by 保育園児(東京都)
日曜日、私は久しぶりに埼玉に戻ってきた
戻るのは何年ぶりだろうか?正月もお盆もここ何年かは東京のアパートで一人で過ごした
実家にいると親からの視線が痛い
上の姉二人は結婚して家を出たから今はつかさ夫婦が実家で暮らしてる
もうあそこには自分の
居場所はないのだろう
こなた「おー!みんな久しぶりじゃん!元気だったー?」
つかさ「最後に皆で会ったのって何時だっけ?」
みゆき「私がまだ大学生のときだから2,3年ぐらい前になりますね」
約束の時間に皆で待ち合わせ場所に集まった。みんな変わってない。
つかさ「あー!こなちゃん指輪してる」
こなた「いや、私は別にいいって言ってたんだけどさ・・・、式は挙げられないからこういうのはちゃんとしておこう
って向こうが言ってきてさ(////)」
気恥ずかしそうにこなたは自分の頭を掻いている。ああ、なんて幸せそうな
こなた「向こうもあたしもそんなに余裕があるわけじゃないから式は挙げないつもりなんだけどさ
お父さんが『こなたのウェディングドレスが見たいんだぁ!』って言って大変だったよ」
つかさ「あはははーwおじさんらしいね」
みゆき「幸せそうでうらやましい限りです」
こなた「みゆきさんは最近彼氏とどうなの?」
みゆき「医者っていうのは思ったよりも大変ですね。最近はぜんぜん会えなくて・・・」
いや、変わってないのは私だけだ。みんな自分の人生をちゃんと歩いているんだ。
こなた「へー、やっぱお医者さんって大変なんだねー。まぁ私はしがない事務員だから何とか余裕はあるんだけどね
そういや、つかさの所って双子だったよね?何歳になったんだっけ?」
つかさ「今年で2歳だよー。もうあっちこっち動き回って本当に大変なんだよー」
こなた「あはははwでもつかさ似で二人ともかわいいじゃん」
つかさ「旦那に言わせれば『絶対俺の方に似てる』って言って聞かないんだけどねw」
こなた「あーあ、私も早く子供ほしいなぁ。まぁ何とか私も婚期を逃すことなく結婚できそうなんで、それだけでも良しとしなきゃ
いけないのかもね」
会話に入れない。私には結婚の話もそもそも前提となる恋愛の話も引き出しがないのだから。会話に加われない
苦しさはそのまま飲む酒の量とタバコの本数に反映された。
こなた「ねー、かがみん。さっきから黙ってるけどかがみんは最近どう?」
かがみ「え、あ、ああ・・・。うん、ボチボチ、ボチボチやってるわよ」
こなた「そっかー。かがみんは今弁護士やってるんだっけ?法学部入ってずっと勉強してるって
前にあったときは言ってたよね」
かがみ「え・・・ああ・・・・。中々大変でなのよね、司法試験って」
こなた「へーそうなんだ。でも、かがみんならきっと大丈夫だよ!あたしは専門学校しか行けなかったから
今はちっちゃな会社の事務員やってるけど、かがみんは昔から勉強できたしね!」
そう。そうなのだ。中途半端に勉強ができたのが私の運命の分かれ道だったのかもしれない。
大学にいたとき、自分は周りのやつらとは違うんだ、そう思っていた。でも実際はどうだろうか?
高校時代に一番進路が危ぶまれた目の前の娘はちゃんと結婚をして一人前の人生を歩んでいるのに、
それに比べて自分は?自分はどうなのだろう。
26歳にもなってまだ夢を見ている。もう諦めてしまった方がいいとどこかで気づいてるのに。
こなたの視線が痛い。彼女は私に気を使っているのだろうか。それとも本当に私が弁護士に
なれると思ってくれているのだろうか。
どっちであっても私にとってはつらいだけだ
こなた「今は大変だと思うけど、かがみんならきっと立派な弁護士になると思うからさ」
つかさ「っていうかこなちゃんさっきから幸せオーラ出しまくりwwwもっと飲んで色々聞かせてよー!」
かがみ「つかさ、あんたも飲みすぎよ。○○君(つかさの夫)に迎えに来てもらうんでしょ?」
つかさ「えへへへーまららいじょうぶらよー」
みゆき「そういえば、泉さんの結婚される方とはどんな方なんですか?」
つかさ「あー!あたしもきーきーたーい!」
顔を真っ赤にしてこなたが話しはじめた。酒のせいではないだろう。
こなた「どんな人って言うか・・・、あたしと趣味が同じような人かな?あとね、それでいてすっごく優しい人なんだよ
一緒の会社の人なんだけど、気がついたらいつも一緒にいたって言うか・・・・(////)」
つかさ「あははwこなちゃん惚気ちゃって!このー(グリグリ)」
こなた「いてて、つかさ本気で小突かないでよ!もう怒った、今日は朝まで飲んでやる!」
つかさ「さんせー!」
みゆき「いいですね。皆が一同に会えるなんて滅多にありませんし」
みんな楽しそうだ。彼氏の話、子供の話、仕事の話・・・。どれも私にはないものだ。
かがみ「あ、ごめんね・・・。明日模試があるんだった。そろそろ帰るわ」
つかさ「えー、つまんないー」
こなた「こらこら、かがみんも大変だろうけど頑張ってね。それで無事弁護士になったら私においしいものでも(ry」
かがみ「はいはい、分かった分かった。みんなごめんね。こんな機会があったらまた一緒に飲もうね」
こなたに飲み代を払うと、私は足早に店から出た。もう耐えられなかった。涙が出そうになるのを堪えながら
早歩きで駅まで歩いた。もちろん明日模試なんてない。予定なんて・・・・。
私は、いったい何をしていたんだろうか?彼女たちは高校を出てからもずっとずっと歩き続けてたのに
私は、いったい何を・・・・・。身を切るような冬の空気の冷たさが今はむしろ心地よかった。
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外伝
かがみんの大学生活(上の話の6年前)
今年で
大学に入って3年目。とうとう初めての司法試験だ。大丈夫私ならできるはずだ。
私はここから大きく羽ばたくのだ。そのために学生生活の何もかもを捨てて勉強に取り
組んできたのだから。
一緒のゼミの人A「柊さんって司法試験受けるんだってー?受かりそうなの?」
一緒のゼミの人B「んー、あたしあの人とあんま話したことないからよく分からないけど、受かるんじゃないの?
なんかいつも勉強してる感じじゃん。」
一緒のゼミの人A「あー、それは分かるわ。でも変な子だよねー。ゼミが一緒になったのに二言三言しか、あの
人と喋ったことないもん、あたし」
第一志望の大学に落ちて、こんな大学に来てしまったのだ。浪人しようかどうか迷ったが、結局はここに
進学することにした。こなた達とは進学してから離れ離れになってしまったが今でも時々会っている。
別に大学に友達がいなくてもかまわないとも思うのだ。そんなことより大学に来たからには勉強しなくちゃ
いけないとも。それに彼氏も今はいらない。もっとやるべきことがあるのだから。
月日は巡って、とうとう司法試験短答式の
合格発表の日となった。私はもちろん自分の受験番号が掲示さ
れていると信じながら法務省に向かった。
法務省で同じく合格発表を見るために並んでいた人たちは、どの人もいい年をしたおじさんやおばさんばかり
だった。そう、私はこの人たちとは違うのだ。
でも現実は甘くなかった。20年間生きてきて、私は始めて大きな挫折を味わうことになる。
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最終更新:2007年08月27日 17:24