気功(きこう)、あるいは気功術(きこうじゅつ)とは、
ユノワールに存在する魔法から派生した技術のうち、
影響先を自身の肉体に限ったものである。
気功術は魔法の派生技術の一つで、
魔術とともにこの世界での標準的な戦闘手段となっている。
魔術に比べて気功は精神論的な要素が強く、気功術であることを意識せずに同様の技術を使っていることが多い。
概要
魔法は
広範囲にわたって
物理的な影響力を持つ。
気功は
狭い範囲にわたって
物理的な影響力を持つものである。
精神
層にある霊子を使って物質層に干渉する場合、膨大な霊力を必要とする。気功術では直接的な影響先を術者自身に限ることで、必要な霊力を節約している。
影響先は前述のとおり、基本的に術者本人に限られるが、触れた相手に自分の闘気を注ぎ込んだり、闘気を弾丸として放つなどして自分以外に影響を及ぼす方法もある。
闘気
気功術で扱われる精神エネルギーは
闘気と呼ばれる。これは
霊力の別名であるが、時代・地域によって呼び名は様々に変わることに注意されたい。
闘気は心臓のあたりから発生している(とイメージされる)。血液とともに全身を巡り、毛細血管からそれぞれの組織へ伝わり、血流に乗って再び心臓に戻ってくる。この過程で全身の体表から外へ"滲み出て"いる。この体表へ滲み出た闘気はバリアのように働く。
闘気バリア
地球にあって魂を持つ全ての生物は、全身を
闘気バリアに覆われている。これは前述の"滲み出た"闘気のことであり、覆っている物の強度を底上げする効果がある。そのため、この世界に住む生物は全般的に頑丈である。
例えば刃物で切りつけたとき、闘気バリアが無い物は簡単に切り裂かれるが、闘気バリアがあると傷は付いても切断されない。どれくらい深く傷つくかは肉体本来の強さと闘気の量に比例する。そのため、当然ながら体を鍛えれば傷を負いにくくなるが、それとは別に闘気をうまく操ってバリアを"分厚く"できればそれだけ傷つきにくくなる。
闘気バリアは防御力だけでなく力をも増強する。闘気の量が多ければ、見た目は華奢な体でも巨大な剣を易易と振り回すことさえ可能になる。
種別
気功の本質は身体能力の強化であり、技術としては格闘技などの延長線上にある。そのため
魔術と違って属性(火、水、雷など)は無いが、闘気の使い方として大きく分けて3つのカテゴリがある。
増強、
変質、そして
放出である。
増強
闘気の最も基本的な使い方。筋力を「増強」することで身体能力を上げる。達人ともなれば増幅率は凄まじく、素手で巨岩を砕くことさえ可能となる。
また自己治癒力を「増強」することで傷を治療したり、免疫力を「増強」することで病気や毒を速く直したりといった使い方もできる。
さらに手で触れた物(剣などの武器、鎧など)も自分の体の一部として扱うことで性能を「増強」することもできる。
闘気による強化は、破壊力はもちろん耐久力の向上にもつながるため、気功を扱う上では最も重要な技術といえる。
変質
闘気の形を変えて刃状や鞭状にしたり、闘気の性質そのものを変えて魔法的な性質(電気や冷気など)を持たせる技術。特に闘気で何らかの物理的な形を作ることは
具現化と呼ばれる高等技術である。
性質としては
魔法に近い。具現化したものは手放すと耐久力などが極端に低下する。魔法と異なり変質の効果は自分もしくはごく近距離に限られるが、そのぶん消費される闘気(
霊力)も相応に少なく済む。
放出
闘気を自分の体から離して遠距離に到達させる技術。前述のとおり気功は自分自身の肉体を対象とするため、強化と変質に比べて遥かに困難な技術となる。放出では主に「闘気を体から切り離した状態で維持すること」と「切り離した闘気を遠隔操作すること」の2つの技能が必要となる。変質よりも更に
魔法寄りの技術といえる。
武器との関係
気功は自分の肉体を強化する技術であるが、前述のとおり、身につけた服や武器も"自分の一部"とみなすことで闘気を纏わせることができる。その結果、武器であれば攻撃力が上がり、防具であれば防御力が上がる。
この世界における戦闘は、魔法や魔術を除けば主に肉弾戦であり飛び道具はあまり使われない。その理由はこの気功術に関係している。
前述のとおり、闘気を体から離した状態で維持するのは極めて困難な技術である。すなわち、常に手に持ったままでいられる剣などの近接武器に比べ、弓矢などの射撃武器は放った瞬間から急速に闘気を失い、威力が減衰していく。
ここで放出の技能が高ければ、長い時間矢に闘気を纏わせておくことができるが、いずれにせよ減衰は避けられず、直接剣などで切りつけたほうが強いということになる。
銃などの
弾体に触れる機会のない武器では闘気の伝達効率は更に低下する。この世界では、拳銃で頭を撃ち抜いても即死することはほとんどない。衝撃で気絶されることはできても、闘気バリアの影響で頭蓋を貫通することがないのである。
最終更新:2019年03月03日 00:14