いい加減日々のおかずを考えるのに苦労を覚え始めたころ、僕は一計を案じた。
「今日の晩ご飯は誰かの好物にしようと思ってるんだけど、どうかな」
「やったーっ♪」
「……電池ー」
「ごめん、それは無理」
なんだか出だしから不安だ……。
「好物、ですか……誰のを作るのですか?」
「それはじゃんけんで決めよう」
これだったら殺生石相手でも公平に決められるよね。
「……神通力か何かで人の考えを読むのはなしだからね」
「妾がそんな卑怯な真似するはずありません。主様ったら、ひどいですよ」
「ご、ごめん……できるの!?」
「当然です。ですが卑怯なのは嫌いです」
「ご主人様ー、早く決めましょうよっ。じゃないとお腹……おなか……ごはーんっ!!」
「ぎゃーっ!!」
「今日の晩ご飯は誰かの好物にしようと思ってるんだけど、どうかな」
「やったーっ♪」
「……電池ー」
「ごめん、それは無理」
なんだか出だしから不安だ……。
「好物、ですか……誰のを作るのですか?」
「それはじゃんけんで決めよう」
これだったら殺生石相手でも公平に決められるよね。
「……神通力か何かで人の考えを読むのはなしだからね」
「妾がそんな卑怯な真似するはずありません。主様ったら、ひどいですよ」
「ご、ごめん……できるの!?」
「当然です。ですが卑怯なのは嫌いです」
「ご主人様ー、早く決めましょうよっ。じゃないとお腹……おなか……ごはーんっ!!」
「ぎゃーっ!!」
話が脱線しすぎたけど、まぁとりあえず……うぅ、噛み跡ついた。
「というわけでおかずじゃんけん」
「よーっし、負けないからねー!」
「じゃんけん♪」
「……まぁ、適当に頑張ります」
「じゃあ準備はいいね。それじゃあ……じゃーんけーん」
「というわけでおかずじゃんけん」
「よーっし、負けないからねー!」
「じゃんけん♪」
「……まぁ、適当に頑張ります」
「じゃあ準備はいいね。それじゃあ……じゃーんけーん」
……グー3つ、パー1つ。
「まぁ」
勝者、殺生石。
「あぁーっ、負けちゃったあぁぁ……」
「……電池」
「蛋白石、残念なのは分かるけどひざまずくのは……あと電気石、電池はホント許して」
ちなみに僕はそれほど残念でもない、考えるのが省けるんだから。
「というわけで殺生石、今晩何食べたい? 殺生石の好きな物作るよ」
「妾ですか……そうですね、妾は」
それにしても、殺生石の好物かぁ……。
「やっぱりいなり寿司とか?」
……あ、殺生石の耳が動いた。
でも何で顔を赤くするんだろう。
「何ですか、主様は人の考えが読めるのですか?」
「え? いや、やっぱり狐と言えばおいなりさんかなぁと」
「わ、妾はそんな単純じゃありません……もちろん好きですけど」
「それなら別にいいんだけど、でも照れる必要は……」
「照れてなどいません」
き、きっぱりと言い放った。
「で、ですが……やはり妾にも三国の妖怪としての自尊心が……それがあのような食べ物などを……ブツブツ」
……よ、よく分からない。今日の殺生石、よく分からない。
「とりあえず、いなり寿司でいいの? いちおう作れるけど」
結局、一瞬考え込んだあと黙ってうなずく殺生石。やっぱり照れてるよねぇ。
「まぁ」
勝者、殺生石。
「あぁーっ、負けちゃったあぁぁ……」
「……電池」
「蛋白石、残念なのは分かるけどひざまずくのは……あと電気石、電池はホント許して」
ちなみに僕はそれほど残念でもない、考えるのが省けるんだから。
「というわけで殺生石、今晩何食べたい? 殺生石の好きな物作るよ」
「妾ですか……そうですね、妾は」
それにしても、殺生石の好物かぁ……。
「やっぱりいなり寿司とか?」
……あ、殺生石の耳が動いた。
でも何で顔を赤くするんだろう。
「何ですか、主様は人の考えが読めるのですか?」
「え? いや、やっぱり狐と言えばおいなりさんかなぁと」
「わ、妾はそんな単純じゃありません……もちろん好きですけど」
「それなら別にいいんだけど、でも照れる必要は……」
「照れてなどいません」
き、きっぱりと言い放った。
「で、ですが……やはり妾にも三国の妖怪としての自尊心が……それがあのような食べ物などを……ブツブツ」
……よ、よく分からない。今日の殺生石、よく分からない。
「とりあえず、いなり寿司でいいの? いちおう作れるけど」
結局、一瞬考え込んだあと黙ってうなずく殺生石。やっぱり照れてるよねぇ。
夜。約束通り今日の夕食はいなり寿司。
「わぁー、おいしそー♪」
蛋白石は何を見ても開口一番それだと思う。作った側としては嬉しいけど。
さて、殺生石の様子……はっ!?
「おいなりさん……これは、なかなか……」
まるで何かを必死に抑えるような、そんな様子でいなり寿司を凝視している殺生石。
これはそうとう好き……って事でいいのかな。
「と、とりあえずみんな座って。それじゃあいただきます」
「いただきまーっす♪ ぱくっ」
って、蛋白石一口……。
「……おいしい♪」
対して電気石は小さな口で少しずつ。なんか一個食べるだけでもかなり時間かかりそうだ。
そして殺生石は……。
「いただきます……お、美味しいですよ、主様」
そんな震えた声で言わなくても……あまり美味しそうに聞こえない。
「殺生石、美味しいんだったら我慢しないで美味しいって言おうよー」
「が、我慢なんかしていませんっ」
「まぁ蛋白石の言うことも一理あるけど……殺生石、さっきから様子おかしいよ?」
「主様までそんな……わ、妾は何も我慢などしていませんっ。それより早く食べましょう」
皿に三つほどいなり寿司を盛り、野菜炒めと交互に食べ始める。
……うーん、たぶん美味しいって思ってくれているんだろうな。まぁ、それでいいか……。
「ご主人様ー、おかわりっ」
「ねぇ、もう少しゆっくり食べない?」
「わぁー、おいしそー♪」
蛋白石は何を見ても開口一番それだと思う。作った側としては嬉しいけど。
さて、殺生石の様子……はっ!?
「おいなりさん……これは、なかなか……」
まるで何かを必死に抑えるような、そんな様子でいなり寿司を凝視している殺生石。
これはそうとう好き……って事でいいのかな。
「と、とりあえずみんな座って。それじゃあいただきます」
「いただきまーっす♪ ぱくっ」
って、蛋白石一口……。
「……おいしい♪」
対して電気石は小さな口で少しずつ。なんか一個食べるだけでもかなり時間かかりそうだ。
そして殺生石は……。
「いただきます……お、美味しいですよ、主様」
そんな震えた声で言わなくても……あまり美味しそうに聞こえない。
「殺生石、美味しいんだったら我慢しないで美味しいって言おうよー」
「が、我慢なんかしていませんっ」
「まぁ蛋白石の言うことも一理あるけど……殺生石、さっきから様子おかしいよ?」
「主様までそんな……わ、妾は何も我慢などしていませんっ。それより早く食べましょう」
皿に三つほどいなり寿司を盛り、野菜炒めと交互に食べ始める。
……うーん、たぶん美味しいって思ってくれているんだろうな。まぁ、それでいいか……。
「ご主人様ー、おかわりっ」
「ねぇ、もう少しゆっくり食べない?」
「だんな様……」
誰かの呼ぶ声……僕の意識がわずかに覚醒する。
……何だろう、すごく暖かい。
「……って、殺生石ぃ」
いい加減慣れたから驚かない。布団の中に、いつの間にか殺生石が潜り込んでいた。
それにしてもなんだかいつもより顔が赤いような……頬擦りもいつもより過剰だ。
「だんな様ぁ」
「あ、あのぉ、本当にどうしたの? いくらなんでも様子が……」
「ふふ……ふふふー♪ 少し酔ってしまったみたいですぅ」
酔った? お酒なんて飲んだ記憶ないんだけど……。
「少々お酢が強すぎたようですねぇ……ふふふー」
「お酢? 確かにちょっと入れすぎた気もするけど」
「食べ過ぎちゃいましたからぁ……すりすり」
……こういうことって、あるのだろうか。
これってつまり、殺生石って酢を摂りすぎると酔っぱらうってことでいいのだろうか。
「だんな様のぉ、おいなりさん。おいしかったですよぉ」
あー、すっかりでき上がってるみたい。なんか甘えてるときと大差がないといえばそうなんだけど。
「油揚げもぉ、ごはんもぉ、すごーくおいしかったですよぉ」
「あ、ありがとう。とりあえず水とかいる?」
「いりませぇん。今日はー、このままぁ、だんな様の腕の中でぇ……腕の中ぁ……くぅ」
あ、寝ちゃった……。
そういえば殺生石が眠る姿って初めて見たかも。普段は一日中起きてるらしいし。
しかし、酔っぱらうと殺生石ってすぐ眠っちゃうんだ。人間の酔っ払いよりはずっとマシかも。
……殺生石の寝顔、可愛いなぁ。顔がにやけちゃうよ。
せっかくだから頭を撫でてみたり……うーん、やっぱり眠っている殺生石ってなんか新鮮。
今度はほっぺたをつっついてみたり……なんかいろいろやりたくなってしまう寝顔だなぁ。
「んぅ……くすぐったぁい」
「え、ちょっ、あっ、そ、そんなきつく抱きつかれると苦しっ……」
……悪戯って、するモンじゃないんだね。
誰かの呼ぶ声……僕の意識がわずかに覚醒する。
……何だろう、すごく暖かい。
「……って、殺生石ぃ」
いい加減慣れたから驚かない。布団の中に、いつの間にか殺生石が潜り込んでいた。
それにしてもなんだかいつもより顔が赤いような……頬擦りもいつもより過剰だ。
「だんな様ぁ」
「あ、あのぉ、本当にどうしたの? いくらなんでも様子が……」
「ふふ……ふふふー♪ 少し酔ってしまったみたいですぅ」
酔った? お酒なんて飲んだ記憶ないんだけど……。
「少々お酢が強すぎたようですねぇ……ふふふー」
「お酢? 確かにちょっと入れすぎた気もするけど」
「食べ過ぎちゃいましたからぁ……すりすり」
……こういうことって、あるのだろうか。
これってつまり、殺生石って酢を摂りすぎると酔っぱらうってことでいいのだろうか。
「だんな様のぉ、おいなりさん。おいしかったですよぉ」
あー、すっかりでき上がってるみたい。なんか甘えてるときと大差がないといえばそうなんだけど。
「油揚げもぉ、ごはんもぉ、すごーくおいしかったですよぉ」
「あ、ありがとう。とりあえず水とかいる?」
「いりませぇん。今日はー、このままぁ、だんな様の腕の中でぇ……腕の中ぁ……くぅ」
あ、寝ちゃった……。
そういえば殺生石が眠る姿って初めて見たかも。普段は一日中起きてるらしいし。
しかし、酔っぱらうと殺生石ってすぐ眠っちゃうんだ。人間の酔っ払いよりはずっとマシかも。
……殺生石の寝顔、可愛いなぁ。顔がにやけちゃうよ。
せっかくだから頭を撫でてみたり……うーん、やっぱり眠っている殺生石ってなんか新鮮。
今度はほっぺたをつっついてみたり……なんかいろいろやりたくなってしまう寝顔だなぁ。
「んぅ……くすぐったぁい」
「え、ちょっ、あっ、そ、そんなきつく抱きつかれると苦しっ……」
……悪戯って、するモンじゃないんだね。
「んぅー……素直に眠るのなんて何百年ぶりでしょう。あれ、だんな様、もう起きなくてはいけませんよ?」
まぁ、なんというか……半死半生で生きてました。
まぁ、なんというか……半死半生で生きてました。