低温条件
合成反応を制御する際,温度の調節は重要である。
加温が反応の進行を促進するのに対して,冷却がもたらすのは,
選択性の向上と副反応の低減である。
また,反応速度の低下も引き起こすため,遅い反応では注意が必要である。
加温が反応の進行を促進するのに対して,冷却がもたらすのは,
選択性の向上と副反応の低減である。
また,反応速度の低下も引き起こすため,遅い反応では注意が必要である。
- 選択性の向上
一般に,立体選択的な反応において望みのAと望みでないBが生成するとき,ある温度で収率がA>Bで得られている場合に,反応温度を下げる事によってAの生成比が大きくなる。
- 副反応の低減
室温で反応を行った際,目的の反応が十分進行しているにもかかわらず,望みでない反応も同時に起こっている様な場合,反応温度を下げる事によって望みでない副反応を抑えることができる場合がある。
- 過反応の制御
エステルをアルデヒドに還元する場合において,反応温度を-78度に保つと,1段階目の反応で形成された錯体が安定に存在できる。そのため2度目の還元反応を受けずに反応は1段階で停止する。これを昇温してしまうと,その錯体は分解し,さらに反応が進行した結果アルコールを与える。
低温条件を達成するには,条件温度に保った冷媒に反応容器を浸す。
- 低温制御に用いる冷媒
温度 | -78℃ | -25℃ | 0℃ |
冷媒 | ドライアイス―メタノール | 氷―アセトン | 氷―水 |
実験プロトコル
- 準備
- 冷媒用固体(ドライアイス,氷など)
- 冷媒用溶媒(メタノール,アセトン,水など)
- デュワー瓶
- 温度計(-100 ℃まで測定できるもの)
- 木づち
- 軍手
- 手順
図 | 手順 | |
1 | ![]() |
ジャッキの上に置いたデュワー瓶に冷媒用固体を入れる。 固体は木づちで細かく砕き,固体だけで浴槽を密に満たす。 ドライアイスを砕く場合には軍手を必ずすること。 |
2 | ![]() ![]() |
固体の間を冷媒用溶媒で満たす。 よく冷媒の中に固体が浮かんでいる状態を見かけるが間違い。 |
3 | ![]() |
温度計をさし,目的の温度に達するのを確認する。 |
4 | ![]() |
反応容器を冷媒の上に固定し,ジャッキを上げる。 |
5 | ![]() |
反応溶液の上面よりも冷媒の液面が上になるようにする。。 |