よ(助詞ロ)

広辞苑
辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 助詞 〘間投助〙
[一] 感動をこめて聞き手に働きかけ、また念を押すのに用いられる。
① 文中の用語を受ける。
※古事記(712)上・歌謡「吾(あ)はも与(ヨ) 女(め)にしあれば 汝(な)を置(き)て 男(を)は無し 汝を置て 夫(つま)はなし」
※徒然草(1331頃)一〇六「四部の弟子はよな、比丘よりは比丘尼は劣り、比丘尼より優婆塞は劣り」
② 終止した文・体言止めの文を受ける。 ※古事記(712)中・歌謡「我(わ)が着(け)せる 襲(おすひ)の裾に 月立たなむ余(ヨ)」
※万葉(8C後)八・一四六一「昼は咲き夜は恋ひ寝(ぬ)る合歓木(ねぶ)の花君のみ見めや戯奴(わけ)さへに見代(よ)」
※今昔(1120頃か)二五「馬を取て来よと許云懸て」
※蓼喰ふ虫(1928‐29)〈谷崎潤一郎〉四「小父さん、犬を見て来ましたよ」
[二] 体言を受けて、呼び掛けを表わす。 ※古事記(712)下・歌謡「大魚(おふを)よし 鮪(しび)突く海人余(ヨ)」
※源氏(1001‐14頃)若紫「少納言よ。直衣着たりつらんは、いづら。宮のおはするかとて」
[語誌](1)上代から現代まで盛んに用いられたが、時代による用法の変化の幅は小さい。(イ) 平安時代末期から係助詞「こそ」の結びに使われる例が出現する。(ロ) 室町時代から変化形「い」が出現する。(ハ) 格助詞「と」についた「とよ」の形は、本来「…と思うよ」「…と言うよ」のような意であったが、次第に「とよ」だけで同様の意味に用いられるようになる。→「とよ」。
(2)②の万葉例、今昔例にみられる「見よ」「来よ」などについては、古典文法ではカ変・サ変・上一段・上二段・下二段の命令形の一部とするが、この「よ」はもともと本項の間投助詞である。奈良時代には「吉野よく見与(みよ) 良き人四来三(よくみ)」〔万葉‐二七〕(上一段の例)「都止米(つとめ)もろもろ 須々売(すすめ)もろもろ」〔仏足石歌〕(下二段の例)と「よ」を添えない形で命令する、本来の形が少なくない。後にも「とくこと言ひやりたるに」〔枕‐二五〕(カ変の例)がある。→「」の補注
大言海 天爾遠波 動詞ニ添ヒテ、命令形ヲ爲ス語。 神代紀、上 廿五 「汝以汝所持八坂瓊之曲玉()(レ )() 一レ 予矣」
「落チよ」受ケよ」見よ」爲よ」

広辞苑は同じ見出し語の扱い。「よ(助詞イ)」を参照。

検索用附箋:助詞

附箋:助詞

最終更新:2024年05月10日 22:00