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ハロー! ドージンワールド

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kairakunoza

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 それからこなたとひよりは、打ち合わせをした。一緒に何かを作り上げる作業も悪くない、こなたはそう思った。
「ひよりん、今回のはコピーで出すんでしょ?」
「先輩が望むなら、印刷に出しますよ」
「いやいやいや。まだ私には早すぎるよ」
 本気で印刷所に出しそうなひよりに、こなたは全力で拒否する。在庫になったら気まずいし。
「そっスか……先輩ならオールOKなんスけどねぇ」
 ペンを鼻の下に挟み、口を尖らせてひよりはグチる。
 まだ作品を見てもいないのに、その自信はどこから来るのだろうか。こなたとしてはそれが気になるが、
あえて聞かない方が幸せだろう、そう結論づける事にした。
 そうして大まかな打ち合わせが終わって、何故かコピー本の話に戻っていた。
「そういえばこの間掃除をしていたら、自分用コピー本が出てきたんスよ」
「自分用?」
 ひよりの言葉に、こなたは思わず鸚鵡返しになる。
「世界で一冊の、自分の為だけの本です」
「おお、何か凄いぞ」
「……と言いたいですが、現物は、同人をよくわかってない時に作った、甘苦酸っぱい出来の物っス」
 ひよりはとても遠い目をしていた。
「先日、その甘苦酸っぱい思い出と共にシュレッダーに掛けたんスけど……」
「えー、見たかったなあ」
 こなたは思わず声に出していた。ひよりには悪いが、とても面白そうだ。
「冗談じゃないっス! 何か友達に一冊あげちゃった記憶と共に抹消して欲しいっス!」
「うっ、それは痛い」
「うわぁぁ、お願い、積み荷を……積み荷を燃やしてー」
 盛大に涙を流しながら、ひよりは机に沈んでいった。
 そんなひよりを横目に見ながら、こなたは良いことを思いついた。
「ひよりん、自分用同人作ろうよ」
「へっ?」
 素っ頓狂な声を出すひよりに、こなたはいたずらっ子の目で続ける。
「最近『あの二人』の妄想が暴走気味ではないかね?」
 『あの二人』の所をあえて強調する。その二人は誰か言うまでもないだろう。
「あっ、あのっ、せ、先輩!?」
「その妄想を形にすることで、次の作品に昇華出来るとは思わないかね?」
 こなたの悪魔の提案にひよりは戸惑った。形にしてしまうと、色々な物が壊れていきそうだと、そう思ったのだ。


 こなたは、そんなひよりの心中を読みとったかの如く、話を続ける。
「大丈夫、私も協力するよ」
「そっ、それは……」
 ひよりは無意識の内に小声となっていた。
 天使と悪魔が、罪悪感と多大な妄想との間で揺れる。

 ――そして

「二人だけの、秘密っスね?」
「もちろん」
 悪魔が勝った。がっちりと手を組んだ二人を止められる者は、もういなかった。

 そうして新たな打ち合わせが始まった。内容のせいか、思わず小声になっていた。
「先輩は何を書くつもりなんですか?」
「それはかがみと」
「私が何だって?」
『うわぉぅっ!?』
 気づけばかがみがこなたの背後に立っていた。話に夢中で気づかなかったのだ。
 その後から、ゆたか達も教室に入って来た。話を聞かれなかったのは幸いだったか。
「ふたりで何を話していたの?」
「私たちに気づかれなかった程、夢中だったのですね」
 かがみの後ろからつかさが現れた。そばにいるみゆきも興味があるようだった。
「えーっと、泉先輩と本を作ろうかなって相談してました」
 間違ってはいない。
「へー、あんたがねぇ」
 かがみはこなたを見やりながら言う。確かにこなたの絵を見ているなら、そんな反応にならざるを得ないだろう。
「お姉ちゃんと田村さんの合作なんだね。出来たら見せてもらえるかな?」
 そう言うゆたかの横で、みなみも頷いている。
「こなちゃん、私たちにも見せてね」
 合作という言葉で、つかさは期待たっぷりの目でこなたとひよりを見ていた。
(先輩、期待が痛いっス)
(耐えるんだひよりん。乗り越えてこそ真の勇者だ!)
 こなたとひよりは、周りに聞こえない様にアイコンタクトで会話をする。
 とにかく、見せられる物を作ればいいだけなのだ。一つは。
 しばらく二人の顔をまともに見られない、そんな予感を抱きながら、ひよりは帰り支度をするのだった。

 帰り道、こなたは少し離れて、みんなを観察していた。
「……何見てるんだお前は」
 こなたの視線に、かがみは嫌な予感を覚えた。
「それは、秘密です」
「先輩、古いっスよ」
 ひよりがこなたに突っ込んだ。
「良いコンビになれそうだね、ひよりん」






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