「……で、首輪の様子はどうなんだ?」
「一見、何の問題も無さそうだな。――いつまで食ってるつもりだ?」

ブローノ・ブチャラティは、傍らの部下に呆れ顔で尋ねた。
硬い生地を噛む小気味良い音が、否が応にも耳に入ってくるのだ。

「やっぱり、ブチャラティも欲しい?」
「いらん、とさっきから言ってるだろう……」

溜息交じりに返しながら、拾い上げたばかりの首輪を睨み付ける。
ちなみに、首輪のかつての持ち主は、肉片の一つさえもこの場に残していない。
小さな円の形で、地表が黒く焼け焦げている箇所を発見したのが数分前のこと。
その『爆破痕』と、転がっていた一つの首輪だけが、ここで何かが行われていた証拠だった。

「それじゃあよォ――『ピストルズ』、食えッ!」
『アギャギャアァァァ――――ッ!クレッ!クレ――ッ!』

先程からミスタが貪っているのは、彼の支給品の菓子だ。
細長い棒状のクッキーに、チョコレートが薄く塗り固められたもので、
ここに来るまでの間に彼が封を開け、食べ始めていたのだ。
小さな箱なのだから、さっさと平らげてしまえば良いだろうに。
貧乏性と言うべきか、彼は一本一本丹念に味わっていた。

『ウガ、ウガギャギャギャギャッ!』
『ワギャアァァァ――――!』

――やはり、ブチャラティの予想通りの事態が発生した。
互いの取り分を巡り、押し合い圧し合いのバトルを開始した『ピストルズ』。
そして彼らを困り顔で宥めるミスタ。
これまでに、幾度となく目にした光景である。
普段なら微笑ましいが、今すべきことではないだろう。
ブチャラティは、またもや溜息を吐く。

「ミスタ――遊んでないで、奴のデイパックか、支給品の入った『紙』を探すんだ」
『『紙』ッテ――アレノコトカ?ブチャラティ』

地表のある一点を指差したのは、菓子の欠片を頬一杯に溜めている『No.3』。
その先を目で追うと、確かに彼の言う通り、二枚の紙切れが草葉の陰に落ちていた。

「やはり、『紙』だけがデイパックから吹っ飛んでいたか――グラッチェ(ありがとう)、『No.3』」
『リーダー様ニ褒メラレルナンテ、サスガノ俺モ照レチマウゼェ~~!』
『イイナァ~~『No.3』ダケッ!』

赤面する『No.3』に頷き掛け、紙片に歩み寄るブチャラティ。
菓子の空き箱を放り棄て、ミスタも身を乗り出してきた。

「ま、『銃』だったら最高なんだけどなァー。
 やっぱりそんな都合の良すぎる事はないかね――どうよ?」

慎重な手付きで二枚の『紙』を拾い上げ、
折り畳まれたその表面に記載された説明に眼を通す。

ブチャラティ、再三の溜息。






「ジョナサン……いないのか?」

呆然と呟いたミスタを、ブチャラティが手で制する。

【B-2】の東で、仇敵の首輪と支給品を回収した後に、
チーム・ブチャラティが向かった先は【C-2】のジョースター邸。
かつて激闘を交え、ついには改心させた波紋使いの青年、
ジョナサン・ジョースターとの再会を踏んでいた二人だったが、
彼等に待ち受けていたのは、意外かつ奇妙な事態だった。

「静かに、ミスタ――何者かが潜んでいるかもしれない」

……誰一人、いないのである。

薄暗い屋敷中に渦巻く血臭と、微かな硝煙の香り。
そして足元の絨毯を黒々と彩る、無数の血痕。
ここで死闘が行われていた事実は、戦闘のプロフェッショナルでなくとも容易に察せられる。

ふと、何かに気付いたように眼を見開き、立ち竦んだブチャラティ。
彼の視線を追ったミスタも、同様の状態に陥る。

『それ』は、彼等の視線の先――ホールのほぼ中央に存在していた。

慎重に周囲へ注意を配りながら、『それ』に踏み寄る二人。

「これ……は……?」
「――遺体、だな」

――しかし、眼前の『もの』を、果たして遺体と呼ぶべきだろうか?
『それ』は、多量の肉と骨が、秩序無く寄せ集められた血濡れの塊だった。
一見しても、かつてどのような人物だったのか、老若男女の区別すら判らない。

ただ、衣服だったと思しき引き裂かれた布が、周囲に散乱していた。
それを見て、ミスタが微かな呻きを上げる。
見覚えのある生地だった。

「――エリナ・ジョースター……なのか?」

愕然とした表情で、足元の亡骸に向けて呟くミスタ。
ブチャラティが、硬く眼を瞑った。

「それは、確かか――ミスタ?」
「……ああ。これは彼女の衣服の生地だ。思い出したよ――」

重苦しい沈黙が、薄暗いホールに充満した。
既に、全ては終わっている。
二人には、凄惨な過去の痕跡を凝視する事しかできない。

壮絶な面持ちで、歯を食い縛るブチャラティ。その両拳は、湧き上がる怒りに打ち震えていた。
――ジョナサン・ジョースターの妻、エリナ。彼女も罪無き犠牲者だった――スージーQと同じく。

僅かな時間ではあったが、彼女と実際に顔を会わせていたミスタは、内心の動揺を隠せない。
――この惨たらしい血肉の塊が、あの美しかった女性の成れの果てだというのか?

「どうして、こんな事に――クソッ……!」
「……落ち着け、落ち着くんだ……ミスタ」

――それにしても、奇妙な遺体だった。
ギャングという立場上、数多くの死骸の造形を脳裏に焼き付けてきた二人でも、
眼前の遺体を造り出す殺害手法については、首を傾げざるを得ない。
刃物で残虐に切り刻んだものとも、鈍器を延々と打ち付けたものとも、まるで異質。
どうすれば、このような死骸を生み出せるのか?――そして、犯人は?

「――エリナ・ジョースター。
 君の無念は、必ず晴らしてみせる」

ブチャラティの背後から物言わず現出した、『スティッキィ・フィンガーズ』。
スタンドの拳は足元の絨毯に打撃し、一本の『ジッパー』を造り出した。
その両端は即座に大きく開かれ、本来ならば出来るはずの無い穴が床に発生する。
暗い間隙の先に待ち受けているのは、床下の空間か?それとも、さらに奥の地中?

疑問を発する事もなく、肉塊の山は、穴に零れ落ちて――消える。

「……ブチャラティ」
「残念だが――手厚く埋葬してやる時間は無い。
 屋敷の調査を急ごう……犯人の手掛かりが見つかるかも知れない」

複雑な表情はそのままに、ミスタが頷く。

足元の『ジッパー』を閉じて、ブチャラティは白昼なおも薄暗いジョースター邸を一望する。

解くべき謎は、まさに無数に存在した。

うら若き淑女を、原形も留めぬ骸へと変えた殺人者の正体は?
ジョナサン・ジョースターに黒騎士ブラフォード
そして屋敷にいたと聞くジョナサンの父、ジョージ一世は何処へ消えたのか?そして何故?
数多くの不可解を残して、静寂と暗闇だけが、広大な館に満ち満ちていた。

二人は、屋敷内の調査の段取りについて話し合った。

重苦しい雰囲気が霧消した訳ではないが、計画自体はスムーズに決着を見せる。
ミスタが上階を、ブチャラティが一階を巡回。
何らかの異常を発見次第、即座にもう一人に連絡し、対処する。

「行くぞ」
「……ああ」

ブチャラティは、隣の部屋へ続く扉へ。
ミスタは、二階への階段の方向へ。

それぞれが、行動を開始しようとした時――。



――突然の物音が、彼等の意識を縫い止めた。



ほぼ同時に、二人は音の発生源を振り仰ぐ。
彼等が睨んだのは、屋敷内に踏み込んだ最初の場所――玄関。

――そこに、誰かが、いた。

闇の深いホールから、開け放たれた玄関へと注がれる、二つの視線。
その終点で、謎の訪問者は屹立していた。
外界の陽光を背に受けている為に、影絵のような様相を呈しており、外観の委細は掴めない。
辛うじて、中肉中背の男性らしい、と識別できる程度だ。

二人の行動は、極めて迅速だった。
既にミスタはポケットからナイフを掬い出し、
ブチャラティも『スティッキィ・フィンガーズ』のヴィジョンを背後に顕している。
僅かな無駄もない、清水が流れるような動作。

「――そこに立っている者ッ!
 我々二人は"乗って"いないッ!
 君の素性を知りたい……そのままこちらに近づくんだッ!」

高らかに声を上げ、訪問者に向けて命じるブチャラティ。

影は、一言も発さず、動きもしなかった。

つかの間の、静寂。

爆発的な緊迫が、ホールに張り詰める。

だがそれも、数秒の間だけ。

変化は、玄関の側から訪れた。

影の右腕が、緩慢な動作で、上がる。

胸元の高さで留め、こちらに向けているような格好。

それは、まるで――。

「ブチャラティ、奴はッ――!」

ミスタの、絶叫に近い言葉も中途のままに。

……銃撃が、始まった。



それは、如何なる機構が為し得る連射なのだろうか?
無数の弾丸が、豪雨の如く延々と襲い来るのだ。
炸裂音も、通常の銃のそれより遥かに小さい。

凶弾の軌道は、漏れなくブチャラティ達の、それも急所に向けられていた。
玄関の影は、一挙に片を付けるつもりなのか。

「――どうやら、オギョーギ良く命令する必要もなかったみたいだぜ」
「うむ、そのようだな……残念だ」

だが、攻撃の着弾点であるはずの二人組は、至って冷静そのもの。
軽い調子で言葉を交わしながら、白昼の影を睨んでいるだけ。
銃弾など、掠りもしなかった。

――なぜ、彼等は無傷でいられるのか?
その答えは、二人と影の間で、浮遊していた。

『――イエェェ――イ!』
『ヒャッホォォ――ッ!』
『ナンカサァ――コレ、スットロイ弾ダゼェ、ミスタ!』
『ソレニ……普通ノ弾丸ヨリモ、ズット軽イ!』
「判ったから働け、『No.5』、『No.1』ッ!」

そう。
グイード・ミスタのスタンド能力、『セックス・ピストルズ』が、
肉薄する無数の弾丸をことごとく蹴り飛ばしているのだ。
二人の身体に食い込み、その命を断つ義務を課せられていた銃弾は、
周囲の床や背後の壁に突き刺さり、小さな穿孔を生むのみだった。

倒れるそぶりも見せない二人が不思議なのか、影が一歩、こちらへと歩み寄ってきた。
無意味な連射は止めぬままに。

ミスタが、憎々しげに片眉を歪める。

「しつこい野郎だねェ……そろそろ、"弾き返す"かい、リーダー?」

影を睨んだまま、ブチャラティは小声で応えた。
それは、実に微かな声音――隣のミスタにしか聴こえない程の。

「……許可する。だが、殺すなよ。戦闘不能にするだけだ」
「アイアイサァー。『ピストルズ』ッ!」

主の命令が終わるや否や、小さな精霊達は配置を変えた。
既に放たれた敵の弾丸を、器用に空中に縫い止めて――。

『――ィイイイィィェェェ―――――――ァァアアアアアアアアァッ!』

一挙に、解き放った。

都合四発の弾丸が、影の両腿、腹部、そして弾丸を放つ右腕に激突する。

再び館に振り降りる、しばしの静寂。

影は、前屈みにぐったりと崩れ落ちた。

膝立ちの姿勢で、腹の弾痕を掌で押さえている。

視線を交わし、二人が頷き合う。
ミスタをホールの中央に残し、敵への接近を開始したブチャラティ。
万が一の事態を考慮し、大きく迂回するコースを取って、互いの距離を縮めて行く。
当然の事ながら、既に敵からの銃撃は止んでいる。

相手の一挙一動を慎重に観察しながら、じりじりと接近を続ける。

身に受けたダメージの為か、影の正体――袖が破れた服を着た男――は、
肩を震わせながら、絨毯の上でうずくまっていた。
その姿勢の為に、相貌と表情を窺い知る事は叶わないが、
彼がその顔に浮かべているのは、果たして激痛による苦悶か。それとも敗北の屈辱か。

数メートルの距離を置いた地点で、ブチャラティは歩みを止めた。

「……二、三の質問をさせてもらおうか。
 おっと、俺達を恨むなよ? 先に手を出したのは、君だからな――」

敵からの返事は、無い。
苦痛の為に、声を上げる事もままならないらしい。
あまりにも弱々しげな相手の態度に、ブチャラティは呆れる。

さらに一歩、足を踏み出して――。



――背後から、何かが転倒するような音を聞いた。



反射的に、そちらを仰ぎ見るブチャラティ。
視界に映り込んだ驚くべき状況に、その両眼が見開かれた。

――何故?どうやって?

ホールの奥からこちらの動向を窺っていたミスタが、絨毯に倒れ伏していた。
……全身から、夥しい鮮血を爆発させて。

そして、次の喘ぎは、部下から漏れたのではなかった。

「…………は……ッ!?」

驚異的な速度で起き上がり、抜き放たれた敵の手刀が、
ブローノ・ブチャラティの鳩尾に、貫通していた。






時を遡ること、約二十分前。

遥か高みからの陽光を受け止めて、穏やかな輝きを放つ湖の水面。
そのほとりに、一台の中型バイクが到着した。
搭乗者は二人。
両者ともに、ただならぬ様子ではない。

「よし、湖に着いたぜェ……って、何やってんだよッ!」
「判らないのか?水に浸かっている」

湖畔に到着するや否や、堂々とした歩調で湖面に接近し、着水。
そのまま胸までを水中に突っ込んだF・Fに、
同行者のアレッシーは狼狽を隠せない様子だった。

「おいおい、イカレちまったのかよ……『治療』はどうしたんだ?」
「説明すると言っただろう。これが、私の能力だ」

右腕を水面から掲げて見せてやると、アレッシーは口をあんぐりと開けた。
驚愕するのも無理はない。
先の戦闘で消失した手首から先が、完全に再生されているのだから。

「ス、スッゲェッ……!」
「寄れ。傷の手当てをしてやる」
「……ハイ!喜んでッ!」

『治療』の効能が判明するや否や、足首まで浸かる水も厭わずに、
喜色満面で治癒者まで寄り添って来たアレッシー。
F・Fは内心で嘲笑う――全く、現金な男だ。

腹の銃創を始めとした全身の傷口に、
復活したばかりの指先から、自身の細胞を埋め込んでやる。
銃創や切り傷の縫合は容易だったが、顔面等の打撲痕はどうしようもないので無視した。

「コレ……一体何だってんだ?」
「『肉の接着剤』のようなものだと解釈してくれればいい。
 私のスタンド能力――『オシリス神』の媒介は『水』だ。
 他者の治療には限界があるが――『水』さえあれば、私自身は際限無く再生できる。
 ……ところで、その『つめもの』だが――」
「グエェッ!」

F・Fが言い終わらぬ内に、呻きを漏らして飛び上がったアレッシー。
当然の反応だ。傷口に入れたばかりの粘液が、前触れもなく蠢きだしたのだから。

「――私自身が、自在にコントロールする事もできる。
 敵の肉体に撃ち込めば、その内部に侵入し、際限無く肉や内臓を突き破り――死に至らしめる。
 概要ではあるが、これが私のスタンド能力だ。把握したか?」
「よぉ~~く判ったが……。
 実演してくれなくてもいいだろうがよォ~~~~!」

喚くアレッシーを尻目に、F・Fは必要な作業に取り掛かった。
背のデイパックから空のボトルを取り出し、足元の澄んだ水を汲み出す。
飲用には問題があるかも知れないが、『フー・ファイターズ』の活動には充分だ。

落ち着かない様子で、腹の『つめもの』を弄りながら、
アレッシーは頼もしい治癒能力者に訊いた。

「……で、これからどうするんだよ?ダービーの旦那?」
「決まっているだろう」

F・Fの応えは、やはりそっけないものだった。
――か弱い子供の命を奪い去る、という内容においてさえ。

「ジョースター邸に引き返し、残した一人を始末する。
 『セト神』の能力はまだ解除されていないのだろう?」
「まあ、多分、ね……」
「ならば、早速行くぞ。餓鬼に逃げられる前に――」

水面から上がり、濡れた衣服にも構わずバイクに乗り込もうとするF・F。
アレッシーは慌てて、相方を追い掛ける。






十数分後。
F・Fとアレッシー、ジョースター邸に到着。
窓から内部を覗き込み、屋敷に先客が来ている事を知る。

「アイツは……ミスタかッ!」
「静かにしろ、アレッシー。奴等に気付かれるぞ」
「クソッ……ブッ飛ばしてやるッ……あの野郎……!」

数十秒ほど屋敷内の二人の様子を観察した後に、F・Fは一つの提案を示す。
憎き仇敵を目前に、アレッシーは相方への反発心を隠さなかった。
それは、F・Fが単独で屋敷に突入、二人を始末するというプランだったのである。

「――グイード・ミスタと、ブローノ・ブチャラティ。
 実のところ、私はあの二人の能力を把握している」
「……え、そうなの?マジ?」

かつて、リゾット・ネエロが語っていた情報が、思いがけぬ収穫となった。
ジョルノ・ジョヴァーナの件もあり、あの話は信頼性に欠けると判断していたのだが、
たった今、少なくともスタンド能力の説明については事実だと確信できた。
窓の奥のホールの中央で、『オカッパの男』――ブローノ・ブチャラティが、
『ジッパー』を発動させて、例の女の遺体を床下に葬ったのである。
『スティッキィ・フィンガーズ』、近距離パワー型。『ジッパー』で空間を開閉する能力。

F・Fは内心でほくそ笑んだ。
スタンド戦において、こちらが一方的に相手の能力を把握している事実は、非常に強力な優位性に他ならない。
それが、彼が単独での戦闘を躊躇しない理由。

「ケチケチするなよォ~~ダービーッ!
 俺も行くぜェ――ミスタに一泡吹かせてスッキリしてやるッ!」
「駄目だ」

打撲痕の残る顔で、しつこくF・Fに食い下がるアレッシー。
負傷が治った為か、幾分元気を取り戻したように見える。

「でもよォ~~俺だって『セト神』があるんだぜ?
 大丈夫だって、ヘマなんてしないからさ――ダービーの旦那ァ~~?」
「……いい加減に学ばないか、アレッシー?」

そんなアレッシーも、最終的にはF・Fの案を渋々認めた。
これまでの失敗の連続を、彼に粛々と諭されたのである。
不可思議な異能を持つ者を相手に取れば、どのようなアクシデントが待ち受けているか判ったものではない――。
その常識を、彼はようやく理解しつつあった。

F・Fは、自らの思惑通りに話が進んで安心した。
思惑、と言ってもそれは非常に単純なもので、要はアレッシーが癪なのである。
能力を把握しているとはいえ、今回の標的は二人のスタンド使い。
確実に役立つと言えるのならばまだしも、この間抜けなサディストは戦闘の邪魔になる恐れの方が強かった。

「お前は外で待機していろ。何があっても屋敷の中には来るな」
「……ったく、エラくないねェ~~!
 とにかく、ミスタの野郎はさっさと始末してくれよな!頼むぜ!」
「その点は安心していい。……すぐに戻る」

不貞腐れ顔のアレッシーを背後に残し、F・Fは屋敷の玄関扉へ歩み寄る。

――かくして、二つの物語は一つに束ねられた。



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最終更新:2009年09月07日 01:29