D-4エリア南西部、永琳は魔法の森をやや北寄りに東進していた。
永琳の視界、密生する木々の先に、ようやく開けた土地が見え始めていた。
森を抜けたすぐ先に、こじんまりとした西洋風の建物があった。
(レストラン・トラサルディとはあの建物かしら)
レストラン・トラサルディは、永遠亭の面々の仮の集合場所と定めた場所である。
先ほど別れた決闘狂いのガンマン・リンゴォに永遠亭の面々あてで言伝を頼んでおいた。
彼一人で時間までにどれだけの人数に声を掛けることができるかは分からないし、
あの後また誰かに決闘を仕掛けてそのまま死んでしまっているかも知れないが。
集合時刻は本日正午。
時計を見ると、まだ昼には早い時刻だ。朝というにも少々遅いが。
(少し、到着が早かったわね)
さて、と、首を傾げる永琳。
このままレストランに留まって輝夜たちの集合を待つか。
それとも、自分自身も彼女らの招集に出向くべきか。
そこで足を止めた永琳は、あることに気付いたのだった。
どこかから生木の香りが漂ってきている。
永琳が香りの元に振り向くと、森を抜けた訳でもないのに妙に光量が多い空間が広がっていた。
すぐ目の前の平地と大差無いほど明るいように見える。
あの空間だけ、木々がごっそりとまるごと倒され、日光を素通しにしているのだ。
このバトルロワイアルの戦闘によるものに違いない。
生木の香りは、倒され、折れた森の木々が発していたのだ。
辺りに人の気配は無し。
戦闘はもう終わった後だ。
永琳は倒れた木々に近寄り現場の検分を続けた。
永らく生きてきて尚、天才たる彼女の好奇心は衰えないのである。
倒木は概ね東西に伸びる帯状の範囲で倒れており、全て東から西に向かって倒れている。
東の木々はまるごと倒されているが、西の方に進むにつれて倒れていない木も現れ始め、
西の端では細く、弱い木しか倒れていない。
また、倒木の重なり方から判断するに、東から西に向かう順番で木々が倒れている。
そして、木を倒す手段。
木は根こそぎ倒れている他は、力任せに何かをぶつけてへし折られたようであり、
焦げ跡や刃物の切断面は見つからない。
つまり、この木々を倒したのは東から西に向かって森の中を通過した、大きなエネルギーの『何か』のせいである。
足跡やワダチが見つからないことから、『何か』とは飛行する物体か、突風か……あるいは衝撃波か。
……などと思案するまでもなく、『答え』は見つかった。
(地上の妖怪……ね)
木々のなぎ倒された『始点』と思しき場所に、骨と皮だけになった『穢らわしい物体』が横たわっていた。
ワンピースのスカートを着ていることで、この物体が少女だったとわかる。
身長はてゐ以上、鈴仙未満といったところか。
頭には獣の耳。この妖怪の少女が森林破壊の犯人に違いない。
恐らく、『ヤマビコ』だ。
『ヤマビコ』の能力で音波を収束・増幅し、衝撃波として撃ち出して、この様な破壊を引き起こしたのだ。
だが、結局最期の力を振り絞ったと思しき攻撃は無駄となり……
(確かシュトロハイムが言うには、柱の男は獲物の養分を皮膚から直接吸収して仕留めるらしいわね。
あるいは、吸血鬼にでも絞り尽くされたか)
こうして、見るも無残な穢らわしい亡骸を晒すことになったのだろう。
……だが、この安らかな死に顔はどうだろう。
干からびた身体も相まって、まるで『即身仏』だ。
年若い少女である彼女が、今わの際にこの様な表情を浮かべる境地に至ったのは何故か。
彼女の人となりを知らない永琳にその理由を知る術は無かったのであった。
(ともあれ、これも貴重なサンプルね……あまり状態は良くないけれど)
永琳は支給品を閉じ込めていた『紙』を一枚取り出し、両手で広げた。
死体は肉塊だ。『モノ』だ。モノであるならば、拳銃を収納していたこの『紙』に収めて持ち運び易くできる。
広げた『紙』を両手で持ち、内側だった方を亡骸に押し当てる。
そのまま『紙』を折り曲げると、予想通り亡骸も一緒に引きずり込まれ、畳み込まれた。
即身仏もかくやという御尊顔の、何と薄っぺらいことか。
永琳は折りたたまれた『紙』を両掌で押さえつけ、感触を確かめた。
何と薄く、軽い。手を離せば、風で飛んでいってしまいそう。
死せる亡骸の何と儚き事か。
故に我々は死を厭い、月へと逃れたのだ。
久方ぶりに目の当たりにした『ヒト』の死にしばし思いを馳せる永琳。
その間も『紙』はずっと両掌の間にあった。
つまり、仏教における礼拝の仕草、合掌の仕草である。本人の意識するところではなかったが。
数十秒か数分かの間、永琳が『祈りを捧げて』いると、彼女の懐で振動が走った。
慌てて『紙』をデイパックに収め、懐の振動体を取り出す永琳。
『着信中』
永琳の支給品である携帯電話が、マナーモードで着信を知らせていた。
電話を受けると、聞こえてきたのは永琳のよく知る声だった。
「ええ、私よ。永琳よ。シュトロハイムに会ったのね」
「はい。あの機械混じりの人間から、師匠の電話番号を教わりました。師匠、お怪我はありませんか?」
「私を誰だと思っているのよ、ウドンゲ。もうじきに、五体満足よ。
それより丁度良かったわ。ウドンゲ、いま何処に居るの? 貴方と輝夜とてゐに伝えたいことがあるのよ」
「……『
第二回放送前後にレストラン・トラサルディーで待つ』、ですか?」
「リンゴォにも会ったのね、話が早くて助かるわ」
「差し出がましいようですが、レストラン・トラサルディーは、危険です。
先ほど、私はあの場所で待ち伏せている者から襲撃を受けました。
私は何とか逃げることができましたが、まだ奴がそこにいるかもしれません。
あの場所は集合場所には適さない、と私は判断します。
それからもう一つ……申し訳ございません。今、私は集合に応じることができません。どこであろうと」
「……何があったのか、順を追って話してもらえるかしら」
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
それから永琳は鈴仙の現在までの経緯を訊いた。
ゲームの開始直後、いきなりスタンド使いの人間が覚(サトリ)を攻撃するところを目撃してしまったこと。
それを見て怖くなって永遠亭まで逃げてきたこと。
錯乱したまま永遠亭に辿り着いて魔女に会い、介抱を受けたこと。
そこで先ほど覚を襲っていたスタンド使いに襲撃を受け、今度は必死の思いで撃退したものの、
魔女は助からなかったこと。
まずはそこまでである。
襲撃者の操るスタンドは強力なスピードとパワーを持つ上、『時間を数秒間吹き飛ばす』という能力を持っていたらしい。
スタンド能力には、時間に干渉する能力が多く存在するのだろうか。
「……そんな敵を相手にして、よく無事だったわね。
それに、今度は貴女、逃げないで戦ったのね」
「あの時は……ただ、必死だったんです。友達を、アリスを守らなきゃって。
アイツはすごく怖かったけど、絶対にアリスを失いたくなかったんです」
そこで永琳は違和感を感じた。
鈴仙は『覚』や『魔女』などという地上の妖怪について、まるで知り合いか、友達であったかの様に話すのだ。
鈴仙が地上に流れてきてからもう40年程になるが、
それから今までずっと彼女は永琳達とともに歴史の止まった永遠亭に隠れ住んでいた。
その間永遠亭を訪れることができる者はごく限られており、
月で生まれ育った鈴仙が永琳の知らぬ間に地上の者と知り合いを作ることなどできるはずはないのである。
……まさか。
永琳の脳裏に、ある大きな『疑問』が浮かぶ。
それを永琳が口に出す間も無く、鈴仙は報告を続けた。
つい数時間前まで、永遠亭で暮らしていた家族と話すような調子で。
そういえば、些細な事だが、少し彼女の口調が永琳の知るそれより馴れ馴れしいような気がする。
ともあれ、まずは鈴仙の報告を最後まで聞くことにする。
質問はそれからだ。
さて、永遠亭を発った鈴仙はその後シュトロハイムに遭い、情報交換を行ったようである。
そして――
「
第一回放送の後に、ドクロの口ヒゲの人間と遭いました。
師匠から伝言を預かっていた、リンゴォという名前の男です。」
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
「そこの男、止まりなさい」
鈴仙の言葉を耳にして、男はそのゆっくりとした足取りを止めた。
第1回放送からしばらく後、魔法の森、C-5エリア北端付近でのことである。
「…………」
鈴仙は木の幹の陰から半身で身体をのぞかせて右手で銃の形を作り、人差し指を男の方へと向けている。
緩慢な動作で、男は鈴仙の方へと顔を向けた。
無表情だった男は、声の主の姿を見て何かを口に出そうとした。
鈴仙はそんな男の様子を構わずに続ける。
「おかしなマネを見せなければ、私はあんたに何もしないわ。
ただ、私の質問に答えてくれるだけでいい」
「…………『可能性』は……僅かにある、か。だが…………」
男がつぶやくと、鈴仙はすかさず遮った。
「私の質問に答えなさい。……それ以外であんたが口を開くことは許さない。
……『
ディアボロ』、という男を見なかったかしら」
「見ていない」
「どうしてそう言える?」
「オレがここに呼び出されてから、会った『男』は『
グイード・ミスタ』だけだ。
後は全員『女』だ」
「……本当かしら?」
「物証は、出せないな。……お前にこの言葉を信じてもらう他ない。
ただ、俺は『嘘』が嫌いだ。この場で嘘を教えるのは『公正』でないからな。
『公正』でない離れた卑劣な行為は、精神の力を削ぐ」
疑う鈴仙に、男は語る。
寡黙そうに見えて、コイツ意外とおしゃべりだ。
それにしゃべる時の男の目はキラキラと澄んでいて、何だか……そう。
厳しい修行を重ねた徳の高い僧侶に見えた。
彼の言うことに嘘は無さそうだ。
「……嘘は言っていないのね?」
「ああ」
「わかった。行ってよし」
右手の銃を下ろした鈴仙に、今度は男が問いかけた。
「待て。長い髪に兎の耳……。お前は、鈴仙・優曇華院・イナバで間違い無いな?
……八意永琳という女から、伝言を預かっている」
「え、ええ。……なんだ、それを早く言ってよ」
「言おうとしたら、お前が遮ったのだ」
「ごめん。……それで師匠は何と?」
「『第二回放送前後にレストラン・トラサルディーで待つ』、だ。確かに伝えた」
「……ありがとう」
「もう一つ尋ねるが良いか?」
「何よ」
「『
秋静葉』いう名の娘と、『
姫海棠はたて』を探している。
『静葉』は金髪に金色の眼、赤い服を着ている女だ」
「……ここではまだ見ていないわ。彼女がどうかしたの?」
男は、
「……あの小娘はグイード・ミスタを殺害した。あの小娘は殺し合いに乗っている」
とだけ短く答えた。男の声色からは憎しみがにじみ出ている。
そこで鈴仙は『察した』のだ。
「……私と同じように、友達の仇を討ちたい、というわけね」
……と。
「断じて違う。……そんな『受け身』な理由ではない。
……俺はそのような汚らわしい『対応者』などではない」
男は鈴仙を穏やかな視線で見据え、静かな口調で否定した。
「……アンタも、私の『復讐』を否定するのね。どうでもいいでしょ、私のことは!
アンタが静葉を追うのとどう違うっていうのよ!」
「俺はグイード・ミスタと公正な果たし合いに臨み、人としてより高度な領域に『生長』しようとしていた。
……秋静葉は、その決闘に横槍を入れ! グイード・ミスタを妨害し! 公正なる決闘を汚したのだッ!
彼が俺の友人だったからとか! そのような『甘っちょろい』理由で静葉を追っている訳では、断じてないッ!」
態度を豹変させ、声高に主張する男の様子を見て、一旦頭に血の登りかけた鈴仙は自分が一気にクールダウンするのを感じた。
コイツに、話は通じない。言葉は通じるけど、決して解りあう事のできない人種だ。
そう思うと、もう彼に何を言われてもへっちゃらだった。
「……理解したわ。アンタ頭のオカシイ人なのね」
「……一般的な現代の『社会的な価値』と離れていることは、承知している。
静葉の行方は知らないと言ったな。では、姫海棠はたては知っているか」
「……そいつは何したの?」
「公正なる果たし合いを低俗な新聞記事に貶め、『電子メール』とやらを使って触れ回っている。
奴も、この手で殺さなければならない。奴を知っているか」
「……『烏天狗』のやりそうなことね。姫海棠はたてなら知ってるわ。ここではまだ見てないけどね。
直接は殆ど会ったことないけど、姿形は知ってる。
紫のチェックのスカート、白いブラウスを着た、長い茶髪をおさげにした女よ。
烏天狗は、手強いわよ。せいぜい共倒れになって二人共死ねばいいのよ」
「……情報提供、感謝する」
「……私からも一つ訊いて良い? アンタみたいなのが、どうして師匠から伝言を預かったの?」
「……………………」
「師匠と決闘して、負けたんでしょ」
男は黙って頷いた。
「そんな所だと思ったわ。良かったわね、まだ命があって。
……万一、アンタが師匠を殺したりしてたら、その時は私が……」
「お願いだからやめてくれ、君まで『対応者』に成り下がるのは。
君にはわずかだが『可能性』がある。
ディアボロとやらを追うのは、単なる『仇討ち』ではない、俺にはそう感じる。
……どうか、見つけ出してくれ。復讐の『先』にある、君の真の目的を。
俺は
リンゴォ・ロードアゲイン。……また会おう」
言い残して、ゆっくりとリンゴォと名乗る男は歩き去っていったのだった。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「……と、まぁ、そんな感じの変な奴でした」
鈴仙がリンゴォとの経緯を永琳に話し終えると、彼女はくすくすと小さく笑い、
「思った通り、約束は守る男のようね」
とつぶやいた。
「全く、いくら師匠が強くても、あんなの相手にするなんてやめて下さいよ……」
呆れる鈴仙をよそに、永琳は
「それで?レストラン・トラサルディーが危険というのは、どういうことなのかしら?」
……と、次を促す。
鈴仙から出てきたのは、
「私はそこで、『八雲』の狐から襲撃を受けました」
永琳がつい先程、電子メールで目にした名だった。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
「地図の通りね、本当にあった。ここにこんなレストラン無かったはずだけど」
リンゴォとの邂逅から程なくして、鈴仙はレストラン・トラサルディーに到着していた。
幻想郷ではあまり見ない西洋風の造りの、こぢんまりとしたレストランである。
どうやら、外界からこの幻想郷に流れ着いた建物であるらしい。
ならば、永琳のもつ携帯電話と連絡を取るための『電話』が使えるかもしれない。
電話線が生きているかは不明だが、元の家主の携帯電話が残されている可能性もある。
そう考えて、鈴仙はこの聞き慣れない名の建物に足を運んだのである。
「イタリアって国の料理の店なのね」
レストランは開けた土地に建っており、少し離れた所には偏屈な半妖の男が営む古道具屋が見えた。
周囲に人の気配は無し。窓を覗こうにも、雨戸が閉まっていて中の様子を伺うことはできなかった。
鈴仙は自分の能力で屋内の『波長』を読み取ろうと試みるも、失敗。
地上から月の同胞まで届いていたこの能力も、今や板切れ一枚にさえ遮られてしまう始末であった。
内部の様子は、直接目で見て確認しなければいけない、ということである。
鈴仙は恐る恐る正面の出入口に近づき、勢い良くドアを開け放った。
「貴方は、八雲の……」
そこには、一人の妖獣が立っていた。月には生息していない、『あの時』に初めて出会った獣。
背中に広がるその九本の尻尾を見間違えるはずもない。狐の妖獣、
八雲藍だ。
「………………」
藍は何も言わずに袖から手を抜き出し、手招きする様に左手をかざす。
ふと、目が合った。その瞬間、鈴仙は
(喰われる)
……と思ったのだった。
「い゛っ!」
鈴仙の背後上空からレーザーが何本も撃ちだされる。
前方に飛び出し、それを辛うじてかわす鈴仙。
レーザーの着弾した床のじゅうたんは弾ける様に燃え上がった。当たったらタダではすまない出力。
恐らく屋根の上にでも潜ませていたのだろう。式神による遠隔操作の攻撃。
「げえッ!?」
更に飛び出した鈴仙の鼻先に、薙刀の切先が飛び出してきた。
藍は袖の中に薙刀を収納した『紙』を忍ばせていたのだ。
ガキッ!ガリッ!
鈴仙は倒れ込みながらも、紙から取り出した鉄筋で藍の突きを何とか逸らした。
『鉄筋』を納めた『紙』を、いつでも取り出せるように隠していたのだ。
偶然にも両者は、同じ方法で武器を隠し持っていた。
故に、鈴仙は藍の攻撃を間一髪で予測し、防御することができたのだった。
だが、立ち上がる間もなく床に転がる鈴仙に対し、藍は容赦なく薙刀を突き立ててくるのだった。
何度も何度も、鈴仙目掛けて刃を突き下ろす。
ドン! ガキン! ドスン!! ドスン! ガキーン! ドン! ドン! ガキィン!
「うっ、うっ、うわあああああっ!」
鈴仙は床を転がるように逃げながら、藍の突きを必死にかわす。
月で教わった『銃剣術』の経験が生きていたのだった。
鉄筋から火花が散る程の苛烈な攻めを繰り出しながら見下ろす藍の眼差しは、ただただ冷酷・機械的で、
さながら殺人機械いや、殺兎機械といった様子であった。
こんな状態で長くは保たない。いや、長くは保たなかった。
「ぐっ!」
腹を思い切り踏みつけられ、動きの封じられた鈴仙に迫る、トドメの一突き。
頼みの鉄筋は、いつの間にかまっぷたつに折れていた。
「シ……『シュトロハイム』!」
万事休すかと思われたその時、鈴仙は叫ぶ。
「なっ!?」
鈴仙はブレザーのポケットから紙を取り出すと
中から軍服姿の大男が飛び出したのだ。
「ぬううううううん!」
大男の放った裏拳が、藍の横面を強かに捉えた。
予想外の角度からの攻撃で藍が大きくよろめく。
「逃げるわよ、『シュトロハイム』!」
「鈴仙よ! 待たんかアァーーーーーーーッ!!」
その隙に藍の足元をすり抜け、レストランから飛び出す鈴仙。
『シュトロハイム』を紙に戻し、姿を消して脱兎のごとき勢いで走り去ったのだった。
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
「……取り逃がしたか」
……藍は玄関口から走り去っていった鈴仙の姿を探したが、既に見えなくなっていた。
確か、光の波長を操り、姿を隠すという玉兎の能力だったか。
あの手合いは、逃げに回られると本当に骨が折れる。
手当をしたとはいえ、足に傷を負っている。深追いは無用か。
永遠亭の月人などを連れて戻って来られたら、流石の藍でも苦戦は避けられないだろうが……。
『紙』の中に隠れていたあの軍服の男も気掛かりだ。確か『シュトロハイム』という名だったか。
紙に『参加者』を収納する事はできないはず。
それに、あの男に殴られた感触……鋼鉄のような義手を付けていた割には、軽い。
『木材』か何かのようだった。
あの兎は視覚をごまかすのは得意だが、あのタヌキのようにモノを化けさせる能力まではなかったはず。
……となると、あのタヌキが引き連れていた『ドラゴン』のような、藍にとって未知の『何か』なのかも知れない。
「さて……一旦、香霖堂に戻って、それからどうするか……」
藍は芳香を仕留めてすぐ香霖堂に向かい、橙を待っていたのだった。
だが時間を大幅に過ぎても橙は来なかった。
藍が橙の事を待ちわびながら香霖堂の外を見回した時に、偶然遠くで鈴仙の姿を見かけ、
香霖堂の近くにあったこのレストランで罠を張る事を思いついたのだった。
……結局仕留めることはできなかったのだが。
「ゴホッ……煙いな、ここは」
気がつくと、レストランの中は煙が充満していた。
レーザーを撃ち込まれたじゅうたんが燃えているのだ。
もはやこの場に長居は無用。藍はコンコンと咳込みながら、レストラン・トラサルディーを後にした。
【D-4 レストラン・トラサルディー/朝】
【八雲藍@東方妖々夢】
[状態]:左足に裂傷、右腕に銃創(処置済み)、頬を打撲、霊力消費(中)、疲労(中)、所々返り血
[装備]:
秦こころの薙刀@東方心綺楼
[道具]:ランダム支給品(0~1)、基本支給品、芳香の首
[思考・状況]
基本行動方針:紫様を生き残らせる
1:やるべきことは変わらない。皆殺し。
2:香霖堂に戻り、橙を待つか、探しにゆく。
[備考]
※参戦時期は少なくとも神霊廟以降です。
※放送内容は全て頭に入っています。
※C-5 魔法の森内に
宮古芳香の胴体、左腕、右脚が落ちています。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「……という訳です。それから八雲藍から逃れた私は、現在、人里の家で師匠に電話をかけています。
表札に『広瀬』という苗字が記されていた家です」
「……そう。その狐は八雲藍、という名前なのね?」
「はい。師匠も、『あの時』に姿を見たことがあると思います。
八雲紫の傍にいた、あの狐です」
「『あの時』……それは、貴女にとって、『過去』の事なのね」
ここに来て、永琳の疑問は確信へと変わったのだった。
このウドンゲは、『未来』からやってきている。
……あるいは、永琳が『過去』から呼び出されたのか。
永琳は眉間を押さえ、目をつむり、何度か大きく息をついた。
そして覚悟を決めた永琳は、
「……ウドンゲ、これから貴女にいくつか質問をするわ」
と切り出したのである。
永琳は鈴仙から、まず『あの時』の顛末について聞き出した。
永琳にとっては『現在』進行していた出来事。
鈴仙にとっては『過去』となった出来事で、人々の間で『永夜異変』と名付けられた出来事。
時系列は、正しく時間が進行していたとすれば、永琳がここに呼び出された時刻のすぐ後のこと。
八雲紫を含む何組かの人妖に、永遠亭の面々は『スペルカードルール』に則った決闘で打ち負かされ、
永琳の計画は潰えてしまったのだった。
この事件で地上の人と妖が協力する姿に心打たれた輝夜は、永遠亭に掛けられた時の停滞の術を解いた。
そして、彼女は地上の民の一員として暮らすよう事を選んだという。
私は薬師兼医者となり、里の人々に名医だと評判になっているのだという。
その時以来、輝夜も永琳も笑顔を見せることが多くなった、ともウドンゲは語っていた。
ここまで聞いて、永琳は自分の耳を疑った。
だが、ウドンゲが嘘を言っているようには思えない。
小心者の彼女のこと、こんな嘘を言えば永琳には必ず判る。
これはウドンゲにとっての『事実』なのだ。
……そして、永琳に訊かれるがままに、ウドンゲは更に信じられない事実を電話越しに話すのである。
『永夜異変』から少し後、月の玉兎の間で流れた地上からの侵略者の噂。
当初、侵略者はかつて地上へ逃れた輝夜と永琳ではないかという噂が流れていたらしい。
だがその侵略計画は、以前永遠亭に乗り込んできた人妖の一部が進めていたものだった。
侵略者一味はロケットで月に到着したものの、月の防衛を担っていた綿月依姫に敗北し、地上へと送還されたという。
更に後の話。これが永琳にとって最も信じがたい事件だった。
あろうことか依姫とその姉の豊姫が、永遠亭にやってきたのだ。
「急に八意様の顔が見たくなったので、地上に降りてきた」という。
月の都の使者として、罪人である永琳達を討伐する為ではない。
プライベートで、今も敬愛する師である永琳に会いたいがためにわざわざ地上に来たというのだ。
つい先日、『鈴仙』の脱走から欠員が出ていた玉兎の兵隊に、新たな『レイセン』が配置された事もその時知った。
もはやウドンゲが召集を受けることも無くなったのである。
「………………」
「『あの時』から私の知る『現在』までに永遠亭で起こった大きな事件は、そんなところです。
……お師匠様? ……ししょー。
……30分程したら、またかけます。ここの番号は、XXX-XXX-XXXXです」
茫然自失としていた。
私としたことが、ウドンゲにまで気を遣わせるとは。
まったく理解が追いつかない事ばかりである。
竜宮城から帰ってきた浦島太郎にでもなってしまったかのようだ。
永琳は一旦携帯電話を懐に収めると、デイパックから水を取り出し、ゆっくりと飲み下した。
そして、近くの木の根元に座り込むと、うずくまって腹を押さえ、肩を震わせて息を殺し、
「うッ、くふっ、ふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっ」
笑った。
……全ては私の杞憂だったらしい。
私は一体何のために偽物の月を用意してまで、月の使者を欺こうとしたのか。
綿月姉妹が私達を正式に討伐しにやってくる危険性が完全にゼロになった訳ではない。
だが、少なくとも鈴仙の語る『未来』からは、それは感じられなかった。
ウドンゲの語る未来で、私たちと月の都は緩やかに和解への途を歩んでいるように思えた。
私の想像よりずっと、世界は優しさに満ちていたのだ。
「ふっふっふっふっふっふっ、あっはっはっはっはっはっはっはっはっ!」
「……はあ……」
そして、ひとしきり笑った後、涙を拭って溜息を付いた。
今我々がバトルロワイヤルに参加させられているという現状を思い出したのだ。
おまけに参加者の命を握る主催者達は、何らかの形で時間を超える能力を持つことが確実という、
嬉しくない新事実まで判明したのだ。
ウドンゲから未来の話を聞いただけで、現状は何も改善していないのである。
それに考えてみれば、主である輝夜が『いつ』からここへ来たのか分からない。
時の止まった永遠亭で隠遁生活を送っていた頃の彼女なら、穢れを取り除き、月への帰還を望むだろう。
もし輝夜がウドンゲの語る未来からやってきたとすれば、
彼女は地上の『永遠亭』での日常を取り戻したいと願うだろう。
全ては彼女次第なのだ。
結局、永琳の為すべき事が変わる訳ではない。
輝夜、ウドンゲ、てゐを生還させる。可能なら、自分自身も。
そして、輝夜の希望を叶えるため、主催者の持つ謎の技術の奪取。
そのためにこの場で採る方針も変わらない。
だけど、『希望』だけは湧いてきた。
千年を超える程の永い間、天を仰ぐ度に怯えてきた相手は私たちを赦してくれるかもしれない。
生きて、皆でここを脱出することさえ叶えば……。
もう歴史の停滞した隠れ家で、私達の恐怖さえもずっと停滞させて、永き時を過ごし続ける必要はないのだ。
……そう実感すると、喜びで胸が熱くなった。
久方ぶりに、永琳は変化を放棄したはずの肉体に流れる血潮を、脈打つ鼓動を……『生』を実感していた。
20分後。永琳はレストラン・トラサルディーの外壁を背に寄りかかり、再び携帯電話を取り出した。
レストランの中に先程鈴仙を襲撃した獣の姿は無く、ドアも開け放たれていた。
「ウドンゲ、いるわね? 私よ。永琳よ」
永琳は自分の口から出て行く声に、力がこもっている事を実感した。
それは、受話器の向こうのウドンゲにも伝わったらしい。
安堵の溜息が聞こえてきた。
「お師匠様……。大丈夫そうですね。
もし私が逆の立場だったら、ショックで寝込んでいたかもしれません」
「今度は私が今まで会った人物を伝えるわ。
ウドンゲ、貴女と面識のある人が居るなら、教えてくれるかしら」
今度は永琳がこの場での経緯をウドンゲに話した。
支給された蓬莱の薬、シュトロハイムとの賭け試合に、リンゴォとの決闘のこと。
ついさっき拾った、干からびて死んだヤマビコの死体。聞けば
幽谷響子という名の、命蓮寺の妖怪だという。
夜はパンクロックのバンドをやっていて、ウドンゲもファンだったらしい。
この場にウドンゲの知り合いは……幻想郷の住民は多いらしい。
だとすると、サンプル集めの為に無闇に参加者を捕獲するのは難しくなる。
ウドンゲ一人なら、現場を目撃されない限りはどうとでも言いくるめる自信があるが、
輝夜とてゐの知り合いでもあるとなれば話は別だ。……少し、面倒なことになる。
そして、携帯電話に届いた『花果子念報メールマガジン』。
最初の記事において、リンゴォと決闘したとされている男……グイード・ミスタは、ウドンゲも知らない人物。外来人なら当然か。
メールの主、烏天狗の姫海棠はたてもウドンゲと顔見知り程度。烏天狗なら、こんなくだらない記事を書いても当然、とも。
「それから、貴女を襲撃した八雲藍という妖獣に関係するかも知れないことなのだけど……。
『八雲紫』という人物と何か関係があるかしら?」
「師匠とは面識がまだありませんでしたね。八雲紫は、八雲藍のあるじです。……彼女が何か?」
「私の携帯電話の電子メールに、彼女がゲームに乗り3名を殺害した、という情報が届いたわ。
記事の内容を話すわね」
「そんな……!」
新しい記事、D-2エリア・猫の隠れ里で起こったらしい戦闘の記事『八雲紫、隠れ里で皆殺しッ!?』について、永琳は話す。
八雲紫が3名を銃殺したという記事。
被害者の一人、腕だけマッチョ、他はガリガリのヘンテコ男は外来人らしく、当然ウドンゲとも面識なし。
どんな姿なのか、密かに学術的な興味が湧く永琳。写真を見られないのがもどかしかった。
地底の鬼、
星熊勇儀は鈴仙も姿形以外はあまり知らない、という。
白玉楼の庭師、
魂魄妖夢は、ウドンゲも良く知る人物。
『永夜異変』のすぐ後、満月の見過ぎによる後遺症の治療のため、永遠亭で治療を受けた……らしい。
だが彼女も八雲紫に殺されたと話した時、ウドンゲの驚愕の声が聞こえてきた。
「……ウドンゲ、貴女はどう思う? この記事について。
貴女の知る八雲紫は、この殺し合いに、進んで乗るような人物かしら?」
ウドンゲは、それはない、と断言した。
八雲紫は誤解を恐れずに言うなら……永琳に似たタイプの人物だと、彼女は語る。
優れた頭脳と、あらゆる境界を操る強大な力を持っているが
常人には理解し難い言動を取ることがあるという。
だがそれでも、彼女は幻想郷の人妖と自ら殺し合いに乗る人物ではない……と、言う。
「どうしてかしら?」
鈴仙は更に語る。
紫は、妖怪達の存続のため、幻想郷を現在の形に作り上げた妖怪の一人なのだという。
だから、幻想郷の住民を自分の意思で殺害することは考えにくい。
その記事に載っているように、外来人の男を殺害することに大したためらいはないだろう。
鬼……は、知っての通り好戦的な種族なので、襲撃を受けた所を自衛の為やむなく殺害したのかもしれない。
だが、妖夢は八雲紫の親友、
西行寺幽々子の従者なのだ。
大切な幻想郷の住人であり、親友の部下でもある妖夢を、紫が襲う事は考えられない。
妖夢も、少々突っ走りがちなところはあるが、自分から殺し合いに乗るようなことは無い。
……と、ウドンゲは語った。
とはいっても、ウドンゲが言うにはこの殺し合いの参加者のうち、
幻想郷の住民が少なくとも約半数を占めている、とのことだ。
現在の幻想郷の創設者である八雲紫と、主催者の関係について、永琳は勘ぐらざるを得なかった。
「……でも、幻想郷の住民であるはずの貴女は、紫の部下である藍に襲われたのよね」
「それは藍の独断ではないか、と思いますが……。お互いが連絡を取り合うのが難しい状況ですし」
「この携帯電話じゃあ写真も見られないし、今の段階では、何とも言えないわね。
……警戒するに越したことはないけど」
「……そうですね。藍の式である、猫の妖獣の橙にも気をつけてください。
彼女はさほど力のある妖怪ではありませんが、念のため」
「では、『第二回放送前後にレストラン・トラサルディーで待つ』。これに変更は無し。
姫やてゐにあったら、忘れずに伝えること。
レストランは、ひとまず安全よ。もう誰も居なかったわ。今こうして電話する私の他はね。
私は、一旦レストランを離れて……そうね、頭に仕掛けられた何かを解除するヒントを得るために、
解剖できそうな死体のサンプルを探してみることにするわ。
死体といえば……貴女、永遠亭で魔女が死んだと言っていたわね? 永遠亭に、彼女の死体はある?」
「えっ…………ええ。状況が状況です。致し方ありません。
アリスは、永遠亭の庭に埋めました。彼女も、納得すると思います。
……それと、さっきも言いましたが、私は集合に応じることができません」
永琳が理由を問う前に、ウドンゲは続けた。
「……どうしても、やらなければならないことがあります
私は、アイツを殺したい。アリスの仇を、ディアボロをこの世から殺(け)してやりたいんです」
ウドンゲの、静かな決意表明。
だが、受話器を通しても分かる、強い意志の篭った言葉。
あれほど従順だったウドンゲから初めて受ける、師への反抗。
「仇討ちとは……たった数年の間に貴女も変わったものね。
……アリス、だっけ? 彼女とは、親しい仲だったの?」
「いえ……。ここ呼び出される前は、魔法の森のキノコ狩りで世話になったのと、
人里などで時々会うくらいのもので……」
「では、どうして彼女にそこまで入れこむの? 悪いことは言わない、仇討ちなんて止めなさい。
親の仇という訳でもあるまいし」
「嫌です」
「そんなこと続けたら、貴女……死ぬわよ
ディアボロという男に返り討ちに遭う……それならまだ良いわ。
奴とは関係ない、どこの馬の骨とも付かない者に殺されるのがオチよ。
貴女は、死ぬのが、戦うのが恐くて月から逃げてきたんじゃないの?」
「……怖いですよ、ええ、アイツと戦うの、すごく怖かったです。
一回撃退できたのが、不思議なくらい。今度戦ったら、死ぬかもしれません」
「そんなに怖い思いをして、どうしてディアボロを追うの?
臆病者で月から逃げてきた貴女が、友達の仇を討ちたいとまで思える様になったのは、正直嬉しく思ってるの。
だけど、貴女には今、『友達』より大事な永遠亭の『家族』がいるでしょう?
貴女の『勇気』を、今度は『家族』のために活かしてほしい。
復讐心を忘れろとまでは言わない。だけど……貴女は、もう死んでしまった『友達』の復讐にかまけて、
今生きている『家族』まで喪う気なの?
私は貴女の為に言っているの……自分の気持ちと向き合って、よく考えて欲しいの」
「自分の、きもち……」
「………………………………………………………………」
「………………………………………………………………」
沈黙する二人。
お互いの耳に聞こえるのは、静かに流れるホワイトノイズだけだった。
そして、
「………………………………………あッ、」
鈴仙が口を開く。
「……ッ、だ、ダメです。ダメです!……うう、忘れるなんて、やっぱり……!」
「アリスの声、アリスの手、アリスの温もり、アリスの匂い……あの時、確かに……私は、私は……!
今までずっと生きてきて、足りなかったものが、心に空いてた隙間が……満たされてたんです!!
あの時、あの瞬間に! もう忘れてしまったのか、それとも最初から欠けていたのか!!
あの時、私は初めてそれに気付くことができたんです! 忘れるなんて……できない!
私の心に空いた隙間、アリスを奪ったアイツを、ディアボロを殺すことでしか満たせない!!
ごめんなさい!師匠!!無理です!! 復讐やめるなんて、無理です!!」
鈴仙は叫んだ。酷い餓えや渇きを訴える様に、心から渇望していた。そんな叫びだった。
そして、呼吸を整えて、改めて鈴仙は宣言した。
「……師匠、貴女の言うとおり自分の気持ちに向き合いました。
申し訳ございません。やっぱり私は、復讐をやめることができません。
師匠たちとは別行動をとり、ディアボロを殺(け)します」
「今になって思えば、あの時アリスが見せてくれた優しさは、偽りのものだったのかも知れません。
錯乱していた私を落ち着かせ、あわよくば懐柔し、利用するための。
でもその時、私は自分に欠けていた、大切なものが満たされていると感じました。
今でもそれが何かは解りません。……ですが、一度触れてしまったら、求めずにはいられないものなのです。
ですから、それを奪ったディアボロを、私は追います。私の心に欠けていた、その何かを、二度と忘れないために。
……そしてその何かの正体を知るために」
「……ではウドンゲ、貴女は『家族』より『友達』をとる訳ね?」
「私の『気持ち』に正直になった結果です」
「それなら、もう私から言うことは何も無いわ。達者で、『鈴仙』」
「…………はい、失礼します……『八意様』」
しまった、と永琳は思った。
そっと受話器を下ろす音が聞こえた。
「……まさか本当に縁を切られるとは」
……まずい。
この言い方では、完全にこちらから三行半を突きつけたようなものだ。
約40年前、地上に流れ着いた鈴仙に永琳が与えた名……『優曇華院(うどんげいん)』。
『ウドンゲ』の呼び名は、二人の師弟の繋がりを示す名だ。
最後、あえてウドンゲを『ウドンゲ』と呼ばなかったのは、師弟の縁を切るという、脅しのつもりだった。
ほんの警告のつもりだった。
ちょっと脅せば、ウドンゲなら簡単に謝って泣きついてくるに違いないと、思い込んでいた。
月を逃げ出した彼女に、永遠亭以外の居場所はないのだから。
だが永琳の予想に反し、ウドンゲは電話を切る時、確かに永琳の事を『師匠』でなく『八意様』と呼んだ。
彼女は名を捨てたのだ。これでは本当に縁が切れてしまう。
意地を張り合っていられる状況ではない。何とか謝らなければ。
永琳は慌ててウドンゲの掛けてきた番号に発信した。
祈るような気持ちで、携帯電話から流れる呼び出し音に耳を澄ます。
およそ30回ほどのコール音が繰り返されたか。
呼び出しには、誰も応えない。
もう一度発信する。
応答は無し。……遅かった。
ウドンゲは既に出発してしまったのだろうか。それとも、敢えて電話に出ようとしないのか。
自責の念が永琳を襲う。
永琳よ、私は何をムキになっていた。何を焦っていた。
復讐を思い留まらせるにしても、もっと言い方があったハズだ。
彼女の『仇討ち』に対する思いは、本物だった。電話越しでも分かる程に。
彼女に『復讐』と他の何かとの『選択』を迫れば、何を置いても『復讐』を選ぶと、そんな凄みを感じた。
事実、私がウドンゲに『家族』との選択を迫り……捨てさせてしまったのだ。
演技でも何でも、もっと別のやり口で、彼女の意志を尊重し、優しく説得すべきだったのだ。
……あの地上の魔女がそうしたような、優しさを示してやるべきだった。
だが、私にはそれができなかった。我慢ならなかった。
強硬に『選択』を迫り、それでも当然ウドンゲは自分たち『家族』の方を選んでくれると思いたかった。
見ず知らずの地上の魔女と同じ土俵で勝負すること自体が、永琳にとっての敗北だった。
そこで、永琳は悟る。
私は、恐れていたのだ。
たかが兎一匹の心が、自分の元を離れていく事を。
……ああ、私は顔も知らない地上の魔女に『嫉妬』していたのだ。
穢らわしい感情だ。
この穢れに塗れた大地に放り出されてから半日にも満たない間に、私の心は地上の穢れに汚染されていたのだ。
永遠亭のこれまでの日々を思い返してみれば、嫉妬するのもおこがましい。
ウドンゲが地上に流れ着いてから40年、私は一度としてあの魔女の様に、
ウドンゲを抱きしめてやったことがあっただろうか?
月の使者に怯え続けていた私にそんな事を考えつくはずもなく、
ウドンゲをずっと都合のいい小間使いとして使い走ってきただけではないのか?
私や輝夜ほどではないにせよ、永い月日を生き続けてきたウドンゲ。
にもかかわらず、彼女は『人間』とさほど変わらぬ心と姿を持っているのだ。
同じ年頃の見た目の人間と同様に、『母の愛』に飢えていたとしても、不思議ではないのだ。
彼女はずっと『母の愛』を求め続けていたのだろうか。
永遠亭で私の弟子として働く間も、そして、
あれほど臆病だった彼女が、『永夜異変』で自分も戦うと言い出したあの時も。
いつか私から、『母の愛』を授けてもらえる事を期待して、彼女は私に付き従っていたのだろうか。
今までの永琳からすれば、想像もつかない事だった。故に、後悔のしようもなかった。
……あるいはウドンゲの知る未来の私なら、いつの日かそれを叶えてやることができたのかもしれない。
だが今更それを想像してみようにも、詮ないことだった。
永琳は携帯電話を懐に収め、これからの行動方針を思案する。
ウドンゲは確か人里にいたか。すぐに向かえば直接会えるかもしれない。
だが、会ってどうする。彼女の処遇をどうするにせよ、しばらく頭を冷やすための時間が必要だろう。
……お互いに。この地の歴史は停滞など、していないのだから。
来るべき再会の時まで、彼女の命があれば良いが。
それより私には為すべきことがある。頭の中に仕掛けられた爆発する『何か』の解析及び除去。
第二回放送まではまだ少し時間がある。
『サンプル』は一つ確保したが、カラカラで状態は良くない。
永遠亭に埋葬されている魔女の遺体で二つ目。ウドンゲの話によれば、頭部は無事。
永遠亭には、検死解剖のための道具もある。少し距離があるが、そこへ向かうのが最善だろうか。
周囲の空を見回すと、魔法の森や竹林のそこかしこから、空に向かって煙が立ち上っている。
あちこちで、大規模な火力を行使した戦闘が展開されているのだろう。
そこへ向かえば更なる『サンプル』の確保も期待できる。
もちろん、姫やてゐと合流できるなら、それが最優先だ。
さて、どこへ向かうか。
八意永琳は、思い兼ねる。
【D-4 レストラン・トラサルディー/午前】
【八意永琳@東方永夜抄】
[状態]:精神的疲労(小)、霊力消費(小)、右肩に銃創(塞がりかけ)、再生中
[装備]:ミスタの拳銃(6/6)@ジョジョ第5部、携帯電話(マナーモード)
[道具]:ミスタの拳銃予備弾薬(15発)、ランダム支給品(ジョジョor東方・確認済み)、
幽谷響子の死体、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:輝夜、ウドンゲ、てゐと一応自分自身の生還と、主催の能力の奪取。
他参加者の生命やゲームの早期破壊は優先しない。
表面上は穏健な対主催を装う。
1:輝夜、てゐと一応ジョセフ、
リサリサ、
藤原妹紅の捜索。
2:頭部が無事な死体、『実験』の為のモルモット候補を探す。永遠亭に行けば、機材とアリスの死体を確保できるが……。
3:しばらく経ったら、ウドンゲに謝る。
4:基本方針に支障が無い範囲でシュトロハイムに協力する。
5:柱の男や未知の能力、特にスタンドを警戒。八雲紫、八雲藍、橙に警戒。
6:情報収集、およびアイテム収集をする。携帯電話のメール通信はどうするか……。
7:第二回放送直前になったらレストラン・トラサルディーに移動。ただしあまり期待はしない。
8:リンゴォへの嫌悪感。
[備考]
※参戦時期は永夜異変中、自機組対面前です。
※行き先は後の書き手さんにお任せします。
※ランダム支給品はシュトロハイムに知らせていません
※
ジョセフ・ジョースター、シーザー・A・ツェペリ、リサリサ、スピードワゴン、柱の男達の情報を得ました。
※『現在の』幻想郷の仕組みについて、鈴仙から大まかな説明を受けました。鈴仙との時間軸のズレを把握しました。
※制限は掛けられていますが、その度合いは不明です。
※スタンドの概念を知りました。
※リンゴォに『第二回放送前後にレストラン・トラサルディーで待つ』という伝言を輝夜、鈴仙、てゐに向けて託しました。
※『
広瀬康一の家』の電話番号を知りました。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
「…………はい、失礼します……『八意様』」
鈴仙は震える手でそっと受話器を下ろした。
八意様から頂いた『優曇華院』の名を剥奪され、これで私は永遠亭の一員では無くなった。
覚悟していたことだ。
永遠亭の一員としての義務より、友の仇討ちという私情を優先した結果だから、当然だ。
これが自分で選んだ『運命』なのだ。いや、選ばざるを得なかったのだ。
選択の余地が無い程に強く望むからこそ、『運命』なのだ。
鈴仙にとってディアボロを討つことは、単なる『復讐』では無くなっていた。
アリスからもらった、言葉にもできないほど曖昧模糊としていて、それでいて忘れることのできない、強くて暖かな感情。
鈴仙にとって未知だったその感情を追い求める術は、アリスを奪ったディアボロを追うことしかないのであった。
「周辺に人影は無し! ……あの狐も追ってきてはおらんぞ」
「『シュトロハイム』、ご苦労さま」
鈴仙は玄関口で番をする『シュトロハイム』に声を掛け、広瀬康一の家を後にした。
「鈴仙よ……永琳と何かあったのか? 電話で激しくやりあっていたようだが」
「何でもない……何でもなくなったのよ。さあ、ディアボロの行方を追いましょう」
広瀬邸を足早に去ってゆく鈴仙。
後ろから電話のベルの幻聴がかすかに聞こえてきた。
並んで歩くシュトロハイムには聞こえていないようだ。広瀬邸からはもう距離がある。
そうだ、これは幻聴だ。情報交換は済ませた。今『八意様』と話す事は、もうない。
まさかあの『八意様』が、永遠亭に対する裏切りを許して下さるはずがない。
『優曇華院』という名の剥奪を撤回して下さることなど、あり得るはずがないのだ。
……私がいくらそれを望んだとしても。
だから、これは幻聴だ。電話のベルなんて、聞こえるはずがない。
いくら私がもう一度お話したいと願ったとしても、これは幻聴に違いないのだ。
――地球から見た月の『染み』を錯覚した人間たちが、『玉兎』を産んだ。
――そして『玉兎』に名と姿が与えられ、『鈴仙』は産まれた。
――『鈴仙』に血の繋がった母は存在するのか?
――兎なら、地球の獣と同様に子を産み育ててもおかしくはないのかも知れない。
――妖である以上、名と姿が与えられただけの存在である『鈴仙』に母はいないのかも知れない。
――その答えは『不明』。鈴仙自身にも、である。
――だが事実として、人と、地球の獣と似た姿を与えられてしまった鈴仙は、
――人と同様に母の愛を渇望するようになってしまったのだった。
――母とは何かもよく知らないままに。
――玉兎は、人の幻想から産まれた妖怪たちは、何を求め、どこへ行くのか。
――その答えは……。
【E-4 人間の里/午前】
【鈴仙・優曇華院・イナバ@東方永夜抄】
[状態]:疲労(小)、体力消耗(小)、渇望、強い覚悟
[装備]:スタンドDISC「サーフィス」
[道具]:基本支給品(食料、水を少量消費)、シュトロハイム化サーフィス人形(頭部破損・腹部に穴(接着剤で修復済み)、全身至る所にレーザー痕)
ゾンビ馬(残り40%)不明支給品0~1(現実出典)、鉄筋(数本)、その他永遠亭で回収した医療器具や物品
[思考・状況]
基本行動方針:アリスの仇を討ち、自分の心に欠けた『何か』を追い求めるため、ディアボロを殺す。
1:未来に何が待ち構えていようとも、必ずディアボロを追って殺す。確か今は『若い方』の姿だったはず。
2:『第二回放送前後にレストラン・トラサルディーで待つ』という伝言を輝夜とてゐに伝える。ただし、彼女らと同行はしない。
3:ディアボロに狙われているであろう
古明地さとりを保護する。
4:危険人物は無視。特に柱の男、姫海棠はたては警戒。危険でない人物には、ディアボロ捜索の協力を依頼する。
[備考]
※参戦時期は神霊廟以降です。
※波長を操る能力の応用で、『スタンド』に生身で触ることができるようになりました。
※能力制限:波長を操る能力の持続力が低下しており、長時間の使用は多大な疲労を生みます。
波長を操る能力による精神操作の有効射程が低下しています。燃費も悪化しています。
波長を読み取る能力の射程距離が低下しています。また、人の存在を物陰越しに感知したりはできません。
※サーフィス人形の破損は接着剤で修復されましたが、実際に誰かの姿をコピーした時への影響は未定です。
※シュトロハイムに変化したサーフィス人形は本体と同程度の兵器を駆使できますが、弾薬などは体内に装填されている物のみです。
また、機械化の弊害なのか鈴仙がシュトロハイムの波長をうまく感じ取る事はできません。
※『八意永琳の携帯電話』、『広瀬康一の家』の電話番号を手に入れました。
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
――『6000秒』戻る――
時は、リンゴォが鈴仙と別れた直後に遡る。
森の中を、隙のない足取りで歩むリンゴォ。
その様子と裏腹に、彼の胸中では焦りが頭をもたげていた。
(あの鈴仙という小娘、行動の動機は仇討ちなどという、『受け身』なものだったが……。
悪くない眼をしていた……。仇討ちという表面的な理由の裏に、何かを追い求めていたのかも知れない。
本人にその自覚があるかは知らないが)
リンゴォは立ち止まり、じっと右手を見た。その手は僅かだが震えている。
鈴仙の殺意は、未熟ながら本物だった。
(俺があの娘の前に立ち塞がり決闘を挑めば、奴は全力でこの俺を殺しに掛かってくれるだろう。
だが……俺では、奴を殺せない。『約束を反故にする』という卑劣さを引きずった俺ではな。
よしんば殺せたとして……更なる『精神の高み』に届くことなど、できはしない)
彼を縛っていたのは、永琳と交わす破目になった約束。
『
蓬莱山輝夜、鈴仙・優曇華院・イナバ、
因幡てゐの三名には絶対に手出しをしないこと』
『彼女らに伝言を伝えること』
彼を公正な決闘で破った永琳が、命を奪う代わりにリンゴォに課した枷である。
こんなことはリンゴォにとって未体験だった。
彼の世界で、決闘の敗北と死はイコールで結びつく。
リンゴォは永琳と戦うまで一度も決闘で敗北したことは無かったし、
決闘に敗北した結果待ち受けるのは、『死』の他に存在しないと思っていた。
リンゴォの初めての敗北で、死を与えられる代わりに課せられた枷は、命より重く感じた。
永琳との約束を無下に破ることは、彼には不可能に感じられた。
……だが、それでもリンゴォは『輝ける道』を歩むため、
『漆黒の殺意』を秘めた者との決闘を望まずにはいられなかった。
そんな彼の前に現れたのが、皮肉にも『漆黒の殺意』を秘めながら
『約束』によって手を出すことを禁じられた少女、鈴仙だった。
彼のまっすぐ歩んできた『輝ける道』に、初めて矛盾が生じてしまったのだった。
リンゴォは苦悩した。
課せられた『約束』と、今まで歩んできた『道』の狭間で。
今まで歩んできた『道』をまっすぐ行けば、『約束』は守れない。
『約束』を守り続ければ、輝ける『道』を歩む事はできない。
(……なるほど、今になって解る。
あの女に断じられた通り、俺のこの生き方は、一種の『呪い』かも知れない)
苦悩の結果リンゴォは、人生で初めて『妥協』する事を選んだ。
それは、可能な限り永琳との約束を果たした後、彼女に再戦を挑み、『約束』のうち不可能な分を撤回させること。
つまり、蓬莱山輝夜、鈴仙・優曇華院・イナバ、因幡てゐの3名に永琳からの伝言を伝えてから、
永琳に再戦を挑み、勝利して『鈴仙たちに手を出さない』という約束の撤回を取り付けるのである。
その際、永琳が望むなら永琳の生命を奪わずに勝利せねばならない。
そして永琳の約束を撤回した後に、初めて鈴仙との決闘に臨める。
……これが最も矛盾が少なく、『納得』のゆく方針に思われた。
未知の強者ひしめく戦場で、想像するだけで震えの来るほど困難な過程だ。
最も、死線をくぐることそのものを生きる目的とする彼に過程の困難さを問うのは無意味なことだが。
それに、強者が他に多数存在するのなら、それはそれで都合の良い事だ。
『約束』とは関係のない彼らとは、今まで通りに何の制約もなく決闘を挑むことができるのだから。
などと考えながらリンゴォが歩みを進めていると、周囲の様子が変化していた事に気付いた。
いつの間にかジメジメした原生林ではなく、竹林に入り込んでいたのだ。遠くで炎がくすぶっているのが見える。
地図を見ると、確かここは……『迷いの竹林』だったか。
名前通りの土地柄だとすれば、あてのない人探しで足を踏み入れるべき所ではない、か。
リンゴォが引き返そうとしたその時、視界に人型のシルエットが入った。
天然の竹の垣根を幾つか超えた先で、真っ黒い人の形をしたものがノロノロと動いている。
リンゴォは極力気配を殺し、動く黒い物体に近づいた。
やはり、ヒトだ。体つきからして、若い娘のようだ。
一糸まとわぬ全裸体。だが、その姿に劣情を催す男はほぼ存在しないだろう。
全身の皮膚の大半が真っ黒に炭化して、ボロボロと黒い欠片をこぼしている。
肘やあばらなどはところどころ白い骨が露出している。
肉の焼け焦げる臭いまで漂ってきた。
どこからどう見ても、焼死体。だが、『それ』は確かに二本の足で立って歩いている。
「・・・・・・!」
『歩く焼死体』がようやくリンゴォに気づき、声にならない声を上げる。
そして、赤い表情筋と白い歯の露出した横顔をこちらに向けてきた。顔の正面が明らかになる。
今まで顔の右半分しか見えていなかったが、左半分だけは奇跡的に軽傷であったようだ。
僅かに頭髪が残っており、黒い瞳がこちらの姿を捉えている。
そこでリンゴォが気付く。
永琳から聞いた人物の容姿の特徴が、『輝く夜』の様に美しいと形容していたその顔かたちが、辛うじて判別できたのだ。
「お前は……『蓬莱山輝夜』、なのか……?」
【C-5南部 迷いの竹林/朝】
【リンゴォ・ロードアゲイン@第7部 スティール・ボール・ラン】
[状態]:微かな恐怖、精神疲労(小)、疲労(小)、背中に鈍痛、左腕に銃創(処置済み)、胴体に打撲(中)
[装備]:一八七四年製コルト(6/6)@ジョジョ第7部
[道具]:コルトの予備弾薬(13発)、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:公正なる果たし合いをする。
1:男の世界を侮辱した秋静葉と決闘する。
2:姫海棠はたてを探す。
3:
ジャイロ・ツェペリとは決着を付ける。
4:アレは蓬莱山輝夜、なのか……?
5:輝夜、てゐと出会ったら、永琳の伝言を伝える。永遠亭の面々にはまだ手を出さない。
永遠亭の3人への伝言を済ませた後に永琳と再戦し、勝利する。その後、鈴仙に決闘を挑む。
6:次に『漆黒の焔』を抱いた藤原妹紅と対峙した時は、改めて決闘する(期待はしてない)。
7:永琳への微かな恐怖。
[備考]
※参戦時期はジャイロの鉄球を防御し「2発目」でトドメを刺そうとした直後です。
※幻想郷について大まかに知りました。
※永琳から『第二回放送前後にレストラン・トラサルディーで待つ』という輝夜、鈴仙、てゐに向けた伝言を託されました。
【C-5南部 迷いの竹林/朝】
【蓬莱山輝夜@東方永夜抄】
[状態]:顔の右半分火傷(大、右目失明中)、全身火傷(大)、再生中、精神疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、A.FのM.M号@第3部
[思考・状況]
基本行動方針:皆と協力して異変を解決する
1:誰……?
2:妹紅…。
3:妹紅を追う。
[備考]
参戦時期は東方儚月抄終了後です
第一回放送を聞き逃しました
A.FのM.M号にあった食料の1/3は輝夜が消費しました
A.FのM.M号の鏡の部分にヒビが入っています
支給された少年ジャンプは全て読破しました
黄金期の少年ジャンプ一年分はC-5 竹林に山積みとなっています
最終更新:2016年09月05日 05:26