0114:暴走列島~覚悟~





新八は自分の手を見ている。
 赤黒く返り血で染まった自分の手を。
 火口を殺した後も、半狂乱だった彼を越前は取り押さえた。
 極度の興奮と緊張状態だったのだろう。新八はずっと黙り込んでしまっている。
 とりあえず水を使うわけにはいかなかったので、サービスエリアにあった布巾で新八に返り血を拭くように言うと、自分も地面に腰掛けた。
 地面に背中を預けてしまいたかった。
 だが、そのまま二度と起き上がれなくなる気がした。
 新八はまだ呆然としている。
 怖かった……そうだ、怖かった。自分は新八に助けられたのだ。視線を落とす。
「なぁ、助かったよ……」
 自分の声だけが響く。
 竜崎を探すと誓った自分はどこに行ったのだろう。
 死を目の当たりにして気分は沈み込み上がってこない。
 主催者が殺した時は、爆発して何も残らなかったからか……
 急に新八が自分の頬を思い切り叩き、越前は驚いてそちらを見る。
「行こう。ここにじっとしてるわけにはいかない」
「え……アンタ……」
「僕は、これでも修羅場を何度もくぐってるんだ。
 それに、みんながまだ死んだって決まったわけじゃないよ。みんなと会うためにも今は動かないと」
 そう言って新八は食料を取り出す。
「さあ、食べて、また進もう」
 新八の急な変化に戸惑いつつも、越前はそれを頼もしく思う。
 そういえば、新八が頼もしく見えたのは初めてだ。自分より年上なのに。
 そう考えると少しだけおかしくて少しだけ気持ちが戻ってきた。
 新八が取り出した食料を越前も食べる。幸い火口が結構な量の食料を持っていた。
 会話もせずに、新八はひたすら食料を平らげる。
 越前がふと視線を食料から上げる。そこで知った。新八は自分が思っていた通りの人間だったと。
 新八は泣きながら食料を押し込んでいた。
 無理してたんだ。
 越前は一度だけ拳を握り締めて、ただひたすら食料を平らげる。
 それが覚悟だったかのように。


 食事を終え、少し休むと火口の荷物などを纏めて準備をした。
 準備が終わって外に出た時、男がこちらに歩いてくるのが見えた。
 新八は刀を構え、越前は逃げられるようにウェイバーを取り出す。
 男はそれを見ると両手を上げ、笑いながら近付く。
「君達の支給品と能力を教えてくれないか?」





【兵庫県/山陽自動車道のサービスエリア/朝】

【志村新八@銀魂】
【状態】中度の疲労、全身所々に擦過傷、特に右腕が酷く、人差し指、中指、薬指が骨折
【装備】斬魄刀@BLEACH
【道具】荷物一式、両さんの自転車@こち亀 、火口の荷物
【思考】1:目の前の男への警戒

【越前リョーマ@テニスの王子様】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】荷物一式(半日分の水を消費)、サービスエリアで失敬した小物(手ぬぐい、マキ○ン、古いロープ
    爪きり、ペンケース、ペンライト、変なTシャツ)、ウェイバー@ONE PIECE
【思考】1:目の前の男への対処
    2:情報を集めながらとりあえず地元である東京へ向かう。
    3:仲間との合流。竜崎桜乃の死は信じない。

【藍染惣右介@BLEACH】
 [状態]:わき腹負傷、骨一本にひび、多少の疲労、打撲数ヶ所
 [装備]:刀「雪走」@ONE PIECE
 [道具]:荷物一式(食料二人分)、スーパー宝貝「盤古幡」@封神演義
 [思考]:1.琵琶湖へ向かう
     2.出会った者の支給品を手に入れる。断れば殺害。特にキメラの翼を求めている。


時系列順で読む


投下順で読む


108:暴走列島~衝撃~ 志村新八 120:暴走列島~藍染~
108:暴走列島~衝撃~ 越前リョーマ 120:暴走列島~藍染~
105:大蛇と餓狼 藍染惣右介 120:暴走列島~藍染~

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2023年12月07日 08:15