【種別】
駆動鎧

【元ネタ】
英語表記は Anti-Art Attachment
なお、"art"には「専門技術」「特殊な技巧」といった意味もある。
新約十八巻で「魔術を絶滅させる者の装備」という呼び方も提示された。

【初出】
新約十一巻
新約十三巻のサブタイトルでA.A.A.と初めて表記、新約十六巻以降は殆どの場合A.A.A.となっている。
なおデザインは葛西心氏による。

1.
【概要】
木原脳幹が頭の中で命令を出すだけで起動・操作できる兵器(群)。
レディリー=タングルロードフロイライン=クロイトゥーネ、『ドラゴン』といった
理解できない領域の安全弁であり、撃滅を目的とするのが彼の役割。

脳幹は学園都市の学区一つ一つに専用の武器庫を構えており、
第二三学区には、学校の体育館よりはるかに大きな航空機の整備場に、いくつもの射出用コンテナと、それを牽引する大型トレーラーで空間が埋まっている。
第七学区の武器庫は業務用冷凍倉庫に偽装してあり、電力消費量が大きくとも誰も不思議がらない。

その兵装の内容は各種の刃物、銃弾、砲弾から始まり、はてはレーザービーム、液体窒素、殺人マイクロ波など。
デザインには脳幹の趣味性が色濃く反映されており、特にドリルとパイルバンカーに関しては採算度外視も厭わない。
また、葉巻を吸うためのアームまで取り付けてある。
アレイスターが現場での運用を一任できるほどの知識量の持ち主は、脳幹以外に存在しないらしい。

【正体・原理】
その最も本質的な機能は、アレイスターに接続し、その力を遠隔地で使用すること。
軍事技術のカタマリのように見えるが、実は医療技術の応用品であり、
肉体の延長という観点で言えば、駆動鎧よりもむしろサイボーグに近い。
しかし核となるブラックボックスの部分は完全に魔術。
まさに作品全体のキーワードである「科学と魔術が交差」を体現した一品と言える。

魔術に関する部分は一般的なシジルの応用で、
工学的には意味のない電子回路が通電すると、その際に発生する磁場が魔法陣を描き、
それがアンテナとなってアレイスターの肉体とリンクし、その力を遠隔転送する中継スポットとして機能する仕組み。
美琴と食蜂の手によって分解精査された際には、
内部の電子回路の一部が「思いっきりおまじないとかに出てきそうな形」をしていることが判明しており、おそらくこれが上記の「アンテナ」部分と思われる。
恋査の甲体を、いわば全能力者に対応したコピー機とすれば、こちらはアレイスターに特化適応したコピー機といえる。
瑠華によれば「エジソンの降霊装置」のようなもの。
あきらかに条約違反の兵器だが、アレイスターが気にする様子はない。

コア部分に魔術が使用されているため、能力者が使用すると拒絶反応によるダメージが発生する。
琉華に言わせるとA.A.A.の存在によって「世界は統一した理論で説明できてしまう」らしく、科学サイドや魔術サイドといった枠組みをぶっ壊す事が出来る代物。
そもそも世界を二分した元凶がアレイスターであり、A.A.A.の根底にもまたアレイスターが存在するため、
この時の琉華の考察は作品の根幹に限りなく近いものだったのだろう。

【作中での使用遍歴】
初登場は新約11巻。
蠢動俊三を始末すべく派遣された脳幹によって呼び出され、
セレストアクアリウムの建物諸共、蠢動を押し潰した。

その後、新約13巻で本来の用途のために起動された。
弱体化術式でパラメータを可殺状態に書き換えた上で魔神を全滅させるのが最優先目的であり、
実際にゾンビ僧正を撃破するという大戦果を挙げている。
だが、他の魔神が上里に狩られていったことが判明したため、
急に登場したイレギュラー要素である上里に標的を変更した。
実際に運用している脳幹の意思は決してブレていないものの、出力元であるアレイスターには『願望の重複』があるため、
理想送り(ワールドリジェクター)を前に無力化された。

12月5日の夜、木原唯一との戦闘で先述の冷凍倉庫に落下した美琴はA.A.A.の電子制御を乗っ取って砲撃を敢行。
唯一を撤退させることには成功したが、運用システムの中の魔術の情報に触れたため競合現象を起こし、多量の鼻血を出している。
アレイスターは美琴とA.A.A.の接触を新たな脅威と判断したらしく、唯一と結託して上里翔流共々排除する事を決定した。

大熱波』とエレメントの出現に際しては、美琴なりのアレンジを加えた改良型を運用している。
常盤台中学敷地内に専用ハンガーを用意した美琴だったが、
囮である水晶の塔の破壊に出発した隙に唯一はハンガーを破壊。その余波で校舎は壊滅した。
戻ってきた美琴にも攻撃を加えたが、殺害までは至っていない。

オリジナルパーツは美琴によって第一一学区のコンテナの中に隠されており、上里を取り戻すための媒介にしようとする上条ら一行だったが、
A.A.A.の存在は科学と魔術の間に境界線が無いという実証でもあるので、短時間ではあるが琉華はその魅力に意識を塗りつぶされた。

新約15巻の終盤にてA.A.A.を装着した美琴が狂気に包まれたのも、境界線が無いという点を見るにA.A.A.装着時に未開の地ともいうべき魔術側に足を踏み入れたことで、魔術という新たな大地を見たこと。

「閉塞なんてどこにもない!『可能性』はどこにでもある!まだまだ、私の前にはまだまだ!!掴むべき手がかり、上るべき高み、目指すべき頂上がどこまでも広がっている!!」

という発言をしたことから、琉華同様にこの時の美琴の意識はA.A.A.そして魔術の魅力に塗りつぶされていたと推測できる。

またA.A.A.装着前に美琴自身の精神が上条当麻の力に成れないことへの苦悩から精神に異常をきたしていたこともあり、その影響をモロに受けた結果とも言える。
精神が正常であった琉華ですら、短時間ながらも呑み込まれてしまうことから、美琴の場合は当然の結果とも言える。


2.
【解説】
木原唯一が自身の体にエレメントを取り込んで武装した姿。チェーンソー表面に大きく「Dog's life」の文字が浮かび上がったデザイン。
エレメントの基本的な性質を受け継いでいるため、背景に擬態して透明化する事ができるが、
同時に、巨大な対特殊鋼チェーンソーであっても、幻想殺しで破壊できる。
唯一自身もオリジナルのA.A.A.を完全に理解できているわけではなく、その破壊力を再現したに過ぎないが、
彼女にとって重要なのはアレイスターの力が介在していない点。


3.
【解説】
暮亞がA.A.A.美琴アレンジのシルエットだけ再現したもの。
背中のジェットは植物性エタノールを燃焼させて再現している。
砲撃等の機能は無いが、高速で体当たりを仕掛ければそれなりの威力にはなる。


最終更新:2024年03月03日 16:44