131 :ひょんなことから女ねこ 3 ◆Z5if4Sx6mU :2008/07/14(月) 04:10:02.51 ID:0E1ocrAo
車は草原を走っていた。車といっても自動車ではない。
馬車…の馬の代わりに大きなネズミ(のようなもの)が引いている鼠車だ。
ゴトゴトと舗装されていない道を走る振動で目が覚めた。
「おはようございます、王女様」
猫のキャシアがすぐに起きたことに気づき、挨拶をしてきた。
「おはよう。城には…まだ着かないのか?」
「人間界とつながっているモンプの村からお城まで二日ほどでございます。明日の昼頃には到着する事でしょう。」
「遠いな、ずっと車なのか?」
昨日は車に乗ってすぐ寝たのだが、
途中宿にもとまらず、夜通し車を走らせていたようだ。
ネズミが引いているのは夜目が利くからだろうか。
だが、さすがの巨大ネズミも二日も走り続ける事はできまい。
「今日は早めに宿をとりまして、そこでお城に上がる準備も致します。」
「そうか。宿まではあとどれくらい?」
「昼過ぎに着きます。ところで朝食は車中でお召し上がられますか?それとも外にテーブルをご用意致しましょうか。」
「中でいいよ。早く行って宿でゆっくりしたい」
「かしこまりました」
外が良いと言った場合、どうやって猫がテーブルなど出せるのだろうと思ったが、
脇にあるバスケットから器用にパンとポットを出しているところを見ると、
この世界の猫は人間並みに手足が動くようだ。心配はいらないのだろう。
132 :ひょんなことから女ねこ 3 ◆Z5if4Sx6mU :2008/07/14(月) 04:11:33.57 ID:0E1ocrAo
と、起きてからここまで、この状況に全く違和感がなかった自分が恐ろしい。
昨日の夜に、男から猫耳女に突然変身してしまった上に、
わけのわからない世界につれて来られている。それなのにこの冷静さはなんだろう。
この姿が本来の自分であることを体が知っていたのだろうか。それほど違和感がなかった。
車は草原を走っていた。車といっても自動車ではない。
馬車…の馬の代わりに大きなネズミ(のようなもの)が引いている鼠車だ。
ゴトゴトと舗装されていない道を走る振動で目が覚めた。
「おはようございます、王女様」
猫のキャシアがすぐに起きたことに気づき、挨拶をしてきた。
「おはよう。城には…まだ着かないのか?」
「人間界とつながっているモンプの村からお城まで二日ほどでございます。明日の昼頃には到着する事でしょう。」
「遠いな、ずっと車なのか?」
昨日は車に乗ってすぐ寝たのだが、
途中宿にもとまらず、夜通し車を走らせていたようだ。
ネズミが引いているのは夜目が利くからだろうか。
だが、さすがの巨大ネズミも二日も走り続ける事はできまい。
「今日は早めに宿をとりまして、そこでお城に上がる準備も致します。」
「そうか。宿まではあとどれくらい?」
「昼過ぎに着きます。ところで朝食は車中でお召し上がられますか?それとも外にテーブルをご用意致しましょうか。」
「中でいいよ。早く行って宿でゆっくりしたい」
「かしこまりました」
外が良いと言った場合、どうやって猫がテーブルなど出せるのだろうと思ったが、
脇にあるバスケットから器用にパンとポットを出しているところを見ると、
この世界の猫は人間並みに手足が動くようだ。心配はいらないのだろう。
132 :ひょんなことから女ねこ 3 ◆Z5if4Sx6mU :2008/07/14(月) 04:11:33.57 ID:0E1ocrAo
と、起きてからここまで、この状況に全く違和感がなかった自分が恐ろしい。
昨日の夜に、男から猫耳女に突然変身してしまった上に、
わけのわからない世界につれて来られている。それなのにこの冷静さはなんだろう。
この姿が本来の自分であることを体が知っていたのだろうか。それほど違和感がなかった。
改めて変身した体を眺める。
一晩寝て落ち着いたからか、これもなかなか良いなと思い始めた。
小さくなったから体がずいぶん軽くなった気がするし、
胸が小ぶりなのは…邪魔にならないって喜べば良いのか、それとも悲しめば良いのか。
人間じゃない変化も新鮮だ。耳の聞こえが良くなって、遠くの音までクリアに聞こえる。
尻尾は慣れないな。全く使ったことが無いから、どう使えば良いのかわからない。
一晩寝て落ち着いたからか、これもなかなか良いなと思い始めた。
小さくなったから体がずいぶん軽くなった気がするし、
胸が小ぶりなのは…邪魔にならないって喜べば良いのか、それとも悲しめば良いのか。
人間じゃない変化も新鮮だ。耳の聞こえが良くなって、遠くの音までクリアに聞こえる。
尻尾は慣れないな。全く使ったことが無いから、どう使えば良いのかわからない。
「王女様、紅茶が入りました」
「お、ありがと」
人間界のポット、それも魔法瓶のポットでお湯を運ぶようにしてから、
猫の国では移動中に熱い紅茶を飲むことが流行っているそうだ。
「…っんぁ!」
車のゆれに合わせて、想定以上の紅茶が口の中に入ってしまった。
猫人間になったからじゃなく、元々猫舌だ!熱い!
133 :ひょんなことから女ねこ 3 ◆Z5if4Sx6mU :2008/07/14(月) 04:12:32.56 ID:0E1ocrAo
「だ、大丈夫でございますか?」
「らいりょうう(だいじょうぶ)」
「すみません、もう少しさめてからお渡しすれば…」
「いいっれ。…あれ?れこのくにっれみんなれこりらっれわけらないの?」
(良いって。…あれ?猫の国ってみんな猫舌ってわけじゃないの?)
「人間界にはそういう言葉があるそうですね。
でも私たちは特に熱いのが苦手というわけではないのですよ」
「そうらのか。今度から僕用には少しさめたものを頼む」
「お、ありがと」
人間界のポット、それも魔法瓶のポットでお湯を運ぶようにしてから、
猫の国では移動中に熱い紅茶を飲むことが流行っているそうだ。
「…っんぁ!」
車のゆれに合わせて、想定以上の紅茶が口の中に入ってしまった。
猫人間になったからじゃなく、元々猫舌だ!熱い!
133 :ひょんなことから女ねこ 3 ◆Z5if4Sx6mU :2008/07/14(月) 04:12:32.56 ID:0E1ocrAo
「だ、大丈夫でございますか?」
「らいりょうう(だいじょうぶ)」
「すみません、もう少しさめてからお渡しすれば…」
「いいっれ。…あれ?れこのくにっれみんなれこりらっれわけらないの?」
(良いって。…あれ?猫の国ってみんな猫舌ってわけじゃないの?)
「人間界にはそういう言葉があるそうですね。
でも私たちは特に熱いのが苦手というわけではないのですよ」
「そうらのか。今度から僕用には少しさめたものを頼む」
親が猫の国「ニャンス王国」の人間だからといって、
自分はニャンス王国の事をよく知っているわけではない。
人間界で育ってきたから、人間界のことしかしらない。
今でも、この猫のパーツが付いた体を見ても、ちょっと良いなって思っても、
心の表層では、自分はまだ人間だと思いたかった。
134 :ひょんなことから女ねこ 3 ◆Z5if4Sx6mU :2008/07/14(月) 04:13:43.48 ID:0E1ocrAo
でもこんな風に、自分は猫の国を知り、猫の国の住人も自分を知り…
いずれ、名実ともに猫の国の住人になってしまうんだろうか。
いや、本当に猫の国の住人なのだ。この耳も、この尻尾も。
そしてそれを「良い」と思ったこの心も。もう戻れないんだ。元の生活には。
自分はニャンス王国の事をよく知っているわけではない。
人間界で育ってきたから、人間界のことしかしらない。
今でも、この猫のパーツが付いた体を見ても、ちょっと良いなって思っても、
心の表層では、自分はまだ人間だと思いたかった。
134 :ひょんなことから女ねこ 3 ◆Z5if4Sx6mU :2008/07/14(月) 04:13:43.48 ID:0E1ocrAo
でもこんな風に、自分は猫の国を知り、猫の国の住人も自分を知り…
いずれ、名実ともに猫の国の住人になってしまうんだろうか。
いや、本当に猫の国の住人なのだ。この耳も、この尻尾も。
そしてそれを「良い」と思ったこの心も。もう戻れないんだ。元の生活には。
「王女様…?どうされました?」
「ん、なにがどうした」
「涙が…」
「なんでもない。」
「しかし、」
「なんでもない!」
「ん、なにがどうした」
「涙が…」
「なんでもない。」
「しかし、」
「なんでもない!」
そう、なんでもない。こんなこと、なんでもないはずだ。
涙もろくなったな、と苦笑いしながら涙をぬぐう。
自分は、王女だ。うん。きっと王女だ。
こうなってしまった以上、それで通すしかない。もう泣き言はヤメだ。
それに出発前に聞いた話ではニャンス王国が存亡の危機ということだ。
「すまない。だが心配はいらん。そろそろ、ニャンスの話を詳しく聞こうか」
キャシアは静かに頷いて、語りだした。
涙もろくなったな、と苦笑いしながら涙をぬぐう。
自分は、王女だ。うん。きっと王女だ。
こうなってしまった以上、それで通すしかない。もう泣き言はヤメだ。
それに出発前に聞いた話ではニャンス王国が存亡の危機ということだ。
「すまない。だが心配はいらん。そろそろ、ニャンスの話を詳しく聞こうか」
キャシアは静かに頷いて、語りだした。