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だれでも歓迎! 編集
  男なんてただの玩具だった。適当にたぶらかして無理難題ふっかけて……そうやって必死になってる男を見るのが楽しかった。
  そして馬鹿にしてた。なんで一人のためにこんな必死になれるんだろうって。
  だからホープのために必死になってるアメジストを見る私の目は若干冷めてもいた……アイツに会うまでは。

  初めてアイツに会ったのは夜の散歩の途中。いつもみたいにぶらぶら飛んでたら灯りが見えた。
  なんだろうって思って近づいてみたら病室で……そこにアイツがいた。
「……え?」
  それがアイツの第一声だっけ。あの顔面白かったなー。それから確か……。
「やっほー♪」
  って答えたんだ。それから無理矢理病室に入り込んで話をしたんだっけ。
「君……誰?」
「私? 月長石だよー。アンタは?」
「えと……僕は……」
  まぁそんな感じの自己紹介だったと思う。アメジストがいたらもっとちゃんとしろって叱られそうだね。
  向こうは案外すんなり受け入れてくれたんだよね、私が宝石乙女だってこと。今にして思えば少し自暴自棄になってたからかな。

  そんな風にして私はアイツと友達になった。病院暮らしが長いみたいで、私の話もすっごい興味津々って感じで……楽しかった。
  こんな風に人と話して楽しいのは初めてだった。そんな時だった。
「っ……! ゲホッ、ゴホッ、ゴホッ!」
「ちょ、ちょっと!?」
「ゴホッ……ハァ、ハァ……大丈夫……おさまったから……」
「で、でも……血……」
「こんなのしょっちゅうだよ。それよりもっと話を聞かせてよ」
「う、うん……」
  本人はそう言ってたけどなんか心配になったから、なんとかしてあげたいって思った。そしてあの話が耳に入った。
「あの〇〇号室の患者さん……ずいぶん長いこと入院してますよね」
「あの子のことね。何か肺に慢性的な疾患があってそれが全身にも影響を及ぼしてるとか……」
「なんとかならないんですか?」
「手術をしようにも体力が保たないそうなの。今は薬でなんとかしてるけどそれもいつまでもつか……」
  足元がさーっと崩れる感じって、ああいうのを言うのかな。とにかく頭の中が真っ白になって……気づいたらアイツの病室にいた。
「あれ、月長石……今日はもう帰ったんじゃ……」
「……私のマスターになりなさい」
「へ?」
「いいから! 今すぐ!」
  今にして思えば、本当どうかしてたと思う。だって赤の他人だよ? 別にいつ死のうが関係ないじゃん。そう……昔の私ならそう思ってた……。
「でも……やっぱり駄目だよ。だって僕はもう……」
「あーもう! だから契約しようって言ってるんでしょ!」
「え……」
「あ……」
「月長石……今の……どういう意味……?」
「え、えと……だから……その……と、とにかく契約!」
「……ひっ……えぐっ……」
「な、なんで泣いてるのよ……」
「ありがとう……」
  ……そんなこと言われたの初めてだった。
  まぁその後は私の献身的な介護のおかげですっかり元気になったんだけどね。
  なんであんな必死だったのかな……そりゃ一緒にいて楽しかったのは確かだけど。
  これが恋……なのかな。案外いいもんね、一人のために必死になるのも……。

「……とまぁこんな感じね」
「はい、ありがとうございました」
  ペリドットがニコニコしながらお礼を言う。さすがに照れくさくなって、まっすぐその顔を見ることができない。
「うー、アメジストの昔話聞けたのはいいけど、なんでこんな話をしなきゃいけないのよ……」
「あらいいじゃない。それに貴方、彼に会う前よりずっと綺麗になったわよ」
「へ?」
「恋は女を綺麗にするのよ」
「ふーん……」
  あんまり自覚はないけど、真珠さんの言うようにきれいになれるなら、これが恋でも……いいかな。


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