冒険者

冒険者(ぼうけんしゃ)は、何らかの目的のために危険を冒す者たちの総称である。
このページではイルドール冒険者組合(ギルド)による定義について述べる。




概要

 イルドールでいう「冒険者」とは、何らかの目的のために「危険を冒す者」という意味であり、冒険者が旅人と同義というわけではない。
冒険者を自称することもできるが、アマチュアでは依頼を探すことも難しいため、ほとんどの場合は冒険者組合(ギルド)に所属することになる。



冒険者の種類

 冒険者組合では、冒険者をいくつかのクラスに分類しており、依頼の際に参考にすべきとしている。クラスは基本的に冒険者自身の申請で自由に設定でき、複数のクラスを掛け持つこともできる。

探検者

 未知の解明を目的とする冒険者。冒険者という言葉はもともとこの探検者を指す言葉であったため、割合でいえばこのクラスが最も多い。
 探索のしかたによってさらに2クラスに分かれる。

 開拓者
 遺跡や魔物の巣窟といった未知の領域を探索する。たいていの場合危険が伴うため、高い戦闘能力、生存術や危険察知の能力が求められる。

 採集者
 宝物や資源の収集を目的とする。鑑定などに特化した者も多く、戦闘能力は比較的低い。鍵開け、罠の解除、隠密行動などの技術を習得する者も多い。

傭兵

 村、街、国などの要請により、別の国、魔物、果ては異世界との戦いのために雇われる冒険者。基本的には雇われ兵士であって特定の国や組織に忠誠を誓うわけではないが、中にはずっと同じ組織に雇われ続けている者もいる。
 雇う目的によってさらに2クラスに分かれる。

 戦士
 魔物の討伐依頼や防衛戦など、純粋な戦闘依頼のために雇われる。彼らにとっては常に最高のコンディションで戦闘に臨むことが必須である。最も高い戦闘能力が求められるクラスといえる。

 護衛者
 個人が雇う傭兵で、特定の場所までの移動や、危険地域の探索などのために戦闘員として雇われる。生存術や危険察知など開拓者に近い能力が求められるため、開拓者が兼業することも多い。

探偵

 人探しや素行調査などを行う。高い情報収集能力や推理力が必要とされることが多く、楽なわけではない。冒険者の中では街で活動することが多くやや特殊なクラスである。

便利屋

 個人同士のトラブルの解決や、面倒な手続きの代行、荷物運びなど、あらゆる雑用をこなす。探検者や傭兵に比べて命の危険が少ないため人気が高いが、そのぶん稼ぎは少ない。



階級(星)

 ほぼ全ての冒険者はいずれかのギルドに登録され、所属する。
ギルドは依頼者と冒険者の仲介を行う組織であって、依頼内容に応じた実力を持った冒険者をあてがう必要がある。
そのため、ギルドは冒険者に対してその実力に応じて5段階(+1)の評価を付ける。依頼にも同様の評価付が行われ、例えば一つ星の冒険者は一つ星以下の依頼のみ受注可能、といった具合に制限される。
ただし、例えば二つ星の冒険者が二つ星の依頼を受けて、本人の責任において一つ星の冒険者を同行させる、などといったことは可能である。
 なお、星の付与はクラス別に判定され、依頼の趣旨によってどのクラスの星の数が参照されるかも変わるため、例えば戦闘能力だけを極めて四つ星の戦士になったとしても遺跡調査は一つ星相当の依頼しか受けられない、といったことが起こりうる。

無星(アマチュア)

 ギルドに登録しないフリーランスの冒険者。ギルドからの扱いはアマチュアであるから、信頼度も低く大きな依頼も回されない。しかし時々三つ星級以上の実力を持った無星冒険者が現れることもある。

一つ星(☆)

 ギルドに登録した時点で付与されるプロの冒険者の証。冒険者としては見習い扱いであり、人探しや雑用、ちょっとした探検など軽めの依頼しか受けられない。
 一つ星はギルドへの登録時点で自動的に貰えるが、その状態で依頼の失敗が相次いだりギルド(クラン)に大きな損害を与えたりした場合は星が剥奪されることもある。冒険者としての登録が抹消されるわけではない(そもそも一度登録したら抹消はできない)ため、別のギルドへ登録して改めて星を貰うこともできない*1。この場合、アマ相当の簡単な依頼を複数こなすなどギルドに貢献することで再び星が付与される。

二つ星(☆☆)

 自薦または二つ星以上の冒険者からの推薦により、その実力をギルドに認められると与えられる階級。冒険者として一人前であることを示し、この二つ星を取ることが新米冒険者の当面の目標となる。依頼としては、遺跡探索、防衛、危険地域の探索といったものがある。
 これも剥奪(一つ星に降格)されることはあるが、二つ星を貰う時点である程度実績を積んでいる前提のためあまり起こらない。依頼する側にとっても、依頼料が一つ星より高くはなるものの基本的には信頼できる階級とされる。
 二つ星の冒険者は全冒険者の半数以上にのぼり、数が多いためギルドによっては二つ星の中に独自のランクを設ける場合もある。

三つ星(☆☆☆)

 二つ星の依頼を多数こなし、高い信頼と多くの実績を得ることで与えられる階級。全冒険者の5%程度。三つ星以上の冒険者からの推薦が主な昇級手段だが、実績さえあれば自薦でもなれる。一流の冒険者と認められた証であり、ドラゴンなど強大な魔物の討伐、未知の遺跡の自由な探索が認められるほか、三つ星冒険者向けの特典(宿泊費無料など)を用意している施設も多数ある。
 ギルド運営への介入は原則としてこの階級以上が必要となる。また必須ではないものの大きなクランのマスターはこの階級であることが多い。

四つ星(☆☆☆☆)

 大きな脅威から街を救う、新たな遺物を発見するなど、三つ星冒険者の中でも特に優れた実績を残した者に与えられる階級。ギルドから付与されるものとしては最上位である。全冒険者の千人に一人とも言われる、高い実力を認められた"超一流"の証である。
 ギルドに寄せられる全ての依頼を受注できるほか、ギルド運営に対しても大きな発言権を持つ。

黒星(★)

 魔王討伐、新技術の発明などといった、歴史的な快挙を成し遂げた者に与えられる階級。冒険者の歴史上数名しかいない。この階級はギルドではなくイデア連邦から付与される。冒険者としては最上の栄誉であり、半ば伝説となって語り継がれることもある。



ギルドとクラン

 イデアにはいくつかの冒険者組合(アドベンチャラーズギルド)がある。"ギルド"という言葉の本来の意味である職業集団もあることにはあるが、特にイデア地域では冒険者の需要が極めて高いため、単にギルドと呼ぶ場合これを指す場合が多い。
 歴史的には、まず徒党(パーティ)を組んで難しい依頼をこなす集団が現れ、そのパーティを統括するクランが作られ、そのクランが共同して作り上げたのがギルド、という構図である。
ここでは単位の小さい順に紹介していく。

パーティ/チーム

 単独で活動する冒険者もいるが、多くの冒険者は自分にない能力や不安要素を補い合うため徒党を組む。これはパーティとかチームなどと呼ばれる。2~4人程度の少人数をパーティと呼び、それ以上の人数をチームと呼ぶことが多い。
 新米の冒険者は自分の知り合いとパーティを組むか、ギルドやクランが発達した昨今では最寄りのクランに加入申請を出してパーティに入れてもらうことも多い。それはかつては荒くれ者の集う酒場の役目だった。そのためか、後述するクランの建物の待合所(ロビー)は酒場のようになっていることが多い。
 もともとが個性を補う目的であるからパーティの構成はものによって違うが、一般的には、力仕事担当・魔術や治療担当・情報収集担当・鍵開けや罠看破担当、の構成がバランスに優れるといわれる。

クラン

 はじめはパーティ単位で活動していた冒険者たちが、より効率よく依頼を集めたり、自分の力が及ばない危険な依頼を別のパーティに流したりするために、いくつかのパーティを集めて大きな集団を作った。これが後にクランと呼ばれる。
もともと一つのチームだった集団が、小チームに分かれて活動しはじめた結果クランのようになることもある。いずれにせよ、一つのクランにはいくつかのパーティやチームが存在し、それぞれの実力に応じて依頼を振り分けている。
 基本的に、一つのクランは一つの建物を専有しそこを窓口・冒険者の待機所・場合によっては寮とする。依頼者にとっても、身近に冒険者の知り合いがいない場合もクランの窓口に行くことで誰かしらに依頼することができるため、クランシステムは好評なようである。
クランには必ずクランマスターと呼ばれる責任者がおり、依頼の受発注・クランメンバーの管理・ギルドとのやりとりなどを行う。時代が下るに従ってクランの構造も複雑化し、現在では事務や食堂、救護などの専門職が常駐していることも多い。
 クランは数人~数百人程度の規模で、一つの街(町)に拠点を置き、その周辺で発生する依頼を処理する。大きな街であれば複数のクランがひしめく場合も多い。

冒険者組合(ギルド)

 クランが増えてくると、そのクラン自体への格付けも必要になってくる。また、一つの街に複数のクランがあると、依頼の偏りなどでいざこざが発生しやすくなる。そこで、複数のクランマスターが協議してクラン運営を行うために冒険者組合(ギルド)が発足した。
 ギルドでは、各クランの能力に応じて依頼を振り分ける機能の他に、クランどうしでの交流により戦闘技術の向上や遺跡情報の共有などを行う。また、国などから大々的に遺跡の発掘依頼などが出る場合、まずそれがギルドに発注され、ギルドが各クランに通達して冒険者を募る、という手順を踏む。これにより各クランが一つの依頼を好き勝手に受注して混乱することを避ける。
 クランが地域単位の集団とすれば、ギルドは国単位の集団であるといえる。その規模は数千~数万人となり、大変な大組織となるため、クランよりも厳格な規則が定められる。ギルドの運営会議は所属クランのマスターと、何人かの有能な冒険者によって行われる。ギルドも運営の責任者としてギルドマスターがいる。ギルドマスターは一人がずっと続けることもあるが、多くのギルドでは数年ごとに投票などで選ばれ、変更される。
 全てのクランはいずれかのギルドに属する。クランを新設する場合、その地域のギルド事務所へ行って申請する必要がある。申請せずに勝手にクランを作った場合、それが判明しだいギルドの職員が赴き登録を求める。
冒険者は特定のクランに所属しないこともできるが、個人の活動では依頼の獲得に限界があるため、ギルド事務所に行って冒険者個人として登録することが多い。クラン所属とギルド所属の違いとしては、クラン所属の冒険者はクランの拠点に住み込むことが多く、拠点にも食堂や浴場など生活に必要な施設が揃っていることが多いのに対して、ギルド事務所にそのような施設は無く、たんに依頼をやりとりするに尽きる、という点が挙げられる。もちろん小さいクランでは依頼をやりとりする窓口しかないという場合もある。

イデア連邦

 全てのギルドが従うべき規範としてイデア連邦が定めた憲法があり、事実上イデア連邦が冒険者に関する最大範囲の組織といえる。イデア連邦それ自体は冒険者の管理を行わないが、影響力の強いギルドに対して運営方針に口を出すことはある。また、前述の黒星階級はギルドからの推薦を経てイデア連邦が付与することとなる。
最終更新:2020年11月18日 00:47

*1 ただしギルド間での登録情報の共有にはタイムラグがあるため、完全に不可能ではない。当然ながら多重登録が判明すればなんらかの処罰が下される。