0272:掃除屋達の慕情【中篇】





「これが勝浦の那智の滝・日光の華厳の滝とともに日本三大瀑布の一つである、袋田の滝ね。
 ・・・綺麗だわ」
 茨城県久慈郡大子町、日本三大瀑布の一つである袋田の滝。
 その大胆な奔流と一様でない繊細な流れを下流から見上げ、
 考古学者であるロビンは内なる思いを自分の言霊に乗せずにはいられなかった。
「やけに詳しいな」
「・・・これを読んだだけよ」
 ロビンの吐露した言葉に驚嘆と賛美を重ねつつも、傍にいた男が肩を並べる。
 するとロビンは一枚の紙切れを差し出した。
「なるほど。これなら一目散に逃げても各地の名所を頼りに場所が特定できるってわけか」
 男がロビンから受け取った紙切れを開き、覗き込む。
「へえ。別名『四度の滝』とも呼ばれてるのか。
 滝の流れが4段に落下するからそう呼ばれてるわけだな」
 シルクハットにタキシードをエレガントに着込んだ男が、
 “観光案内”と書かれた紙切れを下流で覗き込むという、
 なんとも混沌とした雰囲気を醸し出している間に、ロビンはさっさとその場を後にした。

 一拍おいて、男は顔を上げ、微笑みと共に木にもたれ掛かる。
 いつものようにタバコをくわえようとして、タバコがないことに気づく。
 バツの悪そうに頭を掻きながらも、やはりその漢――スヴェンは笑っていた。

「待ってるぜ、相棒」

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 ロビンとスヴェンが袋田の滝に到着するまでの間に、二つの事が起こっていた。
 ひとつは追跡途中に一度スヴェンがロビンを完全に見失ったこと。
 (その間ロビンは駅前で観光案内×2get)
 そしてもうひとつは・・・・・・・

「ねえ、トレイン君・・・」
「ん?」
「何にも見えないよ」
 所変わって、トレイン、杏子。杏子の調子もある程度まで回復して二人で昼食を摂っている時、
 驚異的な視力を持つトレインは南方から駆けてくる女性を見つけた。
 そのトレインが対象をはっきりと確認できない距離であるのに、
 一般人の杏子には影も形も見えるはずがなかった。
「おっかしいなあ。向こうから女の人っぽいのが走ってきてるように見えんだけど」
「トレイン君、視力は?」
「ん?確か・・・両方6.0だったと思うぜ♪」
「・・・どこの原住民よ」
 二人が他愛もない会話をしているうちに、人影は二つになり、そのシルエットは大きく、鮮明になっていった。
「ん?あの白い帽子は・・・・」
 次第に杏子にも凝視できる距離まで二人は近づいてくる。なんせ二人とも走っているのだ。
「ん?あの女(ひと)は・・・・」
 ・
 ・
 ・
 ・

「「あ~~~~~~~~~~~っっっっっっ!!!!!!!」」

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「あ・・・」
 ロビンは袋田の滝でスヴェンから逃げ切った。しかし神はロビンに休息を与えなかった。
 見紛うはずがない。その完璧なフォルム。
 それは将に神が創り出した、否、神其の者か。
「ウヌとは、以前遭った事がある」
 ロビンは動けなかった。
 以前、操っていた勝利マン、スヴェンをもってしてもその進行すら止められなかった男が、
 今やたった一人の自分の目の前に立っているのだ。
「この拳王、一度楯突いたとはいえ無抵抗の女を嬲る拳は持たぬ」
「あらそう、よかった」
「近くに戦う意思を持つものがいるなら我は戦うだけ。ちょうどこの先の滝に男が見えたのでな」
「え?」

 次の瞬間、ロビンは恐怖から空回りした頭脳より先に、体が動いていた。
 まるでラオウの行く手を阻むかのように。
「・・・私は、死にたくない」
 ――――紳士道のおじさん、危ないわね
「ならば早々に立ち去れ」
 ――――彼が死ねば私は・・・独り?
「死にたくないけど・・・立ち去らない」
 ――――マタ、ヒトリ?
「ならばこの拳王、身にかかる火の粉は完全に叩き潰す」
 ――――男が女を守る。これを守れないっていうのは、俺の紳士道に反するんでな
 ――――ヒトリはモウ、イヤダ
「あら残念ね、あなたと戦う気はないのよ」
 ロビンは腰に巻いた千年ロッドを素早く取り出すと、前方にかざす。
「ぬうっ!!!」
 たちまち金縛りに遭ったかのように、ラオウはきをつけの姿勢になる。
「これはある女の子から頂いた支給品でね、先端に付いた眼球の装飾を相手にかざすだけで相手を意のままに操ることができるの。
 問題があるとすれば、強大な精神力を」
「ぬわあああああっっっっ!!!!!!!!!!!!!」
 憤怒に任せたラオウの剛拳が、ロビンの腹部を貫いた。

 一般人の眼にはそう映っただろう。
 しかし次の瞬間、ラオウの右拳には粉々に砕け散った千年ロッドが。
 ロビンの腹部には彼女を抱えた男の腕が巻かれていた。
 この状況を完全に把握した者は、この場には一人しかいない。
 その全てを“予見”し、その総てを“支配”した漢。
 その漢の名はスヴェン。スヴェン=ボルフィード。
「レディを傷つけるような真似は、関心しないな・・・
 ま、悪く思わんでくれ。これを黙って見過ごすってのは、俺の紳士道に反するんでな」





【茨城県・袋田の滝下流/夕方】

【ニコ・ロビン@ONE PIECE】
 [状態]健康
 [装備]アタッシュ・ウエポン・ケース@BLACK CAT
 [道具]荷物一式(二人分)
 [思考]1:混乱
    2:アイテム・食料の収集
    3:死にたくない
(千年ロッド@遊戯王は破壊されました)

【スヴェン・ボルフィード@BLACK CAT】
 [状態]健康
 [道具]荷物一式(支給品不明)
 [思考]1:ラオウと戦う?
    2:トレイン・イヴ・リンスと合流

【ラオウ@北斗の拳】
 [状態]:胸元を負傷(出血は止まったが、大きく傷跡が残る)
     右腕にダメージ 、右手ただれ・薬指小指喪失
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式、不明
 [思考]1.新たな強者を求めていく
     2.いずれ江田島平八と決着をつける
     3.主催者を含む、すべての存在を打倒する(ケンシロウ優先)

【トレイン・ハートネット@BLACK CAT】
 [状態]左腕に軽い擦り傷、右腕肘から先を切断(行動に支障はなし)
 [装備]ウルスラグナ@BLACK CAT(バズーカ砲、残弾1)
 [道具]荷物一式
 [思考]1:スヴェンを追う
    2:杏子を守る
    3:主催者を倒す

【真崎杏子@遊戯王】
 [状態]健康
 [道具]なし
 [思考]1:ロビンを追う
    2:遊戯と合流

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209:掃除屋達の慕情【前編】 トレイン・ハートネット 287:掃除屋達の慕情【後編】
209:掃除屋達の慕情【前編】 スヴェン・ボルフィード 287:掃除屋達の慕情【後編】
209:掃除屋達の慕情【前編】 真崎杏子 287:掃除屋達の慕情【後編】
209:掃除屋達の慕情【前編】 ニコ・ロビン 287:掃除屋達の慕情【後編】
248:日輪の如く、巨星の如く ラオウ 287:掃除屋達の慕情【後編】

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最終更新:2024年04月19日 12:53