つま(端)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 [ 一 ] ( 端 )
① もののはじの部分。へり
源氏物語(1001‐14頃)葵「よしあるあふぎのつまを折りて」 端・褄
② ( 多く「妻」と書く )
(イ) 建物などの正面を平(ひら)というのに対して、側面をいう語。建物ならば棟と直角の側面。
〔正倉院文書‐天平宝字六年(762)七月七日・造石山院所返抄案〕
(ロ) 建物の末端のところ。軒端。 能因本枕(10C終)六七「屋のつま、さし出でたる物のつまなどに、あながちに生ひ出でたるさま、いとをかし」
(ハ) 床子(しょうじ)などの側面をいう。 〔正倉院文書‐(年月日未詳)・造石山院所用度帳〕
③ きっかけとなるいとぐち。てがかり。端緒。はじまりもと 源氏物語(1001‐14頃)須磨「わが心にも、中中、物思ひのつまなるべきをなど思し返すを」
[ 二 ] ( 褄 )
① 着物の衽(おくみ)の衿先より下の部分のへり。また、長着の裾(すそ)の左右両端の部分。
日本書紀(720)継体七年九月・歌謡「足(あと)取り 都磨(ツマ)取りして 枕取り 都磨(ツマ)取りして 妹が手を我に枕(ま)かしめ」
② 袷(あわせ)や綿入れなどの表地と裏地とが、袘(ふき)と竪褄(たてづま)の最下端との角で一点に集まるところ。 大智度論平安初期点(850頃か)「此の衣の角裏(ツマ)の中に在り」
広辞苑 名詞 へりきわはし。→ (つま)3 (つま) 能因本枕草子草は「屋の―、さし出でたる物の―などに」
てびきいとぐちてがかり。端緒。 源氏物語須磨「わが心にもなかなか物思ひの―なるべきを」
大言海 名詞 (ツメ)()ノ略、閒ハ家ナリ、(其條ヲ見ヨ)家ノ詰ノ意〕
(一){棟アル一ツノ家。寢殿造ノ寢殿、 對屋 (タイノヤ)ナドヲ云フ。
催馬樂、此殿者「此殿ハ、(ムベ)モ富ミケリ、サキクサノ、アハレ、サキクサノ、ハレ、サキクサノ、みつばよつばノ中ニ、殿造セリヤ」( 三軒四軒 (ミツマヨツマ)ナリ)
梁塵愚抄(一條兼良)ニコレヲ釋キテ「家ヲ三棟四棟ニ造ル意ナルベシ」古今集ニモ此歌アリテ、顯昭注ニ「みつばよつばハ、三閒四閒也」トアリ、(ばヲまト轉ジタルハ()シ、但シ柱ト柱トノ閒ニテ、三閒四閒ニテハ、富メリトハ云フベカラズ)
源、四十七、早蕨 十六 「目モカガヤク心地スル、殿造ノ三つば四つばナル中ニ引キ入レテ」(車ヲ)
枕草子、三、廿四段、花の木ならぬは「檜木、云云、みつばよつばノ殿造」
北畠親房抄「みつばよつばハ、三棟四棟ト書クナリ」
(二){ (ハシ) (ヘリ) (キハ) 源、九、葵 十二 「ヨシアル扇ノつまヲヲリテ」
更級日記「つま近キ花橘ノ、イト白ク散リタルヲ」
狹衣、四、上 十九 「木丁ヨリ琴ノつまバカリサシ出デテ」
「軒ノつま」簾ノつま」
(三)(エン)トナル 端緖 (イトグチ)ミチビキテビキ端緖 源、十二、須磨「ワガ心ニナカナカ物思ヒノつまナルベキヲ、ナド思ヒカヘスヲ」
同、三十四、下、若菜、下 三十一 「鶯サソフつまニシツベシ」
同、四十七、早蕨 十一 「昔思ヒ出デラルルつまナリ」
同、五十一、蜻蛉 五十九 「此人ゾ、又例ノカノ御心亂ルベキつまナメリ」
狹衣、一、下 三十九 「夕暮ノ、露吹キスサブ、木枯ヤ、身ニ染ム秋ノ、戀ノつまナリ」
拾遺集、三、秋「白露ノ、置クつまニスル、女郞花、アナ煩ハシ、人ナ手フレソ」
千載集、四、秋、上「秋風ヤ、淚催ス、つまナラム、音ヅレシヨリ、袖ノカワカヌ」
貫之集、下、一「君ニヨリ、ヌレテゾワタル、カラ衣、袖ハ淚ノ、つまニザリケル」

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最終更新:2025年04月13日 12:13