正月の朝……うぅ、眠い。
確か蛋白石に初日の出を見ようと無理矢理起こされたんだっけ。あれ、その後の記憶が曖昧……まぁ、寝ぼけながら布団に潜ったんだろうけど。
「おはよぉ……」
「あっ、ご主人様ー。明けましておめでとうございますっ」
「……おめでとー」
さっそく居間で出迎えてくれる二人。
だが一人足りない。いつもなら僕の寝ぼけ顔を微笑みながら見つめてくるあの殺生石だ。
台所からは物音もしないし、一体どうしたのだろうか……。
「蛋白石、殺生石はどうしたの?」
「え? 確か野暮用とかで出かけてますよー」
「へぇー、珍しいね」
「はつもーでー?」
「……それはみんなで行くって約束したでしょ」
しかも電気石のイントネーションだとどうしても発毛デーに聞こえてしまう。そんな正月は嫌だよ。
「ただいま戻りました」
と、殺生石の声が玄関から。
わざわざ殺生石が玄関から帰って来るというのは珍しい。いつもなら瞬間移動みたいにいつの間にか部屋にいるんだけど。
それよりも出迎えよう。なんだか殺生石の顔を見ておかないと落ち着かない。
「おかえり殺生石……うわぁ」
「あら、主様。お出迎え、ありがとうございます」
相変わらず一つ一つの仕草が優雅な殺生石。
だがそれよりも、彼女が着ている着物に僕の目は釘づけだった。
普段の重々しい十二単ではなく、(それでも重そうだけど)正月にぴったりの鮮やかな振袖だった。ちなみに首に巻いてるもふもふしたアレの名前は知らない。
「ふふ、さっそく妾の衣装を見て下さいましたか。似合いますか?」
「う、うん。いつもと違って何というか軽やかだね。よく似合うよ」
「ありがとうございます。漬物石と一緒に仕立てに行った甲斐がありました」
漬物石ちゃんと用意しに行ってたのか。
ということは漬物石ちゃんも今ごろ振袖姿……って、まさか。
「それ、買ったの?」
「いいえ、手作りです」
……それはそれですごい。
でも買ったとしたらいくらなんだろう。僕んちの食費どれぐらい削れば……考えるだけでも恐ろしい。
「おかえり殺しょ……わぁ、すごーい」
「まっかー♪」
「ふふふ、貴女たちのも用意してありますよ」
「い、いつの間に用意したの……」
でもよく考えたら殺生石ってものすごーい力とか使えるんだよなぁ。
だったらこれぐらいたやすいことなのかも……いや、たやすいのかな?
「ご主人様ー、似合ってますか?」
「うん、よく似合ってるよ」
「……私も?」
「もちろん、電気石もよく似合ってる。可愛いよ」
いつしか家の中は三人の振袖姿でずいぶんと鮮やかになっていた。
こういうものは男に無縁だから、少しだけ羨ましいかも。別に振袖が着たいわけではないけど。
「実は主様の分もご用意を……」
「は!?」
「冗談ですよ。ふふふ」
「殺生石ぃ、頭の中でも読んだんでしょ」
殺生石は答えずに笑顔を浮かべるだけ。もぉ……。
「それでは、三が日が終わるまでは皆さんこの格好ということで」
「え……それはちょっと……ドレスより動きにくいし」
「却下です」
「あうぅ……」
「ひらひらー♪」
電気石は嬉しそうだからいいんだけど、殺生石の顔は有無を言わさぬといった感じ。
「ね、ねぇ、どうして三が日の間は振袖なの?」
そりゃあ聞かずにはいられなかった。
でも、聞かなければよかったかもしれない……。
「もちろん、主様が着物の女性に嗜好があるので……」
「殺生石っ!!」
今年もこんな調子になりそうです……はぁ。
確か蛋白石に初日の出を見ようと無理矢理起こされたんだっけ。あれ、その後の記憶が曖昧……まぁ、寝ぼけながら布団に潜ったんだろうけど。
「おはよぉ……」
「あっ、ご主人様ー。明けましておめでとうございますっ」
「……おめでとー」
さっそく居間で出迎えてくれる二人。
だが一人足りない。いつもなら僕の寝ぼけ顔を微笑みながら見つめてくるあの殺生石だ。
台所からは物音もしないし、一体どうしたのだろうか……。
「蛋白石、殺生石はどうしたの?」
「え? 確か野暮用とかで出かけてますよー」
「へぇー、珍しいね」
「はつもーでー?」
「……それはみんなで行くって約束したでしょ」
しかも電気石のイントネーションだとどうしても発毛デーに聞こえてしまう。そんな正月は嫌だよ。
「ただいま戻りました」
と、殺生石の声が玄関から。
わざわざ殺生石が玄関から帰って来るというのは珍しい。いつもなら瞬間移動みたいにいつの間にか部屋にいるんだけど。
それよりも出迎えよう。なんだか殺生石の顔を見ておかないと落ち着かない。
「おかえり殺生石……うわぁ」
「あら、主様。お出迎え、ありがとうございます」
相変わらず一つ一つの仕草が優雅な殺生石。
だがそれよりも、彼女が着ている着物に僕の目は釘づけだった。
普段の重々しい十二単ではなく、(それでも重そうだけど)正月にぴったりの鮮やかな振袖だった。ちなみに首に巻いてるもふもふしたアレの名前は知らない。
「ふふ、さっそく妾の衣装を見て下さいましたか。似合いますか?」
「う、うん。いつもと違って何というか軽やかだね。よく似合うよ」
「ありがとうございます。漬物石と一緒に仕立てに行った甲斐がありました」
漬物石ちゃんと用意しに行ってたのか。
ということは漬物石ちゃんも今ごろ振袖姿……って、まさか。
「それ、買ったの?」
「いいえ、手作りです」
……それはそれですごい。
でも買ったとしたらいくらなんだろう。僕んちの食費どれぐらい削れば……考えるだけでも恐ろしい。
「おかえり殺しょ……わぁ、すごーい」
「まっかー♪」
「ふふふ、貴女たちのも用意してありますよ」
「い、いつの間に用意したの……」
でもよく考えたら殺生石ってものすごーい力とか使えるんだよなぁ。
だったらこれぐらいたやすいことなのかも……いや、たやすいのかな?
「ご主人様ー、似合ってますか?」
「うん、よく似合ってるよ」
「……私も?」
「もちろん、電気石もよく似合ってる。可愛いよ」
いつしか家の中は三人の振袖姿でずいぶんと鮮やかになっていた。
こういうものは男に無縁だから、少しだけ羨ましいかも。別に振袖が着たいわけではないけど。
「実は主様の分もご用意を……」
「は!?」
「冗談ですよ。ふふふ」
「殺生石ぃ、頭の中でも読んだんでしょ」
殺生石は答えずに笑顔を浮かべるだけ。もぉ……。
「それでは、三が日が終わるまでは皆さんこの格好ということで」
「え……それはちょっと……ドレスより動きにくいし」
「却下です」
「あうぅ……」
「ひらひらー♪」
電気石は嬉しそうだからいいんだけど、殺生石の顔は有無を言わさぬといった感じ。
「ね、ねぇ、どうして三が日の間は振袖なの?」
そりゃあ聞かずにはいられなかった。
でも、聞かなければよかったかもしれない……。
「もちろん、主様が着物の女性に嗜好があるので……」
「殺生石っ!!」
今年もこんな調子になりそうです……はぁ。