この街には宝石乙女なるものが平然と存在している
その宝石乙女ってのは早い話が動く人形だ
初めて見かけた時は面食らったが、そうも言ってられない
今は俺がその怪奇人形の主になったのだ
だけどその事柄が俺の本質に関わるでもなく、
生活こそ多少は変わったものの、俺自身の心は変わらずに居た
その宝石乙女ってのは早い話が動く人形だ
初めて見かけた時は面食らったが、そうも言ってられない
今は俺がその怪奇人形の主になったのだ
だけどその事柄が俺の本質に関わるでもなく、
生活こそ多少は変わったものの、俺自身の心は変わらずに居た
「ねぇマスター・・またそれ飲んでるの・・?」
「あん?何だ、悪ィかよ?」
「・・・・・ごめんなさい」
確か天河石とか言ったこいつは、数日前から俺んちの同居人となった宝石乙女だ
来たばっかの時はもっと無駄に明るくてヘラヘラとしていたが、
今はばつが悪そうにうつむいて、視線を斜め下方向に彷徨わせている
なんだって辛気臭いカオしてんだよ、折角の酒が不味くなるじゃねーか
「・・ごめん・・・なさぃ・・」
つい、頭の中だけに留めたつもりの一言が口に出してしまっていたらしい
天河石は唇を噛み締めて、目の端に水滴を溜めている
このまま泣かせると後味が悪いから、フォローしておくか
「おい、泣くな・・」
「うぅ・・ひくっ・・ぐずっ・・・」
まずい、堤防は決壊寸前だ
「ほ、ほら、お前も・・・飲めよ?」
「・・・ぐすっ・・・くすん・・・」
あーあ・・・・ダメ、泣かせちまった
「あん?何だ、悪ィかよ?」
「・・・・・ごめんなさい」
確か天河石とか言ったこいつは、数日前から俺んちの同居人となった宝石乙女だ
来たばっかの時はもっと無駄に明るくてヘラヘラとしていたが、
今はばつが悪そうにうつむいて、視線を斜め下方向に彷徨わせている
なんだって辛気臭いカオしてんだよ、折角の酒が不味くなるじゃねーか
「・・ごめん・・・なさぃ・・」
つい、頭の中だけに留めたつもりの一言が口に出してしまっていたらしい
天河石は唇を噛み締めて、目の端に水滴を溜めている
このまま泣かせると後味が悪いから、フォローしておくか
「おい、泣くな・・」
「うぅ・・ひくっ・・ぐずっ・・・」
まずい、堤防は決壊寸前だ
「ほ、ほら、お前も・・・飲めよ?」
「・・・ぐすっ・・・くすん・・・」
あーあ・・・・ダメ、泣かせちまった
溜め息混じりにグラスを煽っていると、
意外にも泣きべそをかいていたやつの方から声を掛けてきた
「ねえ・・マスター」
「ん、なんだ・・・やっぱ欲しいのか?」
ふるふる、と首を横に振って天河石は話を続ける
「前のマスターが・・・まいにちお酒を飲むような人は・・つらい事がいっぱいあるって言ってた」
「・・・・・・・・・・」
俺は無言でグラスを口に運ぶ
「マスターは・・つらい事・・いっぱい抱えてるの?」
「さーな、大体俺が酒を飲む理由なんてそんなもんじゃねえ」
出来るだけ軽薄を装ったが、表情には苦味が表れていたかもしれない
「俺はただのアル中なんだよ」
と自嘲気味に言って天河石の頭をくしゃくしゃっと撫でた
「オレンジジュース」
「え?」
「・・・・飲みモンはオレンジジュースでいいか?」
「・・・・うん!」
その時天河石は出会った頃と変わらない、屈託の無い笑顔を浮かべていた
まるで雨の上がった空のように
意外にも泣きべそをかいていたやつの方から声を掛けてきた
「ねえ・・マスター」
「ん、なんだ・・・やっぱ欲しいのか?」
ふるふる、と首を横に振って天河石は話を続ける
「前のマスターが・・・まいにちお酒を飲むような人は・・つらい事がいっぱいあるって言ってた」
「・・・・・・・・・・」
俺は無言でグラスを口に運ぶ
「マスターは・・つらい事・・いっぱい抱えてるの?」
「さーな、大体俺が酒を飲む理由なんてそんなもんじゃねえ」
出来るだけ軽薄を装ったが、表情には苦味が表れていたかもしれない
「俺はただのアル中なんだよ」
と自嘲気味に言って天河石の頭をくしゃくしゃっと撫でた
「オレンジジュース」
「え?」
「・・・・飲みモンはオレンジジュースでいいか?」
「・・・・うん!」
その時天河石は出会った頃と変わらない、屈託の無い笑顔を浮かべていた
まるで雨の上がった空のように