『わたしメリーしゃん……』
帰り道の途中、バスを降りたところでかかってきた非通知電話に出てみたら、いきなり女の子が
そんなことを言ってきた。
そんなことを言ってきた。
プチッ…ツーツー
思わず電話を切る私。
……はい?……今、なんて言った?
メリー?
メリーさん?
メリーサンノデンワ?
おおお落ち着け私。
冷静になれ泉こなた。
KOOLになるんだ。
素数を数えるんだ。
1、2、3、4、…
ふぅ…
よし、オーケー。
なんか違う気もするけど、KOOLにはなれたような気がする。
ありがとうダディ。
まずは、確認。そうだ確認しよう。
……はい?……今、なんて言った?
メリー?
メリーさん?
メリーサンノデンワ?
おおお落ち着け私。
冷静になれ泉こなた。
KOOLになるんだ。
素数を数えるんだ。
1、2、3、4、…
ふぅ…
よし、オーケー。
なんか違う気もするけど、KOOLにはなれたような気がする。
ありがとうダディ。
まずは、確認。そうだ確認しよう。
電話をかけてきたのは誰?
メリーさん。なんか噛んだのかメリーしゃんとか言ってたけど、とにかくメリーと言ってたのは
間違いないよ。
じゃあメリーという人が電話をかけてきたのかも?
いや、私にメリーという名前の知り合いはいない。少なくともリアルでは。
だとしたらイタズラかな?ちょうど怪談話をしたばかりの私を怖がらせようとしてるのかもしれ
ない。
そういえば、誰かの声に似てたような気がする。
ほとんど毎日聴いてるあの声と似てるような…
でも、そうだとするとおかしいんだよ。
電話の声は、私の友達の年代よりもずっとちっちゃい子の声だったんだ。
幼稚園児とかそれくらいの子供の声。
誰かが別人を演じてるんだとしても、一部の声優さんみたいな特殊技能でもないと決して出せそ
うにない決定的な子供声なんだよ。
ただそうなると、友達のイタズラでもないということになっちゃう。
メリーさん。なんか噛んだのかメリーしゃんとか言ってたけど、とにかくメリーと言ってたのは
間違いないよ。
じゃあメリーという人が電話をかけてきたのかも?
いや、私にメリーという名前の知り合いはいない。少なくともリアルでは。
だとしたらイタズラかな?ちょうど怪談話をしたばかりの私を怖がらせようとしてるのかもしれ
ない。
そういえば、誰かの声に似てたような気がする。
ほとんど毎日聴いてるあの声と似てるような…
でも、そうだとするとおかしいんだよ。
電話の声は、私の友達の年代よりもずっとちっちゃい子の声だったんだ。
幼稚園児とかそれくらいの子供の声。
誰かが別人を演じてるんだとしても、一部の声優さんみたいな特殊技能でもないと決して出せそ
うにない決定的な子供声なんだよ。
ただそうなると、友達のイタズラでもないということになっちゃう。
じゃあ、なに?
なんなの?
この電話?
ナニ?
答えなんて出てたのに、その答えにたどり着きたくなくて頭の中で回り道をしてた。
そんなことをしても、別の答えなんて見つからないのに。
そんなことをしてるうちに、時間は過ぎていくのに。
どれくらいの猶予があったのかな。また、携帯電話が震え出した。手に持ったままだったから、
非通知という表示がすぐに目に入る。
今度は、心臓の跳ね上がりが一拍では済まなかった。ドクンドクンと、急激に暴れ始める。強く、
早く、運動もしてないのに血液を身体中に送りだす。それに呼応して、酸素をよこせと自然と息使
いも荒くなってきた。
出たくない。
切っちゃおう。
もう出ないで切っちゃおう。
そう考えた瞬間、不思議なことが起きた。
私の指がボタンに触れる前に、ケータイが震えるのをやめたのだ。
この場合、普通なら相手が電話を切ったということになるよね。
でも、今回は違った。
残念ながら違った。
ケータイの画面の表示が、非通知から、通話中に変わっていた。
そんなことをしても、別の答えなんて見つからないのに。
そんなことをしてるうちに、時間は過ぎていくのに。
どれくらいの猶予があったのかな。また、携帯電話が震え出した。手に持ったままだったから、
非通知という表示がすぐに目に入る。
今度は、心臓の跳ね上がりが一拍では済まなかった。ドクンドクンと、急激に暴れ始める。強く、
早く、運動もしてないのに血液を身体中に送りだす。それに呼応して、酸素をよこせと自然と息使
いも荒くなってきた。
出たくない。
切っちゃおう。
もう出ないで切っちゃおう。
そう考えた瞬間、不思議なことが起きた。
私の指がボタンに触れる前に、ケータイが震えるのをやめたのだ。
この場合、普通なら相手が電話を切ったということになるよね。
でも、今回は違った。
残念ながら違った。
ケータイの画面の表示が、非通知から、通話中に変わっていた。
『ちょっと』
声が、聞こえた。
大きな声が。
通話する時の音量じゃない。着信メロディとか、それくらいの大きさ。
どうやら耳に当てるところじゃなくて、着メロとかのスピーカーから声が出てるみたい。
大きな声が。
通話する時の音量じゃない。着信メロディとか、それくらいの大きさ。
どうやら耳に当てるところじゃなくて、着メロとかのスピーカーから声が出てるみたい。
『とちゅーできらないでよ』
一瞬で、全身が強張った。
これは、本物だ。
一瞬で、脳細胞が理解した。
普通なら私が操作しないで勝手に通話音がスピーカーから出るわけがない。いや、そもそも、私
が操作する前に通話状態になるはずがないんだよ。
やばい…
これやばいよ…
本当に、メリーさんの電話だこれ。
これは、本物だ。
一瞬で、脳細胞が理解した。
普通なら私が操作しないで勝手に通話音がスピーカーから出るわけがない。いや、そもそも、私
が操作する前に通話状態になるはずがないんだよ。
やばい…
これやばいよ…
本当に、メリーさんの電話だこれ。
『いま、こーえんにいるの』
通話はそこで切れた。かかって来た時と同じように、私にケータイを操作させることなく一方的
に途切れる。
公園という単語を耳にした瞬間、私は反射的に後ろを振り向いた。
バス通りになっている、ここら辺ではやや広めの道路。それを挟んだ向かい側には背の低い植木
が並んでいて、その隙間から目に入るのはブランコがぶら下がっている錆びれた鉄製の骨組。
公園だった。
紛れもない公園がそこにはあった。
鳥肌が、首の後ろあたりから一気に全身を駆け巡る。
いや、どこの公園とは言ってなかった。ここの公園だとは限らないじゃないか。小さな公園なん
て探せばいくらでもある。もっと遠くの公園かもしれない。
頭の中で、そんな言い訳じみた理屈がにじみ出る。
でも、それもすぐにどこかに吹き飛んだ。
に途切れる。
公園という単語を耳にした瞬間、私は反射的に後ろを振り向いた。
バス通りになっている、ここら辺ではやや広めの道路。それを挟んだ向かい側には背の低い植木
が並んでいて、その隙間から目に入るのはブランコがぶら下がっている錆びれた鉄製の骨組。
公園だった。
紛れもない公園がそこにはあった。
鳥肌が、首の後ろあたりから一気に全身を駆け巡る。
いや、どこの公園とは言ってなかった。ここの公園だとは限らないじゃないか。小さな公園なん
て探せばいくらでもある。もっと遠くの公園かもしれない。
頭の中で、そんな言い訳じみた理屈がにじみ出る。
でも、それもすぐにどこかに吹き飛んだ。
キィ……
音がした。
かすかに、ほんの微々たる大きさだけど、金属が軋むような音がした。
小さい頃にたくさん聞き覚えのある音。たしかにそれは、ブランコの音だった。
風なのかな。
そう思いたかったけど、私の肌には全くと言っていいほど空気の流れを感じない。
気のせいかな。
そう思いたかったけど、また耳に届くさっきと同じ空気の振動がそれを許してくれない。
かすかに、ほんの微々たる大きさだけど、金属が軋むような音がした。
小さい頃にたくさん聞き覚えのある音。たしかにそれは、ブランコの音だった。
風なのかな。
そう思いたかったけど、私の肌には全くと言っていいほど空気の流れを感じない。
気のせいかな。
そう思いたかったけど、また耳に届くさっきと同じ空気の振動がそれを許してくれない。
キィ…キィ…
今度は二回聞こえた。私の耳がおかしくないのなら、何かがブランコを揺らしてるのは確実だっ
た。
ノラ猫が乗ってるんだったらいいのに。
植木のおかげでブランコの座る部分が見えないからかそんな考えが浮かんだけど、我ながら望み
薄だなっていう自覚はあった。
そして、それはすぐに期待通りになる。
悪い意味で。
た。
ノラ猫が乗ってるんだったらいいのに。
植木のおかげでブランコの座る部分が見えないからかそんな考えが浮かんだけど、我ながら望み
薄だなっていう自覚はあった。
そして、それはすぐに期待通りになる。
悪い意味で。
カシャン…
それまでのかすかな金属の軋む音と違って、けっこう大きな音が、車のまったく通らない静かな
道路の上を飛んできた。明らかに、猫がブランコに何をしても出せる程度の大きさの音じゃなかっ
た。
じゃあ、なんだろう?
ブランコに関しての記憶を掘り起こすと、ブランコに乗るたびに必ず聴いていた音とぴったり当
てはまった。
ブランコに乗ると必ずすること。いや、正確には、ブランコに乗ったら最後にすることかな。
すなわち、ブランコを降りるということ。
その時の音が、今、公園の中からした。
それが意味することは、誰かが、ブランコを、降りたということ。
仮に。
仮にだよ。
ブランコに乗ってたのが、私に電話をかけてきたメリーさんだとするよ。
メリーさんは、ブランコを降りたら、どうすると思う?
みゆきさんから聞いた「メリーさんの電話」の話は、どんなだった?
メリーさんは、電話主のもとに、近づいてくるんじゃなかったっけ?
………
その時、立ち並ぶ植木の一部が、がさりと音をたてた…気がした。
それこそ気のせいや、猫か風の所為だったのかもしれない。だけど、脳がそういう思考を始める
より先に、私の身体は180度反転して駆け出していた。
昔見たアフリカのサバンナを題材にしたドキュメンタリー番組では、猛獣の気配を察知した草食
動物は一心不乱に走り回ってた。草食動物は、背後に肉食動物が迫っても決して振り向かなかった。
追われる方にそんな余裕はないから、牙をつきたてられるその時まで、後ろを振り向くことはなか
った。
しなかったのか、できなかったのか。
私も、ただ前だけを向いて、ただ走った。
道路の上を飛んできた。明らかに、猫がブランコに何をしても出せる程度の大きさの音じゃなかっ
た。
じゃあ、なんだろう?
ブランコに関しての記憶を掘り起こすと、ブランコに乗るたびに必ず聴いていた音とぴったり当
てはまった。
ブランコに乗ると必ずすること。いや、正確には、ブランコに乗ったら最後にすることかな。
すなわち、ブランコを降りるということ。
その時の音が、今、公園の中からした。
それが意味することは、誰かが、ブランコを、降りたということ。
仮に。
仮にだよ。
ブランコに乗ってたのが、私に電話をかけてきたメリーさんだとするよ。
メリーさんは、ブランコを降りたら、どうすると思う?
みゆきさんから聞いた「メリーさんの電話」の話は、どんなだった?
メリーさんは、電話主のもとに、近づいてくるんじゃなかったっけ?
………
その時、立ち並ぶ植木の一部が、がさりと音をたてた…気がした。
それこそ気のせいや、猫か風の所為だったのかもしれない。だけど、脳がそういう思考を始める
より先に、私の身体は180度反転して駆け出していた。
昔見たアフリカのサバンナを題材にしたドキュメンタリー番組では、猛獣の気配を察知した草食
動物は一心不乱に走り回ってた。草食動物は、背後に肉食動物が迫っても決して振り向かなかった。
追われる方にそんな余裕はないから、牙をつきたてられるその時まで、後ろを振り向くことはなか
った。
しなかったのか、できなかったのか。
私も、ただ前だけを向いて、ただ走った。
公園に背を向けたのはブランコの音からなるべく離れたかったからだけど、そっちはちょうど家
まで繋がる道の方角でもある。
メリーさんの電話の話はメリーさんが家にやってくる話だから、メリーさんから逃げるのに家に
向かうっていうのは良くないのかもしれない。
でも、すでにケータイに電話がかかってきちゃったんだからそんなことは関係ないよ。家に帰れ
ばお父さんがいるし、ゆーちゃんだっている。今の状況よりずっとましなのは間違いないはず。
……ううん。違う。本当は、そんな冷静に考えた末の行動なんかじゃないんだ。
正直、怖かったんだ。
得体のしれない何かが迫ってくるところで、一人で待ち構えるなんてことはできなかったんだ。
じっとしてなんて、いられなかった。
「はは…」
これじゃあつかさの怖がり屋なこと、笑えないや。
そう思うと、走り続けながら苦り切った笑い声が漏れた。
でも、いくら私が自嘲したからといって事態が好転するわけでもない。
まで繋がる道の方角でもある。
メリーさんの電話の話はメリーさんが家にやってくる話だから、メリーさんから逃げるのに家に
向かうっていうのは良くないのかもしれない。
でも、すでにケータイに電話がかかってきちゃったんだからそんなことは関係ないよ。家に帰れ
ばお父さんがいるし、ゆーちゃんだっている。今の状況よりずっとましなのは間違いないはず。
……ううん。違う。本当は、そんな冷静に考えた末の行動なんかじゃないんだ。
正直、怖かったんだ。
得体のしれない何かが迫ってくるところで、一人で待ち構えるなんてことはできなかったんだ。
じっとしてなんて、いられなかった。
「はは…」
これじゃあつかさの怖がり屋なこと、笑えないや。
そう思うと、走り続けながら苦り切った笑い声が漏れた。
でも、いくら私が自嘲したからといって事態が好転するわけでもない。
また、あの声が、聞こえた。
『ザザ…今、……ハァ…○○バスてーにいるの…ザザザ…」
今度は、ほとんど前振りが無い。
走ってるから気付かなかったのか、握ったままのケータイが震えたのはほんの一瞬ですぐに声が
聞こえてきた。相変わらず、私が操作してもいないのに勝手に通話状態になって。
走っているせいで通信状態が悪いのかノイズが混じってるけど、なんとかバス停の名前は聞き取
ることができた。
○○バス停っていうのは、私がバスを降りた停留所のこと。そしてそこにメリーさんは公園から
移動したという。
それは、メリーさんがたしかに私に向かって来てるということで、もっと遠くの公園にいるのか
もっていう希望を粉々にすることでもあった。
さっき公園のブランコに乗ってたのは本当にメリーさんだったのかも。
さっき公園の植木を揺らしたのも本当にメリーさんだったのかも。
それまでメリーさんの兆候なのかもと感じても他の可能性を探ってた事柄が、次々とメリーさん
が原因だったんだと思えてくる。こうなっちゃうともう、頭の中で勝手に恐怖心が膨らんでいくの
も止めることができなかった。
怯える心が生み出してるのか、背中を後ろに引っ張られてる錯覚さえしてくる。
そのおどろおどろしい力に反発するように、自然と脚の回転は早まっていった。
バス通りを外れると、地面もよく見えないほど街頭の少ない道を走るようになる。田んぼに挟ま
れた細い道で、アスファルトで舗装されてはいるけど畦道というのが似合いそうなところ。ここを
抜ければ家まではもうすぐだ。
ただ、畦道に踏み入って十数秒後、またもやケータイから声が溢れ出す。
もう最初にぶるぶると震えることもなく、いきなり声が聞こえてきた。
やっぱりよくよく聴き覚えのある声に似ていて、それなのに幼い女の子の声が。
走ってるから気付かなかったのか、握ったままのケータイが震えたのはほんの一瞬ですぐに声が
聞こえてきた。相変わらず、私が操作してもいないのに勝手に通話状態になって。
走っているせいで通信状態が悪いのかノイズが混じってるけど、なんとかバス停の名前は聞き取
ることができた。
○○バス停っていうのは、私がバスを降りた停留所のこと。そしてそこにメリーさんは公園から
移動したという。
それは、メリーさんがたしかに私に向かって来てるということで、もっと遠くの公園にいるのか
もっていう希望を粉々にすることでもあった。
さっき公園のブランコに乗ってたのは本当にメリーさんだったのかも。
さっき公園の植木を揺らしたのも本当にメリーさんだったのかも。
それまでメリーさんの兆候なのかもと感じても他の可能性を探ってた事柄が、次々とメリーさん
が原因だったんだと思えてくる。こうなっちゃうともう、頭の中で勝手に恐怖心が膨らんでいくの
も止めることができなかった。
怯える心が生み出してるのか、背中を後ろに引っ張られてる錯覚さえしてくる。
そのおどろおどろしい力に反発するように、自然と脚の回転は早まっていった。
バス通りを外れると、地面もよく見えないほど街頭の少ない道を走るようになる。田んぼに挟ま
れた細い道で、アスファルトで舗装されてはいるけど畦道というのが似合いそうなところ。ここを
抜ければ家まではもうすぐだ。
ただ、畦道に踏み入って十数秒後、またもやケータイから声が溢れ出す。
もう最初にぶるぶると震えることもなく、いきなり声が聞こえてきた。
やっぱりよくよく聴き覚えのある声に似ていて、それなのに幼い女の子の声が。
『…ザザザ……い…ハァハァ……いま、…ザザ…たんぼ…の…ハァハァ…うえ…』
走る速度が上がってるせいか、さっきよりもさらにノイズがひどい。私の音が混ざっているのか、
ハァハァと息切れの音みたいなのも重なって余計聞き取りづらい。
とにかく、メリーさんはもうすでに田んぼの上にいるらしかった。
……田んぼの上?
どういうことだろう。
確かに畦道は田んぼより少し高くなってはいるけど、そこを通ってるんだったら田んぼの上にい
るとは言わない気がする。
私がちらっと周りに広がる田んぼを見てみると、そこは刈り取りも終わって水の抜けた地面が広
がっていた。ところどころ刈り取った稲の残骸みたいなのが円錐状に積まれていて、道端に生えて
そうな草があんまり密集しない形で等間隔に並んでるだけ。
これなら、たしかに走ることも不可能じゃない。
でも、普通なら田んぼの中を突っ切ってくるなんてことをするだろうか。
しないよね。
でも相手が普通じゃなければ話は違う。メリーさんは、どう考えても「普通」のカテゴリーには
当てはまらないだろうし。
メリーさんが田んぼを突っ切ってくるのなら、これはまずい状況だった。
畦道は、田んぼの間を縫うようにして通ってる。どうしても、家まで一直線で進むというわけに
はいかないんだよ。そうなると、一直線にやってきているメリーさんに追いつかれるのは、時間の
問題。それにメリーさんが田んぼの上にいるって言ってきたのは、私が畦道に入ってから十数秒後
だった。もう、本当にすぐそばに迫っていてもおかしくない……
これは、まずい。
数々のアニメや漫画を見てきた私の脳が、クライマックスが近づいてることを警告する。
これからの選択肢を誤ったら危ない。
ヤンデレ系ゲームで培ったダメ直感がそう告げる。
ハァハァと息切れの音みたいなのも重なって余計聞き取りづらい。
とにかく、メリーさんはもうすでに田んぼの上にいるらしかった。
……田んぼの上?
どういうことだろう。
確かに畦道は田んぼより少し高くなってはいるけど、そこを通ってるんだったら田んぼの上にい
るとは言わない気がする。
私がちらっと周りに広がる田んぼを見てみると、そこは刈り取りも終わって水の抜けた地面が広
がっていた。ところどころ刈り取った稲の残骸みたいなのが円錐状に積まれていて、道端に生えて
そうな草があんまり密集しない形で等間隔に並んでるだけ。
これなら、たしかに走ることも不可能じゃない。
でも、普通なら田んぼの中を突っ切ってくるなんてことをするだろうか。
しないよね。
でも相手が普通じゃなければ話は違う。メリーさんは、どう考えても「普通」のカテゴリーには
当てはまらないだろうし。
メリーさんが田んぼを突っ切ってくるのなら、これはまずい状況だった。
畦道は、田んぼの間を縫うようにして通ってる。どうしても、家まで一直線で進むというわけに
はいかないんだよ。そうなると、一直線にやってきているメリーさんに追いつかれるのは、時間の
問題。それにメリーさんが田んぼの上にいるって言ってきたのは、私が畦道に入ってから十数秒後
だった。もう、本当にすぐそばに迫っていてもおかしくない……
これは、まずい。
数々のアニメや漫画を見てきた私の脳が、クライマックスが近づいてることを警告する。
これからの選択肢を誤ったら危ない。
ヤンデレ系ゲームで培ったダメ直感がそう告げる。
どうする。
どーするどーする。
ドースル……
どーするどーする。
ドースル……
必死に走り続けながら頭をフル回転させたら、手の中のケータイに目がいった。
ケータイに電話がかかってきたからこんなことになった。部屋のすみに置きっぱなしだったころ
みたいに、今日に限っては積極的に忘れてくればよかった。
ケータイが悪いわけじゃないけど、そんなふうに考えてしまう。
…ん?
……忘れてくればよかった?
その時、頭の中の一部がピンと明るく閃いた。よくある表現で言うと、パッと電球が灯ったよう
なイメージ。
メリーさんは「メリーさんの電話」というだけあって電話を通してしかアプローチしてきてない。
メリーさんは「メリーさんの電話」が繋がってる電話を目指して来てるのかな?
だとしたら、この電話が私を追い込んでる元凶ということになるのかもしれない。お話の「メリ
ーさんの電話」は家電だったから人と電話が一緒にあったけど、ケータイの場合はどうなんだろう。
このケータイを捨てちゃったら、どうなるんだろう?
………考え付いた瞬間、一筋の光明を見つけたような思いだった。
起死回生の策だと本気で思った。
ケータイに電話がかかってきたからこんなことになった。部屋のすみに置きっぱなしだったころ
みたいに、今日に限っては積極的に忘れてくればよかった。
ケータイが悪いわけじゃないけど、そんなふうに考えてしまう。
…ん?
……忘れてくればよかった?
その時、頭の中の一部がピンと明るく閃いた。よくある表現で言うと、パッと電球が灯ったよう
なイメージ。
メリーさんは「メリーさんの電話」というだけあって電話を通してしかアプローチしてきてない。
メリーさんは「メリーさんの電話」が繋がってる電話を目指して来てるのかな?
だとしたら、この電話が私を追い込んでる元凶ということになるのかもしれない。お話の「メリ
ーさんの電話」は家電だったから人と電話が一緒にあったけど、ケータイの場合はどうなんだろう。
このケータイを捨てちゃったら、どうなるんだろう?
………考え付いた瞬間、一筋の光明を見つけたような思いだった。
起死回生の策だと本気で思った。
でも私は、なかなか実行にうつさなかった。
だって、あんまり活用してない方だけど、さすがにケータイを投げ捨てるのは躊躇するよ。
当然の反応だと、これが一般的な反応だと思う。銀行強盗なんかで銃を突き付けられてケータイ
を出せって言われてるならともかく、ケータイを捨てればいいのかも?って疑問符つきの思いつき
じゃ軽々捨てる気にはなれなかった。
当然の反応だと、これが一般的な反応だと思う。銀行強盗なんかで銃を突き付けられてケータイ
を出せって言われてるならともかく、ケータイを捨てればいいのかも?って疑問符つきの思いつき
じゃ軽々捨てる気にはなれなかった。
でもこれって、客観的に見たらやばいのかな。
もたもたして、ためらって、決断できずにいる状況。
もたもたして、ためらって、決断できずにいる状況。
あれ。
もしかして、フラグ立てちゃった?
BADエンドフラグ?
もしかして、フラグ立てちゃった?
BADエンドフラグ?
ゲームじゃないんだしフラグなんか無いからだいじょうぶ、なんて暢気ではいられない。フラグ
が立つってことは、ゲームだったらゲームオーバーになるほどの状況ってこと。つまり現実におい
てもそれほど危ない状況になってるってことなのだよ。
さしずめ今なら、メリーさんに追いつかれるフラグってこと。
精神的には、メリーさんに追いつかれるのが確定した気になる。
これはまずい!
メリーさんに追いつかれたら、終わりだ。
今まで全力で走ってきたのも、全部無駄になる。
メリーさんに追いつかれたら。
が立つってことは、ゲームだったらゲームオーバーになるほどの状況ってこと。つまり現実におい
てもそれほど危ない状況になってるってことなのだよ。
さしずめ今なら、メリーさんに追いつかれるフラグってこと。
精神的には、メリーさんに追いつかれるのが確定した気になる。
これはまずい!
メリーさんに追いつかれたら、終わりだ。
今まで全力で走ってきたのも、全部無駄になる。
メリーさんに追いつかれたら。
メリーさんに、追いつかれちゃったら………
**********
……
「とりあえずメリーさんは萌えキャラってことでFAだよね」
「私も泉さんに同意します」
「黙ってろ変態ども」
「あはは、お姉ちゃんきついよ……ところでゆきちゃん」
「なんでしょうかつかささん」
「メリーさんって後ろにきたらさあ、その後どうするのかなあ?」
「そりゃ決まってるでしょつかさ」
「お姉ちゃんわかるの?」
「普通に考えて殺され…」
「違いますかがみさん!!」
「うわッ!ちょ、なによみゆき。いきなり大声だして」
「いえ、すみません…ですが、はっきりと決まってはいないのですよ。メリーさんの電話、のお話
はほとんどの場合背後にやってきましたら終ってしまいますので」
「ふーん、ちょっと意外ね」
「お話によってはそのまま通り過ぎて、どんどん離れていってしまうというケースもありますよ」
「何よソレ。何もしないわけ?」
「はい。そしてやがて海外からメリーさんの電話がかかってくるとか…」
「もうそうなると怖い話じゃないわね」
「いや、待つんだかがみん。海外ということは国際電話。その電話の通話料が受け手払いだったと
したら、どうだい……」
「……それはちょっと怖いわね。違う意味で」
「とりあえずメリーさんは萌えキャラってことでFAだよね」
「私も泉さんに同意します」
「黙ってろ変態ども」
「あはは、お姉ちゃんきついよ……ところでゆきちゃん」
「なんでしょうかつかささん」
「メリーさんって後ろにきたらさあ、その後どうするのかなあ?」
「そりゃ決まってるでしょつかさ」
「お姉ちゃんわかるの?」
「普通に考えて殺され…」
「違いますかがみさん!!」
「うわッ!ちょ、なによみゆき。いきなり大声だして」
「いえ、すみません…ですが、はっきりと決まってはいないのですよ。メリーさんの電話、のお話
はほとんどの場合背後にやってきましたら終ってしまいますので」
「ふーん、ちょっと意外ね」
「お話によってはそのまま通り過ぎて、どんどん離れていってしまうというケースもありますよ」
「何よソレ。何もしないわけ?」
「はい。そしてやがて海外からメリーさんの電話がかかってくるとか…」
「もうそうなると怖い話じゃないわね」
「いや、待つんだかがみん。海外ということは国際電話。その電話の通話料が受け手払いだったと
したら、どうだい……」
「……それはちょっと怖いわね。違う意味で」
**********
あれ???
どうなるんだっけ?
メリーさんが来たら……あれ?
メリーさんが来たら……あれ?
みゆきさんからメリーさんの電話の話を聴いてた時の事を思い出してみたけど、いくら思い出し
てもメリーさんが何をするっていうことは言ってなかった。
みゆきさんの話し方だと、何をされるか分からないけど、あんまり殺されたりするってことはな
さそうな感じだったね。むしろそのまま通り過ぎちゃったりもするって言ってた。わざわざみゆき
さんがその一つだけ例に出すくらいだから、お話の続きがある場合、そういうコミカルな展開にな
るのが「メリーさんの電話」の主流なのかな。
最後をぼやかして終わらせる怖いメリーさん。
でも最後を語っちゃうとギャグ調になっちゃうメリーさん。
なんだろうね。これ。
お話みたいに家を通り過ぎるならともかく、私をおいかけてるメリーさんがそのまま通り過ぎる
とは思えないけど、根本的な部分がわからなくなってきた。
てもメリーさんが何をするっていうことは言ってなかった。
みゆきさんの話し方だと、何をされるか分からないけど、あんまり殺されたりするってことはな
さそうな感じだったね。むしろそのまま通り過ぎちゃったりもするって言ってた。わざわざみゆき
さんがその一つだけ例に出すくらいだから、お話の続きがある場合、そういうコミカルな展開にな
るのが「メリーさんの電話」の主流なのかな。
最後をぼやかして終わらせる怖いメリーさん。
でも最後を語っちゃうとギャグ調になっちゃうメリーさん。
なんだろうね。これ。
お話みたいに家を通り過ぎるならともかく、私をおいかけてるメリーさんがそのまま通り過ぎる
とは思えないけど、根本的な部分がわからなくなってきた。
そういえば、なんで逃げてるんだっけ?
べつになにか脅されたわけでもなし、考えてみると追いかけられたような気がしたから逃げるこ
とにした、っていうくらいしかない。
ふむ、これじゃあ警察から逃げる犯罪者みたいじゃないか。
まあ実際追いかけられてはいるわけだし、相手がお化けじゃ逃げるなっていう方が我ながら無茶
だとは思うけど。
とにした、っていうくらいしかない。
ふむ、これじゃあ警察から逃げる犯罪者みたいじゃないか。
まあ実際追いかけられてはいるわけだし、相手がお化けじゃ逃げるなっていう方が我ながら無茶
だとは思うけど。
そんなこんなで、そもそもなんで逃げてるのか、と本質的にもほどがあることを考え出したら、
脚の回転が急激に落ちた。
逃げる。ただその一心で脚を動かしていたから、それ自体があやふやになると動きがゆるくなっ
ちゃうのはあたりまえだった。
その結果として私の移動速度は、それまでの全力疾走にくらべたら急ブレーキをかけたほどに落
ち込んだ。
脚の回転が急激に落ちた。
逃げる。ただその一心で脚を動かしていたから、それ自体があやふやになると動きがゆるくなっ
ちゃうのはあたりまえだった。
その結果として私の移動速度は、それまでの全力疾走にくらべたら急ブレーキをかけたほどに落
ち込んだ。
もしも似たような速度ですぐそばを追走してる何かがいるのなら、私が急に止まったかのように
見えたとしても不思議じゃないくらいに。
見えたとしても不思議じゃないくらいに。
それは、予想だにしない音であり声であり、衝撃だった。
ドゴォッ!
『むぎゃっ!』
「ンゲフゥッ!」
『むぎゃっ!』
「ンゲフゥッ!」
突然背中に大きな衝撃が炸裂した瞬間、二つの声と音が夜の空気に響き渡って、同時に私も肺に
溜まってた空気を強制的に押し出されたような声を漏らした。
星が、星が見える…
視界が激しくぶれて、時間がスローモーションになるのを感じながら、目の奥に光がチカチカと
奔った。
ああ、小さい頃のことが走馬灯のように………なんてことまではさすがになかったけど。
一瞬お母さんが見えたような気がしたくらいで、漫画なら血を吐きそうなところなのにやっぱり
そんなこともなかった。
気がつくと、私は尻もちをついていた。背中の衝撃は真後ろじゃなくて左斜め後ろから来たもの
らしく、その勢いで身体が勝手に左半回転をしながら。
つまり、尻もちをついたときにはそれまで走っていた方向とは正反対を向いていることになる。
走っている間見ないようにしていた背後を、自分の意図とは別に、あっさりと振り返ってしまった
のだ。
「いたた…」
背中の重く鈍い痛みを我慢しつつ、まずは拳を握ってみたり身体の各部に少しだけ力を入れてみ
たりして状態を確認する。
うん、筋オッケー。骨オッケー。とりあえず折れたり切れたりはしてないみたい。
「で、何がいった……い…??」
自分の身体の無事を確認して、くらくらと定まってなかった視界もちょうど調子を取り戻すと、
ようやくここで異変に気がついた。いや、突然背後から吹き飛ばされたのも十分におかしなことな
んだけど、一連の出来事で目に見える形で何かが現れたのは初めてだった。
たしかになった視界の中で、尻もちをついてるせいで崩れた体操座りみたいになってる私の脚の
間に、ソレはいた。
一メートルあるかどうかの体長を折り曲げて、両手で頭を抱えながらへたり込んでる。
溜まってた空気を強制的に押し出されたような声を漏らした。
星が、星が見える…
視界が激しくぶれて、時間がスローモーションになるのを感じながら、目の奥に光がチカチカと
奔った。
ああ、小さい頃のことが走馬灯のように………なんてことまではさすがになかったけど。
一瞬お母さんが見えたような気がしたくらいで、漫画なら血を吐きそうなところなのにやっぱり
そんなこともなかった。
気がつくと、私は尻もちをついていた。背中の衝撃は真後ろじゃなくて左斜め後ろから来たもの
らしく、その勢いで身体が勝手に左半回転をしながら。
つまり、尻もちをついたときにはそれまで走っていた方向とは正反対を向いていることになる。
走っている間見ないようにしていた背後を、自分の意図とは別に、あっさりと振り返ってしまった
のだ。
「いたた…」
背中の重く鈍い痛みを我慢しつつ、まずは拳を握ってみたり身体の各部に少しだけ力を入れてみ
たりして状態を確認する。
うん、筋オッケー。骨オッケー。とりあえず折れたり切れたりはしてないみたい。
「で、何がいった……い…??」
自分の身体の無事を確認して、くらくらと定まってなかった視界もちょうど調子を取り戻すと、
ようやくここで異変に気がついた。いや、突然背後から吹き飛ばされたのも十分におかしなことな
んだけど、一連の出来事で目に見える形で何かが現れたのは初めてだった。
たしかになった視界の中で、尻もちをついてるせいで崩れた体操座りみたいになってる私の脚の
間に、ソレはいた。
一メートルあるかどうかの体長を折り曲げて、両手で頭を抱えながらへたり込んでる。
『き、きゅーに…ハァ……とまんない…ハァハァ…でよ』
頻繁に息切れを挟みながらソレは言った。
肩で息をしてる様や唇が動いてるのは見てとれるのに、そこから息づかいや声は聞こえてこない。
代わりに、結局握りしめたまま手放さなかったケータイから音声が聞こえてくる。声が遅れて聞こ
えてくるっていうわけじゃないけど、見える姿と聞こえる声が別方向から来ると、なんだか腹話術
みたい。
そんな不思議な音声事情とセリフの中身で、ソレが私を追いかけていたメリーさんに違いないこ
とはすぐにわかった。
どうやら本当にすぐ後ろに近づいて来てたみたいで、そのせいで私が走るのをやめた時に止まり
きれずにぶつかったらしい。さっきの背中の衝撃はその時の物だった。
さて、まずは何と言うべきなのかな。
私を追いかけて来たことを問い詰めるべきか。
それとも背中に突っ込んできたことを怒るべきか。
うむ、我ながら強気な発想ばかり浮かんでるね。
でも、不思議とは思わなかった。
逃げてる時は自分でも情けないくらいびくびくしてたのに、今となってはまったく怯えるような
対象じゃなくなってたのだ。
肩で息をしてる様や唇が動いてるのは見てとれるのに、そこから息づかいや声は聞こえてこない。
代わりに、結局握りしめたまま手放さなかったケータイから音声が聞こえてくる。声が遅れて聞こ
えてくるっていうわけじゃないけど、見える姿と聞こえる声が別方向から来ると、なんだか腹話術
みたい。
そんな不思議な音声事情とセリフの中身で、ソレが私を追いかけていたメリーさんに違いないこ
とはすぐにわかった。
どうやら本当にすぐ後ろに近づいて来てたみたいで、そのせいで私が走るのをやめた時に止まり
きれずにぶつかったらしい。さっきの背中の衝撃はその時の物だった。
さて、まずは何と言うべきなのかな。
私を追いかけて来たことを問い詰めるべきか。
それとも背中に突っ込んできたことを怒るべきか。
うむ、我ながら強気な発想ばかり浮かんでるね。
でも、不思議とは思わなかった。
逃げてる時は自分でも情けないくらいびくびくしてたのに、今となってはまったく怯えるような
対象じゃなくなってたのだ。
だって、今目の前にいるのは、幼稚園に行くか行かないかくらいのサイズの、ちっちゃい女の子
なんだもん。
頭を抱えてるから顔は見えないけど、ほんとにパッと見普通の女の子。メリーさんがこんなんで
いいのかなって思うほど、禍々しさだって一ミリも感じない。
もともと消えかけてた恐怖心は、その姿を見た瞬間にきれいさっぱり砕けて散っちゃっていた。
なんだもん。
頭を抱えてるから顔は見えないけど、ほんとにパッと見普通の女の子。メリーさんがこんなんで
いいのかなって思うほど、禍々しさだって一ミリも感じない。
もともと消えかけてた恐怖心は、その姿を見た瞬間にきれいさっぱり砕けて散っちゃっていた。
だから、声をかけようとした時、何の心の準備もしてなかった。
怖がることがないんなら、こんな小さな女の子相手に身構える必要なんて無いと思ったから。
でも、違った。
怖がらせること以外にも、私の心を硬直させる要素がこの子にはあったんだ。
それは、純粋な驚きだった。
怖がらせること以外にも、私の心を硬直させる要素がこの子にはあったんだ。
それは、純粋な驚きだった。
私が気軽に呼びかけると、まだ苦しそうな息使いをしながらも顔を上げる目の前の女の子。
自分の頭を抑えていた小さな手から、さらりと尻尾みたいな二本の束が落ちる。
その子の髪型は、世に言うツインテールだった。
その子の髪型は、世に言うツインテールだった。
荒い呼吸のせいか険しい表情の中、幼女な見かけの割に鋭い眼光が飛んでくる。
その子の目は、気の強そうなややつり目がちのフォルムだった。
その子の目は、気の強そうなややつり目がちのフォルムだった。
この時、メリーさんの電話をとったとき、最初から誰かの声に似てるなと感じてたことを思い出
した。
あのときは、年齢も合わないしそんなはずがないということで頭のすみっこに追いやった。
だけど、今となってはあの感覚は正しかったんだってわかる。
した。
あのときは、年齢も合わないしそんなはずがないということで頭のすみっこに追いやった。
だけど、今となってはあの感覚は正しかったんだってわかる。
「え?……か…」
だって、今手の届くところにいる女の子は、似てるんだよ。
どう見ても一桁の年齢にしか見えない幼女なのに。
私よりもずっと小さな幼女なのに。
それなのに、つい数時間前に学校で見ていた人物に、どうしようもなく似ていた。
どう見ても一桁の年齢にしか見えない幼女なのに。
私よりもずっと小さな幼女なのに。
それなのに、つい数時間前に学校で見ていた人物に、どうしようもなく似ていた。
「……かがみん?」
柊かがみに。
つづくの
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- 映画「メリーさんの電話」
出演:紗綾、長澤奈央、
上杉奈央、安岡あゆみ、土井玲奈、麻倉みな、沙倉しずか 他 -- saaya_holic (2010-05-22 21:25:43) - つづくの、って‥‥‥‥期待してます! -- 名無しさん (2008-12-19 12:32:58)
- まさかの幼女かがみん。続きに期待。 -- 名無しさん (2008-11-10 03:01:02)