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朝焼けのなかで

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  パーティの余韻に浸りながら、二人で家路につく。まさか、子供たちが寝た後に第二部があるとは思わなかったが……。
  これだけ呑んで、話をして、和やかに時間を過ごしたのは久しぶりだ。明け方の一番冷え込む時間帯でも、それほど寒さを感じないのは酔いのせいか、ペリドットがそばにいるからか……。
「どうしました?」
「ん、いやいや。君も……タフだね。あれだけ呑んだのに」
「姉に鍛えられましたから」
  ペロリと舌を出して見せる彼女の顔も少し赤いのだが、言葉や立ち居振る舞いから酔いは感じない。まったく……いろんな意味で底が知れない女性だ。

  クリスマスか……また……こんなに穏やかな気分で過ごす日が来るとは思わなかったな……。
  歩きながら、昔のことを思い出す。
  かつて、恋をしていた。当時は唯一無二の恋だと思っていたが……思い過ごしだったようだ。数ヶ月前までは ラジオからあのころよく聴いていた曲が流れてくると彼女のことを思い出していたものだ。
  あのクリスマスの夜。二人とも初めてのキス。唇が震えていたっけ。あの朝焼けの空の色。今でも鮮明に思い出すことができる。そう、ちょうど、今、目の前にある空の色だ……。
  この空を見るたびに、いつかもう一度……なんて思ったころもあったな……。

「何を考えていらっしゃるのですか?」
「ん? いやいや、なんでもないよ。昔の思い出さ……昔のね」
「そうですか……いま、マスターが遠くに行ってしまったような気分になりました。哀しそうな目で、私が立ち入ることのできない雰囲気でしたよ……」
  げに恐ろしきは女の直感。くわばらくわばら……。
  しかし、彼女と暮らし始めてから半年。昔の思い出に胸を痛めることもなくなった。僕の心を満たしているのが……君だからだね。
「君は、よく夜の月を見上げているね。僕は……今の時間の朝焼けをよく見るんだ」
「朝焼け……ですか?」
「そう、空を見上げてごらん。向こうは夜の蒼、次は紫、ピンク、白。昇る太陽は橙色。たくさんの色が溶け合っている。夕焼け空も綺麗だけど、僕は、この朝焼けの空のほうが好きなんだ」
「綺麗ですね……今の時間のほうが空気が澄んでいるのかしら……」

「いつか……君と一緒にこの空を見たいと思っていた」
「マスター……」
「わがままを言っていいかな?」
「なんですか?」
「君を抱きしめたい……」
「突然ですね」
「勢いがないと言えない。パーティの余韻で気分が高ぶっている今だから言える。僕の……これからの全ての思い出は……君と創っていくんだ」
「マスター……」
  昇る朝日を背に、二つの影が一つに重なった。いつか、思い出す日が来る。朝焼けの中で誓った想いを……。


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