「風邪引いた……うぅ」
朝、みんなの前でさっそく伝える。
寒気、頭痛、関節痛、だるい、食欲不振……もう、思いっきり風邪だよ。
「えっ、ご主人様ー、寝てないとダメですよっ。ほらほらー」
「いや、ちょっ、押さないでっ。ご飯作らないとっ」
「……ご飯……おかゆ、作る」
「そうですよー、私たちに任せて下さいっ。ねー、殺生石っ」
風邪と聞いても表情一つ変えない殺生石。
お茶を一口飲み、やっとこちらに顔を向ける。
「主様、寝ていて下さい」
「……はい」
なんだか知らないけど、ものすごい迫力があった。声も表情も。
「風邪の身体で無茶をされては、妾たちが困るのです。あと日頃の体調管理は気を遣って……」
「わ、分かったよぉ。おとなしく寝てるから……じゃあ、家の事任せるからね」
朝、みんなの前でさっそく伝える。
寒気、頭痛、関節痛、だるい、食欲不振……もう、思いっきり風邪だよ。
「えっ、ご主人様ー、寝てないとダメですよっ。ほらほらー」
「いや、ちょっ、押さないでっ。ご飯作らないとっ」
「……ご飯……おかゆ、作る」
「そうですよー、私たちに任せて下さいっ。ねー、殺生石っ」
風邪と聞いても表情一つ変えない殺生石。
お茶を一口飲み、やっとこちらに顔を向ける。
「主様、寝ていて下さい」
「……はい」
なんだか知らないけど、ものすごい迫力があった。声も表情も。
「風邪の身体で無茶をされては、妾たちが困るのです。あと日頃の体調管理は気を遣って……」
「わ、分かったよぉ。おとなしく寝てるから……じゃあ、家の事任せるからね」
暖かい布団に氷枕。
なんだか氷枕なんて久しぶりに使った気がする。あぁ、気持ちいい……。
「失礼します」
と、先ほどお説教をしてくれた殺生石が、土鍋を乗せたお盆を持って部屋に入ってくる。
卵とネギのいい匂い……おかゆも久々に食べるなぁ。
「ありがとう、殺生石。美味しそうだね」
……あれ、なんだか殺生石の反応が薄い。
返事もなく、枕元にお盆を置く。そして僕のかたわらに座って……。
「……もしかして、まだ呆れてる?」
殺生石の視線が、痛いほどこちらにぶつかってくる。
「え、えーと……殺生石?」
「だんな様っ」
「は、はいっ」
突然僕の頭を抱き上げて……って、顔近いっ!
「どうぞわたくしに風邪をうつして下さいっ」
「えぇ、えーっと……え?」
「風邪を風邪は他人にうつせば治ると言います。それにわたくしなら、だんな様の全てを受け入れることがっ」
「ちょっ、ちょっと待って! 殺生石さっきとなんか違う!!」
「大丈夫です、わたくしはいつでもだんな様のことを想っております。何も違いなど」
「いやそうじゃなくてなんか取り乱して……いやっ、ちょっ、ひぃゃーっ!」
なんだか氷枕なんて久しぶりに使った気がする。あぁ、気持ちいい……。
「失礼します」
と、先ほどお説教をしてくれた殺生石が、土鍋を乗せたお盆を持って部屋に入ってくる。
卵とネギのいい匂い……おかゆも久々に食べるなぁ。
「ありがとう、殺生石。美味しそうだね」
……あれ、なんだか殺生石の反応が薄い。
返事もなく、枕元にお盆を置く。そして僕のかたわらに座って……。
「……もしかして、まだ呆れてる?」
殺生石の視線が、痛いほどこちらにぶつかってくる。
「え、えーと……殺生石?」
「だんな様っ」
「は、はいっ」
突然僕の頭を抱き上げて……って、顔近いっ!
「どうぞわたくしに風邪をうつして下さいっ」
「えぇ、えーっと……え?」
「風邪を風邪は他人にうつせば治ると言います。それにわたくしなら、だんな様の全てを受け入れることがっ」
「ちょっ、ちょっと待って! 殺生石さっきとなんか違う!!」
「大丈夫です、わたくしはいつでもだんな様のことを想っております。何も違いなど」
「いやそうじゃなくてなんか取り乱して……いやっ、ちょっ、ひぃゃーっ!」
風邪引いて突然抱きつかれるなんて、ホント初めての経験だった。
「申し訳ございません……だんな様が苦しんでいるのを見ていたら、いてもたってもいられなくなってしまいまして」
「そ、それはいいんだけどさ。そもそも殺生石って風邪引くの?」
「いえ、まったく」
……うん、そりゃあそうだよね、うん。
「やはり体力をつけて治さねばなりませんね。さぁだんな様、こちらに頭を乗せて下さい」
と、自分の膝に僕の頭を乗せる殺生石。乗せて下さいって言ってるのに……嬉しいけど。
氷枕とは違い、ほどよい温もりと柔らかな感触が頭を包む。
少し眠くなってしまいそうな心地よさ……と、そこに殺生石が湯気の立つレンゲを差し出してくる。
「では、あーん」
卵とネギの香り。殺生石お手製のおかゆだ。
少し恥ずかしい気もするけど、それより食べてみたいという思いが先立ち、自然と口が開いてしまう。
「あーん……」
「いちおう冷ましてありますけど、熱いようでしたら言ってください」
「ううん、大丈夫。すごく美味しいよ」
「ありがとうございます」
卵のふんわりした口触りと、ほどよいネギの歯ごたえ、それに絶妙な塩加減と多分昆布だしの味。
やっぱり殺生石はすごいなぁ……僕じゃあ追いつけそうにない。
「今度僕に料理教えてよ」
「ふふふ、教えてもらいたいのはこちらの方ですよ。だんな様のお料理は、いつも幸せになれる味なのですから」
そうなのかな、自覚がまったくない。
僕の場合はその場しのぎで覚えた料理が多いし……まぁ、一部手間のかかる物は母親からの伝授だけど。
でも僕からしてみれば、自分で作ったご飯よりは殺生石の作った方が……。
「さぁ、早く食べて頂かないと冷めてしまいます。これを食べて体力をつけて、一刻も早く風邪を治してくださいね。あ、身体が冷えないように、わたくしが添い寝いたしましょうか?」
「い、いやぁ……それよりも家事をしてもらいたいんだけど」
「それはあの子たちに任せてきました。わたくしはだんな様の看病を……」
「ひゃあぁーっ!!」
……台所から、蛋白石の悲鳴。
あ、殺生石の笑顔が固まった。
「……少々お待ちを」
先ほどの笑顔のまま、僕の部屋を後にする殺生石。
まぁ、何というか……蛋白石、頑張ってね。
「……うぅ」
背中を寒気が襲う。
それが風邪によるものなのか、それとも別の何かなのか、区別はつかなかった。
「申し訳ございません……だんな様が苦しんでいるのを見ていたら、いてもたってもいられなくなってしまいまして」
「そ、それはいいんだけどさ。そもそも殺生石って風邪引くの?」
「いえ、まったく」
……うん、そりゃあそうだよね、うん。
「やはり体力をつけて治さねばなりませんね。さぁだんな様、こちらに頭を乗せて下さい」
と、自分の膝に僕の頭を乗せる殺生石。乗せて下さいって言ってるのに……嬉しいけど。
氷枕とは違い、ほどよい温もりと柔らかな感触が頭を包む。
少し眠くなってしまいそうな心地よさ……と、そこに殺生石が湯気の立つレンゲを差し出してくる。
「では、あーん」
卵とネギの香り。殺生石お手製のおかゆだ。
少し恥ずかしい気もするけど、それより食べてみたいという思いが先立ち、自然と口が開いてしまう。
「あーん……」
「いちおう冷ましてありますけど、熱いようでしたら言ってください」
「ううん、大丈夫。すごく美味しいよ」
「ありがとうございます」
卵のふんわりした口触りと、ほどよいネギの歯ごたえ、それに絶妙な塩加減と多分昆布だしの味。
やっぱり殺生石はすごいなぁ……僕じゃあ追いつけそうにない。
「今度僕に料理教えてよ」
「ふふふ、教えてもらいたいのはこちらの方ですよ。だんな様のお料理は、いつも幸せになれる味なのですから」
そうなのかな、自覚がまったくない。
僕の場合はその場しのぎで覚えた料理が多いし……まぁ、一部手間のかかる物は母親からの伝授だけど。
でも僕からしてみれば、自分で作ったご飯よりは殺生石の作った方が……。
「さぁ、早く食べて頂かないと冷めてしまいます。これを食べて体力をつけて、一刻も早く風邪を治してくださいね。あ、身体が冷えないように、わたくしが添い寝いたしましょうか?」
「い、いやぁ……それよりも家事をしてもらいたいんだけど」
「それはあの子たちに任せてきました。わたくしはだんな様の看病を……」
「ひゃあぁーっ!!」
……台所から、蛋白石の悲鳴。
あ、殺生石の笑顔が固まった。
「……少々お待ちを」
先ほどの笑顔のまま、僕の部屋を後にする殺生石。
まぁ、何というか……蛋白石、頑張ってね。
「……うぅ」
背中を寒気が襲う。
それが風邪によるものなのか、それとも別の何かなのか、区別はつかなかった。
「もう蛋白石には任せませんので、ご安心を」
「ご、ごめんってば殺生石ぃ」
「黙りなさい。せっかくだんな様と二人きりで……ブツブツ」
「……なぁに?」
「何でもありません。それより電気石も手伝ってください。まったく……」
「ご、ごめんってば殺生石ぃ」
「黙りなさい。せっかくだんな様と二人きりで……ブツブツ」
「……なぁに?」
「何でもありません。それより電気石も手伝ってください。まったく……」