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  • ひょんなことから女の子
  • vqzqQCI0 1-10

ひょんなことから女の子

vqzqQCI0 1-10

最終更新:2009年02月21日 07:53

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
361 :vqzqQCI0 :2008/11/19(水) 05:20:53.14 ID:jTQi0tY0
   どんだけ☆エモーション(その10)

「よし、柔軟終了」
サトシはサッカーボールを脚で軽く転がし始める。
さらにボールを扱う簡単な動きをするサトシ。
「…」
じっとサトシの動きを見つめる俺。
流石にその動きは無駄が無く、サトシのレベルの高さがうかがえる。
考えて見たら俺がサッカーを辞めてからサトシのプレーを見ることなんて全然無かった。
多分あの頃よりもサトシは格段にレベルアップしているよな。
…。
「どうしたの? そんなにじっと見て?」
「え?」
俺はサトシに言われてハッとする。
気が付けば俺はサトシの動きをじっと見続けていた。
「ミヒロちゃん、好きなんでしょ?」
サトシはニッコリ笑って俺を見る。
「!? そ、そんな事ないよっ?」
好き? 急に何を言うんだろ? コイツは!?
思わず上ずった声で答える。
「ふ~ん、そうなの? でもさっきのミヒロちゃん、生き生きとボールを追いかけて
いたような…」
「な、何言ってるの? 別に好きで見てるわけじゃないんだからね?」
「え? 見ている? ミヒロちゃん、サッカーはプレーより観戦するほうが好きなの?」
俺の返答に不思議そうに尋ねるサトシ。
「え? ええっ? 好きって、そっちの方!?」
「え? そっちって?」
「い、いや、何でも無い! 何でも有りません!」
顔を赤らめて否定する俺。何やらお互いに論点がずれていたようで。
サトシはサッカー、俺は…(///)。
「ふ~ん、そうなの? はい、パス!」
いきなり俺にボールを寄こすサトシ。
「え、えっ?」
戸惑いながらもボールをトラップする俺。
「ミヒロちゃん、パス、パス!」
矢継ぎ早にサトシはボールを要求すると走り出す。
「あ、もう、なんなんだよ」
俺はつられつつもサトシに向けてボールを蹴る。
蹴り出されたボールは走っているサトシの足元に的確に転がる。
「ナイス、パス!」
サトシは再び俺に向けてボールを蹴る。
今度はさっきと違い速いスピードでボールがやって来た。
俺はそれをトラップしてサトシにパスする。
362 :vqzqQCI0 :2008/11/19(水) 05:23:03.11 ID:jTQi0tY0
ボールはサトシの元に届く。
「上手いね、いくよっ!」
今度のボールは高く浮き上がって俺の元へ飛んできた。
俺はそれを難なく胸でトラップするとサトシにパスする。
「いたた…」
男の時と違い、胸のトラップは痛かったかも…。
(ミヒロちゃん、女の子なんだから胸で受けるのは駄目よっ)
―そうですね、ごめんなさい…。
それでも的確に蹴られたボールは再びサトシの足元に届く。
そんなやりとりが何回か続く。
しかし何回やっても俺の放ったボールはサトシの足元にピタッと届く。
「…やっぱりこの子、かなりできる」
サトシは呟くとドリブルで俺の元までやって来る。
「ミヒロちゃん、いきなりゴメンね。大丈夫?」
「ううん、いきなりだったからビックリしたけど大丈夫だよ」
俺の言葉に安堵の表情を浮べるサトシ。
「それにしてもパス上手いね。俺の足元にピタッと来るなんて」
「え、そんな、マグレだよ」
出来て当然のプレーを褒められ軽く苦笑する俺。
「そうかな? じゃあミヒロちゃん、ちょっとゲームしない?」
「ゲーム?」
「うん、1対1のボールの取り合いみたいなもの。」
要はボールをどれだけキープするかの話か。ゲームというよりは練習に近いな。
でも何だか久々でワクワクしてくるのは自分の気のせい?
「うん、いいよ。でも私相手じゃサトシ君の練習にもならないよね」
「そんな事分からないよ、やってみないと。」
サトシはそう言うと俺にボールをパスしてきた。
「それじゃ、初めは俺が先行だね。俺にボール取られない様にしっかりキープしてね」
「うん、わかった」
俺がボールをキープするよう構えると同時にサトシは向かってきた。
俺は移動しつつ、サトシからボールを取れらまいと体勢を変える。
サトシの脚がボールを取ろうと何度も向かってくる。
俺はボールを動かしたり身体の姿勢を変えたりしてそれをかわしていく。
まだ本気でないせいかサトシの動きは緩やかである。
363 :vqzqQCI0 :2008/11/19(水) 05:24:20.13 ID:jTQi0tY0
「やるね」
感心するサトシ。
「ありがとう。この位なら何となくね」
「それじゃ、これは?」
そう言うとさっきよりもスピードを上げて動いてくるサトシ。
確かに初めよりは動きは速く、俺もちょっとしたテクニックを使わないと
かわしていくのは容易ではないかも。
…しかし。
「よっ」
「…!」
全然ボールに触れる事が出来ないサトシは驚きの表情を浮べる。
素人レベルであれば今のサトシの攻撃で片がつくかも知れない。
しかし俺にとってはまだまだ大丈夫。ことごとくサトシの攻撃を凌いで
ボールをキープし続ける俺。俺は俺なりに初めから全開だから当然ではあるが。
「普通の素人レベルならこの位で充分なんだけどな…」
ボソッと呟くサトシ。

…分かっていた事とは言え、やっぱり本気でなかったか。

よーし、こうなったら。
「サトシ君、どうしたの? 全然ボールに触れてないけど?」
「え?」
俺の突っ込みに驚きの表情を浮べるサトシ。
「ひょっとして試験中休んでたからできなくなっちゃったとか?
まさかねー? サッカー部NO.1が女の子に勝てないなんてないよね?」
(あらまww まさかの挑発ですか?)
ちょっと(かなり)自信満々な表情の俺。あえてボールの位置を足で何度も動かして
余裕を見せる。
「…そうだね、もう少し頑張らないと駄目だよね。」
サトシは軽く苦笑すると身体の姿勢をさっきまでと違って、低く構えはじめる。
「じゃ、行くよ」
サトシの目がすっと細くなった。

ヤバイ…こりゃ、本気モードだな。
久々のサトシの本気に背中に冷たいものが流れる俺。
(ミヒロちゃん、自業自得ww)
364 :vqzqQCI0 :2008/11/19(水) 05:26:08.35 ID:jTQi0tY0
…これからの状況を解説する余裕は俺には全く無くなってしまった。

本気のサトシの猛攻を俺は必死にかわしていくのが精一杯で、まさかここまでサトシの
サッカーレベルが高くなっているなんて思いもよらなかった。
俺が怪我をする前に俺とサトシはよくこの1対1をやってキープ力に勝る俺は
何度もサトシに勝ち続けていたわけであるが、サトシの技術はあの頃より遥かに向上して
今の俺の身体的(性別的)ハンデを含めても俺と互角以上のレベルに達しているのではないかと思う。
「~!」
必死の表情で逃げる俺。
「…」
あくまでも表情を崩さず、しかし真剣な表情のサトシ。
どこまで逃げてもサトシは俺の側から離れずピタッとついてくるし、何度もボールを
取られそうになりその度に身体を張ってどうにか取り返すといった激しい攻防。
「ちっ」
自分のありとあらゆる技術を使って、体力の限りを使ってサトシのプレッシャーを凌ぐ。
流石にサトシは荒っぽくチャージをかけてくるような事はしないので
その辺りで助かっているが、それでも激しく動きまくっているとこれまで運動らしき運動を
してこなかった俺にとっては厳しいものがある。
せめて身体が男であれば…体力がどんどん奪われてゆく状況の中で
無意味な考えを浮かべつつ身体を動かしていく。
ハァハァ…
息がどんどん苦しくなっていく。
「…動きが鈍ってきたね」
サトシが呟く。サトシは息を切らしているがまだ余裕がありそうだ。
「く…まだまだっ」
俺は返すのに精一杯、って言うか余計な体力使わすなっ!
「くぅ…」
「…」
ギリギリの攻防が続く。
俺もサトシも黙々とゲームを続けている。
今の俺はどんな状況でプレーしているのだろうか?
セーラー服でこんなに激しく動きまくっているんだ、あまりいい状況ではないよなぁ。
多分恥じらいを感じさせるような場面もあるのかも知れないが気遣っている余裕は無い。
くそっ実由の奴、俺の制服のスカートを短くしやがって。
…多分サトシには見られてしまっているのかなぁ?
365 :vqzqQCI0 :2008/11/19(水) 05:27:18.41 ID:jTQi0tY0
「…」
無表情を装っているけど。…それともそんな余裕は無いかな?
とりあえずギャラリーが居ない事が唯一の救いかも知れない。
「~っ、もう!」
そうこうしているうちに何だか脚がどんどん重く感じてくる。
身体も何だか動かしている感覚が無くなってきている。
「…」
それにしても。
どうしてここまで頑張っているのだろうか?
「…」
俺が頑張る理由。
今までサトシに負けた事の無い俺にとっては「負けられない」という意地で
この攻防を続けているのは確かだ。
しかし今の俺は女の子。
しかもサッカーから離れてもう一年以上経つ。
これだけのハンデがありながらも現役のサトシとここまでやれている。
普通に考えればこれで充分なんじゃないかと思える。
「…」
そうだよな。
正直なところ身体も限界だし、これは単なるゲームだしそろそろ終了してもいいかもな。
「…」
…いいのかな? 本当に?
これで終わってもいいのかな?
…昔の俺ならこの状況になろうともまだ続けると思うけど。
今の俺は…?
「…!」
俺の意識が緩んだ瞬間をサトシは見逃さなかった。
俺の操るボールがサトシの一瞬の足の動きにより軌道を外れ、離れる。
「あ…」
目でボールの動きを追うが自分の身体はもはや動かない。
俺が体勢を整えた時には既にサトシの足元にボールが。
俺の一瞬の気の緩みが勝負を決してしまった。
366 :vqzqQCI0 :2008/11/19(水) 05:28:31.78 ID:jTQi0tY0
「…勝負あったね」
さすがにサトシも疲れたらしく、肩で息をしている。
俺との対決に勝ってホッとしたのかちょっと緩んだ表情で話しかけるサトシ。
「…うん」
俺はその場にしゃがみ込む。
自分の体力の限りを出し尽くしたせいか身体が重く動かない。
(負けちゃいましたね)
―うん負けちゃった…
俺はふっと空を見上げる。
「……終わった」
青い空をぼんやりと眺め俺はポツリと呟く。
「…」
…負けた、負けちゃったなぁ。
…
…でも、いいのかも知れない。

俺はミヒロ。
もう、…ヒロアキじゃないんだから。

「…大丈夫?」
少し息を切らしつつもサトシは俺の元に駆け寄り様子をうかがう。
「とりあえず大丈夫…」
「そう…良かった」
俺が大丈夫そうに振舞う姿を見てホッして笑顔を浮べるサトシ。
「…良くないよっ、負けたし…」
ジロリとサトシを睨みつける俺。
「いや、この場合は引き分けみたいなもんだよ。だって俺はミヒロちゃんの動きに
手も足も出なかったんだから。」
「何言ってるの? ボールを取られた時点で勝負ありだよっ!」
「ええっ!? ま、まぁ、何と言うか…でも」
怒った口調の俺に困惑するサトシ。
「でも、何?」
「…いいえ、何でもありません」
困った表情のサトシ。
…あれ?
そんなサトシを見て何だかカワイイと思ってしまう俺は一体…
ゲームには負けてしまったけどちょっとだけ気持ちが晴れる。
367 :vqzqQCI0 :2008/11/19(水) 05:30:11.91 ID:jTQi0tY0
…まぁ、いいか。
一応は悔しがる素振りをする俺ではあるが、自分の限界まで走り回って
力を使い果たした俺にとって勝負の結果はどうでも良くなってしまっていた。
むしろサトシと決着がついた時点で俺の中でサッカーへの思い入れが切り替わっていた。
今後女の子として生きていく俺にサッカーは必要ないんだって。
…だから、もういいんだって。

「ん?」
「…」
ふと横のサトシを見ると困った表情のまま黙ってしまっている。
…いけねっ、サトシを置いたままでまた自分の気持ちの中に浸ってしまっていたよ。
慌ててサトシのフォローに入る俺。
「うそウソっ、…でもサトシ君凄いね。あれからすっかりレベルアップしちゃって…」
「…え? あれから?」
「あ、いやー、なんだろ? とりあえず私の動きについてこれるなんてスゴイスゴイっ!」
怪訝な表情のサトシであったが俺のはしゃぐ姿につられて微笑む。
「ミヒロちゃんって、やっぱりサッカー経験者だったんだね。あの動きができるのは
うちの部の奴の中には一人も居ないよ」
「まぁ、バレちゃ仕方ないか。サトシ君のいう通り私、サッカー経験あるんだ。
それにしても私もここまで出来る人に出会った事が無いからある意味感動だよ。」
とりあえずサトシの話に合わせる。
「出来る人か…」
「ん?」
俺の言葉に何やら考え込む仕草を見せるサトシ。
「どうしたの?」
「…いや、ミヒロちゃん並に動ける奴が居たなって。以前のサッカー部に。」
「ふ~ん、そうなんだ」
…俺の事を言っているのは知りつつもとぼけた返事をする。
(演技上手ねww)
―この場合はそうせざるを得ないでしょ。例えミヒロがヒロアキだといっても
誰も信用し難いものがありますが。…一部を除いて。
「あの頃、そいつのキープ力は部でナンバー1だった。…俺も敵わなかった。
あの足遣いは独特で、でも動きが読めなくて素早くて…そう、まるで今日の…って、あれ?」
そう呟くなり俺の顔をじっと見て考え込むサトシ。
368 :vqzqQCI0 :2008/11/19(水) 05:31:29.89 ID:jTQi0tY0
「…」
「あのさ、ひょっとして…」
「とりあえずグラウンドじゃなんだから移動しない?」
「…え? あ、そうだね」
いきなりの俺の提案にハッとするサトシ。
まだ身体は重たいがちょっとでも休んだので動けないほどでは無い。
…
されにしても流石はサトシだ、さっきの俺の動きから何かを感じとったみたい。
でもあまり追求して欲しくない話題であるのでそれを避けるような別の話を振ってみる。
「今日の面接をしてくれた先生って新井先生って人だったよ」
「へー、俺の担任だよ。今日はHRしか姿を現さなかったから何やってんだって
皆言ってたな…」
「サトシ君の担任なの? へぇ、スゴイ偶然だね」
「確かにそうかも知れないね。」
「ひょっとしたら私、サトシ君と同じクラスになるかもね?」
「それが本当ならいいね」
俺とサトシはグラウンド横の芝生に移動し会話を続けていた。
しかしサトシは先程から別の話題をしたいような素振りをしている。
俺が全然関係ない話題を振ってくるものだから中々その話に持っていけないようだ。
(割とミヒロちゃんって意地悪だよねww ひょっとしたらサトシ君、ミヒロちゃんのことで
何か確認したい事があるんじゃないのかな?)
―分かっているよ、そんな事。俺(ミヒロ)とヒロアキのサッカーの動きが全く同じだから
サトシはその確認をしたいんじゃないかなって。でも、ヒロアキは男で…今の俺は女。
性別も違えば体格も見た目も全然違う。どう考えても同一人物には結びつかないだろ。
「…あのさ、話のところ悪いけどちょっといい?」
「ん?」
会話の最中であったがばつが悪そうにサトシは俺に話を振ってきた。
「ミヒロちゃんって、サッカーは誰から学んだの?」
「? どうして?」
ホラ来た、と思いつつとぼけた返事をする。
「今日、ミヒロちゃんと初めてサッカーの1対1をしたけどその動きが俺の知る限り
ヒロアキのサッカープレーと全く同じなんだ。フェイントとかドリブルさばきとか
ちょっとした癖とか…」
「…」
369 :vqzqQCI0 :2008/11/19(水) 05:32:37.06 ID:jTQi0tY0
俺は黙って聞いている。
「ミヒロちゃんって、ヒロアキの従兄妹なんだよね? もしかしたら奴に色々教えて
もらったのかなって思ったんだ。」
「まぁ、教えてもらったと言えばそうなるのかなぁ…、でもどうしてそんな事聞くの?」
相変らずとぼける俺。
「俺の錯覚でなければプレー自体が全くの同一人物の動きなんだ。そんな訳無いのは
相手を見る限り分かっているんだけど…」
(鋭いねー、全くの同一人物なんだけどねぇ。)
―それを言っちゃお終いでしょ。
「さっきサトシ君が言っていた敵わない相手って、ヒロアキ君の事?」
「!? どうしてそれを?」
俺の投げかけに驚いた表情を浮べるサトシ。分かっちゃいるけど…俺って性格悪?

「去年までヒロアキ君はここのサッカー部に居たって事、私知っている。
…怪我で辞めた事も知っている。サトシ君はヒロアキ君と親友であると同時に
サッカー部での最強コンビだったんでしょ?」
「うん、ミヒロちゃんのいう通りで…俺とヒロアキはここのサッカー部で全国を目指す上で
無くてはならないコンビだったんだ。」
「…」
「それと同時に俺はヒロアキのテクニックの上手さに憧れていた…俺にとっての目標でもあったんだ。
当時に比べて俺も多少なりともレベルアップしたかも知れないけど、…多分まだまだだな」
サッカーボールを手で触れながら考え込むように呟くサトシ。
「ヒロアキ君が居なくなってもサトシ君はずっと頑張ってきたんでしょ?
だって、サッカー部のエースストライカーとして部を支えているんだから。」
「…そうなんだけど、実は俺がサッカーを続ける理由の大部分はあいつ…ヒロアキの為でもあるんだ」
「え?」
俺の表情をチラリと横目で眺めつつ話を続ける。
「あいつはホント、サッカーが好きなんだよ。そんなあいつがサッカーを辞めざるを得ない。
これがどれだけ辛い事か俺には想像もつかない。だけどあいつは自分の辛さを置いといて
俺の事を気にかけて逆に励ましてくれた。だから俺はヒロアキの為にも
あいつの夢でもあった全国制覇をする事と、あいつの脚が良くなって何時帰ってきても
温かく迎えて入れてやれるように俺はサッカーを続けているんだ。」
370 :vqzqQCI0 :2008/11/19(水) 05:34:36.47 ID:jTQi0tY0
「! そ、それって…」
「未練がましいのかも知れないけど、俺は諦めて無いんだ。もう一度あいつとサッカーをしたいし、
続けたいんだ。だから俺は待ち続けてるんだ、アイツの復活を。」
自分の思いを俺に力強く語るサトシ。自身の秘めた思いを初めて人に聞かせたせいか
話終わった後にちょっと照れ臭そうにする。
「…!」
サトシのセリフに驚愕する俺。
初めて聞くサトシの想い。
「…この事を話したのはミヒロちゃんが初めてだよ。ヒロアキにも話した事無かったんだけど。」
「そ、そうなんだ…でもどうして?」
…確かにこの話は初めて聞く、…けど。
「理由は分からない。でもミヒロちゃんとサッカーをしていたら何だか話しておかなければ
いけないような気になったんだ。」
「…」
これだけ俺の事を考えて、これだけ俺の為を思って自分の道を歩んでいるサトシ。
なんだろう、この感覚。自分の胸の奥から止め処も無く湧き出てくる不思議な感覚。
「…」
俺は驚きの表情でサトシを見つめ続ける。

「あ~、あいつは今頃何してるのかな? 早く帰って来て欲しいなぁ」
サトシは手にしているサッカーボールをポンポンと掌で叩く。

こいつは何の疑いも無く俺の帰りを、復帰を願って今も頑張っているんだ。
371 :vqzqQCI0 :2008/11/19(水) 05:36:20.84 ID:jTQi0tY0
「…」
…それに引き替え俺は何してるんだ?
俺はサッカーを辞めてからの自分自身の姿を思い出す。
怪我をした後に復帰する為の努力もせずただのうのうとだらけた日々を送り、
…良くわからないうちにこんな馬鹿げた姿になってしまった。
しかも元に戻る事も叶わず、周りの騒ぎに巻き込まれ自分自身を見失ってしまって。
(…ん)
さらにはこれだけ俺の事を考えて俺ともう一度サッカーをする為に自身の努力を
続けているサトシの思いにも応えてやることが出来ず。

今後俺はサトシの為に何をしてやれる?
(…ちゃんっ)
こんな姿になってしまって一緒にサッカー? …できるわけねぇだろ?
今の俺じゃ却って足手まといだぜ?
さっきの結果を見ての通りサッカーの技術はもはやサトシの方が上である事は確かだ。
かえって失望させるのがオチだ。

…

…何も

…何もしてやれないよっ!

…何もしてやれないじゃないかよぉっ!!!
(ミヒロちゃんっ!)
マルさんの声が聞こえる。
372 :vqzqQCI0 :2008/11/19(水) 05:37:34.07 ID:jTQi0tY0
「…」
どうしょうもない。
どうすることもできない。
様々な思い、とりわけ絶望感が俺の中で凄い勢いで充満しつつあるのを感じる。
(ミヒロちゃん! 落ち着いて!!)
…もはやマルさんの声も俺の耳には(意識には)届かない。
「
…? ミヒロちゃん?」
俺の変化に気づいたサトシが俺に声をかける。
「…っ」
「え?」
首を傾げるサトシ。
「無理っ」
「? 何が無理なの?」
俯いて表情を見せない俺の様子を見ようと顔を近づけるサトシ。
「無理なんだよっ、サッカーは」
「え? …どういう事」
「俺はもうサトシとサッカーは出来ねぇんだよ! 今更言われたってどうすることも
出来ねぇよっ!!」
込み上がってくる気持ちをどうすることも出来ずに俺は立ち上がるとサトシに向かって
叫ぶ。
「ミ、ミヒロちゃん!?」
いきなりの俺の変貌に戸惑うサトシ。どう反応してようやら分からず固まってしまっている。
「こんな、…こんな姿になってどうする事も出来なくて、唯でさえ訳が分かんないのに!
そんな俺にどうすれっていうんだよっ!! 無理だよっ! 無理なんだよ!!」
ワナワナと震える全身を自分の両腕で抱きしめて押えつけようとする俺。
「ど、どうしたんだい? 急に?」
サトシはただオロオロするばかり。
ああ、まただ。またサトシに迷惑かけちゃう。
373 :vqzqQCI0 :2008/11/19(水) 05:38:48.29 ID:jTQi0tY0
…ホント俺ってどうしようも無い奴だよ。
「もう駄目っ!!」
「え?」
「…ゴメンねっ…!」
一度自分の想いが溢れ出すと止めようが無く、止め処も無くこぼれる涙を拭う事もせず、
どうしようも無くなった俺は走り出す。
「ミヒロちゃん!」
「…」
「ミヒロちゃん! 待って!!」

サトシは俺の名を呼ぶが俺は振り返ることもせずひたすら走った。
自分の鞄をグラウンドに置きっぱなしだったがそんな事など構わず走った。
今は一刻も早くその場から離れたかったから。

そのまま俺は自宅に逃げるように帰ると着替える事もせず部屋のベッドに飛び込む。
母さんや実由、マルさんが俺に呼び掛けている気がするが今の俺には
何も聞こえなかった。

俺自身の不甲斐無さ、無力感、そしてもう二度と戻ることの出来ない日々への
喪失感と後悔、…様々な想いが渦巻く。 …しかし、もはやどうすることも出来ない。

その日俺は泣いた。…ひたすら泣き続けた。

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