「んじゃ、お疲れ」
「お疲れ様です」
ビールが並々と注がれたグラスを控えめに掲げ、乾杯。カチン、と気持ちの良い音が小さな屋台の中に響いた。
そして口元へと運び、グイッと一気飲み。いやぁ、うまい。
ほど良い酩酊感を携えた体には、この吹きつける寒風とキンキンに冷えたビールのダブルパンチは効くねぇ。
それがまた良い、ってのもあるんだがね。要するにうまいんだよ、冷たいくらいが。
それでも今体内に流し込んだ液体のお陰でそのうちまた体が火照ってきて、それを打ち消すためにまたビール。
そんなことをしばらくしていれば、自然と眠くなるってもんだ。まったく、人間ってのは良く出来ている。
酔っぱらってるせいもあってか、脳内でよく分からないやり取りを繰り返す。誰も聞いてはいないだろうな。
数瞬前まで満たされていたはずのそれをテーブルへコトリと置くとどうしたことか、手の届くところに置いてあったはずの瓶が無いではないか。
あれ、どこにやったっけ? キョロキョロと周りを見渡すと、右手に見えるは瓶を両手で持って微笑むふゆきの姿。
それを持つ彼女は控えめに上品さを醸し出している。育ちの良さを改めて感じるな。私ならラッパ飲みをするが如く片手で持つところなんだが。
「お疲れ様です」
ビールが並々と注がれたグラスを控えめに掲げ、乾杯。カチン、と気持ちの良い音が小さな屋台の中に響いた。
そして口元へと運び、グイッと一気飲み。いやぁ、うまい。
ほど良い酩酊感を携えた体には、この吹きつける寒風とキンキンに冷えたビールのダブルパンチは効くねぇ。
それがまた良い、ってのもあるんだがね。要するにうまいんだよ、冷たいくらいが。
それでも今体内に流し込んだ液体のお陰でそのうちまた体が火照ってきて、それを打ち消すためにまたビール。
そんなことをしばらくしていれば、自然と眠くなるってもんだ。まったく、人間ってのは良く出来ている。
酔っぱらってるせいもあってか、脳内でよく分からないやり取りを繰り返す。誰も聞いてはいないだろうな。
数瞬前まで満たされていたはずのそれをテーブルへコトリと置くとどうしたことか、手の届くところに置いてあったはずの瓶が無いではないか。
あれ、どこにやったっけ? キョロキョロと周りを見渡すと、右手に見えるは瓶を両手で持って微笑むふゆきの姿。
それを持つ彼女は控えめに上品さを醸し出している。育ちの良さを改めて感じるな。私ならラッパ飲みをするが如く片手で持つところなんだが。
――って違う違う。
「ふゆき、何で私がラーメンに誘ったかを忘れたのか?」
「ふふっ、ごめんなさい」
ふゆきから瓶を奪い自分のグラスへと注ぐ。トクトクと泡立ちながら、グラスに再び綺麗な麦色が戻る。
もう片方のグラスは空いていないようだ。急かすのも悪いからな、空いたら注いであげよう。
「しっかし年忘れって名目のはずなんだから、あんなに働かなくてもいいんじゃないか?」
「うーん、癖っていうものですかね? ついついやってしまうんですよ」
「随分嫌な癖なもんだ。私には真似出来ん」
「自分でも結構楽しいと思ってますから」
ほのかに頬を染めた彼女は、そう言って笑みを浮かべた。
……うーん、世の男共には見せたくないな、この顔は。雄には刺激が強すぎる。
「ふゆき、何で私がラーメンに誘ったかを忘れたのか?」
「ふふっ、ごめんなさい」
ふゆきから瓶を奪い自分のグラスへと注ぐ。トクトクと泡立ちながら、グラスに再び綺麗な麦色が戻る。
もう片方のグラスは空いていないようだ。急かすのも悪いからな、空いたら注いであげよう。
「しっかし年忘れって名目のはずなんだから、あんなに働かなくてもいいんじゃないか?」
「うーん、癖っていうものですかね? ついついやってしまうんですよ」
「随分嫌な癖なもんだ。私には真似出来ん」
「自分でも結構楽しいと思ってますから」
ほのかに頬を染めた彼女は、そう言って笑みを浮かべた。
……うーん、世の男共には見せたくないな、この顔は。雄には刺激が強すぎる。
「はい、お待ちどお」
ふゆきのグラスに二杯目を注いでいるところにおいしそうな湯気を立たせたラーメンが置かれる。
透き通るようなスープに、メンマに刻み葱、海苔が二枚のシンプルな具材。その中に麺が幸せそうに包まっている。
ラーメンというよりも中華そば、って感じ。呼び名が違うだけで同じ食べ物なんだがな。まぁイメージってのはそういうものだろう。
うむ、うまそう。その一言に尽きるな。ふゆきも同じ思いを浮かべているような顔してる。
「うまそう、じゃねえんだなこれが。実際うまいんだよ」
カウンター越しから声が飛ぶ。声の方を向くと、店主の親父は腕を組んでいいから早く食え、と言いたげにニンマリとこちらを見ていた。
どうやら思いが口に出てしまっていたみたいだな。
「ははっ、そいつは失礼した。それじゃ、いただきます」
「いただきます」
「どうぞ、召し上がれ」
ふゆきのグラスに二杯目を注いでいるところにおいしそうな湯気を立たせたラーメンが置かれる。
透き通るようなスープに、メンマに刻み葱、海苔が二枚のシンプルな具材。その中に麺が幸せそうに包まっている。
ラーメンというよりも中華そば、って感じ。呼び名が違うだけで同じ食べ物なんだがな。まぁイメージってのはそういうものだろう。
うむ、うまそう。その一言に尽きるな。ふゆきも同じ思いを浮かべているような顔してる。
「うまそう、じゃねえんだなこれが。実際うまいんだよ」
カウンター越しから声が飛ぶ。声の方を向くと、店主の親父は腕を組んでいいから早く食え、と言いたげにニンマリとこちらを見ていた。
どうやら思いが口に出てしまっていたみたいだな。
「ははっ、そいつは失礼した。それじゃ、いただきます」
「いただきます」
「どうぞ、召し上がれ」
「――親父、うまかったよ。ごちそうさん」
「だろ? 俺が作ってんだから当然さ」
流石にお腹が一杯でスープまでは楽しめなかったが、それでも十分うまいラーメンだった。
それにこの店主もなかなかに気さくな男で、私たちに酔っ払い客の話やらラーメンの豆知識やらをノンストップで話してくれた。
こういう人と話をするのが好きな私はもちろん、猫舌なふゆきも麺をフーフーさせながらも四方山話を楽しんでいたようだった。
それも相まってか、まだまだふゆきの器は空になりそうもない。ということで再び私はこの飾り気なく話す親父との会話を楽しむことにした。
「ところで、何でまたこんな屋台にべっぴんさん二人で入ってきたんだい?」
「べっぴんさんだなんて、言ってくれるじゃないか」
「ははっ、嘘ついてどうする」
「こりゃどうも。さっきまで忘年会があってだね、それでこっちの子が酒注ぎばっかりしてたもんだからさ」
「で、ウチで積もる話でもしようってか」
「まぁ大体そんなところだ」
全然楽しめてないんじゃないか、ってちょっと思ったからさ。
それから彼女の忘年会での振る舞いやいつもの学校での様子とかを話すとこの親父、私を見てニヤニヤと笑いやがる。
「一体何だっていうんだ? 嫌な笑み浮かべて」
「えぇ? あぁ、もしかしてお前さん、その子に惚れちまってんじゃないんか?」
ははっ、何馬鹿なこと言ってるんだ? と反論しようとしたところ、
「えぇ、ひかるさんったら私にベタ惚れで」
いつの間にか食べ終わっていたふゆきが楽しそうに口を挟む。酔っぱらってるな、こいつも。
「私は友人としてはお前のこと好きだがな、断じてそういうつもりは――」
「なんだよ姉ちゃん、水臭ぇな。さっきの話聞いてたらとてもそうは聞こえねえよ」
「そうですよ、ひかるさん」
そうして二人は互いに目を合わせてケラケラと笑う。
うむ、聞いてられん。私はグラスに残ったままのちょっぴりぬるくなったビールに手を伸ばし、そして飲み干す。
「やれやれ。親父、もう一本くれ」
「だろ? 俺が作ってんだから当然さ」
流石にお腹が一杯でスープまでは楽しめなかったが、それでも十分うまいラーメンだった。
それにこの店主もなかなかに気さくな男で、私たちに酔っ払い客の話やらラーメンの豆知識やらをノンストップで話してくれた。
こういう人と話をするのが好きな私はもちろん、猫舌なふゆきも麺をフーフーさせながらも四方山話を楽しんでいたようだった。
それも相まってか、まだまだふゆきの器は空になりそうもない。ということで再び私はこの飾り気なく話す親父との会話を楽しむことにした。
「ところで、何でまたこんな屋台にべっぴんさん二人で入ってきたんだい?」
「べっぴんさんだなんて、言ってくれるじゃないか」
「ははっ、嘘ついてどうする」
「こりゃどうも。さっきまで忘年会があってだね、それでこっちの子が酒注ぎばっかりしてたもんだからさ」
「で、ウチで積もる話でもしようってか」
「まぁ大体そんなところだ」
全然楽しめてないんじゃないか、ってちょっと思ったからさ。
それから彼女の忘年会での振る舞いやいつもの学校での様子とかを話すとこの親父、私を見てニヤニヤと笑いやがる。
「一体何だっていうんだ? 嫌な笑み浮かべて」
「えぇ? あぁ、もしかしてお前さん、その子に惚れちまってんじゃないんか?」
ははっ、何馬鹿なこと言ってるんだ? と反論しようとしたところ、
「えぇ、ひかるさんったら私にベタ惚れで」
いつの間にか食べ終わっていたふゆきが楽しそうに口を挟む。酔っぱらってるな、こいつも。
「私は友人としてはお前のこと好きだがな、断じてそういうつもりは――」
「なんだよ姉ちゃん、水臭ぇな。さっきの話聞いてたらとてもそうは聞こえねえよ」
「そうですよ、ひかるさん」
そうして二人は互いに目を合わせてケラケラと笑う。
うむ、聞いてられん。私はグラスに残ったままのちょっぴりぬるくなったビールに手を伸ばし、そして飲み干す。
「やれやれ。親父、もう一本くれ」
「親父さん、御馳走様でした。ラーメン、おいしかったです」
「客をからかうのも程々にしといてくれよ」
「済まないね。んじゃ、これからもお二人さん仲良くな!」
うちの学校の生徒よりも幼く見えるような笑顔で店主は手を挙げて、私たち二人を送り出した。
「いやぁ散々なラーメンだったな」
「いえ、そんなことないですよ? とっても楽しかったです」
どうやらふゆきもあの親父さんと息が合ったようで、それから延々と私と自分のことを話していた。
二人ともずっと私を見てニヤニヤ笑いながら小一時間。私にとっては散々だったよ。
「そんなに不貞腐れないで下さいよ」
「そんなつもりはないよ。聞いていられなかったけど私も楽しかったぞ?」
「客をからかうのも程々にしといてくれよ」
「済まないね。んじゃ、これからもお二人さん仲良くな!」
うちの学校の生徒よりも幼く見えるような笑顔で店主は手を挙げて、私たち二人を送り出した。
「いやぁ散々なラーメンだったな」
「いえ、そんなことないですよ? とっても楽しかったです」
どうやらふゆきもあの親父さんと息が合ったようで、それから延々と私と自分のことを話していた。
二人ともずっと私を見てニヤニヤ笑いながら小一時間。私にとっては散々だったよ。
「そんなに不貞腐れないで下さいよ」
「そんなつもりはないよ。聞いていられなかったけど私も楽しかったぞ?」
冬の夜風はやんわりとだが絶え間無く吹いて、結局あのあともう一本開けたっていうのに身体を火照らす余裕すら私には与えてくれない。
もう少し暖かい格好をすべきだったなぁ、と支度をして家を出る前の私に対してぽつりと呟いた。
「やっぱり冷えますね」
「そうだな。折角の酔いが醒めてしまう」
「……こうすれば暖かくなりますよ?」
そう言ってふゆきは私の腕を取り自分の左腕に絡ませた。
「お、おいっ」
「嫌ですか?」
「い、いや、そんなことはないんだが……」
「ならいいじゃないですか」
ニコリと彼女は笑う。……その笑顔は反則だろ?
「頬が熱くて仕方ない」
「そんな、恥ずかしがらなくてもいいのに」
「いや、しょうがないさ」
相手がふゆきだからな、という言葉は胸の中にしまっておけた。
もう少し暖かい格好をすべきだったなぁ、と支度をして家を出る前の私に対してぽつりと呟いた。
「やっぱり冷えますね」
「そうだな。折角の酔いが醒めてしまう」
「……こうすれば暖かくなりますよ?」
そう言ってふゆきは私の腕を取り自分の左腕に絡ませた。
「お、おいっ」
「嫌ですか?」
「い、いや、そんなことはないんだが……」
「ならいいじゃないですか」
ニコリと彼女は笑う。……その笑顔は反則だろ?
「頬が熱くて仕方ない」
「そんな、恥ずかしがらなくてもいいのに」
「いや、しょうがないさ」
相手がふゆきだからな、という言葉は胸の中にしまっておけた。
「――なぁふゆき」
「なんですか? ひかるさん」
「……好きだぞ」
「ふふっ、私もです」
「なんですか? ひかるさん」
「……好きだぞ」
「ふふっ、私もです」
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- GJです!!
7巻みて 先生2人に惚れたのは俺だけでしょうか? -- 名無しさん (2009-10-19 00:43:48)