41 :ひょんなことから女ねこ 2 ◆Z5if4Sx6mU :2008/06/26(木) 04:40:23.00 ID:Cu.tk7oo
一通り説明を聞き終わるうちに、別の猫が服を用意してくれた。 もちろん家にある服は男物の服だけだから、女性服が必要だったのだ。 キャシアともう一匹の猫にリビングで待ってもらい、着替える為に奥の部屋に入った。 「しかし、これを着るのか…」 猫が持ってきたからといって、服が変だという事は無かった。 しかし、いくら体が女性化したと行っても中身は男だ。抵抗がある。 それでも今は女なんだから、これを着ないほうが変だろうと諦める他なかった。
部屋着を脱ぎ捨てると、やわらかな少女の肌があらわになる。 下着まで脱ぐと「失われてしまった部分」を見てしまい、愕然とした。
さっきの説明を信じるなら、自分は王女なのだから今が本当の姿だという事になる。 「20年近く男として育ってきたのに、今更これはないだろう…」 薄暗い部屋に、少しだけ高くなった声が静かに響く。 つい言葉に出してしまったのは、 隣の部屋のキャシア達に今の絶望感を伝えたかったのかもしれない。 ただ、伝えたところでどうにかなるとも思えなかった。
42 :ひょんなことから女ねこ 2 ◆Z5if4Sx6mU :2008/06/26(木) 04:40:55.43 ID:Cu.tk7oo
ズボンだったら、幾分か楽だったかもしれない。 しかし用意されたのはスカートだった。着てみると思いのほか頼りない。 だから、部屋を出たときにキャシアから「お似合いです」といわれたのが恥ずかしかった。 猫の目線ならスカートの中が見えるのではないか?と思って。 後でこいつの性別を確かめておかないとな。名前からすると、雌のようだが。
そう考えていると、キャシアが怪訝そうにこっちを見ていた。 「どうしました、そろそろ行きましょう」 王女に対して言っているとは思えない、どこか遠慮のない声で急かされる。 でも自分も王女である実感がない。 「そうだな、案内してくれ。」 少しだけ偉そうに言い放ち、さっきまでの絶望感など無かったかのように振舞った。 「では行きましょう。われら猫の地、ニャンス王国へ」 そう言ったキャシアの顔は、少し安心したような表情だった。
43 :ひょんなことから女ねこ 2 ◆Z5if4Sx6mU :2008/06/26(木) 04:41:29.14 ID:Cu.tk7oo
マンションを出るとキャシアが先頭に立ち、その後ろに自分、さらに後ろに一匹の猫が続いた。 道中に詳しく説明をすると言っていたのにキャシアはずっと黙っていた。 キャシアに声をかけようとしたが、よくよく考えるとこの世界では猫が喋るのはおかしなことだ。 最初に会ったのが夢の中だったから良かったものの、 突然猫が喋りだしたら、びっくりするどころではないだろう。 仕方がないので黙ってついていく。
街中を歩いているので、夜でも人通りが多い。 猫に挟まれて歩いている自分はどんな風に見えただろう。 それと、ほんの数時間前に変わってしまった体が、どう見られているのかも気になった。 ただ幸いなことに、興味を持って視線を送る人など居なかった。
きょろきょろと辺りを見ながら歩いていると、ふと前にキャシアが居ないことに気づいた。 先導のキャシアは猫だ。ちゃんと下を見ていないと、当然だが見えなくなる。 足元を探そうとしたときに、足首に何かが当たった。キャシアだ。 無言で足首を叩き、前足を路地に向ける。この路地に入れということだ。
44 :ひょんなことから女ねこ 2 ◆Z5if4Sx6mU :2008/06/26(木) 04:42:57.52 ID:Cu.tk7oo
狭くて暗い路地に入ると、奥は真っ暗だった。 歩いてきた道と平行した道路があるから、路地はその道に通じているはずだ。 目を凝らして見てもやはり真っ暗だったが、ふと光るものを見つけた。 「王女さまのおなり!」 そうニャンスが言う先には10匹の猫。光っていたのは猫の目だ。 「お帰りなさいませ!王女様!」 何も知らなければ、猫が集団で鳴き喚いているようにしか見えなかっただろう。 そんな大合唱で迎えられた。
2匹+10匹の猫に連れられて路地を抜けた先は、広大な別世界だった。 ニャンス王国の入り口は丘になっていて広い範囲を見渡せるのだが、 どうやら見える範囲には城はないらしい。
7匹の大きなネズミが牽く車が用意され、これで城へ向かうという。 車に乗ると、いっぺんに色々ありすぎて疲れたからか、すぐに瞼が落ちてくる。 詳しい説明を聞こうと思ったのに、聞く気力はなかった。 ぼんやりと意識が薄れる中、車は城に向かっていた。