いつの事なのか、どこのことなのかも判らないくらい昔々のお話。
まだ世界には不思議があふれて、魔法使いやドラゴンが人々を悩ましていたり……いなかったり……
とにかく、世界には冒険者や流浪の戦士さまが名誉とお金を求めて危険に立ち向かっていたのです。
まだ世界には不思議があふれて、魔法使いやドラゴンが人々を悩ましていたり……いなかったり……
とにかく、世界には冒険者や流浪の戦士さまが名誉とお金を求めて危険に立ち向かっていたのです。
とある町に、立派な戦士さまが立ち寄られました。豪放磊落を具現化したような方でしたが、礼節に通じ
気さくで陽気な性格のせいでしょうか、町の人々はすっかり この戦士さまを受け入れてしまいました。
気さくで陽気な性格のせいでしょうか、町の人々はすっかり この戦士さまを受け入れてしまいました。
戦士さまにはいつも、どこに行っても影のように付き従う従者がいました。
まだ少女の面影を残す美しい女性でした。
戦士さまがいい歳になっても伴侶を得ないのは従者のせいだ、などと隣のおばさんはしょっちゅうぼやいていました。
まだ少女の面影を残す美しい女性でした。
戦士さまがいい歳になっても伴侶を得ないのは従者のせいだ、などと隣のおばさんはしょっちゅうぼやいていました。
戦があって、町が襲撃を受けたとき。悪い魔法使いがやってきたとき。火を噴く大きなドラゴンが町を襲ったとき。
どんなときも、戦士さまは真っ先に危険を顧みずに立ち向かっていくのです。
あの従者を伴って。
そして、どんなときも必ず二人で帰ってきたのです。
どんなときも、戦士さまは真っ先に危険を顧みずに立ち向かっていくのです。
あの従者を伴って。
そして、どんなときも必ず二人で帰ってきたのです。
素敵な戦士様でしたから、求婚する女性も少なくはありませんでした。しかし、誰にも応えることの無かった戦士さま。
時には、勘違いをした男性が戦士さまに言い寄って、アザをこしらえて蹴り出されることも……。
長い、長い時を戦士さまは独りで……否、あの従者と二人で過ごしておいででした。
時には、勘違いをした男性が戦士さまに言い寄って、アザをこしらえて蹴り出されることも……。
長い、長い時を戦士さまは独りで……否、あの従者と二人で過ごしておいででした。
しかし、不思議な話が町に広がりました。我々も戦士さまも歳をとって老いていくのに。
あの従者は昔の姿のままだ。少女の姿のまま何十年も過ごしている……と。
その噂を耳にした戦士さまは豪快に笑い飛ばして言いました。
「何十年も同じ少女を雇っているわけじゃない。
ある程度の年齢になったら嫁に出して、新しい娘を雇うのだ。
容姿が変わらないように見えるのは、私の好みが変わらないせいだろう。
服も、前の娘が置いていったものを繕いながら使っているからね」
あの従者は昔の姿のままだ。少女の姿のまま何十年も過ごしている……と。
その噂を耳にした戦士さまは豪快に笑い飛ばして言いました。
「何十年も同じ少女を雇っているわけじゃない。
ある程度の年齢になったら嫁に出して、新しい娘を雇うのだ。
容姿が変わらないように見えるのは、私の好みが変わらないせいだろう。
服も、前の娘が置いていったものを繕いながら使っているからね」
でも、何人かは気が付いていました。
時々、従者の娘の左右の瞳の色が違って見えることに。
そんな人が、何人もいないことに。
それでも、誰も何も言いませんでした。みな、戦士さまが大好きだったから。
時々、従者の娘の左右の瞳の色が違って見えることに。
そんな人が、何人もいないことに。
それでも、誰も何も言いませんでした。みな、戦士さまが大好きだったから。
やがて……時は流れ、戦士さまも剣を置かれて久しく。床に臥す日が多くなりました。
悲しそうな顔の従者さんが看病を続けています。初めて見た時と変わらない少女の姿で……。
悲しそうな顔の従者さんが看病を続けています。初めて見た時と変わらない少女の姿で……。
『すまない。どうやら、ここまでのようだ。いままで、ありがとう。本当は、君を独りにはしない約束だったけれど……』
『マスター! だめっ! 嫌です!』
『いつまでも変わらない君の美しさ。私は、いまでも恋をしているようだ……。先に逝くことをすまなく思う』
『一緒にいるって言ったじゃないですかぁ……。独りにしないって言ったじゃないですかぁっ!
逝かないで……。私をおいて逝かないでぇ!』
『マスター! だめっ! 嫌です!』
『いつまでも変わらない君の美しさ。私は、いまでも恋をしているようだ……。先に逝くことをすまなく思う』
『一緒にいるって言ったじゃないですかぁ……。独りにしないって言ったじゃないですかぁっ!
逝かないで……。私をおいて逝かないでぇ!』
『ずるいひと……。いつも、私は追いかける役ばかり……。
追いつけないことは無かったですけどね……。
ずるい子は「めー」ですよぉ。いま、会いにいきますからねぇ』
ひっそりと、静かに戦士さまは亡くなられた。やすらかな顔だった。
従者の少女は姿をくらましていた。
身代わりなのだろうか……戦士さまの亡骸の傍らには
壊れた人形が落ちていた……
従者の少女は姿をくらましていた。
身代わりなのだろうか……戦士さまの亡骸の傍らには
壊れた人形が落ちていた……
~名も無き乙女の昔話~