0380:雪の陣~戦塵の彼方~ (修正版)◆PN..QihBhI
オレには歴史が無い。
ハドラー様、いやハドラーがオレを造ってから、まだ一年足らずしか経ってねえ。
だからオレは手柄が欲しい。
例え何百年生きようと、何千年生きようと手に入らねえくらいの手柄がな。
眩しさが膨れ、瞼が抉じ開けられた。
霞みがかった視界が、徐々に晴れ渡ってゆく。
バスの待合所。
入り口に、
ピッコロが腕を組んで立っていた。
フレイザードの目覚めに気付いたのか、ピッコロが首だけを向けて言い放つ。
「ふん、命拾いをしたな」
「ククッ、お蔭さんでな」
軽口を叩いてから、遅れて背筋に冷たいものが奔る。
無用心にも程がある。寝ている間に、殺されていてもおかしくはなかったのだ。
しかし、ピッコロはわざわざ自分の意識が戻るのを待っていた、という事になる。
何故だ。訝しげな表情をしていると、ピッコロが促す様に言った。
「それだけの減らず口が叩ければよかろう。出ろ」
「お、おい」
ピッコロの巨体が動くと、待合所の外が見えるようになった。
青い空。広がる雪原が陽光に煌めいていた。
「南下する。参加者共は、恐らく中央に集まっている」
「ちょっと待てよ。取り逃がしたクソガキ共はどうする」
「捨て置け。あのまま野垂れ死ぬか、生きておっても戦えまい」
「クッ」
一方的な命令。
込み上げてきた反逆心を、フレイザードは押し殺した。
雪原を、先にピッコロが歩き出した。大きな足跡が点々と刻まれてゆく。
後、何人殺せば。ふと、フレイザードは考えようとして、やめた。
余計な思いは、この雪の下にでも埋めてしまえ。
まず一歩。雪原には、左半身から踏み出した。
足が着く前に、魔炎気に触れた雪が、一瞬で蒸発した。
いける。オレの躰だ、と思った。
「優勝するのは、オレだ」
顔を上げて、フレイザードは呟いた。
ピッコロに聞こえないように、小さく。しかし強く。
「皆殺しにして、優勝してやる。
オレには、歴史がねえんだからな」
一陣の風。降り積もった雪が、砂塵の様に舞い上がった。
【秋田県、雪原/昼】
【フレイザード@ダイの大冒険】
[状態]体力・負傷共に全快時の4割ほどまで回復、氷炎合成技術を実戦経験不足ながらも習得
核鉄による常時ヒーリング
[装備]霧露乾坤網@封神演義、火竜鏢@封神演義、核鉄LXI@武装練金
パンツァーファウスト(100mm弾×1)@DRAGON BALL
[道具]荷物一式
[思考]1:ピッコロを、ダイの元へけしかける
2:氷炎同時攻撃を完全に習得する
3:残り人数が10人以下になったら同盟解除(だが隙あらば・・・?)
4:優勝してバーン様から勝利の栄光を
【ピッコロ@DRAGON BALL】
[状態]ほぼ健康
[道具]荷物一式、前世の実@幽遊白書
[思考]1:機関車でミニ日本中央部へ向かう
2:悟空他、参加者皆殺し。
3:フレイザードを利用
4:残り人数が10人以下になったら同盟解除(今の所、フレイザードを闇討ちするつもりはないようだ)
5:主催者を殺す
※ピッコロとフレイザードは、桑原が次元刀で、戦場を離脱するところを見ていました。
※二日目昼。雪は止みました。
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最終更新:2024年07月17日 03:00