休日には小さい子たちとよく遊ぶ。今は絵本を読んでいる。『鶴の恩返し』……よくある昔話だ。
「……娘は鶴の姿になって、遠く、遠く飛んで行きました……はい、おしまいだよ。さ、蛋白石からオヤツをもらっておいで」
「昔話ですか。まあまあ、だんな様ったら、すっかり父親の顔をなさって……いいものですわね……」
「あれ、殺生石、いたんだ……って、泣いてる? どうした?」
「いえ、少し……昔を思い出したものですから。ねえ、だんな様、そのお話……有名なのですか?」
「ああ、だれでも知ってる話だよ。子供のころ、よく聞かされたものさ」
「そうですか……ヒトにも語り継がれていたのですね……娘は……本当に若者のことが好きだったのです……己の身を削って、命をすり減らしてでも、若者と添い遂げたかったのです……」
「あれ? え? もしかして、殺生石、この鶴の娘のこと……知ってる?」
「昔のことですが、私は昨日のことのように覚えております。あの娘は、伴侶のただ一度の過ちを許すことができずに、別れを選んでしまいました。
だんな様、女というものは愚かなのでしょうか? それとも、殿方がわがままなのでしょうか?」
頭が混乱する。昔話の主人公を知ってるだって? えーーーー! それに男と女のことを尋ねられても、彼女すらいないのに……。
「えーとっ……ごめん。俺にはよく分からない……」
「ふふっ、正直ですわね。だから惹かれるのでしょうか。ねえ、だんな様。私は愚かと言われようと……貴方のおそばにおりますゆえ……死が二人を別つとも、涅槃の果てまでお供いたします。お覚悟を……」
俺は、もしかしたらとんでもない存在に魅入られてしまったのだろうか。
『お覚悟を……』三つ指ついてそう言った殺生石は、やけに艶っぽく笑った……。
「……娘は鶴の姿になって、遠く、遠く飛んで行きました……はい、おしまいだよ。さ、蛋白石からオヤツをもらっておいで」
「昔話ですか。まあまあ、だんな様ったら、すっかり父親の顔をなさって……いいものですわね……」
「あれ、殺生石、いたんだ……って、泣いてる? どうした?」
「いえ、少し……昔を思い出したものですから。ねえ、だんな様、そのお話……有名なのですか?」
「ああ、だれでも知ってる話だよ。子供のころ、よく聞かされたものさ」
「そうですか……ヒトにも語り継がれていたのですね……娘は……本当に若者のことが好きだったのです……己の身を削って、命をすり減らしてでも、若者と添い遂げたかったのです……」
「あれ? え? もしかして、殺生石、この鶴の娘のこと……知ってる?」
「昔のことですが、私は昨日のことのように覚えております。あの娘は、伴侶のただ一度の過ちを許すことができずに、別れを選んでしまいました。
だんな様、女というものは愚かなのでしょうか? それとも、殿方がわがままなのでしょうか?」
頭が混乱する。昔話の主人公を知ってるだって? えーーーー! それに男と女のことを尋ねられても、彼女すらいないのに……。
「えーとっ……ごめん。俺にはよく分からない……」
「ふふっ、正直ですわね。だから惹かれるのでしょうか。ねえ、だんな様。私は愚かと言われようと……貴方のおそばにおりますゆえ……死が二人を別つとも、涅槃の果てまでお供いたします。お覚悟を……」
俺は、もしかしたらとんでもない存在に魅入られてしまったのだろうか。
『お覚悟を……』三つ指ついてそう言った殺生石は、やけに艶っぽく笑った……。