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牽引

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「おつかれさまです」
「おつかれっ白石さん最近調子いいみたいですねー」
「え、そうですか?」
「業界にも慣れて来たんじゃないですか?」
「あはは、僕なんて全然素人ですよ。やっぱりあきら様のようにはいきませんねえ」
「またまたー、そだ、この後お昼とか一緒にどうです?」
「あ…すみません、この後ラジオの収録があるんです」
「あらー残念っ、また今度ね」
「本当にすみません、お疲れさまでしたー」
深々と頭を下げ、ため息を吐く
最近やたら食事に誘われるが、白石はその全てを断っている
ただ単に時間が合わないだけなのだが、どうしても申し訳無く感じてしまう
今度何かお詫びをしようと心に決め、自分の楽屋へ向かった


楽屋に入ると、場に不似合いな少女が足を組んで座っていた
「あー、やっと来たかグズ」
「あきら様?どうかなさったんですか?」
「べっつにー。アンタこそ何してんのよ。食事誘われてたでしょ?行かなくていいの?」
「あ、見てらしたんですか?」
「はん、間抜け面でヘラヘラしちゃって。何か色気付いてんだか。馬鹿じゃなねーの?」
「はあ、すみません」
「大体アンタあたしのアシスタントじゃなかったっけ?一人でフラフラなぁにやってんだか。主役ほっといていい訳ぇ?」
「えぇと、申し訳ないです」
「ああもういい。さっさと行け。犬みたいに尻尾振ってワンワン鳴きながらさっさと行け」
「あの…あきら様?僕もこれからラジオの収録なのですが」
「はぁ?何言ってんのアンタ。あたしもアンタも今日半日オフでしょうが。マネージャーから、ってまたかあのハゲ。て事はアンタ断った訳ね」
口元が綻びそうになるのを堪え、コメカミを指で押さえてうめく
「あ、あきら様も半日オフなんですか。それでしたら、良かったらお昼でも一緒にどうですか?丁度ギャラも貰いましたし」
「あぁん?何でアンタなんかと」
「そうですか…残念です、じゃあ僕はお昼食べてきますね」
「待てや」
「はい?」
「あたしも行く」
「…はあ。いえ、いいんですか?」
「うるさい」
「ぐふぉ!?」
ズドン、と恒例の震脚
「腹が減ってんだよいいから黙って付いて来いボケナスが」
「はいぃ!!」
さりげなく白石の手を掴んで大股で歩きだす
どことなく、その姿はスキップを踏んでいるようにも見えた

(…アンタはあたしに付いて来ればいいのよ)
「え、何かおっしゃいました?」
「言ってねぇよボケ!!」
ズドンっ!!
「ぶへぁ!!」



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