオメガのオメガスラッガーでの一撃を喰らい、ミコトは絶命。
その体は花びらのように舞い散り、周囲へと霧散していった。

戦いの後、ソラトは先ほどのミコトのことを振り返っていた。


ひょっとしてアイツ……

「友達を守るには、ああするしかない」って思ったのかもな。


オメガの一撃を喰らう寸前、ミコトの目は怒りを表す深紅のものから、元の優しい目つきに戻っていた……


【余談】

  • その独特な体形から中に人が入って動かすのは難しい為、外側から動かす操演が用いられているのだが、ニュージェネレーションヒーローズ以降の新規怪獣では初となる。
    今回は上から糸を吊るす方式ではなく、グリーンバックとグリーンマンによる操演となっている。
    これを緑が多い外ロケで行っている為、本エピソードの演出を手掛けた越知靖監督は「映像スタッフは大変だっただろう」と語っている。

  • 描写を見る限り、鉄分を吸い上げる能力はミコトの意思とは無関係に発動してしまうものである模様。
    また、あくまでも憶測だが「名前の由来になった蛇の神様とはこのミコトのことではないか」という声もある。
    それらを踏まえると、ミコトとその恋人の女性とは「最悪の結末」を迎えてしまった可能性が考えられるが、果たして……

  • 元々が大人しい気性だったせいもあってか戦闘能力はそこまで高くはなく、攻撃手段も噛みつきと巻き付きといった自分の体を直接使ったもののみである他、オメガが初めてカラータイマーが鳴る前に倒した怪獣でもある。

  • 「田舎町の伝説に語られている」「山奥に生息、または休眠していた所を少女に見つけられて世話をされる」「その少女から活力となるエネルギーを奪い取って成長する」といった共通点から、1999年に公開された怪獣映画『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』に登場する怪獣・イリスを思い出す声もあった。
    ただし、その心情と少女との関係は真逆のものとなった(詳しくは映画本編をチェックされたし)。

  • 善良な怪獣ではあるが倒すしかなかったという悲劇的な結末から、一部の視聴者から「コスモスさえいてくれれば…」という声も出たりしたが、ミコトは自分の意思と別に無意識に人間の鉄分を吸ってしまう為、どうしても人間のスタッフを要する・割と簡単に見学者を受け入れている鏑矢諸島や、そもそもムサシ意外にも開拓を行っているスタッフが常駐している可能性が高い遊星ジュランでの共存は不可能に近く、コスモスでもどうしようもなかったと思われる。
    ただ、怪獣を殺さずにスパークドールズにして保護が可能なウルトラマンエックスであれば、まだ殺さずに済んだ可能性はあるし、かつてボルギルスの保護に成功した時のように「しばらく食べなくても大丈夫なほどの鉄分を供給する」ことが出来ればあるいは鏑矢諸島or遊星ジュランでの保護も不可能ではないのかもしれない。
    そんな量のスクラップを要求されたらそれはそれでヒウラキャップや佐原司令官も「いきなり無茶言ってくれちゃって…」とは思いそうであるが



追記・修正は、鉄分を吸われないようにお願いします。
















































後日。
いつものように農作業に精を出すササコの前に、ミコが現れる。
その顔はもう哀しみにまみれたものではなく、元の明るい優しげなものだった。

鉄分を無くして白髪交じりになってしまった髪と誕生日に贈られた同じ長靴。
そんな「お揃い」に2人は思わず笑い、ミコはササコを手伝うのだった。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年08月09日 19:12