【種別】
魔術霊装

【元ネタ】
古代ギリシャ語で風や息吹を意味する言葉。
ギリシャ哲学では空気と魂を同一とみなしており、
そこから転じて悪魔や聖霊などを含んだ万物の始まり・根源を意味するようになった。
Wikipedia-プネウマ
なお「哲学者の卵」とは、錬金術師が賢者の石を作るのに用いた球状のフラスコのこと(詠唱中の「赤き石」は賢者の石の別名)。
これは世界を「卵」のようなものだと見なす思想に由来するもので、卵は錬金術における代表的なシンボルでもあった。
薔薇十字』を自称するアンナならではの術式と言えよう。

【初出】
創約二巻

【解説】
アンナ=シュプレンゲルが所持する霊装、及びそれを用いた術式。
作中では「哲学者の卵」とも呼ばれ、術式起動時にも『抱卵』と詠唱している。

見た目は直径2メートル以上の鈍い銀色に輝く金属の球。
中心には巨大なハンドルが取り付けられており、回すと複雑な歯車が噛み合うように亀裂が生じ中が開く。
通常時は圧縮して複数の口がついた小フラスコの形態にしている。

開いた球体からは何らかの道具が取り出せ、開けるたびに中身は変わる。要は霊装のガチャ。
出てくる道具は一見ガラクタばかりだが、なんらかの「世界最古」であるという共通点を持つ。

前述の通り道具自体は何の変哲もない物なのだが、アンナという魔術の達人が扱うことで
それら全てが魔術的な意味を見出された「世界最古の霊装」と化す。
初の飛び道具は石、初の生物兵器は死体、初の刃物は石か骨。
科学サイドの産物である人工衛星であっても、
アンナの手にかかれば「初の大気圏離脱」という記号を持った霊装と化す。
「歴史や伝統など世界中どこにでもあり、魔術のエッセンスは万物から自由に抽出できる」
と謳うアンナだからこその術式といえる。

神話における不死の存在は驕りにより己を律することが出来ずに自滅するが、
同じように不死であるアンナは自身のリズムを崩してステータスを下げることで自己を抑制する。
端的にいうと、ランダム道具縛りプレイをしてアンナが楽しく自分を弱体化させるための霊装である。

【使用した道具一覧】
  • 木の枝
世界最古の鞭。ふるうだけで爆風のように物体を抉り取る。
美琴のA.A.A.を容易く破壊してみせた。

古代エジプト発祥、世界最古の緊縛。
単なるボロボロの縄だが、アンナにかかれば落下する小惑星をも宙で縫い止められる。
食蜂に対して使われかけたが、運動音痴によって偶然回避。
目測が外れた縄は、食蜂の後ろの柱を雁字搦めに拘束してへし折った。

  • スプートニク1号
四つの金属棒が伸びた銀色の球体。大きさ58センチ、重さ84キロ。
世界最古の大気圏離脱。掌をかざされた物体は宇宙まで吹き飛ばされる。
曰く20世紀の激レアアイテム。

  • 木炭
血や脂を混ぜた木炭。
世界最古の筆記用具。指先に掬い周囲の物体に文字を描くと、その全てが魔道書の『原典』に変貌する。

【詠唱】
「抱卵」
「プネウマなき外殻。哲学者の卵、透明なる棺、絵画や音楽の中にも潜みし人に寄り添う術式よ。
我は赤き石など求めず、歪みし結果をここに出せ。
ガラクタはガラクタなりに、わらわにすら先の見えぬ予想外を楽しませよ」

最終更新:2022年04月05日 17:54