この窓を揺らす音。
鳴らしているのは風じゃない。眠りの時間にだけやってくる、僕の恩人。
「おっきろー」
でも、本当は寝かして欲しい……低血圧だし。
鳴らしているのは風じゃない。眠りの時間にだけやってくる、僕の恩人。
「おっきろー」
でも、本当は寝かして欲しい……低血圧だし。
「はい、お茶……ふあぁ~」
大きなあくびがこぼれる。
時刻は午前0時。人によっては起きている時間だろうけど、明日も早い身としてはもう寝ておきたいところ。
そんな僕の気持ちもお構いなし、受け取ったお茶を飲みながら笑顔を浮かべる女の子が一人。
「月長石ぃ……出来れば寝かせて欲しいんだけど」
「だって昼間は学校だーって、全然話す機会ないじゃない。契約してるんだからコミュニケーションを大切にしないとねー」
彼女、月長石に僕は命を救われた。
でもどうやって僕を救ったのかとか、そんな事は全然分からない。
彼女の言う『契約』。それを行ったおかげで、不治の病から救われていた。
大きなあくびがこぼれる。
時刻は午前0時。人によっては起きている時間だろうけど、明日も早い身としてはもう寝ておきたいところ。
そんな僕の気持ちもお構いなし、受け取ったお茶を飲みながら笑顔を浮かべる女の子が一人。
「月長石ぃ……出来れば寝かせて欲しいんだけど」
「だって昼間は学校だーって、全然話す機会ないじゃない。契約してるんだからコミュニケーションを大切にしないとねー」
彼女、月長石に僕は命を救われた。
でもどうやって僕を救ったのかとか、そんな事は全然分からない。
彼女の言う『契約』。それを行ったおかげで、不治の病から救われていた。
『……別に。理由なんていらないし』
どうして僕なんかと契約したのか。
それを尋ねたときに告げた彼女の言葉が、何故かたまらなく嬉しかった。
「学校で何勉強してるの?」
「え? 普通だけど……数学とか、英語とか」
「語学の勉強ぉ~? 人間って不便だよねぇ」
「そりゃあ、そっちは楽だろうけどさ……」
何でも、契約者に合わせた言語を自動で話せるようになるとか。
それで長い時間生きているんだ。言葉の一つや二つ、マスターしてしまうだろう。
「でもさぁ、わざわざそんなに勉強して何がしたいの? 目標とか、夢とかあったりするの?」
「夢……まだ分からない、かな」
「ふーん、そっか。じゃあ夢はこれからって事なんだ」
夢、か。
病気のままだったらずっと考える事はなかったんだろうな。
改めて言われて思う、僕の夢は何なのか。
「……ねぇ、勉強で分からないとことかある? 英語限定で」
お茶を一口飲んで一言。
「え? もちろんあるけど」
「あるのね? よし、じゃああたしが直々に家庭教師やったげる」
月長石が、家庭教師?
「あーっ、何よその目はー。もしかして『月長石に家庭教師? 出来る訳ねぇだろプギャー』とか、思ってる訳?」
「そ、それは絶対無いから……」
本当は少しだけ……でもプギャーなんて本当に思ってない。
「ホントかなぁ」
「ホントホント」
「むー……ま、いっか。ほらとっとと準備ー」
それを尋ねたときに告げた彼女の言葉が、何故かたまらなく嬉しかった。
「学校で何勉強してるの?」
「え? 普通だけど……数学とか、英語とか」
「語学の勉強ぉ~? 人間って不便だよねぇ」
「そりゃあ、そっちは楽だろうけどさ……」
何でも、契約者に合わせた言語を自動で話せるようになるとか。
それで長い時間生きているんだ。言葉の一つや二つ、マスターしてしまうだろう。
「でもさぁ、わざわざそんなに勉強して何がしたいの? 目標とか、夢とかあったりするの?」
「夢……まだ分からない、かな」
「ふーん、そっか。じゃあ夢はこれからって事なんだ」
夢、か。
病気のままだったらずっと考える事はなかったんだろうな。
改めて言われて思う、僕の夢は何なのか。
「……ねぇ、勉強で分からないとことかある? 英語限定で」
お茶を一口飲んで一言。
「え? もちろんあるけど」
「あるのね? よし、じゃああたしが直々に家庭教師やったげる」
月長石が、家庭教師?
「あーっ、何よその目はー。もしかして『月長石に家庭教師? 出来る訳ねぇだろプギャー』とか、思ってる訳?」
「そ、それは絶対無いから……」
本当は少しだけ……でもプギャーなんて本当に思ってない。
「ホントかなぁ」
「ホントホント」
「むー……ま、いっか。ほらとっとと準備ー」
人に教える難しさ。
月長石は、早速それにぶつかっていた。
「だからそこはー……えー、なんて言えばいいんだろ。んー……」
「え、えっと、別に今無理しなくてもいいよ。僕も眠いし」
「そんな事じゃいい大学に入れない!」
「大学受験はまだ2年も先なんですけど……」
ちなみに、入院が長かったのでダブりだったり。
「2年も200年も変わんないの。今から準備して損は無し!」
「……なんか、月長石らしからぬ言葉だね。200年はずいぶんとアレだけど」
「むっ、笑うなー。あたしはあんたの為を思って言ってるんだからー」
僕の頬を指で押してくる。
別に痛くはないからいいけど、なんだかくすぐったい。
「ん……あー、また勝手に進めたなーっ!」
「だってお喋りしてたら勉強進まないから……」
「あたしが言うまで勉強禁止だから」
「それ家庭教師の意味が」
「問答無用っ」
本末転倒というかなんというか……。
なんだか月長石に振り回されながら、この先生きていく事になりそうな。
でも、それでもいいよね。
二人だと、何していても楽しいから。
「ったくー。えー、ここはどうすれば……」
僕を助けてくれた命の恩人が、英語の教科書片手に難しい顔を浮かべている。
……急に込み上げてくる、感謝の気持ち。
「ありがとう、月長石」
自然と出てくる、お礼の言葉。
「へ? どういたしまして……って、なんかあった?」
何事かと目を丸くする月長石。
そんな彼女に、僕は笑顔を一つ。
……本当に、ありがとう。
月長石は、早速それにぶつかっていた。
「だからそこはー……えー、なんて言えばいいんだろ。んー……」
「え、えっと、別に今無理しなくてもいいよ。僕も眠いし」
「そんな事じゃいい大学に入れない!」
「大学受験はまだ2年も先なんですけど……」
ちなみに、入院が長かったのでダブりだったり。
「2年も200年も変わんないの。今から準備して損は無し!」
「……なんか、月長石らしからぬ言葉だね。200年はずいぶんとアレだけど」
「むっ、笑うなー。あたしはあんたの為を思って言ってるんだからー」
僕の頬を指で押してくる。
別に痛くはないからいいけど、なんだかくすぐったい。
「ん……あー、また勝手に進めたなーっ!」
「だってお喋りしてたら勉強進まないから……」
「あたしが言うまで勉強禁止だから」
「それ家庭教師の意味が」
「問答無用っ」
本末転倒というかなんというか……。
なんだか月長石に振り回されながら、この先生きていく事になりそうな。
でも、それでもいいよね。
二人だと、何していても楽しいから。
「ったくー。えー、ここはどうすれば……」
僕を助けてくれた命の恩人が、英語の教科書片手に難しい顔を浮かべている。
……急に込み上げてくる、感謝の気持ち。
「ありがとう、月長石」
自然と出てくる、お礼の言葉。
「へ? どういたしまして……って、なんかあった?」
何事かと目を丸くする月長石。
そんな彼女に、僕は笑顔を一つ。
……本当に、ありがとう。
◇
「何、教員免許を取りたい?」
「うん。アメジストー、どうすればいいの?」
「……熱でもあるのか?」
「ないわよっ!!」
「うん。アメジストー、どうすればいいの?」
「……熱でもあるのか?」
「ないわよっ!!」