「兄様ぁ」
「……どうしたの、殺生石?」
ものすごい猫なで声……殺生石、君は狐でしょ?
「あら、嬉しくなさそうですね。今の流行ではないのですか?」
と、首をかしげる。
「いや、僕いつもお兄ちゃんって呼ばれてるんだけど」
「あ、それもそうですね。小さい子達の相手が多いのですから」
「何というか、お兄ちゃんとかパパとかご主人様とか、色々呼ばれてると感覚が麻痺するんだよ。もちろん殺生石のだんな様も」
これらで一斉に呼ばれたら、どっちに振り返ればいいか分からなくなるね、うん。
「あらあら、そんな事言ってますと夜中に背後から刺されますよ?」
「こ、怖い事言わないでよ……」
でもこればかりはどうしても……嫌じゃないんだけど、それが普通というか何というか。
それにしても、一体どこからそんな話題が……。
「案外ペリドットの言葉も当てにならないものですね」
「え、何でそこでペリドットさん……」
「昨日お茶を一緒にしたときに話したのです」
というかあの人にその堂々たる物言い。さすが殺生石といったところかな。
「では、だんな様はどのように呼ばれるのが嬉しいのですか?」
「え、そうだなぁ。みんな呼んでくれない名前でとか」
「そうですか。では、だんな様のお名前を教えて下されますか?」
「あぁ、教えた事なかったね。えっと、僕の名前……あれ、名前?」
「だんな様?」
「……ねぇ、僕の名前なんだっけ?」
「それを教えて頂きたいのですが……だんな様、そういうおふざけはあまり面白くありませんよ」
いや、これはおふざけでも冗談でもない。本当に思い出せない。
そもそも僕に名前なんてあったのかな。なんだかそれすら怪しく……いやいや、名前無いなんて有り得ないよ!
「ね、ねぇ、なんだか怖くなってきた……まるで最初から名前がなかったような気がしてきて」
「だんな様……大丈夫ですよ。どんな事があっても、だんな様はわたくしのだんな様なのですから」
殺生石の小さな手が、僕の頬を撫でる。
「殺生石……」
「だんな様……」
「……どうしたの、殺生石?」
ものすごい猫なで声……殺生石、君は狐でしょ?
「あら、嬉しくなさそうですね。今の流行ではないのですか?」
と、首をかしげる。
「いや、僕いつもお兄ちゃんって呼ばれてるんだけど」
「あ、それもそうですね。小さい子達の相手が多いのですから」
「何というか、お兄ちゃんとかパパとかご主人様とか、色々呼ばれてると感覚が麻痺するんだよ。もちろん殺生石のだんな様も」
これらで一斉に呼ばれたら、どっちに振り返ればいいか分からなくなるね、うん。
「あらあら、そんな事言ってますと夜中に背後から刺されますよ?」
「こ、怖い事言わないでよ……」
でもこればかりはどうしても……嫌じゃないんだけど、それが普通というか何というか。
それにしても、一体どこからそんな話題が……。
「案外ペリドットの言葉も当てにならないものですね」
「え、何でそこでペリドットさん……」
「昨日お茶を一緒にしたときに話したのです」
というかあの人にその堂々たる物言い。さすが殺生石といったところかな。
「では、だんな様はどのように呼ばれるのが嬉しいのですか?」
「え、そうだなぁ。みんな呼んでくれない名前でとか」
「そうですか。では、だんな様のお名前を教えて下されますか?」
「あぁ、教えた事なかったね。えっと、僕の名前……あれ、名前?」
「だんな様?」
「……ねぇ、僕の名前なんだっけ?」
「それを教えて頂きたいのですが……だんな様、そういうおふざけはあまり面白くありませんよ」
いや、これはおふざけでも冗談でもない。本当に思い出せない。
そもそも僕に名前なんてあったのかな。なんだかそれすら怪しく……いやいや、名前無いなんて有り得ないよ!
「ね、ねぇ、なんだか怖くなってきた……まるで最初から名前がなかったような気がしてきて」
「だんな様……大丈夫ですよ。どんな事があっても、だんな様はわたくしのだんな様なのですから」
殺生石の小さな手が、僕の頬を撫でる。
「殺生石……」
「だんな様……」
「うっ……今ものすごい寒気を感じた」
「月長石の格好はどう見ても寒そうだろう。何を今更……」
「むっ、別にいいじゃん。アメジストお・ね・え・ちゃん」
「……今度その呼び方をしたら覚悟を決めてもらうぞ」
「月長石の格好はどう見ても寒そうだろう。何を今更……」
「むっ、別にいいじゃん。アメジストお・ね・え・ちゃん」
「……今度その呼び方をしたら覚悟を決めてもらうぞ」