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アル晴レタ日ノコト

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
「おどろけー!!あさぜよー!!」
「ふがっ」
おー起きた起きた。

「…ってまだ6時半じゃないか。てか、お前、何処の人だよ」
「おあよ☆ いやぁ、さっきまでコレやってたからさぁ」
私はそういうと、まだ寝惚けている兄貴に画面が2つ付いた携帯ゲーム機を見せつける。
さっきまでちょっと変わった『脳トレ』をやっていたのだ。
『おどろけー!!あさぜよー!!』はその脳トレの方言ドリルで出てきた問題だ。
「たまにはバリエーション変えてみるのもいーだろ?
 兄貴、休みの日は中々起きてくんねーかんな」
「休みの日くらい昼まで寝かせてくれ。おれは眠い」
「今日は新しい家見に行くんじゃなかったんだっけ?」
「うわっ忘れてた」
慌てて起きる兄貴。まだまだ時間はあると思うけどな。
きっしっしし、兄貴はいつもからかう甲斐があっていーな。けけけけけ。

兄貴と一緒に朝ご飯を食べる。おかずは夕飯の残りの煮物だ。
新居(になる予定の家)の内覧は昼からだと兄貴が言うので、私は大人しく学校の宿題にとりかかる。
数学なんかやりたくねーけど、宿題だから仕方がない。
兄貴はカラーボックスとベニヤ板で出来た机に向かい、林檎印のパソコンでなにやら調べている。
そうか、兄貴が家を出ると、今みたいに一緒にいられなくなるんだよな。

寂しくなるな。


兄貴が家を出ると言ったのはひと月前のことだった。
当然、私も父ちゃんも母ちゃんも驚いた。
元々兄貴は就職する時に家を出るつもりでいたんだけど、
母ちゃんが「まだ早い」と言って、ずっと反対してきていた。。
多分、母ちゃんは兄貴が家から出ていってほしくないのだろう。
そういや兄貴が都内の国立高専に通ってた時も、早イチの電車で通学してたな。

しかし、我が家の物理的容量を考えると、現代の家族4人が生活するにはちょっと厳しい状態であり、
兄貴は必然的に家を出なければならない事態となっていた。
それは、母ちゃんも気付いていた。私も同じで、いつまでも家に居て欲しいと思ってるんだろうな。
だからといって、我が家の経済状況を考えると、
家賃4万5000円・築36年・52平米の3DKの公団住宅(情報源:兄貴)から
広いマンションや庭付き戸建てに住むことは無理かも知れない。
しかし、家が貧乏なのは私が私立高校に通っているからであり、
我が家の家計について文句を言う筋合いは私にはない。
全然関係ねーけど、この前行ったチビっ子の家はすげーデカかったなぁ。
うちと交換してくんねーかなぁ。

一番の問題は兄貴の趣味だ。
悪い趣味じゃねーけど、我が家、特に子供部屋ではちょっとマズい問題になっている。
兄貴は大の自転車好きで、様々な部品やフレームが部屋の至る所に転がっている。
私は兄貴の趣味には肯定的なので、部屋が自転車だらけになっているコトには文句は無い。
でも、最近は二段ベッドにまで侵食して来ており、さすがにこれは何とかして欲しいな。

そうか、兄貴が家を出たら、子供部屋はガラガラになるのか。

それはそれで寂しいな。


11時。難関の数学を見事に攻略した私はさっさと問題集とノートを片付ける。
どうだ参ったか! 私だって問題集くらいは何とか解けるんだぜ。半分兄貴に助けてもらったけど。
筆記具を通学カバンにしまったところで、兄貴から声が掛かった。
「終わった?」
「終わった!」
「そろそろ行くぞ」
その言い方だと私も付いていっていいのかな?
「嫌なら別にいいけど」
行くっ、絶対行くっ!!
「それじゃぁ決まりだね。よし、行くぞ」
「うん」
というワケで、私は兄貴の新居予定地の内覧に付いていくことにした。
兄貴は昼は外で食べることを伝えて、一緒に家を出る。

「あれ?自転車出さなくていいの?」
「うーん、ここから歩ける範囲だからいいや。5階まで持って帰るのも大変だし」
まぁ、確かにそうだ。なんだ近所か。驚いたぜ。…というコトは新居(予定)は鷲宮町内か。
兄貴と一緒に階段を下りて外に出る。
冬の鷲宮は一日中吹き付ける空っ風で、テレ玉の天気予報の気温よりもずっとずっと低く感じる。
あれ?兄貴ー、そっちだと団地の外に出れねーぞ?
何故か団地の外に出ない兄貴。私は頭に「?」マークを浮かべながらも兎に角後を付いて行く。
兄貴の新居候補地は一体何処にあるんだ?

「着いたよ」
「え?!」
私は思わず兄貴の顔と新居(予定)を交互に見た。
もしかして、もしかすると?
「ここだったら家も近いから、いつでもみさおに会えるだろ?」
「え……?!」
今ここに鏡(柊の方じゃねーぞ)があったら自分の顔を確かめたい。
たぶん驚きながら照れているに違いない。
自分で言うのもアレだけど、私も結構『お兄ちゃん子』なんだなぁ。
「さて、中を確かめてみますか」
兄貴の声でハッとする。
「どうした?大丈夫か?」
「お、おう!! い、行くぞ!!」
何とかいつものテンションに戻す。

向かった先は我が家と同じUR(旧公団)わし宮団地。同じ第二街区で間取りが違う。
兄貴は申し込みの時に借りた鍵でシリンダ錠を開ける。
鉄製の薄っぺらな扉がぎぃと開く。
「おおーすげー」
何がすげーのか具体的に言えと言われるとちょっと困るけど、何となくすげーと思った。
新居(予定)はペンキの臭いと張り直した壁紙の糊の臭いがほのかに残っていた。
当たり前だけど、家の中は人も家具も何もない。
家の中は恐ろしいくらい静かだった。静か過ぎて不気味だった。


兄貴が持っている間取り図によると、新居(予定)は41平米の2DK。
家族4人で過ごすには狭すぎるけど、1人なら十分過ぎる広さだ。
「うぉー、ここがおれの家になる(かもしれない)のか」
「うぉー、ここが兄貴の家になるのか」
二人して全く同じタイミングで感動する。血はちゃんと繋がっているようだ。

兄貴は家の中を一通りチェックしている。
私はその様子を観察しつつ、一緒になって家の中をチェックしてみる。
間取りは2DKで、団地なので形は所謂「田の字」形。
南側に台所兼ダイニングと六畳間が、
北側にお風呂とトイレ、洗面台がひとまとめになっていて、その先に四畳半がある。
この辺はウチとよく似ている。
家の中は全体的にリフォームされているみたいで、壁紙や畳、襖は全部新品だった。
ちなみにウチは壁紙が貼られていない。
木で出来た部分もクリーム色に塗ってあり、さながら洋室のような雰囲気だ。
電気のスイッチやコンセントも新品に交換してあるし、インターホンも最初から付いている。

「これ見たら母ちゃんが住みたがるだろうなぁ」
新居(予定)の最大のポイントは台所。
ウチの台所は見るからに『昭和』の香りが漂っているが、
こっちのはあやのの家にあるような立派なやつに変わっている。
さて、兄貴がここで作るご飯のお味はどんなものだろうか?
そういや兄貴は…うぉっ、隣にいたよ!
何で台所見てニヤニヤしてんだ?気持ち悪ぃな。
「いやあ、おれの将来の花嫁さんがここでご飯を作ってるシーンを想像しちゃってさぁ」
はいはいそこで一生やってろ。一人でな。
「冗談冗談、マイケルジョーダン!!」えへっ
何がえへっだアホか。冗談に聞こえねーよさみーよ古いよアホ兄貴。
やっぱり血というものは繋がっているもんなんだなー。
「みさおがウチに来たら毎日ミートボール定食だな」
「ハンバーグもね!!」
「何なら里芋と蒟蒻の煮物も作るぞ」
「それはいやだ」
兄貴が兄バカであることは言うまでもない。嬉しいけどちょっと恥ずかしい///
もし兄貴がこっちに引っ越すんなら、私も一緒について行こうかな?


内覧が終わり、兄貴は鍵をかける。
部屋を隅々までチェックし、巻き尺であちこち測っていたところをみると、
どうやらここに住むことに決めたようだ。
兄貴が持っていた資料によると、わし宮団地の2DKは他にもゴロゴロあるそうだが、
兄貴がやたら拘っていた「2階」にあるのはここだけ。多分、あの大量の自転車を出し入れするのに最適だと思ったんだろうな。
1階だと泥棒に狙われそうだし、5階だと運ぶのが大変だし。
(例えフルカーボンの高級車でも5階まで持って行くのはすんげー大変だよ><)

お昼は団地センターの洋食屋へ。
この店は私が小さい時から、両親や兄貴に連れて行ってもらっているとこで、
店のおばさんともすっかり顔なじみだ。
店に入ろうとしたところで、あやのと会った。
「よう、あやの」
「みさちゃん、こんにち…あ、こ、こんにちは」
あやのは、私に挨拶をしかけたところで兄貴もいることに気付き、改まって私たちに挨拶をする。
ニコニコしながらも顔が茹で蛸状態のあやのは、見ていて可愛いけど、それがなんだか切ない。

数日後、兄貴はこの家に住むことを決めた。
あれだけ反対していた母ちゃんも、兄貴が一人暮らしを始めることにOKを出した。
ちょっと寂しそうだったけどな。

半年後、兄貴の家が全面的に自転車置き場になっていることを想像した。
さて、私も兄貴の家に引っ越す準備をするとしよう。













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コメント:
  • みさおも一緒だと、(兄貴とあやの)
    の甘〜い生活が… -- チャムチロ (2012-11-12 20:41:47)
  • ミサミサ~ -- 名無しさん (2008-07-27 14:43:56)
  • なんか、みさおがかわいいな。 -- 名無しさん (2008-07-24 00:08:14)

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