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甲状腺調査: 疫学専門家 津田敏秀氏「甲状腺がんが多発している」のおかしな点
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甲状腺調査: 疫学専門家 津田敏秀氏「甲状腺がんが多発している」のおかしな点
2013.03.12
彼はOurPlanet-TVというネットメディアでインタビューを受けていて、参考になるかと思い視聴した。そして、たまたま数日後に「他県と福島県の甲状腺検査のデータ比較」の速報が報道された。
http://www47.atwiki.jp/info_fukushima/pages/267.html
http://www47.atwiki.jp/info_fukushima/pages/267.html
このページでは素人なりにこの疫学の専門家へのインタビュー記事の問題点(というか謎の部分)を指摘したいと思う。
福島県民健康管理調査 甲状腺検査の結果
38,114人から甲状腺がんが3人みつかり手術が終わっている。あと甲状腺がんの可能性のある人が7例みつかった。
http://www.minpo.jp/news/detail/201302146637
http://www.minpo.jp/news/detail/201302146637
甲状腺がん「被曝の影響、否定出来ず」〜疫学専門家インタビュー
上記の事実を踏まえて、岡山大学 津田敏秀教授に「甲状腺がん3人を疫学的にどうみるか?」とインタビューした記事(動画)が以下のもの。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1549
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1549
津田氏 の見解は以下のとおり。
有病期間を7年や10年といった長い期間に設定して算出した有病率でも、なお「多発」であると分析した。
管理人は、このインタビューは疫学の専門家の見解ということで興味を持って視聴したが、問題点がかなりあると考えた。せっかく疫学の専門家が自身の専門分野として発言しているのに調査データを分析する上で考慮するべき事情をマルっと無視して「多発している」と判断しているからだ。
記事の問題点1:100万に何人発症するという統計データの意味が不明確
簡単に言えば、有病率と罹患率の差の話になる。
100万人に1人か2人程度とされている子どもの甲状腺がん
と記事はしているが、この根拠も怪しい。果たして100万人に1人または2人という割合は、どのような条件なのだろうか。大きく分けてA,Bの両方の意味が考えられる。
※今のところ「100万に1人の割合」についてのソース(論文等)が見つかりません。ご存知のかたは掲示板までお願いします。
※今のところ「100万に1人の割合」についてのソース(論文等)が見つかりません。ご存知のかたは掲示板までお願いします。
A)100万人全員を(スクリーニング)調査したら二人見つかる
B)100万人存在して、症状があるなど疑わしい人が検査したら二人見つかる
B)100万人存在して、症状があるなど疑わしい人が検査したら二人見つかる
二つの意味はまったく違う。Bでは「検査を受けた人のみ」が母集団となっているためだ。私が調べた限りでは通常用いられている「100万人にX人」という発生率は「スクリーニングをしてない状態の発生率」だと思う。
この点を理解して「疫学の専門家」の津田氏の発言を聞いて欲しい。津田氏は「スクリーニング検査」である今回の福島の甲状腺検査と、「100万人にX人」という知見を単純に比較しているのだ。スクリーニングではない発生率を元にして「多発している」というのは疫学以前の問題だと思う。
有病率と罹患率の違いをゴッチャにした誤解
「子供に甲状腺がんが発生する可能性は100万に1人」という言葉が独り歩きし誤解されている。これは前述したように「自然に見つかる割合」であって「徹底的に調べて見つかる割合」と比較してもしょうがない。100万分の1と、38000分の3を同列に比較してはいけないのだ。
関連:甲状腺がん発生リスクを考えるとき「有病率と罹患率」の違いを理解しよう http://www47.atwiki.jp/info_fukushima/pages/270.html
このインタビューが傍目から見ると、専門家を持ちだしてはみたが、意図的かと思える「誤解」を利用した「結論ありきの記事」に見えてしまう。
このインタビューが傍目から見ると、専門家を持ちだしてはみたが、意図的かと思える「誤解」を利用した「結論ありきの記事」に見えてしまう。
もう少し、この調査の比較について考えてみる。
なぜ他県の甲状腺調査との比較が必要だったのか
甲状腺を検査した時期の差=診断機器の精度の差
診断するための機器は年を追う事に精度が増している。このことから過去に行った甲状腺の検査と単純に比較することができない。つまり同じ母集団を検査しても現在と10年前では診断に使う機器の精度が違うために違うデータになってしまう問題があるのだ。
当たり前のことだが、より正確なデータを収集するためにはデータ採取時の条件を揃えなければならない。ただ「甲状腺がんらしきものが見つかった数」では客観的な定義がされておらずデータとして意味がなく分析してわかることも限られてくる。
福島県民だけでなく、他県民でも大規模なスクリーニング調査が行われた理由は、この諸条件を揃えて比較するため。大規模な甲状腺調査が今まで行われておらず、福島の調査だけでは「放射能の影響で増えたかどうか」が分からないからである。そして重要なのは、前述した「スクリーニング調査の上での割合かどうか」という問題、さらに「測定機器の精度の差が時期によって違う」という問題。
そして他県と比較した結果「福島と他県では甲状腺の傾向は同じ」
未だに信じられない人がいるだろうが、甲状腺の調査結果では、福島県は他県より甲状腺のしこりや包嚢が少ない。という結果がでてしまった。もちろん調査した数が限定的なので精度の面では「福島のほうがより安全」とは言えないのだが、少なくとも「他県と福島県は同様の傾向」ということはわかるだろう。
素人が正しいかどうかを判断することは正直難しい。しかし、冷静にデータを見れば「間違っている」「おかしい」ことは素人でもわかるのだ。
追記 2013.06.20
こんな記事を見つけたで、ご紹介。つまり「探そうと思えば、いくらでも甲状腺の嚢胞は見つかる可能性がある」ということになる。
韓国女性は甲状腺がん日本の14倍、その理由が…
2012年11月02日09時56分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
主婦のキムさん(43)は2カ月前に甲状腺がんの手術をした。もしかしたらと思って近くの病院で超音波検査を受けてからだ。彼女は「このごろ友人に会うと甲状腺がんの検査を受けてみたらと薦める」と話した。キムさんだけではない。甲状腺がんは韓国人女性が最も多くかかるがん1位になった。10万人当り59.5人(2008年基準)がかかるほど発生頻度が高い。これは日本の14倍達する。甲状腺がん入院患者数は昨年4万6549人で10年間に9倍増えた。
なぜなのか。韓国開発研究院(KDI)ユン・ヒスク研究委員は1日、「超音波診断機器が町内の病院まで拡大しながら行き過ぎた検査をするため」と推定した。「韓国1次医療発展方向の摸索」という報告書を通じてだ。
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