【名前】太時千万里(ふとどき ちまり)
【性別】女
【所属】科学
【能力】レベル0
【概要】
唱和園高校三年生、オカルト研究会会長を務める女生徒。
オカ研会長の肩書きは伊達ではなく、古今東西のありとあらゆる超常現象、民俗学に精通している。都市伝説への関心も人一倍であり、唱和園高校への進学を決めたのも新しい都市伝説が頻発する特色に惹かれたから。
ただし彼女にとって都市伝説とはあくまで研究テーマの一つでしかなく、事件の当事者になるよりも傍観者でいたいというのが持論。そのため都市伝説の真相究明と混乱の沈静にあたる『火消し役』の風紀委員にも、都市伝説の取材と認知度の拡散にあたる『着火装置』の新聞部にも興味を示さず、事の成り行きをただ眺めるという太時なりの青春を謳歌している。
誰しも都市伝説に関わる可能性を秘めた唱和園高校において、事件の当事者になりたくないという太時のスタンスは一種の危機回避能力として昇華しており、『象牙の塔』こと
七種臥鳶をして「真性の傍観者」と言わしめるほど。七種は実際に彼女の周りに噂の火種を幾度となく振り撒き、その悉くをあと一歩の所で回避され、とうとう諦めるに至ったんだそうな。新聞部の編集長七種臥鳶、風紀委員の支部長
此岸端渚とは同学年で過去に色々とあったらしい腐れ縁の仲だが、己のスタンスに基づきどちらにも肩入れしない微妙な関係を築いている。
オカ研での活動は主に都市伝説の蒐集と考察だが、オカルトに関する膨大な知識は一つの分野に留めておけず、同時進行中の研究テーマは多岐に渡る。会員各自の研究分野にもその圧倒的な知識量からしばしば助言を求められるが、教えるのは問題究明の取っ掛かりであるさわりの知識に留め、その先の深奥は彼ら自身に文献を紐解く事を推奨している。オカルトを愛好する会員たちもその真意を心得ており、各々の胸の内に「会長をあっと驚かすような奇譚異聞を語り聞かせる」という目標があったりするが、太時にとって大抵のオカルトは既知であるため一筋縄ではいかないようだ。
彼女が最近最も関心を寄せているのは、今年新たに会員となった一年の
祓塚巫呼の身の回りで不可解な事象が度々起きている事。巫呼は一連の出来事を
守護霊の仕業だと睨んでいるようだが、太時はこれまでに溜め込んだ知識に照らし合わせていく内に別の可能性に辿り着いた。しかしあくまで仮説であり、また検証するつもりもないらしい。何故なら巫呼の研究テーマにこれ以上深く関わる事が、何かしらの事件の当事者となる越えてはいけないラインだと本能的に悟っているからである。
ちなみに巫呼以上に注意深く事の成り行きを見詰めているのが長期の幽霊会員から突然のカムバックを果たした
筆木人鳥であり、彼女からは言い様のない何かを肌で感じるらしく、筆木の動向(特に巫呼への過剰な接触)を自身に火の粉が降り掛からないよう気に留めながら絶妙な加減で牽制する事に執心している。
気掛かりな事といえば、オカ研もう一人の幽霊会員
母子里咬畏の最近の動向も常に心の片隅にある。短い間だったが、確かに心と心を通わせた相手との突然の離別。彼が自分の意思で新聞部を自身の居場所と見定めたのなら、自分がとやかく言う事ではない。そう理解していても、再会時の彼の浮かない表情を心に思い浮かべる度に、胸が締め付けられるような、言い様のないざわつきを覚える太時。何か行動を起こさなければならない事は分かっている。だが同時に、その行為が自分の危機回避センサーを振り切っている事もまた理解している。『真性の傍観者』たる太時が選ぶ、悔いのない最良の答えとは何か。物語の幕が上がる時、自分がいるのは舞台の上か、はたまた高みの客席かーーー決断するのは紛れもなく、彼女自身である。
【特徴】
身長165cm、色白の痩躯だが不健康な印象はない。胸は控えめ。顔は自己評価では中の下だが、巫呼を始めオカ研の面々からは常々過小評価だと思われている。常に笑みと憂いを同時に湛えたような表情のため感情の起伏を読み取り難い。
膝に届くほどの灰白色の長髪を一束の三つ編みにし、肩から胸の前に持ってきて垂らしている。普段は掛けていないが、古い文献に向かう際やここぞという場面で集中したい時に度の入ってない縁なし眼鏡を掛ける。
私服は洋服だが萌葱色や縹色といった伝統的な和の色合いを好み、季節によって襲の色目を意識した配色にこだわりが見て取れる。
【台詞】
「おや、もしかして体験入部の新入生かな?ああ、ここが神秘を探究する者たちの集うオカルト研究会だよ。まあそう気負わずに。大したもてなしも出来ないが、お茶くらいなら出せる。ゆっくりしていってくれ」
「祓塚さん。その後も不思議な出来事は止まないそうだね。私の方でも独自に研究しているのだが……おっと、そう解決を急ぐものじゃないよ祓塚さん。守護霊に当たりを付けた君の読みは悪くないと思う。ただ、一つの見方を貫く事は、時として取り得る選択の幅を狭める事にもなりかねない。迷ったら文献を紐解く事だ。私たちの先人が積み上げてきたものが、きっと君の求める答えに導いてくれるだろう」
「ふむ、実に興味深い話だったよ。聞かせてくれてありがとう、咬畏くん。しかし、何だ……君は本当に不思議な男の子だね。畏れを咬む者と名付けられながら、名は体を表さず。かと思えば、土着の妖精と心を通わせる貴重な神秘体験を歯牙にもかけない。君の言う所の変人達と神秘を論じるのも好きだが、オカルト嫌いの君とこうして二人きりで語らう時間もまた、私は好ましく思っているよ」
「私は一介のオカルトマニアに過ぎんよ。唱和園の都市伝説をただ蒐集し、独自に思いを馳せ、これを楽しむ。風紀委員と新聞部、どちらに与するつもりもない。私の事はそうだな……毒にも薬にもならない奴だと思ってくれて構わない。害もなく益もない、障りにもならないが為にもならない。そんな透明なカラーが私なんだよ、きっと」
「いやはや参ったな。こんな役回りは本来、私の性分ではないのだが。私自ら拾った手前、君をあのワカメに掻っ攫われるのはどうも釈然としなくてね。それに……あんな辛そうな顔をされているとだな、その、何だ。ええい、もう! 私は腹を括った。座り心地の良い客席を蹴って、君と同じ舞台に上がったんだ。君がいくら拒んでも、君は今でも我がオカルト研究会の会員! だから私は君に首輪を付けてでもあの部室へと引っ張って行く、いいな‼」
【SS使用条件】
特になし
最終更新:2016年03月08日 23:59