「You've got maill! You've got maill!」
今日も朝がやってきた。
「ん・・・んん」
携帯のアラームを止めた。
無機質なデジタルのそれは
針が数字を指すような曖昧なものじゃない
8:00
しっかりと携帯のディスプレイに浮き上がらせている。
もう少し寝ていたい。
けどここで寝てしまえば一限だけでなく二限までも欠席してしまう恐れがある。
ふと気付くと電池が二本
この子がすこしばかりの空腹を訴えていた。
断食から五日、今日帰ったら充電してあげよっかな
この子はなんて燃費がいいんだろ
高校の時は一日で動かなくなったのに
そんな事を考えながら天井を見つめ体を起こすための気力を貯めていた。
髪をとかして、箪笥の上に積み重ねた服から昨日着なかった物を掴んで鏡の前へ行く
着替えながら玄関に置いてある鍵をポケットにねじ込み
右、左、後、後とズボンのポケットを上からたたく
最後にバッグの中のラノベがしっかりと定位置にあることを確認
「携帯、財布、鍵、煙草っと、可も、不可もないわねっ!」
これがなければ、時間の長さを身を以て味わうことになる。
タイムイズマネー
売れれば私はどれだけ大金持ちになれるのかしら。
鏡に映る自分が見出しなみを整えながらニカッて笑ったかと思うとしょぼくれた顔押していってってきますと呟いた。
なによ、シャキッとしなさい!アンタそんなんじゃ見ているこっちまで落ち込んでくるじゃない、と
靴を履きながら吐き捨てた。
そうして今日を潰すために私は大学への道のりを進む
あっ!単位取るため!
四限目終了のチャイムが鳴った。
今日という日の80%が終わった合図
あとは家に帰ってパソコンの電源をつけて時間が来たら布団に入るだけ。
そのまえに、ごはんたべて帰らないと
自炊を始めて最初のころはちゃんと料理をしていた。
だけど食材を余らせて腐らせたり
つい買い物に出ると一日の食費に割の合わないおいしそうな物を手に取ってしまう。
だから私は晩御飯は学食ですまし
余計なお金を使わないように。
うちの大学は何故か食堂が早くに閉まるけど片づけをしてる間は簡単に作れる一品ものだけは出してくれるのだ。
昼、賑やかだった食堂は
部室棟やサークル活動が盛んな分館から距離がはなれてるからか
入口においてある自販機の音までも鮮明に聞こえるくらいに静か。
時々吹奏楽部の演奏の切れ端が物哀しく響くだけだった。
光も少ない。
厨房の方だけ明かりが灯るだけで暗く
窓を通して入る外の光が室内を照らしているだけ
この季節は遅い時間まで外が明るい。
夕方のイメージは茜色
だけどここに差し込む光は暗い水色
私には御誂えむき
またいつかに茜色に染まるのかな、とか考えつつも
音はするけど姿の見えない厨房へむかって「まだ、やっていますか?」と
白々しいわね
毎日この時間に来ているからあのどんぶりを出してくれることはわかってる
「はいはい、何にしましょう?」
安くて量も多く腹もちがいい学食の定番のどんぶりを私はお願いして出してもらう。
座るのはいつもと同じ外の見える窓側の席
いつもうるさい食堂がこうも暗く静まりかえるとホント、イメージ変わるわ
ぱくぱくぱくと、私は時々窓の外を見つつ機械的に箸を進める。
昨日食べたものより今日は乗っているものがちょっぴりおいしいかな?
「ちょっとぬるいかもしれないけど、どうぞ」
食堂のおばちゃんがやかんと小さなコップを持ってきてくれる。
飲み物を買って入らないのは、これにちょっと期待しているからだ。
「あ、ありがとうございます」
ごちそうさまでしたと言えば
これで最後でこれが最初、明日も明後日もその次も
人との会話はいつもどおりのこの通りのこれぽっきりだ。
「
ツェー、ツェーよ」
少なくなったどんぶりの具を箸でつつきながら転ばした後
私はやかんからコップにお茶を注いだ。
コップからはいい香りのする湯気がどこまでも伸びてゆく。
「あったかい・・・・。」
最終更新:2008年08月09日 21:15