ただ一つのことを伝えるのに、どうしてこんなに緊張しなければならないのか。でも男としては……やっぱ、その、ね……うん。
「ね、ねぇ殺生石」
「何でしょうか?」
「えーと、今度の休みにね、ちょっと一緒に来て欲しい場所があるんだ」
「妾とですか? 珍しいですね。初めてではありませんか」
そう、殺生石とは一度も一緒に外を出歩いたことがない。家でのつき合いは……親密なわけだが、これまでデートの類というものは、互いに全く経験したことがなかった。そういう意味でも、今回は殺生石を是非とも誘いたかった。
「うん。殺生石って身なりの関係でいつも家の中に篭もってるでしょ、だからちょっと……」
「その身なりで奇異の目に晒されるのは主様ではありませんか。妾が無理につき合わなくてもよろしいのでは?」
「いや、人のいないところだから大丈夫だよ」
人のいないところ……本当に誰もいない。予想はしていたが、殺生石の目の色はその言葉で変わっていた……怒ったのかな。
「まぁ、人気のないところで妾と秘めことですか、主様ったら……ぽっ」
「ちち違うよっ、頬赤くしないでよっ!!」
「あら残念」
うぅ、相変わらず遊ばれてるなぁ、僕。
「で、そのような人気のない場所で何をするのですか?」
「人聞き悪いなぁ……まぁ、季節的にはちょうどいいかなって思って」
季節は秋真っ盛り。蛋白石は食べ物天国と言っていたが。
「季節、ですか。今はずいぶんと涼しいですね」
「そうだね。で、どうする? 人気がないのが嫌なら……」
「妾が嫌と言うわけがありません。初めての主様からのお誘いなのですから。それに妾は主様になら何をされても……ぽっ」
「だーかーらぁー! あーもぉ、じゃあ今度の休みは空けておいてね」
「ふふふ、いつも暇を持て余しているので大丈夫ですよ」
「ね、ねぇ殺生石」
「何でしょうか?」
「えーと、今度の休みにね、ちょっと一緒に来て欲しい場所があるんだ」
「妾とですか? 珍しいですね。初めてではありませんか」
そう、殺生石とは一度も一緒に外を出歩いたことがない。家でのつき合いは……親密なわけだが、これまでデートの類というものは、互いに全く経験したことがなかった。そういう意味でも、今回は殺生石を是非とも誘いたかった。
「うん。殺生石って身なりの関係でいつも家の中に篭もってるでしょ、だからちょっと……」
「その身なりで奇異の目に晒されるのは主様ではありませんか。妾が無理につき合わなくてもよろしいのでは?」
「いや、人のいないところだから大丈夫だよ」
人のいないところ……本当に誰もいない。予想はしていたが、殺生石の目の色はその言葉で変わっていた……怒ったのかな。
「まぁ、人気のないところで妾と秘めことですか、主様ったら……ぽっ」
「ちち違うよっ、頬赤くしないでよっ!!」
「あら残念」
うぅ、相変わらず遊ばれてるなぁ、僕。
「で、そのような人気のない場所で何をするのですか?」
「人聞き悪いなぁ……まぁ、季節的にはちょうどいいかなって思って」
季節は秋真っ盛り。蛋白石は食べ物天国と言っていたが。
「季節、ですか。今はずいぶんと涼しいですね」
「そうだね。で、どうする? 人気がないのが嫌なら……」
「妾が嫌と言うわけがありません。初めての主様からのお誘いなのですから。それに妾は主様になら何をされても……ぽっ」
「だーかーらぁー! あーもぉ、じゃあ今度の休みは空けておいてね」
「ふふふ、いつも暇を持て余しているので大丈夫ですよ」
そして約束の日。僕と殺生石は、普段蛋白石たちが荒巻狩りを行っている林に来ていた……デートの場所としては、かなり辺鄙だけどね。
「だんな様ったら、こんな場所では助けを呼んでも誰も来てくれないではないですか」
「頬を赤くしてそういうこと言わないっ!」
二人きりということもあり、殺生石は終始この様子。僕をそんなに変質者にしてしまいたいのだろうか……。
「もぉ、そういう会話は禁止っ。今度外でどうのこうのって言ったら怒るよ?」
「分かりました。で、もちろん責任は取ってくれますよね?」
「殺生石ぃ~……」
「ふふふ、少し悪戯が過ぎましたね。では、行きましょうか」
紅葉に染まる林の中を歩く。しかしこの道の悪い場所、殺生石の十二単姿では歩きにくいと思っていた。だがさすがと言うべきか、その足取りは普段のそれと変わらず。荒れた道は慣れたものということなのかな。というか、行き先を知らないのに僕より先行してる……情けないなぁ。
「だんな様、こちらでよろしいのですか?」
楽しそうに微笑む殺生石の顔。僕はそれに見とれてしまう。まだ目的地についてもいないのに、誘ってよかったと満足してしまいそうだ。
「だんな様?」
「え? あぁ、うん。こっちでいいけど」
「そうですか。でも今日はだんな様のお誘いなのですから、引率して貰わなければなりませんよね」
「そ、そうだね……でも殺生石、思った以上に歩くの早い」
「これくらいは普通の道と変わりませんよ」
そう言える殺生石ってすごいと思う……。
「むぅ……あ」
どうもテンションがおかしいらしい。僕は普段なら考えられないことを思いついてしまう。でも……二人きりだから。それに初めてのデートみたいなものだし。
「その……手、繋いでいい?」
「え?」
そ、率直すぎたのかな、珍しく殺生石を驚かせてしまった……。
「あああのっ、い、いきなりすぎたかな……?」
「確かにいきなりでしたけど……だんな様から触れ合いたいと言っていただけて、少し驚きました」
「う、うん……ごめんね」
「なぜ謝るのですか? わたくしは大歓迎です。さぁ」
僕の隣にやってきて、小さな右手を僕に差し出す。言ったことに後悔はしてないけど……恥ずかしい。でも、それ以上にこの繊細な手を包み込んであげたいという思いがあった。だから……あぁ、僕の手震えてるよ。
「……だんな様の手、暖かい」
「あ、ありがと……」
「ふふふ。では、今度はだんな様がわたくしを引率してくださいね」
「うん……分かった」
「だんな様ったら、こんな場所では助けを呼んでも誰も来てくれないではないですか」
「頬を赤くしてそういうこと言わないっ!」
二人きりということもあり、殺生石は終始この様子。僕をそんなに変質者にしてしまいたいのだろうか……。
「もぉ、そういう会話は禁止っ。今度外でどうのこうのって言ったら怒るよ?」
「分かりました。で、もちろん責任は取ってくれますよね?」
「殺生石ぃ~……」
「ふふふ、少し悪戯が過ぎましたね。では、行きましょうか」
紅葉に染まる林の中を歩く。しかしこの道の悪い場所、殺生石の十二単姿では歩きにくいと思っていた。だがさすがと言うべきか、その足取りは普段のそれと変わらず。荒れた道は慣れたものということなのかな。というか、行き先を知らないのに僕より先行してる……情けないなぁ。
「だんな様、こちらでよろしいのですか?」
楽しそうに微笑む殺生石の顔。僕はそれに見とれてしまう。まだ目的地についてもいないのに、誘ってよかったと満足してしまいそうだ。
「だんな様?」
「え? あぁ、うん。こっちでいいけど」
「そうですか。でも今日はだんな様のお誘いなのですから、引率して貰わなければなりませんよね」
「そ、そうだね……でも殺生石、思った以上に歩くの早い」
「これくらいは普通の道と変わりませんよ」
そう言える殺生石ってすごいと思う……。
「むぅ……あ」
どうもテンションがおかしいらしい。僕は普段なら考えられないことを思いついてしまう。でも……二人きりだから。それに初めてのデートみたいなものだし。
「その……手、繋いでいい?」
「え?」
そ、率直すぎたのかな、珍しく殺生石を驚かせてしまった……。
「あああのっ、い、いきなりすぎたかな……?」
「確かにいきなりでしたけど……だんな様から触れ合いたいと言っていただけて、少し驚きました」
「う、うん……ごめんね」
「なぜ謝るのですか? わたくしは大歓迎です。さぁ」
僕の隣にやってきて、小さな右手を僕に差し出す。言ったことに後悔はしてないけど……恥ずかしい。でも、それ以上にこの繊細な手を包み込んであげたいという思いがあった。だから……あぁ、僕の手震えてるよ。
「……だんな様の手、暖かい」
「あ、ありがと……」
「ふふふ。では、今度はだんな様がわたくしを引率してくださいね」
「うん……分かった」
その場所は、蛋白石たちと一緒に荒巻狩りに出かけたとき、偶然見つけた場所だった。林を真っ直ぐ抜けた先……林が途切れ、その先は草原になっている下り坂。そこからの風景は立派なものだった。町と海が一望できる、ちょっとした隠しスポットだ。
そしてこの季節。後ろに広がる楓の木が、赤く彩られている。僕は今までモミジという植物があると思っていたが、それは楓のことらしい。まぁそういう雑学はいいとして、思った通りこの風景は綺麗だった。
「まぁ……」
落ち葉の敷き詰められた地面を踏みしめ、その場所に出る。殺生石は、風景に見入っていた。
「ここに来たかったんだ。前に偶然見つけた場所なんだけどね」
「……現代の町並みを交えた風景というのも、趣のあるよいものですね」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
二人並んで、その場に座る。
「楓の座布団ですね」
「じゃあ、こうすれば布団になるね」
僕はその場に寝っ転がる。青い空に、赤い落ち葉が舞い落ちていた……。
「あらあら、背中が汚れてしまいますよ」
「今日ぐらいはいいんだよ」
「そうですか……」
落ち葉を一つ、手に取り眺める殺生石。
「秋、ですか。春とはまた違う、美しい季節ですね」
「うん。でも蛋白石は食欲天国みたいだけどね」
「あの方は毎日が食欲じゃないですか」
「言えてる」
二人で笑い合う。
「こんな日が、ずっと続けば……いいですね」
「うん」
殺生石は、何を思ってそんなことを呟いたのだろう。この先に待ち受ける別れ? それとも何か大変なことでも起きるのか……僕にはとても未来を予想することなんてできない。学校卒業して、就職して、家計が火の車ながらもこうして殺生石たちと日常を過ごす。それしか思い浮かばない。そう、僕達はずっと一緒だ。例え、僕に寿命という絶対な別れが存在するとしても……。
僕が死んだら、殺生石はどうするのだろう。彼女は長い時間を生きてきた。そしてこれからも生き続ける。前にも思った。彼女の生涯は、連れ添いのいない旅みたいだと。幾多の別れを繰り返し、孤独に生きるのだと……。
……胸が締めつけられるように苦しい。僕自身のことではないのに、息苦しかった。どうしてだろう。確かにこの前も泣きそうになったけど、今この胸を締め付けているのはそれ以上の何か。それが何なのか……分かっている。それは……。
「だんな様、腕を貸して頂けませんか?」
「え……うん」
殺生石に向けて腕を差し出す。すると、その腕を枕にして僕の隣に寝っ転がってきた。顔が……近い……。
「今日は、わたくしも汚れを気にしないことにしました」
「腕枕ねぇ。まったく、殺生石ずるいよ」
「よいではありませんか。こうして寄り添っていられるだけで幸せを得られるのですから」
幸せ。僕も、こうしていられることが幸せだった。
だから……言わなければならない。僕の思いの丈を。これからも、この幸せを続けていきたいから。
伝えることに恐怖は感じない。もう恥ずかしさだってどこかに飛んでいってしまった。ただ、この幸せを続けていきたいという……それだけだ。
「殺生石……ちょっと、いいかな?」
もしかしたら殺生石は気づいているのかもしれない。だからこんなに近づいてきてくれるのだと、呼びかけたらこちらを向いてくれたのだと、そう思う。
「なんですか、だんな様」
殺生石の穏やかな笑顔。僕にとっては、何よりも大切な宝物。見ているだけで、幸せになれる笑顔。これからも、この笑顔を絶やさずにいて欲しかった。
「だんな様……泣いていらっしゃるのですか?」
「え、あれ? どうしたんだろ……」
「きっと、胸が苦しいのでしょう。涙を流す感情は悲しみだけではありませんから。胸が感情でいっぱいになり、それが苦しければ、自然と涙は出てしまうのですよ。喉詰まりみたいなものですよ」
喉詰まりというたとえはどうかと思うけど……確かに涙は出るけど。でも……じゃあ、僕は今幸せで胸が苦しいのだろうか。
「だんな様が胸に詰め込んでいる思い……わたくしでよければ、ぶつけてもよろしいのですよ?」
僕の幸せを、殺生石にぶつける。幸せを……今、僕はどうすれば幸せなのか……。
「殺生石……僕……」
「はい」
僕は、人生で一番深い呼吸を一度だけ行った。そして殺生石の目を見る。しっかりと、彼女の顔を目に焼きつける。だって、彼女は僕の――愛しい人なんだから。
そしてこの季節。後ろに広がる楓の木が、赤く彩られている。僕は今までモミジという植物があると思っていたが、それは楓のことらしい。まぁそういう雑学はいいとして、思った通りこの風景は綺麗だった。
「まぁ……」
落ち葉の敷き詰められた地面を踏みしめ、その場所に出る。殺生石は、風景に見入っていた。
「ここに来たかったんだ。前に偶然見つけた場所なんだけどね」
「……現代の町並みを交えた風景というのも、趣のあるよいものですね」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
二人並んで、その場に座る。
「楓の座布団ですね」
「じゃあ、こうすれば布団になるね」
僕はその場に寝っ転がる。青い空に、赤い落ち葉が舞い落ちていた……。
「あらあら、背中が汚れてしまいますよ」
「今日ぐらいはいいんだよ」
「そうですか……」
落ち葉を一つ、手に取り眺める殺生石。
「秋、ですか。春とはまた違う、美しい季節ですね」
「うん。でも蛋白石は食欲天国みたいだけどね」
「あの方は毎日が食欲じゃないですか」
「言えてる」
二人で笑い合う。
「こんな日が、ずっと続けば……いいですね」
「うん」
殺生石は、何を思ってそんなことを呟いたのだろう。この先に待ち受ける別れ? それとも何か大変なことでも起きるのか……僕にはとても未来を予想することなんてできない。学校卒業して、就職して、家計が火の車ながらもこうして殺生石たちと日常を過ごす。それしか思い浮かばない。そう、僕達はずっと一緒だ。例え、僕に寿命という絶対な別れが存在するとしても……。
僕が死んだら、殺生石はどうするのだろう。彼女は長い時間を生きてきた。そしてこれからも生き続ける。前にも思った。彼女の生涯は、連れ添いのいない旅みたいだと。幾多の別れを繰り返し、孤独に生きるのだと……。
……胸が締めつけられるように苦しい。僕自身のことではないのに、息苦しかった。どうしてだろう。確かにこの前も泣きそうになったけど、今この胸を締め付けているのはそれ以上の何か。それが何なのか……分かっている。それは……。
「だんな様、腕を貸して頂けませんか?」
「え……うん」
殺生石に向けて腕を差し出す。すると、その腕を枕にして僕の隣に寝っ転がってきた。顔が……近い……。
「今日は、わたくしも汚れを気にしないことにしました」
「腕枕ねぇ。まったく、殺生石ずるいよ」
「よいではありませんか。こうして寄り添っていられるだけで幸せを得られるのですから」
幸せ。僕も、こうしていられることが幸せだった。
だから……言わなければならない。僕の思いの丈を。これからも、この幸せを続けていきたいから。
伝えることに恐怖は感じない。もう恥ずかしさだってどこかに飛んでいってしまった。ただ、この幸せを続けていきたいという……それだけだ。
「殺生石……ちょっと、いいかな?」
もしかしたら殺生石は気づいているのかもしれない。だからこんなに近づいてきてくれるのだと、呼びかけたらこちらを向いてくれたのだと、そう思う。
「なんですか、だんな様」
殺生石の穏やかな笑顔。僕にとっては、何よりも大切な宝物。見ているだけで、幸せになれる笑顔。これからも、この笑顔を絶やさずにいて欲しかった。
「だんな様……泣いていらっしゃるのですか?」
「え、あれ? どうしたんだろ……」
「きっと、胸が苦しいのでしょう。涙を流す感情は悲しみだけではありませんから。胸が感情でいっぱいになり、それが苦しければ、自然と涙は出てしまうのですよ。喉詰まりみたいなものですよ」
喉詰まりというたとえはどうかと思うけど……確かに涙は出るけど。でも……じゃあ、僕は今幸せで胸が苦しいのだろうか。
「だんな様が胸に詰め込んでいる思い……わたくしでよければ、ぶつけてもよろしいのですよ?」
僕の幸せを、殺生石にぶつける。幸せを……今、僕はどうすれば幸せなのか……。
「殺生石……僕……」
「はい」
僕は、人生で一番深い呼吸を一度だけ行った。そして殺生石の目を見る。しっかりと、彼女の顔を目に焼きつける。だって、彼女は僕の――愛しい人なんだから。
一体どれほどの間、そうしていたのだろう。
柔らかい感触。言葉が出なかったから。出すべきことが、思い浮かばなかったから。気づいたときには、僕は自分から殺生石と唇を重ねていた。自分からそうしたのは初めてのことだ。
互いに離れることなく、お互い寄り添いながら……僕は、間違いなく幸せだった。心に満たされた感情を、共有できたような気がしたから。だって、そうでなかったら……。
「殺生石……泣いてるよ」
唇を離し、殺生石の目からこぼれる涙を撫でる。
「胸が、苦しいですから」
「……僕は、少しだけすっきりした」
「それなら……よかったです」
笑顔を浮かべる殺生石。そんな彼女の体を、両腕で包み込む。
「……だんな様は、仕方なくわたくしを受け入れているだけなのではと……本当は、怖かったんです」
「え?」
「ダメですよ……極度の恥ずかしがり屋では、女性を不安にさせるかも知れないのですから。反省してください」
「あ……うん、ごめん」
「よろしい……だんな様の想い、しかと受け止めました」
僕の想い……か。
「わたくしは、愛されているのですね……」
「……うん」
だから、僕は抱き締める腕にわずかな力を込めた。……これで、離れなくてすむよね?
柔らかい感触。言葉が出なかったから。出すべきことが、思い浮かばなかったから。気づいたときには、僕は自分から殺生石と唇を重ねていた。自分からそうしたのは初めてのことだ。
互いに離れることなく、お互い寄り添いながら……僕は、間違いなく幸せだった。心に満たされた感情を、共有できたような気がしたから。だって、そうでなかったら……。
「殺生石……泣いてるよ」
唇を離し、殺生石の目からこぼれる涙を撫でる。
「胸が、苦しいですから」
「……僕は、少しだけすっきりした」
「それなら……よかったです」
笑顔を浮かべる殺生石。そんな彼女の体を、両腕で包み込む。
「……だんな様は、仕方なくわたくしを受け入れているだけなのではと……本当は、怖かったんです」
「え?」
「ダメですよ……極度の恥ずかしがり屋では、女性を不安にさせるかも知れないのですから。反省してください」
「あ……うん、ごめん」
「よろしい……だんな様の想い、しかと受け止めました」
僕の想い……か。
「わたくしは、愛されているのですね……」
「……うん」
だから、僕は抱き締める腕にわずかな力を込めた。……これで、離れなくてすむよね?
夕方。林の中を二人並んで歩く。互いに離れないように、手を繋いで。
改めて、僕らは相思相愛の関係になった。
「……今ごろになって恥ずかしくなってきた」
「あらあら。だんな様、もう遅いですよ」
「わ、分かってるよ……」
「今までちゃんと想いに答えていただけませんでしたからね。これからはその埋め合わせも兼ねて……」
「二人きりのときにいきなり押し倒すだけなら、今までと何にも変わらないんだけど」
「いけませんか?」
こっちはもうすっかりいつもの調子だ。やっぱり殺生石ってすごいと思うよ、うん。
「よいではありませんか。もう二人は相思相愛、永遠の愛を誓い合った夫婦なのですから」
「ちょっ、気が早っ……ゴメンナサイニラマナイデ」
でも夫婦って……ねぇ。やっぱ改めて考えると恥ずかしいや。それ以上に嬉しいけど。
「それにしても、あれだけ密着していて接吻だけなんて、だんな様ったら押しが弱いのですね」
「なっ、いいいいいきなり何言うんだよぉっ!」
「ふふふ。今夜が楽しみですね」
エッチなのはいけないと思う、ホントに。でも真っ向から殺生石にそう言えないのは、やっぱりそういうことを望んでいる僕がいるわけで……僕もダメな奴だなぁ。
「だんな様……お慕いいたしております」
「え、うん。僕も、殺生石のこと……大好きだよ」
「そこは愛してると言うべきなのではないでしょうか」
「……うん、愛してる。殺生石」
「よくできました。もぅ、恥ずかしがってばかりでは駄目ですよ?」
さっき言われたのに、もう恥ずかしがり屋の癖が出てしまう。ホント、駄目な奴だなぁ……。
と、相変わらずの笑顔で、僕の腕に寄りかかってくる殺生石。
「ふふ、恥ずかしがり屋のだんな様……わたくしの、愛しいだんな様」
……恥ずかしいけど、まぁいいか。それ以上に、嬉しいから……幸せだから。
改めて、僕らは相思相愛の関係になった。
「……今ごろになって恥ずかしくなってきた」
「あらあら。だんな様、もう遅いですよ」
「わ、分かってるよ……」
「今までちゃんと想いに答えていただけませんでしたからね。これからはその埋め合わせも兼ねて……」
「二人きりのときにいきなり押し倒すだけなら、今までと何にも変わらないんだけど」
「いけませんか?」
こっちはもうすっかりいつもの調子だ。やっぱり殺生石ってすごいと思うよ、うん。
「よいではありませんか。もう二人は相思相愛、永遠の愛を誓い合った夫婦なのですから」
「ちょっ、気が早っ……ゴメンナサイニラマナイデ」
でも夫婦って……ねぇ。やっぱ改めて考えると恥ずかしいや。それ以上に嬉しいけど。
「それにしても、あれだけ密着していて接吻だけなんて、だんな様ったら押しが弱いのですね」
「なっ、いいいいいきなり何言うんだよぉっ!」
「ふふふ。今夜が楽しみですね」
エッチなのはいけないと思う、ホントに。でも真っ向から殺生石にそう言えないのは、やっぱりそういうことを望んでいる僕がいるわけで……僕もダメな奴だなぁ。
「だんな様……お慕いいたしております」
「え、うん。僕も、殺生石のこと……大好きだよ」
「そこは愛してると言うべきなのではないでしょうか」
「……うん、愛してる。殺生石」
「よくできました。もぅ、恥ずかしがってばかりでは駄目ですよ?」
さっき言われたのに、もう恥ずかしがり屋の癖が出てしまう。ホント、駄目な奴だなぁ……。
と、相変わらずの笑顔で、僕の腕に寄りかかってくる殺生石。
「ふふ、恥ずかしがり屋のだんな様……わたくしの、愛しいだんな様」
……恥ずかしいけど、まぁいいか。それ以上に、嬉しいから……幸せだから。