大脱走

ぽつぽつと点滅している数々のランプ。
打ち付けられたコンクリートがはげている。
そんなじめじめとした薄暗い地下通路を一人の男が一心不乱に走っていた。
彼は柱の男の『エシディシ
彼は数刻前、禁止エリアとなったB-4から抜け出すために、
DIOの館にあった地下通路から駆けていた。
その表情はどこかイライラしているように見える。


しかし流石と言うべきだろうか。
彼の走るスピードはまるで馬を超えるように速い。
『二足歩行の生物が馬より速く走る』
たしかにそんなことはありえない。
平坦な道の常識では、
だが彼の姿を見れば納得…………
時速30キロは出てる。
いや時には40キロはでているか…………
だが……しかし考えれば、100メートルを10秒で走っても時速36キロだし、
長距離マラソンを2時間で走っても時速21キロだ。
だが実際に40キロ近く出ているからしょうがない。
しかもその秘密は彼の走りのフォームに理由があるようだ……


あのフォームなら納得……!
見ろ!彼の走っているときのフォームをッ!!



ならば解説しよう
時速40キロを出せる走り方があるということを…
人間は走るときに、足が地面を蹴る「衝撃」というものがある。
その「衝撃のエネルギー」がヒザの関節や筋肉に負担となって疲労となる。
その負担はどんな強靱な脚力を持ってしても逃れることができない生理機能!!

だが彼…「エシディシ」の場合は違う!!
彼は走るときに「かかと」が地面に一瞬しか触れていないのだ!!
かかとが地面に触れたとしても!!!
決して!!踏み込んではいないのだ!!
すぐに「着地の衝撃」はつま先へ移動し……
その瞬間!!エシディシはその「移動の衝撃」を利用し!!
地面を前へと蹴り進む!!

つまりだ!!
彼は「着地の衝撃」をヒザ方向ではなくッ!!
前方へと逃しているのだ!!
結果として、エシディシの脚に疲労やダメージはなく……
むしろ!!逆に!!そのエネルギーを利用しッ!!!
加速の為に使っているのだ!!!!

この地下通路が傾きが小さいとはいえ、下り坂となっており蹴って飛べば飛ぶほど……
さらに!!さらに!!加速がついて彼のスピードは速くなっていくッ!!
そしてまた蹴ったッ!!
蹴ったッ!!蹴ったッ!!
45キロは出ているだろうッ!!

柱の男の性質上怪我をしようがすぐに直るため
彼の足の「かかと」にタコやスリへりはなく……
少年のように柔らかいはずだ。

おっと、だが自分もまねをしようと思わないでくれ。
体格の割には長い脚と、一瞬で体重移動できるスピードが必要だ。


しかし……そんな「走り」をどこでエシディシは学んだのだろうか。
柱の男と呼ばれている彼らは生物界の頂点に君臨している。
言ううなれば「偉大な生き物」だ。
きっと、彼自身が理解していなくても自然とそのような走りになるのだろう。
彼の速い足のおかげかついに地下通路の終わりが見えてきた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「200…いや300m程は走ったな…」

彼が行き着いた先、地下通路のゴールは小さなじめじめとした丸い部屋だった。
今来た道を振り返ると、自分が通ってきた通路の壁に文字が書いてあった。
「TOM」と書かれておりご丁寧に「トム」とふりがなで書いていた。

「この地下通路に名前でもつけたのか…まったく人間がやることに理解はできんなぁ!!」

エシディシはフンッ!!っと鼻息を出すと、
走らされたイライラをぶつけるように自分が走ってきた地下通路にツバをはいた。


すこし気分がはれたエシディシは、部屋の中央に台座があるのを見つけた。
まるで何か秘密があるかのようにその台座は鎮座していた。
試しに台座を叩いてみたが何も反応はなく、次に強めに叩いたがびくともせず、壊れそうな様子はなかった。
この台座が何か気になるエシディシだが台座のどこをみても仕掛けのような物はなかった。
台座の事をあきらめたエシディシは、
次にエシディシは部屋を見渡すと自分が走ってきた物とは別の地下通路を二つあることに気づき、
またそのトンネルにも名前が書いてあることに気づいた。
一つは「Harry」と、「ハリー」とふりがながうたれており。
もう一つは「Dick」と、ふりがなは「ディック」とうたれていた。
そして壁面に一つ地上へと上がれそうなはしごが備え付けられており、
そのはしごの先の天井には大人一人が通れそうな扉が備え付けていた。
しかし今は日中、その扉を開けた瞬間日光が入ってきたしまえばエシディシ自身にはどうすることもできず死んでしまう。
そのためどうやら「ハリー」か「ディック」のどちらかを選ばなければならないらしい。

エシディシはどちらを選ぶか部屋の中を歩いているとふとしたことに気づいた。

(しかし…なんだかこの部屋は臭うな…まるで肉が腐ったようなにおいがするな…)

それもそのはずだ、なぜならこの地下室は墓場の近くにあるのだからだ。


「Harryか…Dickか…」

2つのトンネルの前でじっくりと考えたエシディシはあることを思い出した。

(そういえばHarryという単語には、古期英語で…「軍隊が略奪する」の意があったな…)

そのことを思い出すと彼はへの形になっていた唇をニヤリとさせた。

「フフ…いいだろう!!ならば我ら柱の男がこの殺し合いの勝利をいただくという願望を込め!!
あえて…あえてだ!!人間がした行動にのってやって!!この、Harryを選ぶとしようッ!!!」

フフフと笑いの余韻を終えたエシディシは「Harry」の先へとまた駆けだした。


【E-4 地下室/朝】
エシディシ@ジョジョの奇妙な冒険 第2部「戦闘潮流」】
[状態]:全力疾走中、疲労(中)、体力消耗(中)、上半身の大部分に火傷(小)、左腕に火傷(小)、再生中
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:カーズらと共に生き残る。
1:トンネルの「ハリー」の行き着く先へと向かう。
2:神々や蓬莱人、妖怪などの未知の存在に興味。
3:仲間達以外の参加者を始末し、荒木飛呂彦と太田順也の下まで辿り着く。
4:他の柱の男たちと合流。だがアイツらがそう簡単にくたばるワケもないので焦る必要はない。サンタナはまあどうでもいい。
5:静葉との再戦がちょっとだけ楽しみ。(あまり期待していない)
6:地下室の台座のことが少しばかり気になる。
[備考]
※参戦時期はロギンス殺害後、ジョセフと相対する直前です。
※左腕はある程度動かせるようになりましたが、やはりダメージは大きいです。
※ガソリンの引火に巻き込まれ、基本支給品一式が焼失しました。
地図や名簿に関しては『柱の男の高い知能』によって詳細に記憶しています。
※左脇腹に抉られた傷(小)及び波紋傷(小)、は柱の男の再生能力で完治しました。


※E-4の墓場に近くに地下室があります。
墓場のどこかから地下室に入れる秘密の入り口があります。
地下室には意味ありげな台座がひとつあります。
またトンネルの「Harry」「Tom」「Dick」があり、「Harry」はDIOの館、1Fの図書室に繋がっています。
トンネルの「Harry」と「Dick」がどこに続いているかは後の書き手さんにおまかせします

106:DAY DREAM ~ 天満月の妖鳥、化猫の幻想 投下順 108:Other Complex
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087:ウェルカム・トゥ・アンダーワールド エシディシ 128:四柱、死中にて

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最終更新:2021年01月20日 19:21