つめ(詰・端・頭)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ( 動詞「つめる(詰)」の連用形の名詞化 )
① 物をつめこむこと。物を容器などにつめること。また、そのつめたもの。多く、他の語と複合して用いる。
② 穴またはすきまにつめこむもの。つめもの。栓(せん)。 名語記(1275)四「ひまのあきたる所につめかふといへる、つめ如何」
③ きまった場所で一定時間勤めること。詰所や役所などに出勤していること。また、その場所やその人。 歌舞伎・狭間軍記鳴海録(桶狭間合戦)(1870)序幕「御要害の詰(ツ)め詰めを、落もなく目を付くるは」
④ 物の端。いちばん端、またはいちばん奥のところ。きわ。 日本書紀(720)天智九年五月・歌謡「打橋の 都梅(ツメ)の遊びに 出でませ子」
平家物語(13C前)四「宇治橋のつめにぞおしよせたる」
⑤ 最後。結局。結末。しきり。限り。→つめは(詰━) 幸若・笈さかし(室町末‐近世初)「さやうに御のべあらんには、いづくにつめがさうばこそ」
⑥ 能・狂言で、一曲の眼目となる所。急所。やま。 風姿花伝(1400‐02頃)六「ことさらふぜいをもちたるつめをたしなみて、かくべし」

(イ) 茶会で、末席にすわる客。末客。
浮世草子・色里三所世帯(1688)下「此外格子をつめに一座のながめ初会は恋をはなれてむつかしく」
(ロ) 茶師(葉茶を詰めた者)。
⑧ 役者の階級のもっとも下級の称。 古今役者大全(1750)四「年々九州路へ座本してゆき、立役、かたき役、つめはやし迄手人(てびと)にてすまし」
⑨ ( 振袖に対して袖詰・脇詰の着物の意から ) 年増(としま)の女。 浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)中「枕のおとぎが御用ならばふり袖なりとつめなりと」
⑩ 勝負が決まりそうな最後の段階。
(イ) 蹴鞠(けまり)で、つめ寄せること。
御伽草子・猿源氏草紙(室町末)「鞠をあそばしける。御つめには、かしわぎのゑもんのかみ参り給ふ」
(ロ) 将棋で、王将をつめること。勝負が決まりそうな最後の局面。
(ハ) 相撲で、相手を土俵ぎわに攻めたてること。
⑪ ( ⑩から転じて ) 一般に物事の決着をつけるべき最後の追込みのところ。 男重宝記(元祿六年)(1693)三「将棊より出たる世話〈略〉王手つめにする」
⑫ 牢内の便所。また、大便。 獄秘書(1818)「詰をおしゆる事〈略〉かふかともせっちんともゆふが、御牢内じゃアながかわり詰の神様、詰には本ばん・本助ばんとて二人役人があって」
⑬ 人が大勢つまっていること。大入り。 滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)下「此顔見世もワアワ詰(ツメ)だ」
⑭ 「つめにんぎょう(詰人形)」の略。
語素 ( 動詞「つめる(詰)」の連用形から ) 動詞の連用形の名詞化したものの上に付いて、その動作が間断なく、続けて行なわれることを表わす。多く「つめ…に…(する)」の形をとる。「つめ鳴き」「つめ吹き」「つめ遣り」「つめ行き」など。→づめ(詰) 両足院本山谷抄(1500頃)八「王━が人だにくれば茶をつめじいにしいるぞ」
広辞苑 名詞 ①物をつめること。 詰め
②隙問につめこむもの。 日葡辞書「ツメヲカ(支)ウ」
③物の端。きわ。特に、橋のたもと。 万葉集9「大橋の―に家あらば」
④かぎり。結末。 三道「その所の名歌・名句の言葉を取ること、能の破三段の中の―と覚しからん在所に書くべし」
⑤勝負・決着をつけるべき最後の追込み・手順。また、物事の最後の段取り。 「―が甘い」
⑥城の最も高い所。 日葡辞書「シロノツメ」
⑦(振袖に対する脇つめの衣の意から) 年増 (としま)の女。わきつめ。 浄瑠璃、丹波与作待夜の小室節「枕の御伽が御用ならば振袖なりと―なりと」
⑧「おつめ」に同じ。
蹴鞠 (けまり)で、詰め寄せること。 狂言、八幡の前「お若い衆の遊ばすに依て―を致いてござる」
(ろう)内の便所。大便。
⑪(「づめ」の形で)
㋐詰めること。また、詰めてあるもの
「瓶―」「氷―」
㋑一定の場所に控えて勤務すること。その場所、また、その人。 「警視庁―の記者」
㋒もっぱらそれで通すこと。 「理―」「規則―」
㋓(動詞の連用形に付けて)その状態が続くこと。 「笑い―」「働き―」
大言海 名詞 (一)詰ムルコト。 好色一代女(貞享、西鶴)一「松ノ風、江戶ヲ鳴ラサズ、東國詰ノ年、或大名ノ御前」 詰・端・頭
(二){ツマ (ハシ) (キハ) 萬葉集、九 十九 「大橋ノ、(ツメ)ニ家アラバ、 心悲 (マガナ)ク、獨リ(ユク)兒ニ、屋戶借サマシヲ」
催馬樂、竹河「竹河ノ、橋ノ 川女 (ツメ)ナルヤ、橋ノ 川女 (ツメ)ナル、花園ニ」
天智紀、九年五月「打橋ノ、 都梅 (ツメ)ノ遊ビニ、出デマセ子」
參考盛𮕩記、劒卷「一條堀川ノ戾橋ヲ渡リケル時、東ノ詰ニ齡、廿餘ト見エタル女ノ」
「橋ノ北詰」
(三)上客。末席。末座。(茶湯ニ) 「茶湯ノつめ」
(四)年增女ノ稱。(脇詰ノ義) 丹波與作(寳永、近松作)中「枕ノオ伽ガ御用ナラバ、振袖ナリトつめナリト、足サスッテ腰打テ」
(五)廁ノ稱。(江戶獄屋ニテ)轉ジテ、大便ヲ云フ。

検索用附箋:名詞動作
検索用附箋:語素

附箋:動作 名詞

最終更新:2025年04月13日 18:40