魔法(まほう)とは、
この世界におけるあらゆる
奇跡の根源となる能力、
技術、あるいは法則の総称である。
名称
当wiki、並びに
Junoir関連の創作物ではこの法則/技術/概念を統一的に「魔法」と称する。この訳語はあくまで"我々の世界"のそれと似た概念である、という点で選ばれたのであって、厳密に「悪魔の法」という意味ではないことに注意されたい。
魔法は霊力に由来する技術なので、霊術と呼んでもよいかもしれない。
概要
端的にいって魔法は想像を現実にする力である。
より正確には、
意志の作用により
この世界に何らかの影響を与える現象や能力を
魔法と呼ぶ。つまり、物理法則に従って物質層の内部だけで引き起こされる現象
以外のあらゆる現象が魔法である。
魔術、
気功、
グリシー、あるいは
ネオジーン能力に至るまで、その全ては魔法を根源とした技術や存在である。
魔法はあらゆる物理法則を凌駕する。重力を無視して飛ぶことも、宇宙空間を生身で遊泳することも、海水を全て凍らせることも、空間を圧縮してブラックホールを生み出すことも可能である。ただしこれは
原理的に可能であるという意味であって、現実に可能であるとは限らない。魔法を使うには、自分の
魂に含まれる
霊子すなわち
霊力を消費する必要がある。霊力は有限であり、霊力が尽きることは魂の消滅を意味するため、いくらでも自由に使えるというわけではない。また「想像を現実にする」ということは、すなわち
想像できないことは実現できないということでもある。例えば時間を止めたり巻き戻したりする魔法は原理上可能ではあるが、「時間が止まるとはどういうことか」を厳密にイメージできなければ実現は不可能である。
魔法の起源は分かっていない。確実に言えることは、魔法の原動力は
霊力であり、それは生物の
意志の力に関係している、という点である。物理法則と異なり、魔法は行使する主体がなければ発動されない。これは魔法が、宇宙の成立に必須ではないことを示している。
なお、この世界において「科学と魔法」は対立するものではない。
魔法学は科学の一分野であって、魔法は論理的な検証が可能なものである。その点においてこれを「魔法」と呼ぶのはいささか不正確な表現かもしれない。
原理
魔法の実態は厳密にいえば
確率変動である。
例えば「火を熾す」という魔法は、霊力によって
そこに火が存在する確率を跳ね上げることで実現される。
この世界は
波動世界であり、その挙動は確率波動に支配されている。未来のあらゆる事象は確率の形でのみ予測可能であり、実際に
観測するまで確定しない。逆にいえば、観測前の確率波動に干渉できれば任意の事象の観測確率を上げることができる。その手段が魔法である。
魂の頁などで言及される
魂(精神層)と肉体(物質層)の関連付けとは、精神(意志)の働きによって物質層の確率波動に干渉できることを意味している。具体的な機序は分かっていないが、
ヒトやそれに近い知能を持つ生物は先天的に確率波動へ干渉する(すなわち魔法)能力を持っており、念じるだけでその能力を使えることが分かっている。
なお、魔法が引き起こすのはあくまで確率の変動であって、その確率を限りなく100%に近づけることはできても絶対に起こるとは言い切れない。つまり、魔法には
失敗する可能性がある。成功率が100%に近い魔法もあれば、成功率10%の
失敗しやすい魔法もある。この確率がどのようにして決まるかは次で述べる。
要件
ここでは「目の前の薪に火を付ける」魔法を例として解説する。やること自体は、まず火が燃え盛る様子をイメージし、それが現実となるように念じるだけである。しかしながら、魔法について無知な者がこれをやろうとしても何も起こらないだろう。魔法を使うときにはイメージ(想像)と可能性が重要である。
イメージ
まず、魔法によって何かしたい場合、その事象への深い知識と理解が必須である。これは
魔術の解説内容と被るが、ただ漠然と「火が燃える様子」を思い浮かべても効果が薄く、もっと具体的に「薪を構成する繊維が酸化によって発熱し、発光する」とイメージしたほうが成功率は高くなる。そのためには、実際にその事象を注意深く観察したり、その事象の物理的・化学的挙動を厳密に計算することなどが求められる。優れた「魔法使い」とは、自然科学を極めた者である。
そして、単にそれをイメージできるだけでなく、それが今から現に起こるのだと
確信していなければならない。魔法を使うときはある種の自己催眠が必要で、目の前の薪がひとりでに燃えだすという
幻覚を自らにかけるのである。「そのイメージを現実にする」というよりは「そのイメージ
こそが現実である」と強く認識することが、確率波動への干渉を引き起こす。これが難しく、大抵の人はこの最初の段階で最も苦労する。
魔法の一種である
気功術は比較的使用者が多いが、これはイメージしやすい「自分の体の動き」への干渉に特化しているためである。
可能性
厳密なイメージと確信をもって確率波動への干渉が可能になった段階で、次に重要なのが
可能性である。
確率波動への干渉には
魂のエネルギーである
霊力を使う。確率を「捻じ曲げる」度合いが大きければ大きいほど大量の霊力を消費する。霊力が足りなければ確率変動は不完全なものとなり、結果としてそれが観測される(魔法が成功する)確率は低いままとなる。この「確率の捻じ曲げ」は、引き起こそうとする事象の
ありえなさに応じて大きくなる。すなわち、
乾燥した薪に火を付けるときに必要な霊力は
湿った薪へのそれより少なくて済み、「鉄の棒の先端に火が付く」などの
物理的には起こりえないことを実現しようとすれば、必要な霊力は人間の限界を超えうる。
霊力の限界(すなわち
魂の容量)を増やすことは困難なため、魔法の成功率を上げるためには基本的にどこまで
ありそうな状況にもっていけるか、ということが重要になる。先の例でいえば、薪が湿っているなら何らかの方法で乾かしたほうが必要な霊力は少なくて済み、成功率が高まる。
この観点でも、操作対象が「自分の体」である気功術は肉体を鍛えることで
ありそうの幅を広げることができるため、比較的容易にイメージを実現できる。
まとめると、魔法で何かしようとしたとき、その事象について深く理解し、霊力の消費を現実的な量に抑えるためになるべくありそうな状態にもっていくことが重要である。特に霊力不足については、無理をすれば魂を損ない命を失う可能性もあるため、注意が必要である。
なお、基本的には魔法を使うよりは魔法以外の物理現象を利用したほうが楽である。例えば薪に火を付ける場合、マッチがあるならそれを使うのが早い。石を飛ばしたければ魔法で動かすより普通に手で投げたほうが早い。考えなしに魔法で事を済ませようとすれば、無意味に苦労することになる。霊力が自然に回復すること、そして魔法の行使に道具は必要ないことをいかに活用できるかが重要である。
術式
例えば遺跡探索において「松明に火を付ける」という作業は頻繁に行われうる。これを魔法で済ませる場合、松明への着火を毎回イメージしなおすよりは、何らかの方法でイメージを固定し、使い回せるようにできれば便利である。そのような
固定されたイメージを
術式と呼ぶ。術式をどう作るかは魔法学の重要な研究分野の一つであるが、例えば
霊子回路はその手段の一つである。
派生
人間が持ちうる霊力には限界があり、はじめに書いたような
物理法則を凌駕する魔法は困難である。そのため、使える状況や対象を限定したり、実現が容易な事象に代えたりといった
制約を設けることで、うまく魔法を使いこなせるよう人間は研究を続けてきた。その成果が
魔術であり、
気功であり、それらに類する様々な技術である。
詳しくは該当項目で述べているが、魔術はある種のマインドコントロールである。
ありえない事を引き起こそうとしたとき、魔法は極めて多くの
霊力を必要とする。実際に体が燃えるよりも、自分が燃やされる
幻覚を見ることのほうが
ありそうという理屈である。
魔術の本質は、相手の
魂を対象として幻覚をもたらす魔法である。生物の
魂はその生物の肉体と
関連付けられているため、魔術によって魂に干渉することで間接的に相手の肉体にも影響を与えることができる。
気功は簡潔にいえば
肉体強化に特化した魔法である。気功に使われる霊力(
闘気と呼ばれる)は常に体を覆い、筋力などを補助するとともに肉体の耐久力を格段に向上させる。
自分の意思で何かを操るとき、当然ながら他の何よりも自分自身を操るのが最も
イメージしやすい。また、自分の意思によって誰かをむりやり動かすよりは、自分の意思で自分自身を動かすほうが
ありそうだ、という理屈である。
理論に特化した魔術に比べて、気功は誰もが
無意識に使っており、これを意識的に使いこなせるかが強さの鍵となる。また、そのための理論や鍛錬法も数多く開発されており、「気功術」という名前でなくとも同様の技術が
世界各地に存在する。
霊具は
グリシーが生み出す魔法物体である。霊具ごとにどんな魔法が発動できるかが固定されており、その内容は作ったグリシーが決める。
人間がこれを利用する場合、使える魔法の種類は限定されるものの、霊具自体が
霊子回路となってイメージの手間が省ける上に霊力も補われるため、同じことを霊具無しでやろうとするより遥かに負担が小さくなる。
ただし、基本的には
グリシーの気まぐれで作られるので、望む能力の霊具が手に入るとは限らない。また便利な能力のものは欲しがる者が多くなり争奪戦に発展する可能性もある。
ネオジーン能力は普通魔法とは呼ばれないが、その実態は魔法の派生に他ならない。ネオジーン能力は霊具と同様に起こせることが限定された魔法と解釈できる。生まれた瞬間にどんな能力であるか確定し、追加も変更もできない。霊具ともどもイメージの厳密さや霊力はさほど要求されないものの、そもそも「何ができるのか」を把握すること自体が難しい。
ネオジーン能力の実態は不明な点が多い。特に、どのようなメカニズムで能力の内容が決まり、そして行使されるのかはよく分かっていない。ネオジーン能力は通常の魔法と比べて自由度が低いが、その代わり能力自体は単に魔法を使うより強力かつ低コストで、物理法則を覆すほどの極めて強力なものもある。
特筆に足る魔法
シフトエレメント
自分周辺の
魔法場を改変する魔法。精神
層にのみ影響するので
魔術と取ることもできるが、もともとの魔法場を無視するという点で魔術の原則から外れるため魔法として扱う。
魔術を使う場合、魔法場の影響が大きく、環境によって威力が大きく左右される。そこで、自分の
霊子を周囲にばらまいて、魔法場の組成を大きく改変し、自分に有利な環境を作る魔法を
シフトエレメントと総称する。
シフトエレメントは消費される
霊力が大きいため、常用することは難しいが、一度使えばしばらく自分に有利な環境を維持できるため、決戦時によく使われる。異なる種類のシフトエレメントが同時に使われた場合、全ての効果が同時に発生する。
シフトエレメントはその目的によっていくつかの種類に大別される。
- 増強陣
- 特定の霊素量(属性値)を増加させる。普通は1種類か2種類の霊素に影響を及ぼす。霊力の消耗は比較的少ないが、相手から受ける影響は減らないため、短期決戦に向いている。
- 抑圧陣
- 特定の属性値を減少させる。自分が使わない"色"の霊素を制限することで、受ける影響を減らすのが目的。霊力の消耗は大きいが、受けるダメージを低減させるため、多くの敵を相手取る場合に有効。
- 複合陣
- 特定の属性値の増加と特定の属性値の減少を同時に行う。当然ながら消費霊力は特に大きい。自分に有利な状態を作りつつ相手を不利にするため、霊力の高い者は使うことが多い。
- 封魔陣(アンチマジックフィールド)
- 特殊なシフトエレメントで、特定の属性値を変動させるのではなく、全ての霊素を排除して、環境霊力を完全にゼロにする。封魔陣の影響下では一切の魔術が使えなくなるため、魔術師に対して特効となる。消費霊力は極大だがこれを使った後に魔術は使わないため、使用者にとって致命的な影響にはならない。
- ただし、自己強化魔術はもともと魔法場を介さないので使えるし、他のシフトエレメントで上書きされる可能性もある。また味方の補助も基本的には受けられなくなるというデメリットもある。
最終更新:2020年10月07日 02:24