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 無い。
 お皿に乗せておいたまんじゅうが、無い。
殺生石ー、ここに置いてあったまんじゅう知らない?」
「そこにあったお饅頭ですか? それなら先ほど蛋白石が」
 ……え。
「余計なお世話かも知れませんが。主様、自分で食べる物をそのような場所に置いては
駄目でしょう。蛋白石に食べられるのが目に見えているわけで……」
「違うよ……あれ、カビ生えてたから捨てようと思ってたんだけど」
 沈黙。
 大体こんなところに置いてあったら蛋白石に食べられるのは僕も分かって……。
「ご主人様ー、お昼ご飯の時間ですよーっ」
 と、何の前触れもなく現れる蛋白石。
 時計を見てみると、ちょうど朝ご飯を食べてから6時間。相変わらずお腹の時計は
正確だな……じゃないっ。
「蛋白石っ、ここにあったまんじゅう食べたでしょっ」
「へっ? え、あ、も、もしかしてあれ、ご主人様……の?」
 一気に青ざめる蛋白石の顔。
 食べ物には弱いけど、悪いことをしたというのは分かってくれて嬉しい……僕のじゃないけど。
「いや、まぁ何というか……捨てるはずのだったんだけど、それ」
「へ、捨て……ご主人様ーっ、食べ物粗末にしちゃダメですよ!!」
「って、いきなりどうしっ、ほ、包丁っ!? 包丁振り回しちゃらめぇーっ!!」

 なんか大変な目にあったけど、とりあえず電気石も加わって昼ご飯。

「えー、あのおまんじゅうカビが生えてたんですか?」
「うん。だから捨てようと……あー、怖かった」
 食べ物を粗末にするような発言は蛋白石の前では危険ってことで。
「だからといって、包丁をいきなり振り回すのはよろしくないでしょう。少しは自重なさい」
「う、だ、だってぇ……カビ生えた部分を取って食べるのは基本だよっ」
「……リンゴ、腐ったとこ……取る」
「な、なんか貧乏くさい会話だね」
 そういえばうちのおばあちゃんもそんな食べ方してるんだよなぁ。
 正直僕はちょっとなぁ……って、あれ?
「蛋白石、カビてるところは取るって言うけど、そこのまんじゅうカビ生えてたの気付いてた?」
「へ? そ、それは……」
 なぜかぎこちない反応の蛋白石。
 箸の先を口に当て、照れ笑いを浮かべる。
 そして一言。
「……おいしかったですよ?」
「いや、だからカビ……」
「おいしかったんです!」
 ……カビが生えてても関係ないんだ。
「し、湿気が酷いから、気をつけてくださいねっ。間違えてお腹壊しちゃうかも」
「貴女がつまみ食いをしなければいいでしょう……」
「う……」

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