1:
【種別】
伝説・人物

【元ネタ】
Wikipedia - 秘密の首領
ドイツの魔術結社「黄金の夜明け」(イギリスのものとは別)に所属したと言われる薔薇十字系の女性。

【初出】
名前のみ二十二巻、新約十八巻以降に補足あり

【解説】
※注釈:
読者の便宜のため、まず元ネタにおけるアンナ=シュプレンゲルについて、禁書に関連する事項のみ解説する。
新約後半以後、とあるシリーズの魔術業界は現実世界の魔術史を概ねそのままなぞる形で登場しているため、
以下の魔術史解説は一応現実世界についての内容だが、とあるシリーズ内での魔術史としても多くがそのまま通用する
しかしとあるシリーズの側で「一般にはこう言われているが、実はこうだったのだ」と脚色してある部分もあるため、両者を混同しないよう注意されたし。

栄えあるドイツ魔術結社に所属する薔薇十字系の達人。
超人的存在シークレットチーフとの『窓口』としての役割を持つ女性としても知られる。
位階は7=4、首領達人。「シュプレンゲル嬢(フロイライン・シュプレンゲル)」とも呼ばれる。
魔法名は "Sapiens Dominabitur Astris (賢者は星々に支配さるる)"、略して"SDA"。

シークレットチーフを通じ、ウィリアム=ウィン=ウェストコットへ書簡を送り、
ロンドンに『黄金の夜明け団』イシス・ウラニアの設立許可を与えた。
原作小説の新約シリーズ後半を読み終えた方であればご承知の通り、
『黄金の夜明け団』にはアレイスター=クロウリーマグレガー=メイザースなどの多数の名だたる魔術師達が集い、
近代西洋魔術の源流となった。

しかし、魔術研究家のエリック=ハウによると、
筆跡鑑定の結果、ウェストコットが受け取ったというシュプレンゲル書簡は捏造品だったという。
ハウは、この書簡は「究極の高次元存在アンナ=シュプレンゲルから結社設立の許可を受けた唯一の人間」
という箔付けを得る為の偽造だったと断言している。
現在の現実世界における魔術史研究者の間でも、この結論で概ね一致している。

ではアンナは何者であったのかというと、
実在の魔術師アンナ=キングスフォードをモデルとした架空の達人という説がほぼ定説になっている。
これは、魔法名 "SDA" がキングスフォードによる思想の一部と共通しているということ、
メイザースやウェストコットはキングスフォードの講義を受けていたということから裏付けられている。

まとめると、アンナ=シュプレンゲルはあくまで架空の人物だったというのが現実の魔術史における定説。
だが、彼女の名前は『黄金の夜明け団』の権威に深く関わっており、
その関係で彼女を騙る詐欺師が出現したり、彼女を実在する人物と考えて居場所を突き止めようとする団員が出たりした。
実例を挙げると
→これについては項目を参照。
→教授の養女がシュプレンゲルの姪と考えられた件。元ネタでは黄金史を揺るがす捜索の一環。

…以上が史実におけるシュプレンゲル伝説の概要だが、
禁書作中では後に「本物」が登場する(下記2.を参照)。

なお作中のアレイスター=クロウリーもまた、シュプレンゲルと同様、
シークレットチーフの一学説であるエイワスの『窓口』であるらしい。


2.
【種別】
人名

【初出】
新約二十二巻


【概要】

1.で説明した通り、現実世界では「アンナ=シュプレンゲル」はウェストコットが創作した架空の人物とされている。
禁書世界においてもそう考えられていたのだが、禁書世界においてはなんと実在しており
本物がクイーンブリタニア号の船上で瀕死のアレイスターの前に出現した。

外観はエビフライのような縦ロールを何本も作ってぶら下げた、赤みの強い金髪をもつ妖艶な女性。
髪には薔薇の髪飾りを何個も付けており、赤いレオタードにロングスカートを足したようなドレスを着ている。

これが本来の姿であるが、それまでマダム=ホロスに乗っ取られていた影響で弱体化しており長時間の維持ができず、普段は10歳前後の幼女の外見となる。

彼女自身は「薔薇十字」とされる。また、ニュルンベルグの乙女の異名を持つ。

ミナ=メイザースは「ウェストコットが何らかの形で彼女の存在を確信し、
その信仰心が『贋作のシュプレンゲル書簡』という形で表れたのではないか」と推測している。
とはいえ、結局は書簡が贋作で実態も曖昧な「雲」を掴むような話だった事に変わりはない。

傲岸不遜・傍若無人で自己中心的な性格。
世界のほぼ全てを見下している。自身の利益を最優先に追求し、その過程で発生した被害には頓着しない。

シークレットシーフの巫女として召喚したエイワスも椅子にするなど奴隷のように使役している。

その高い魔術の実力と予測能力故か退屈屋で、自身の予測を覆すものに興味と楽しみを見出す。ただ興味をもっても基本長続きせず、すぐに飽きるか失望して興味を失う。

過去に自身が指導した魔術師が彼女の言葉の意味を本当に理解せず、自分に合うようにそれを歪曲した結果破滅するといった出来事を何度も見てきた。
そのため言葉でのやり取りは真実を歪曲し、腐敗した情報を広めるだけだと嫌う。
同時に自身の説明を途中で遮られることを極端に嫌っており、作中でされた際は暴言を吐き、近くの物に八つ当たりするほど激高していた。

本質的には誰よりも成功と勝利にしがみついており、それなしでは自分自身を維持することができないという。

ただこれらの性格や言動に自覚はあり、自身のことをを悪性と評している。

彼女の目的は、そんな自身を守ってくれる『王』を探し出すこと。
自分という悪性を縛りつける『王』。そんな存在を待っており、作中の行動も全てその『王』になり得る存在を導いていたに過ぎない。

【正体・真相】

その正体は、アンナ=キングスフォード(未編集)の名前と外見を借りて機能を拡張させた神装術使い。

素体は「アンナ」の名を持つ、ドイツで活動していた薔薇十字系魔術師。
弟子の魔術師の達に指導を行っていたが、弟子が彼女の言葉の意味を本当に理解せず、歪曲した結果破滅するといった出来事を何度も見てきた。

そんな弟子を見捨てられず、知の大女神と評された魔術師の神装術に手を出すことを決意。

キングスフォードの弟子であるウェストコットが当時ドイツに出したシュプレンゲル書簡に目をつけ、それに返事をする事で、自身の存在を成長中ながらも名高い『黄金』に植え付け、シュプレンゲル嬢を捜索する『黄金』の活動を観察。
彼らのシュプレンゲルに対する言説をドイツのニュンベルグに実際に再現することで、見よう見まねでキングスフォードの神装術を成立させ、「アンナ=シュプレンゲル」という達人として定着した。

しかし神装術を被っても能力が足りず、エイワスの力を借りてスペックを増幅させたという。
そのため本人は、神装術とエイワスでようやく今の水準となった二流の魔術師と自己評価している。

ただキングスフォード本人を見ることもなく、キングスフォードの神装術を完成させたその魔術の腕前は自前のもの。
ブースト込みでもキングスフォードに及ばないとはいえ、世界最高峰の魔術の技量を持つことは揺るぎない事実であり、模倣元のキングスフォードもその技量を認めている。

つまり作中において、アンナ=シュプレンゲルのはじまりは架空だが、アンナ=シュプレンゲルの存在は本物であるといえる。

【能力】

「薔薇十字」の達人と名乗る通り、豊富な魔術知識と極めて高い魔術技量を持つ。
身近にあるもの全てから魔術のエッセンスを抽出し魔術に転換することができ、その辺の木の棒すら彼女にかかれば強力な霊装と化す。

シークレットチーフの巫女としてエイワスを召喚し使役しており、エイワスを戦闘に参加させる他、エイワスの力を己に供給して自身を強化することが可能。

上位の神装術使い達と同じ「幻想殺しや脆弱性を突く攻撃を除き、物理・精神問わず一切傷を負わない」という不死身に近い肉体を持っており、さらにコロンゾンと同様の「人体を生命の樹に対応させ、生命力の循環に影響を与える体術」を行使する事ができる。

魔術知識だけでなく科学分野の知識も豊富で、IT、心理学などありとあらゆる分野に精通している。
先見性も高く、彼女の予測は大抵の場合的中する。
完全記憶能力は備わってないものの、一見して全知にも見える頭脳を持っている。

その実力は望めば即座に「魔神」になれるとされており、魔術師の最高峰に限りなく近い領域にあると言える。

ただマダム・ホロスに乗っ取られ魔力を浪費されていたため弱体化しており、本来の大人の姿を長時間維持できなくなっている。
またキングスフォードに対しては技量でも模倣元という点でも及ばない絶対的な天敵であり、天地が覆っても勝てないとされている。

項目のある能力は以下。

【作中での行動】

自身の肉体を乗っ取っていたマダム=ホロスをエイワスが追い出したことにより、本来の肉体を取り戻しクイーンブリタニア号の船上で瀕死のアレイスターの前に出現した。
アレイスターに顔を見せたあとは何もせずその場から立ち去り、神浄の討魔について期待する様子を見せる。

創約1巻では「R&Cオカルティクス」というIT系魔術企業を運営する傍ら、幼女の姿で上条達を観察していた。
そしてクリスマスイブ、根丘則斗の一件を解決した上条たちの前に現れる。
劇症型に改良したサンジェルマンの丸薬を上条に口移しで飲ませ、苦痛と恐怖で極限まで追いつめ、上条の本質を観察しようとした。

創約2巻では入院した上条の仇を討つべく攻撃に掛かった御坂食蜂の二人を歯牙にもかけない力を見せるが、病院を脱出し、体内のサンジェルマンと協力体制を構築した上条に敗北。拘置所に輸送される。

拘置所では一方通行の隣の房に入り、学園都市のデータを取らせてもらうと嘯いてみせた。

創約3巻ではオペレーション・ハンドカフスの裏で学園都市の人間に「ニコラウスの金貨」を配布。
金貨自体は効果以外は監視装置に過ぎないが、その効果により自らの意思で危険な状況に陥る者が続出するという悪辣な細工を行った。
そのネタバラシをした後、元々新統括理事長に会うためわざと捕まったと語り、檻を破壊して学園都市を後にする。

創約5巻では橋架結社にメンバーとして参入。アリス=アナザーバイブル(未編集)に上条について語り「せんせい」として認識させ、好意を持たせたと明かされる。

創約6巻では渋谷でアレイスターらによって復活させられたアンナ=キングスフォード(未編集)に対面、圧倒的な実力差で大きな円盤のフィルム缶状にまで圧縮され封印されてしまう。

【口調】

一人称は「わらわ」。普段は穏やかな令嬢らしい口調。
例)「眺めましょう、エイワス」

自分の発言を遮られると激昂し言葉遣いが荒くなる。
魔術の説明をしている際食蜂に発言を遮られた時はノイズが混ざっていた。
例)「だから今説明してんだroadがっ!」

最終更新:2025年06月27日 01:46