345 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:20:01.58 ID:H7KMJyE0
どんだけ☆エモーション(その9)
どんだけ☆エモーション(その9)
「ミヒロちゃん~、準備はできたの~?」
母さんが俺の部屋に向かって呼び掛ける。
「出来たから、今行くっ!」
俺は準備を済ますとぱたぱたと居間に向かう。
「うわ~似合っている!! お姉ちゃん!!」
実由が俺の姿を見て嬉しそうに騒ぐ。
「あらあら~、私のお下がりとは言え良く似合って可愛いわね~」
母さんも嬉しそうに言う。
「そ、そうかな? そう言ってくれると悪い気はしないけど…」
俺は鏡を見ながら自分の姿を確認する。
(元がいいからね、ミヒロちゃんなら何を着ても似合っているよww)
むむ、素直に喜べないけどありがとう。確かに似合っているので否定のしようが無いのだが。
一応、今の俺の姿は母さんのお下がりの制服を着ている状態だ。
とは言え、この制服姿は一時的なものでしかない。
母さんが俺の部屋に向かって呼び掛ける。
「出来たから、今行くっ!」
俺は準備を済ますとぱたぱたと居間に向かう。
「うわ~似合っている!! お姉ちゃん!!」
実由が俺の姿を見て嬉しそうに騒ぐ。
「あらあら~、私のお下がりとは言え良く似合って可愛いわね~」
母さんも嬉しそうに言う。
「そ、そうかな? そう言ってくれると悪い気はしないけど…」
俺は鏡を見ながら自分の姿を確認する。
(元がいいからね、ミヒロちゃんなら何を着ても似合っているよww)
むむ、素直に喜べないけどありがとう。確かに似合っているので否定のしようが無いのだが。
一応、今の俺の姿は母さんのお下がりの制服を着ている状態だ。
とは言え、この制服姿は一時的なものでしかない。
今日は俺がヒロアキとして通っていた高校にミヒロとして編入試験を受ける日。
とは言え、面接のみという事なのでそんなに大袈裟なものでは無い。
他の高校からの編入ということなので俺は他校の制服姿で行くことにする。
丁度、母さんが高校時代に着ていた制服を持っていたのでそれを着ることになった。
…しかし、俺の高校はブレザー。母さんはセーラー服の学校だったので
これを着るとなると…目立つよな。
まぁ仕方無いかと思いつつ、朝食を食べる。
「ミヒロちゃん、ちょっといい~?」
「ふぁ、ふに?(ん? なに?)」
食べながら返事をする俺。
(ミヒロちゃん、お行儀が悪い)
…ごめんなさい。
「女の子なんだから髪の毛位ブラッシングしましょうね~」
母さんは朝食を食べている俺の背後に立つと俺の髪の毛を弄り始める。
「ミヒロちゃんの髪、サラサラして綺麗ね~。このまま伸ばすといいわよ~」
「確かにそうだよねっ♪ もっと女の子らしくて可愛くなるよ、お姉ちゃん♪」
いつの間にか実由も俺の背後で俺の髪を弄っている。
「ちょっと、今食事中なんだから止めてくれる?」
「いいからいいから♪ ウフッ、お姉ちゃんの髪、いい匂いするよっ♪」
実由は俺の文句も意に介せず俺の髪を撫ぜつける。
栗色のショートヘアーの俺の髪は二人の手によってブラッシングされる。
「…」
初めは鬱陶しく感じていたが何気に髪を触られるのは心地良いことに気付く俺。
…気が付くとウットリしていた。
346 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:21:43.65 ID:H7KMJyE0
「さぁ、出来上がり~♪」
「ショートだからあまり派手な事も出来ないし、学生らしい髪型で今回は良しとしましょうか~」
「…出来たの?」
朝食を食べ終え、髪を弄られながらテレビを観ていた俺は二人の呼びかけで
鏡で自分の髪型を確認する。
「…」
何だかすっかり女の子っぽくなっちゃったな…。
(可愛い~、良く似合ってるww)
母さんや実由によって俺の髪型は髪留めで綺麗にセットされていた。
丁寧に髪を梳かされ艶のある髪の毛に派手では無いが可愛らしい花型の髪留めがセットされる。
鏡に映る少女が上品でなお且つキュートな感じに見えるのは俺の目の錯覚かな?
「やだ~ミヒロちゃんたら、可愛いんだから自信持ちなさい~」
「そうそう♪ あたしに似てキレイなんだからねっ♪」
…だから人の考えていることを読まないで欲しいんですが。
それにしても短時間でここまで俺の雰囲気が変わるとは…。
「さあさあ時間だし、二人とも学校に行ってくるのよ~」
「はーい♪」
「…うん」
俺は自分の姿を鏡であちこち確認していたが母さんに促されて出かける事にする。
とは言え、面接のみという事なのでそんなに大袈裟なものでは無い。
他の高校からの編入ということなので俺は他校の制服姿で行くことにする。
丁度、母さんが高校時代に着ていた制服を持っていたのでそれを着ることになった。
…しかし、俺の高校はブレザー。母さんはセーラー服の学校だったので
これを着るとなると…目立つよな。
まぁ仕方無いかと思いつつ、朝食を食べる。
「ミヒロちゃん、ちょっといい~?」
「ふぁ、ふに?(ん? なに?)」
食べながら返事をする俺。
(ミヒロちゃん、お行儀が悪い)
…ごめんなさい。
「女の子なんだから髪の毛位ブラッシングしましょうね~」
母さんは朝食を食べている俺の背後に立つと俺の髪の毛を弄り始める。
「ミヒロちゃんの髪、サラサラして綺麗ね~。このまま伸ばすといいわよ~」
「確かにそうだよねっ♪ もっと女の子らしくて可愛くなるよ、お姉ちゃん♪」
いつの間にか実由も俺の背後で俺の髪を弄っている。
「ちょっと、今食事中なんだから止めてくれる?」
「いいからいいから♪ ウフッ、お姉ちゃんの髪、いい匂いするよっ♪」
実由は俺の文句も意に介せず俺の髪を撫ぜつける。
栗色のショートヘアーの俺の髪は二人の手によってブラッシングされる。
「…」
初めは鬱陶しく感じていたが何気に髪を触られるのは心地良いことに気付く俺。
…気が付くとウットリしていた。
346 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:21:43.65 ID:H7KMJyE0
「さぁ、出来上がり~♪」
「ショートだからあまり派手な事も出来ないし、学生らしい髪型で今回は良しとしましょうか~」
「…出来たの?」
朝食を食べ終え、髪を弄られながらテレビを観ていた俺は二人の呼びかけで
鏡で自分の髪型を確認する。
「…」
何だかすっかり女の子っぽくなっちゃったな…。
(可愛い~、良く似合ってるww)
母さんや実由によって俺の髪型は髪留めで綺麗にセットされていた。
丁寧に髪を梳かされ艶のある髪の毛に派手では無いが可愛らしい花型の髪留めがセットされる。
鏡に映る少女が上品でなお且つキュートな感じに見えるのは俺の目の錯覚かな?
「やだ~ミヒロちゃんたら、可愛いんだから自信持ちなさい~」
「そうそう♪ あたしに似てキレイなんだからねっ♪」
…だから人の考えていることを読まないで欲しいんですが。
それにしても短時間でここまで俺の雰囲気が変わるとは…。
「さあさあ時間だし、二人とも学校に行ってくるのよ~」
「はーい♪」
「…うん」
俺は自分の姿を鏡であちこち確認していたが母さんに促されて出かける事にする。
「実由、俺の格好変じゃないかな?」
落ち着かない様子の俺はそわそわしながら実由に確認を求める。
登校までの道程、俺と実由は途中までは同じなのでそこまで一緒に向かって行く。
「全然変じゃないよ、むしろ可愛いすぎ♪ お姉ちゃんの姿、写メでたくさん撮っちゃった♪」
(流石、実由ちゃん。後で私にも見せてねww)
「うん♪」
「…」
347 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:22:53.65 ID:H7KMJyE0
「それより、制服のスカートちょっと丈が長くない?」
実由はそう言うと俺のスカートの裾を引っ張る。
「ちょっと、実由は何してんだよ」
「長いよー、これ。 何か長くてカッコよくないなぁー?」
「いや、俺は丁度良いけど。何か?」
俺は自分の着ている制服を確認する。
スカートの丈は膝上5センチ程。
実由が俺に買ったスカートやワンピースはどれも膝上20センチ以上は当たり前なので
長いといえば長いかも知れないが俺には丁度良い。
「駄目だよ、これじゃ。えいっ♪」
実由はいきなり俺のスカートのウエスト部分を折り返し始めた。
「ち、ちよっと、何してんだよ!」
「いいから、いいから♪」
「いくないっ!」
(あらあらww)
抵抗する間もなく俺のスカートの丈は実由によって膝上15センチほどに調整されてしまった。
「み、実由~またしてもお前は~っ!」
ガバッ!
「…ほえ?」
怒ろうとする俺の身体に抱きつく実由。
「ごめんねっ、お姉ちゃん」
「実由?」
実由の突然の行動に戸惑う俺。
「あたし、もっともっとお姉ちゃんには可愛くなって欲しいの。あたしの自慢の
お姉ちゃんになって欲しいの。この間まで男の子だったお姉ちゃんには嫌な事だとは思うけど…」
「実由…」
「だって折角こんなに可愛い女の子になったんだよ? あたしだってお姉ちゃんには
可愛さで負けたくないけど、常にあたしにとっての目標であって欲しいんだ、お姉ちゃんには」
上目遣いで俺に抱きつきつつ話す実由。
…ちくしょー可愛いじゃねーか。
俺は俺で実由を抱きしめたくなる衝動を抑える。
それにしても実由の行動は俺に対する想いがあるが故の行動だと納得する。
「…とりあえず実由の気持ちは分かったけど、あんまりやり過ぎは良くないからな」
実由の仕草に何気に萌えを覚えつつ、いちおう釘を刺す俺。
「うん、ありがとうお姉ちゃん、でも安心して。あんまり短くし過ぎると面接に響くから
今回は抑え気味にしておいたから♪」
ペロッと舌を出してニッコリ笑う実由。
(実由ちゃんって、ホント可愛いよねww ミヒロちゃんはいい妹を持って幸せだねww)
「エヘヘー、アリガトー、マル姉ちゃん♪」
「… まぁ、いいや」
…何だかもうどうでも良くなってしまった。
ホントにこの人たちって。
348 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:25:13.72 ID:H7KMJyE0
◇
落ち着かない様子の俺はそわそわしながら実由に確認を求める。
登校までの道程、俺と実由は途中までは同じなのでそこまで一緒に向かって行く。
「全然変じゃないよ、むしろ可愛いすぎ♪ お姉ちゃんの姿、写メでたくさん撮っちゃった♪」
(流石、実由ちゃん。後で私にも見せてねww)
「うん♪」
「…」
347 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:22:53.65 ID:H7KMJyE0
「それより、制服のスカートちょっと丈が長くない?」
実由はそう言うと俺のスカートの裾を引っ張る。
「ちょっと、実由は何してんだよ」
「長いよー、これ。 何か長くてカッコよくないなぁー?」
「いや、俺は丁度良いけど。何か?」
俺は自分の着ている制服を確認する。
スカートの丈は膝上5センチ程。
実由が俺に買ったスカートやワンピースはどれも膝上20センチ以上は当たり前なので
長いといえば長いかも知れないが俺には丁度良い。
「駄目だよ、これじゃ。えいっ♪」
実由はいきなり俺のスカートのウエスト部分を折り返し始めた。
「ち、ちよっと、何してんだよ!」
「いいから、いいから♪」
「いくないっ!」
(あらあらww)
抵抗する間もなく俺のスカートの丈は実由によって膝上15センチほどに調整されてしまった。
「み、実由~またしてもお前は~っ!」
ガバッ!
「…ほえ?」
怒ろうとする俺の身体に抱きつく実由。
「ごめんねっ、お姉ちゃん」
「実由?」
実由の突然の行動に戸惑う俺。
「あたし、もっともっとお姉ちゃんには可愛くなって欲しいの。あたしの自慢の
お姉ちゃんになって欲しいの。この間まで男の子だったお姉ちゃんには嫌な事だとは思うけど…」
「実由…」
「だって折角こんなに可愛い女の子になったんだよ? あたしだってお姉ちゃんには
可愛さで負けたくないけど、常にあたしにとっての目標であって欲しいんだ、お姉ちゃんには」
上目遣いで俺に抱きつきつつ話す実由。
…ちくしょー可愛いじゃねーか。
俺は俺で実由を抱きしめたくなる衝動を抑える。
それにしても実由の行動は俺に対する想いがあるが故の行動だと納得する。
「…とりあえず実由の気持ちは分かったけど、あんまりやり過ぎは良くないからな」
実由の仕草に何気に萌えを覚えつつ、いちおう釘を刺す俺。
「うん、ありがとうお姉ちゃん、でも安心して。あんまり短くし過ぎると面接に響くから
今回は抑え気味にしておいたから♪」
ペロッと舌を出してニッコリ笑う実由。
(実由ちゃんって、ホント可愛いよねww ミヒロちゃんはいい妹を持って幸せだねww)
「エヘヘー、アリガトー、マル姉ちゃん♪」
「… まぁ、いいや」
…何だかもうどうでも良くなってしまった。
ホントにこの人たちって。
348 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:25:13.72 ID:H7KMJyE0
◇
途中で実由と別れた後、俺は高校に辿り着いた。
…女の子になってから初めての学校。試験無しとはいえ妙にドキドキする。
…女の子になってから初めての学校。試験無しとはいえ妙にドキドキする。
「…う~ん」
(どうかした?)
―いや、何だかな。
周りの視線が気になるのは俺の気のせいだけではないような。
通りすがる生徒のほとんどが俺の姿をさっきからチラチラと見ているのはブレザーの学校の中に
一人だけセーラー服の女生徒がいるのが珍しいからであろう。
やっぱりこの制服だもんな、目立つよな…と思いつつ受付の事務員さんに連れられ俺は
2階の会議室まで向かう。丁度時間的にもHR前の生徒が登校して賑わっている時間帯なので
会議室までの道程は良くも悪くも見世物状態で困ったものである。
それにしても廊下に居る生徒達が普段より多く見えるのは気のせい?
(どうかした?)
―いや、何だかな。
周りの視線が気になるのは俺の気のせいだけではないような。
通りすがる生徒のほとんどが俺の姿をさっきからチラチラと見ているのはブレザーの学校の中に
一人だけセーラー服の女生徒がいるのが珍しいからであろう。
やっぱりこの制服だもんな、目立つよな…と思いつつ受付の事務員さんに連れられ俺は
2階の会議室まで向かう。丁度時間的にもHR前の生徒が登校して賑わっている時間帯なので
会議室までの道程は良くも悪くも見世物状態で困ったものである。
それにしても廊下に居る生徒達が普段より多く見えるのは気のせい?
「ではこの部屋で待っていて下さい。担当の先生が来ますので」
事務員さんは俺を会議室まで案内すると戻っていった。
数多くの視線から開放された俺はホッとしたせいか会議室の椅子に深々と座り込んだ。
(なんだか疲れた…すごくたくさんの視線を浴びたせいかな?)
マルさんの意識が流れてくる。
…確かに疲れた。全く初めからこれじゃ先が思いやられるよ。
できれば帰りは生徒が学校をウロウロしない時間に帰りたいもんだなぁ…。
事務員さんは俺を会議室まで案内すると戻っていった。
数多くの視線から開放された俺はホッとしたせいか会議室の椅子に深々と座り込んだ。
(なんだか疲れた…すごくたくさんの視線を浴びたせいかな?)
マルさんの意識が流れてくる。
…確かに疲れた。全く初めからこれじゃ先が思いやられるよ。
できれば帰りは生徒が学校をウロウロしない時間に帰りたいもんだなぁ…。
それにしても自分の状況が変わると普段見慣れているはずの学校の光景まで
違っているように感じるのは気のせいだろうか。
何だか今の自分はここの学校の生徒というより、お客様というか余所者というか
そんな感覚で此処にいるような気がしてならない。
…不思議な違和感を感じる。
こんなんで今後この学校でやっていけるのかな…?
妙に不安が俺の中によぎる。
(ミヒロちゃん、心配し過ぎだよ?)
…分かっているけどさ。
違っているように感じるのは気のせいだろうか。
何だか今の自分はここの学校の生徒というより、お客様というか余所者というか
そんな感覚で此処にいるような気がしてならない。
…不思議な違和感を感じる。
こんなんで今後この学校でやっていけるのかな…?
妙に不安が俺の中によぎる。
(ミヒロちゃん、心配し過ぎだよ?)
…分かっているけどさ。
ガチャ。
俺が色々考えこんでいると会議室のドアが開いた。
「あなたがこの学校に編入することになった方ですね」
「あ、ハイ、そうです」
俺は振り返り声の主を確認する。
「はじめまして。私は本日の面接を担当する新井です。よろしくねミヒロちゃんww」
俺が色々考えこんでいると会議室のドアが開いた。
「あなたがこの学校に編入することになった方ですね」
「あ、ハイ、そうです」
俺は振り返り声の主を確認する。
「はじめまして。私は本日の面接を担当する新井です。よろしくねミヒロちゃんww」
あれ? え? …千絵先生?
どうして俺(ヒロアキ)の担任がここに?
349 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:27:42.61 ID:H7KMJyE0
◇
どうして俺(ヒロアキ)の担任がここに?
349 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:27:42.61 ID:H7KMJyE0
◇
新井 千絵。 母さんの親友であり、俺のクラス担任であるこの人は
高校のみならず俺が幼い頃から色々と面倒を見てもらっている顔馴染みの人である。
高校のみならず俺が幼い頃から色々と面倒を見てもらっている顔馴染みの人である。
「こうして見るとハルちゃん(母さんの愛称)の昔の頃と同じで可愛いわね~、
その制服ってハルちゃんの高校時代のものでしょ? 懐かしいわねぇ、だから雰囲気も
似てるのかしらね? 実由ちゃんにもソックリだし、ホント可愛い~」
面接などそっちのけで俺の姿について観察しまくる千絵先生。
俺の顔やら身体やらペタペタと触ってくるのが何とも。
「あ、あの…興味が湧くのは仕方の無い事かも知れないけど…ホントに勘弁して、千絵先生っ」
「え~?だって、こんなにヒロちゃんがカワユクなっちゃったんだよ!?
私、我慢できないよぉ~!」
そう言って俺に抱きついて頬ずりする千絵先生。
ああ、もう、千絵先生といい、うちの家族といい…。
その制服ってハルちゃんの高校時代のものでしょ? 懐かしいわねぇ、だから雰囲気も
似てるのかしらね? 実由ちゃんにもソックリだし、ホント可愛い~」
面接などそっちのけで俺の姿について観察しまくる千絵先生。
俺の顔やら身体やらペタペタと触ってくるのが何とも。
「あ、あの…興味が湧くのは仕方の無い事かも知れないけど…ホントに勘弁して、千絵先生っ」
「え~?だって、こんなにヒロちゃんがカワユクなっちゃったんだよ!?
私、我慢できないよぉ~!」
そう言って俺に抱きついて頬ずりする千絵先生。
ああ、もう、千絵先生といい、うちの家族といい…。
…しかし、なるほど。
全ては母さん達が上手く手を回してくれたお陰で俺は特に今後の生活についての
問題は無いわけである。千絵先生も良き理解者として俺の学校生活のフォローを約束してくれたし。
(なんにせよ、ひと安心だよねww)
…まぁ、確かに。
…でもね。
問題は無いわけである。千絵先生も良き理解者として俺の学校生活のフォローを約束してくれたし。
(なんにせよ、ひと安心だよねww)
…まぁ、確かに。
…でもね。
ザワザワと帰り時間で生徒達が賑わう校内。
こうなる事はある程度予想はついていたがホントになってしまうのは何とも。
恨めしそうに会議室から外の様子を伺う俺。
こうなる事はある程度予想はついていたがホントになってしまうのは何とも。
恨めしそうに会議室から外の様子を伺う俺。
「帰りは元々居た学校だし、全然問題ないでしょ? 私この後試験の添削があるから
見送りできないのよね~」
千絵先生はそう言うと職員室に戻っていってしまった。
見送りできないのよね~」
千絵先生はそう言うと職員室に戻っていってしまった。
俺の面接自体はそんなに時間のかかるものでは無く、書類関係の提出と今後の生活についての
色々なレクチャーで済んだので実質1時間程度で済んでしまった。
しかし。
「…千絵先生、俺、もう帰りたいんですけど」
「え~?駄目よ。もう少しお話しましょ?」
「試験の担当は大丈夫なの?」
「あ、全然大丈夫。ヒロちゃんの面接と手続きで他の仕事はキャンセルしてるから」
「キャンセルって、どういう事?」
早く帰れるはずが千絵先生が俺を全然解放してくれないものだから
結局、学校の生徒達の帰る時間帯と重なってしまったよ。
色々なレクチャーで済んだので実質1時間程度で済んでしまった。
しかし。
「…千絵先生、俺、もう帰りたいんですけど」
「え~?駄目よ。もう少しお話しましょ?」
「試験の担当は大丈夫なの?」
「あ、全然大丈夫。ヒロちゃんの面接と手続きで他の仕事はキャンセルしてるから」
「キャンセルって、どういう事?」
早く帰れるはずが千絵先生が俺を全然解放してくれないものだから
結局、学校の生徒達の帰る時間帯と重なってしまったよ。
ううっ、…行き同様、俺は生徒達の興味の視線に包まれそうです。
350 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:31:47.52 ID:H7KMJyE0
◇
キョロキョロを辺りを見回す俺。
(ミヒロちゃん、挙動不審ww)
うるさい。分かっているよ、そんなの。
さすがに二度も大勢の生徒の視線に耐えられるほど俺のハートは強くない(?)ので
なるべく生徒のいないところをチェックしつつ、家に帰ることにする。
校舎を上手くスルーして学校から出てしまえば後は普通に帰るだけなので
そこまでが勝負といったところか。
会議室前の廊下は部屋の用途から人の通りの少ない場所に位置しているわけではあるが
裏口へ降りるまでの階段へ向かうには生徒の通行の多い連絡廊下を通る必要がある。
う~む、迷っていても仕方が無い。
(そうよ、女は度胸っていうじゃありませんか)
ええっ!? マルさん!?
…
そうこうして裏口から校舎を出ることに成功した俺。
完璧とはいえないがそれでもそんなに大勢の生徒達の視線を浴びることなく
ここまで来れたのは俺の天性の逃げ足のテクニックの成せる技か。
…周りを見ている余裕が無かったともいえるけど。
裏口からはグラウンドが見渡せる位置にあり、サッカー部時代の俺は
よくこの裏出口からクラブ活動に向かっていたっけ。
試験期間中もあってグラウンドは人の気配もなく、閑散としている。
そんなに懐かしさも感慨も全然ないのだがグラウンド内を何となくブラブラと歩いてみる。
「ん?」
サッカーゴールのところに何故かサッカーボールが転がっているのを発見する俺。
思わずゴールの場所に向かう。
(どうしたの?)
「サッカーボールが落ちているんだ、部の奴だろうなきっと」
(サッカーボウル?)
「誰だよ…だらしないなぁ」
口とは裏腹に元々サッカーが好きでクラブ活動を続けてきた俺である。
久々に触るサッカーボールの感触に妙に心が浮き立つのは気のせいではあるまい。
(どうするの?)
「まぁ見てなよ。よっ、おっ」
借り物の制服だし、あまり汚れることの無い程度でボールに戯れる。
久々のボールではあるがわりと身体がいい感じで動くので楽しくなってきた。
初めは簡単なリフティング、ドリフト程度であったが調子がいいので難しい事にも
挑戦したくなる俺。
(ミヒロちゃんすごいww )
―意外に身体が調子いいというか、あれだけ気になっていた脚の状態も悪くないというか…
不思議なんだけど、怪我をしてサッカーを辞める前の状態に戻っているような気がするよっ。
この格好で動きすぎるとスカートが短いからあまり良くないよなと思うが…
誰も居ないし、楽しいし。まぁいいや。
「ほっ、よしっ」
…しかし、脚の調子がホント良いなぁ。どうしちゃったんだろ?
(そうね、実はミヒロちゃんが女の子になった際に脚の状態が悪いのは気になってた)
―ん?
(だからいいのかなと思いつつも私、ミヒロちゃんの脚をあるべき状態に戻しちゃったww)
―ん?
…
え、ええ~っ!!
どういうことですか、マルさん!?
351 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:33:52.60 ID:H7KMJyE0
(まぁ、何といいますか、私には多少ながら"力"があって、私が一つになる相手の状態が悪い時は
治療したりとか出来るんだよねww)
何となくではあるが照れくさそうな感情のマルさんの意識が流れてくる。
「そうだったんだ…。だからこれだけ俺の脚の状態が絶好調なわけなんだ…」
マルさんにそんな力があるとは…別に今更驚く程の事ではないけど、でもその恩恵を受けている
俺はマルさんに感謝せねばならないわけで。
…でも正直なところ男の時に治して欲しかったなぁ。
350 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:31:47.52 ID:H7KMJyE0
◇
キョロキョロを辺りを見回す俺。
(ミヒロちゃん、挙動不審ww)
うるさい。分かっているよ、そんなの。
さすがに二度も大勢の生徒の視線に耐えられるほど俺のハートは強くない(?)ので
なるべく生徒のいないところをチェックしつつ、家に帰ることにする。
校舎を上手くスルーして学校から出てしまえば後は普通に帰るだけなので
そこまでが勝負といったところか。
会議室前の廊下は部屋の用途から人の通りの少ない場所に位置しているわけではあるが
裏口へ降りるまでの階段へ向かうには生徒の通行の多い連絡廊下を通る必要がある。
う~む、迷っていても仕方が無い。
(そうよ、女は度胸っていうじゃありませんか)
ええっ!? マルさん!?
…
そうこうして裏口から校舎を出ることに成功した俺。
完璧とはいえないがそれでもそんなに大勢の生徒達の視線を浴びることなく
ここまで来れたのは俺の天性の逃げ足のテクニックの成せる技か。
…周りを見ている余裕が無かったともいえるけど。
裏口からはグラウンドが見渡せる位置にあり、サッカー部時代の俺は
よくこの裏出口からクラブ活動に向かっていたっけ。
試験期間中もあってグラウンドは人の気配もなく、閑散としている。
そんなに懐かしさも感慨も全然ないのだがグラウンド内を何となくブラブラと歩いてみる。
「ん?」
サッカーゴールのところに何故かサッカーボールが転がっているのを発見する俺。
思わずゴールの場所に向かう。
(どうしたの?)
「サッカーボールが落ちているんだ、部の奴だろうなきっと」
(サッカーボウル?)
「誰だよ…だらしないなぁ」
口とは裏腹に元々サッカーが好きでクラブ活動を続けてきた俺である。
久々に触るサッカーボールの感触に妙に心が浮き立つのは気のせいではあるまい。
(どうするの?)
「まぁ見てなよ。よっ、おっ」
借り物の制服だし、あまり汚れることの無い程度でボールに戯れる。
久々のボールではあるがわりと身体がいい感じで動くので楽しくなってきた。
初めは簡単なリフティング、ドリフト程度であったが調子がいいので難しい事にも
挑戦したくなる俺。
(ミヒロちゃんすごいww )
―意外に身体が調子いいというか、あれだけ気になっていた脚の状態も悪くないというか…
不思議なんだけど、怪我をしてサッカーを辞める前の状態に戻っているような気がするよっ。
この格好で動きすぎるとスカートが短いからあまり良くないよなと思うが…
誰も居ないし、楽しいし。まぁいいや。
「ほっ、よしっ」
…しかし、脚の調子がホント良いなぁ。どうしちゃったんだろ?
(そうね、実はミヒロちゃんが女の子になった際に脚の状態が悪いのは気になってた)
―ん?
(だからいいのかなと思いつつも私、ミヒロちゃんの脚をあるべき状態に戻しちゃったww)
―ん?
…
え、ええ~っ!!
どういうことですか、マルさん!?
351 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:33:52.60 ID:H7KMJyE0
(まぁ、何といいますか、私には多少ながら"力"があって、私が一つになる相手の状態が悪い時は
治療したりとか出来るんだよねww)
何となくではあるが照れくさそうな感情のマルさんの意識が流れてくる。
「そうだったんだ…。だからこれだけ俺の脚の状態が絶好調なわけなんだ…」
マルさんにそんな力があるとは…別に今更驚く程の事ではないけど、でもその恩恵を受けている
俺はマルさんに感謝せねばならないわけで。
…でも正直なところ男の時に治して欲しかったなぁ。
「ミヒロちゃん!? どうしたの? こんなところで?」
不意に俺を名を呼ぶ声。
「! あれ?」
(あらww)
スポーツウェア姿のサトシが小脇にサッカーボールを抱え驚きの表情で俺の姿を見ていた。
「サトシ…くん」
俺も予期せぬ相手の登場に戸惑いの表情を浮かべつつボールを操る脚の動きを止める。
「ミヒロちゃん、その格好は学校に試験を受けに来たのかい?」
「う、うん、そうなんだ。これは前の学校の制服なんだけど…」
ぎこちなく自分の着ている制服を見せる仕草をする俺。
「なる程なぁ、吉田が言ってたのはこの事だったんだ」
「何が?」
妙に納得した表情のサトシの言葉が気になる俺。
「うん、今朝、セーラー服のすっげーカワイイ子がうちの学校にやって来て騒ぎになっているって」
「ええっ? それって…」
「うん、ミヒロちゃんのことでしょ? うちのクラスの奴ばかりじゃなくて他のクラスの奴らも
みんな話を聞いて見に行ったらしいよ」
「…」
思わず赤面して黙り込む俺。やっぱり目立っていたのは自分の気のせいでは無かったんだ…。
道理であんなに人が居たわけだ。
それにしても、カワイイって…。
352 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:35:26.78 ID:H7KMJyE0
ねえ、ミヒロちゃんって、サッカーやってたの?」
「どういう事?」
サトシの質問に思わず返す俺。
「いや、グラウンドに向かう時、セーラー服の女の子がサッカーボールを操っているのは
見えていたんだけど、あまりにも上手すぎてとても素人とは思えなかったんだ。
まさかその女の子がミヒロちゃんなんて全然思いもしなかったんだけどね」
流石、サッカー部ナンバー1のサトシだ。俺の何気ないボールさばきが尋常では無いことに
気付いているとは。考えてみると俺はFWプレイヤーのサトシをフルに生かす為に
様々な技術を身につけるべく特訓していたものだ。当時、俺の存在は全国に通用する
MFとしてサトシ共々注目されていた気がする。
「えーと、まぁ、多少かな…」
とは言えサトシの問いには曖昧に答える俺。
「多少って、そんなレベルじゃないよね。女子サッカー部にでも入ってた?」
「う~ん、それ程じゃないって」
とりあえず謙遜するが、かなりのレベルだと自負しているのは言うまでもない。
でもこの場合はあまり目立った事はしないほうがいいなと思う。
「いや、あれはかなりのレベルだって。あれは俺が見る限り…」
「おr、じゃなかった…私の事はいいから。それよりサトシ君はなんでここに?
まだ試験期間中だったよね?」
俺について目を輝かして聞いてくるサトシの姿に若干引き気味の俺は話を変えるべく
話題を変えようとする。
「え?俺? 俺はもう試験も明日で終わりだし、そろそろ身体を動かさないといけないなって。
流石に身体も鈍ってきたしね。勉強しなくても試験はいけそうだし。」
俺と会話しつつ柔軟体操を始めるサトシ。
「へ~そうなんだ、すごいね。よっぽどサッカーが好きなんだね?」
「…まぁ、好きというのもあるけど、俺はそれだけじゃないって言うか…」
ちょっと言い澱むサトシ。
「ん? それだけじゃないって?」
「…うん、まぁ、その、なんだろう? 俺にとってのサッカーは自分だけのものでは
無いっていうか…」
…自分だけのものじゃない?
俺はサトシの言った事を色々考えてみる
「! あれ?」
(あらww)
スポーツウェア姿のサトシが小脇にサッカーボールを抱え驚きの表情で俺の姿を見ていた。
「サトシ…くん」
俺も予期せぬ相手の登場に戸惑いの表情を浮かべつつボールを操る脚の動きを止める。
「ミヒロちゃん、その格好は学校に試験を受けに来たのかい?」
「う、うん、そうなんだ。これは前の学校の制服なんだけど…」
ぎこちなく自分の着ている制服を見せる仕草をする俺。
「なる程なぁ、吉田が言ってたのはこの事だったんだ」
「何が?」
妙に納得した表情のサトシの言葉が気になる俺。
「うん、今朝、セーラー服のすっげーカワイイ子がうちの学校にやって来て騒ぎになっているって」
「ええっ? それって…」
「うん、ミヒロちゃんのことでしょ? うちのクラスの奴ばかりじゃなくて他のクラスの奴らも
みんな話を聞いて見に行ったらしいよ」
「…」
思わず赤面して黙り込む俺。やっぱり目立っていたのは自分の気のせいでは無かったんだ…。
道理であんなに人が居たわけだ。
それにしても、カワイイって…。
352 :vqzqQCI0 :2008/10/31(金) 03:35:26.78 ID:H7KMJyE0
ねえ、ミヒロちゃんって、サッカーやってたの?」
「どういう事?」
サトシの質問に思わず返す俺。
「いや、グラウンドに向かう時、セーラー服の女の子がサッカーボールを操っているのは
見えていたんだけど、あまりにも上手すぎてとても素人とは思えなかったんだ。
まさかその女の子がミヒロちゃんなんて全然思いもしなかったんだけどね」
流石、サッカー部ナンバー1のサトシだ。俺の何気ないボールさばきが尋常では無いことに
気付いているとは。考えてみると俺はFWプレイヤーのサトシをフルに生かす為に
様々な技術を身につけるべく特訓していたものだ。当時、俺の存在は全国に通用する
MFとしてサトシ共々注目されていた気がする。
「えーと、まぁ、多少かな…」
とは言えサトシの問いには曖昧に答える俺。
「多少って、そんなレベルじゃないよね。女子サッカー部にでも入ってた?」
「う~ん、それ程じゃないって」
とりあえず謙遜するが、かなりのレベルだと自負しているのは言うまでもない。
でもこの場合はあまり目立った事はしないほうがいいなと思う。
「いや、あれはかなりのレベルだって。あれは俺が見る限り…」
「おr、じゃなかった…私の事はいいから。それよりサトシ君はなんでここに?
まだ試験期間中だったよね?」
俺について目を輝かして聞いてくるサトシの姿に若干引き気味の俺は話を変えるべく
話題を変えようとする。
「え?俺? 俺はもう試験も明日で終わりだし、そろそろ身体を動かさないといけないなって。
流石に身体も鈍ってきたしね。勉強しなくても試験はいけそうだし。」
俺と会話しつつ柔軟体操を始めるサトシ。
「へ~そうなんだ、すごいね。よっぽどサッカーが好きなんだね?」
「…まぁ、好きというのもあるけど、俺はそれだけじゃないって言うか…」
ちょっと言い澱むサトシ。
「ん? それだけじゃないって?」
「…うん、まぁ、その、なんだろう? 俺にとってのサッカーは自分だけのものでは
無いっていうか…」
…自分だけのものじゃない?
俺はサトシの言った事を色々考えてみる