かがみ!かがみ!
暗闇の中声だけが微かに聞こえた
がもう何も考えられなかった
考えたくなかった
ただただ闇に身を任せた
次の場面はぼんやりとした白い景色
長細い光が2つ並んでいる
それが天井だと気づくのに時間を要した
ふと横を見ると薄紫色をした髪の子がいた
自分はベットに寝ていて
その子はベットの傍らにに座ってベットにうっぷしているのだ
小さくおねーちゃんおねーちゃんと呟いている
微睡んでるだけで眠ってはいないようだった
私は今の状況を知るであろうこの子に声をかける事にした
かがみ「あの・・・」
ほとんど息しか出なかった
しかし薄紫色の髪の子ははっと顔を上げた
薄紫色の髪の子「お姉ちゃん?よかった・・・」
と言って私にしがみついわんわん泣いた
私もなぜだか涙がスーっと流れた
どうやら記憶喪失らしい
医者に説明された
家族という人達が沢山来たが誰一人分からなかった
傍らにいた子はつかさという名前で双子の妹だそうだ
双子という割にはあまり似てないが
まぁそうなんだろうと特に疑問も抱かなかった
つかさは私に良く世話をしてくれた
色々私の経歴などを写真をふまえて説明してくれた
なるほど私はそういう人間だったのかと分かってはきたが正直な所他人事だ
今は大学生だと説明されたが大学と聞くと何故だか頭が締め付けられる感じと胸がギュッとなる不快感を感じた
大学はどうやら私にとって嫌な所だったようだ
私が何故こうなったかを聞くとつかさは口を噤んだ
記憶意外は健康そのものだそうで退院する事となった
カウンセリングを受けるため暫く通院する事にはなる
大学は休学する事になった
手続きは親や姉たちがやってくれた
実家で療養する事になったので
つかさと私は私の住んでいた部屋に荷物を取りに行くことになった
情けない事につかさ無しではどこに住んでいたかも分からない
かがみ「つかさちゃんありがとね」
とこの所献身的に世話をしてくれている妹のつかさにお礼を言った
つかさは照れくさそうに笑った
部屋に入るとゴミは散乱してるし服は適当に置かれてる
酒の空き缶やら煙草の吸い殻もある
かがみ「ちょ・・・ここ本当に私の部屋!?」
と動揺を隠せず叫んだ
つかさ「う・・・うん・・・そうだよ」
ちょっと困り顔で返したつかさの顔がふと笑顔に変わった
つかさ「今の言い方お姉ちゃんぽかったよぉ」
あまり嬉しくない
私って結構大ざっぱな人のようだ
かがみ「ショックだわ・・・私の考えてたイメージと全然違うわ・・・」
つかさが急に神妙な顔つきにになって
つかさ「お姉ちゃんトイレ・・・」
かがみ「ん?トイレ?遠慮しないで使って」
違うのと首を横に振った
かがみ「何かトイレにあるの?」
ガチャと開ける
そこには七輪と焼酎の空きボトルがあった
換気口には目張りがしてあった
私は理解した
私はここで練炭自殺を謀ったんだ
かがみ「こ・・・れ・・・」
言葉が見つからない
するとつかさが私の背中にそっと抱きついた
つかさ「もうこんな事しないでお姉ちゃん」
かがみ「・・・」
つかさ「こなちゃんが居なかったら死んでたんだよ?」
つかさは泣いている
こなちゃん・・・何か懐かしく胸がキュンっとする名前
とても特別な名前
自然と口からでた
かがみ「こなた・・・」
つかさ「お姉ちゃん!?思い出したの!?」
かがみ「つかさちゃん・・・私こなたに会いたい」
これだけは分かった私はこなたと言う子が好きなんだと
私の希望はすぐに叶えられた
まともに話せるだろうかと不安であったがそれは思い過ごしのようだった
こなた「やあかがみもう
便所飯ならず便所酒盛りはやっちゃダメだよー≡ω≡.」
と冗談まじりで言った
あの光景をそう取るとはこなたらしいと直感した
記憶が戻りつつあるのだろうか?
その日私は誕生日だった
もちろん妹のつかさも誕生日
柊家で高校時代の友人も招いてお祝いをしようとつかさが企画したのだ
しかし
大学に入ってからの私はめっきり付き合いが悪くなり
今回の誕生会もそんな歳でもないと断ったようだ
そんな私にこなたがぶち切れて縛ってでも連れてくるとわざわざ私の部屋に来てくれたのだ
こなたは部屋に入るなり鬼の形相で部屋を探しトイレに居ることを察知
アホ毛が反応したとか
最初隠れていると勘違いしたこなたは更に激怒
ドアを蹴り飛ばして中に突入したそうだ
そこは練炭が煌々と燃え息苦しく
私は酒臭を放ち便座に寄りかかっていた
トイレから引きずり出し必死に名前を呼んだそうだ
こなたは話が巧く重々しい話の筈なのになぜか笑ってしまった
その後高校時代の友人を中心に頻繁に会うことになった
自殺未遂をしたとは考えられないくらい私は良い友人を持っていた
なぜ自殺に走ったのか未だに分からない
友人達は口を揃えて言う
辛い事があったら相談してねと
なぜ私は相談しなかったのだろうか
1ヶ月ほど経つ
結局記憶は戻っていないが大学の勉強もノートを見るとすんなり入ってくる
カウンセリングの先生とも相談し大学に復帰する事にした
大学に記憶の鍵があるかもしれない
私は期待を胸に大学へ向かった
しかしそれは教室に入る頃には恐怖に変わっていたのでした
完
最終更新:2008年10月16日 00:10