夕食の食材が入ったビニール袋を持ち、家路を急ぐ。
今日は主の好物である牛丼。こちらとしても、簡単に作れる料理で
喜ばせることが出来るのはありがたい。
……手を抜いている訳ではないが。
まぁ、とりあえず早く帰ろう。
冬場は日が落ちるのも早い。すでに空は夕焼けの様相だ。
その上、この厳しい寒さだ。家の近所にある公園も、近頃は遊ぶ子供達の姿が見えない。
そんな寂しい公園の一角に、老若男女十数人ほどの人だかりが出来ていた。
一体何の集まりか……遠巻きにその様子をうかがっていると、
そこから少女らしき声色の歌声が聞こえてきた。
可愛らしく、それでいて澄んだ歌声。乾燥した空気の中で、その声は柔らかく、
そして確実に響いている。
……この声を、某はよく知っている。
「……はい、これで終わりですっ」
歌声が終わり、人だかりの中から聞き慣れた明るい声が響く。
――何をやっているんだ。
公園を囲む生垣を跳び越え、早足で人だかりへ。
「ずいぶんと上手ねぇ」
「ホント、お人形さんみたいに可愛らしいし」
当たり前だ……皆の目の前にいるのは、人形だ。
案の定、天河石がベンチに座って周りに手を振っていた。
「えっとぉ、天河石が知ってるお歌はもうないからぁ……あっ、お姉ちゃっ」
空いた左腕で天河石を抱え、人だかりを抜ける。
人前に出る恥ずかしさも、今は到底気にならなかった。
今日は主の好物である牛丼。こちらとしても、簡単に作れる料理で
喜ばせることが出来るのはありがたい。
……手を抜いている訳ではないが。
まぁ、とりあえず早く帰ろう。
冬場は日が落ちるのも早い。すでに空は夕焼けの様相だ。
その上、この厳しい寒さだ。家の近所にある公園も、近頃は遊ぶ子供達の姿が見えない。
そんな寂しい公園の一角に、老若男女十数人ほどの人だかりが出来ていた。
一体何の集まりか……遠巻きにその様子をうかがっていると、
そこから少女らしき声色の歌声が聞こえてきた。
可愛らしく、それでいて澄んだ歌声。乾燥した空気の中で、その声は柔らかく、
そして確実に響いている。
……この声を、某はよく知っている。
「……はい、これで終わりですっ」
歌声が終わり、人だかりの中から聞き慣れた明るい声が響く。
――何をやっているんだ。
公園を囲む生垣を跳び越え、早足で人だかりへ。
「ずいぶんと上手ねぇ」
「ホント、お人形さんみたいに可愛らしいし」
当たり前だ……皆の目の前にいるのは、人形だ。
案の定、天河石がベンチに座って周りに手を振っていた。
「えっとぉ、天河石が知ってるお歌はもうないからぁ……あっ、お姉ちゃっ」
空いた左腕で天河石を抱え、人だかりを抜ける。
人前に出る恥ずかしさも、今は到底気にならなかった。
天河石の手を引きながら、家路を急ぐ。
「天河石、主にあまり目立つ行為はするなと言われているだろう」
天河石の方へ顔を向ける。
相変わらずの糸目。だが眉をひそめ、申し訳なさそうな表情を浮かべている。
「ご、ごめんなさい。あのね、お外で歌ってたらね」
「いつの間にか人が集まってきた、と?」
「うん。だからね、いろんなお歌、歌ったんだよー」
反省の色を見せながらも、どこか嬉しそうに語る天河石。
全く、分かっているのかいないのか。
「いろんな人が聞いてくれてね、終わったら拍手してくれるの。だから天河石嬉しいの」
……宝石乙女故、人前に出ることを控えなければならない宿命にある天河石。
だがもし、この子が普通の人間ならば、きっと人前で歌うような道を歩んでいたのかも知れない。
こんなにも嬉しそうなかおをされては、思わずそんなことを考える。
人に歌を聴かせるのが、本当に好きなのだろう。
「あとねー、いろんな人と一緒に歌うのも好きー。お姉ちゃん、一緒にお歌ーっ」
期待の眼差し……つまり、今歌おうと。
しかし某、天河石とは違い、目立つ行為は気恥ずかしさが先行するために苦手だ。
だが、それを分かってくれる相手では……。
「い、家に帰ったらだ」
「えー。じゃあね、天河石のお歌聴いてねっ」
「人前で目立つ行為は控えろと……」
某の言葉が終わる前に、天河石は歌を口ずさみ始める。
こちらの言いつけを守っているのか、音量は抑えめの歌声。
確か、この曲は日本の童謡。夕焼け空と、一日の終わりに合う、どこか寂しげな歌。
「全く……」
繋いだ手を軽く振りながら、楽しげに歌う天河石の姿。
その姿を横目に見ながら、歌声に耳を傾ける。
――人だかりが出来るのも、納得してしまうな。
「天河石、主にあまり目立つ行為はするなと言われているだろう」
天河石の方へ顔を向ける。
相変わらずの糸目。だが眉をひそめ、申し訳なさそうな表情を浮かべている。
「ご、ごめんなさい。あのね、お外で歌ってたらね」
「いつの間にか人が集まってきた、と?」
「うん。だからね、いろんなお歌、歌ったんだよー」
反省の色を見せながらも、どこか嬉しそうに語る天河石。
全く、分かっているのかいないのか。
「いろんな人が聞いてくれてね、終わったら拍手してくれるの。だから天河石嬉しいの」
……宝石乙女故、人前に出ることを控えなければならない宿命にある天河石。
だがもし、この子が普通の人間ならば、きっと人前で歌うような道を歩んでいたのかも知れない。
こんなにも嬉しそうなかおをされては、思わずそんなことを考える。
人に歌を聴かせるのが、本当に好きなのだろう。
「あとねー、いろんな人と一緒に歌うのも好きー。お姉ちゃん、一緒にお歌ーっ」
期待の眼差し……つまり、今歌おうと。
しかし某、天河石とは違い、目立つ行為は気恥ずかしさが先行するために苦手だ。
だが、それを分かってくれる相手では……。
「い、家に帰ったらだ」
「えー。じゃあね、天河石のお歌聴いてねっ」
「人前で目立つ行為は控えろと……」
某の言葉が終わる前に、天河石は歌を口ずさみ始める。
こちらの言いつけを守っているのか、音量は抑えめの歌声。
確か、この曲は日本の童謡。夕焼け空と、一日の終わりに合う、どこか寂しげな歌。
「全く……」
繋いだ手を軽く振りながら、楽しげに歌う天河石の姿。
その姿を横目に見ながら、歌声に耳を傾ける。
――人だかりが出来るのも、納得してしまうな。
◇
「ただいま……って、ずいぶんとご機嫌そうだな」
「ああ。まぁ、天河石が付き合えと言うからな。おかえり、主」
「マスタぁーおかえりなさぁーい。じゃあ今度はぁ、マスタぁーと一緒にお料理のお歌だよー」
「ああ。まぁ、天河石が付き合えと言うからな。おかえり、主」
「マスタぁーおかえりなさぁーい。じゃあ今度はぁ、マスタぁーと一緒にお料理のお歌だよー」